30 / 36
30話
しおりを挟む
「新居だー!!!」
そして三日後、新居が涼に正式に引き渡された。
予め業者に全てを頼んでいたので涼の荷物は既に部屋にセッティングされている。
ちなみに俺とリンネの荷物はPCも含め、冒険者関連以外は全て新規で買ったものである。
というのも前の住居も一応残しているためだ。
理由は単に3日で家を引き払い、荷造りを済ませるのが余りにも面倒だったから。
ワンルームならともかく、かなりの部屋数があったため流石にやる気は起こらず、なら全て買い直そうということになった。
既に5億というでかい買い物をしているのだ。追加で1千万とか追加されたところで懐に大差は生まれない。
「改めて馬鹿でかいな」
「写真で見ていた三倍はあるね」
内見で見た家の数倍以上の広さを持った超豪華な家に俺たちは圧倒されていた。
「そもそもエレベーターが一軒家にあるってどういうことだよ」
「4階もあるからね。個人部屋もそこにあるし、無いと不便でしょ?」
「それはそうだが……」
金持ちって皆こんななのだろうか。
「キッチンでかっ!」
「何人で飯食うんだよ」
「庭も広いよ。バスケぐらいなら余裕で出来そう」
「物置スペースも多いね。マジックバッグの中身全部収納できそう」
「和室は三人での生配信とかオンラインのインタビューとかで使えそうだね」
「踊り場って家に必要なのか?」
「ベランダも広いね。寝れそう」
「何でも出来るじゃん!」
俺達は新居を2時間程巡り、十分楽しんだ後各自部屋に入った。
「落ち着かねえな」
家の10%程度しかないはずなのに、俺の住んでいたマンションの倍はある。なんなら実家位広くないか?
「どう使っても結局部屋は余るだろうし、何か施設でも配置すれば良いか」
それで何部屋か潰せば居住スペースは実質的に減るから落ち着くだろう。
そうだな、小さなゲーセンでも作るか……?
どんな部屋を作るかPCで調べつつ考えるといつの間にか夜になっていた。
「時間だし共有スペースに行くか」
涼の提案で初日は豪勢にバーベキューをすることになっていたので、部屋を出てエレベーターを使って1階に降りる。
すると何やら会話が聞こえてきた。どうやら二人は既に降りているようだ。
「あの二人って何話すんだろうな。共通の話題ってあったっけな」
「なななななんで涼さんは!!!!!」
「別に変じゃないでしょ?」
何をしているのかと思えば、リンネが涼を見て大騒ぎしていた。
「リンネ、どうしたんだ?」
俺には異変が感じられなかったので当の本人に聞いてみた。
「どうしたって、あの格好だよ!」
涼が着ていたのはノンスリーブの白Tとボーダーの半ズボン。
「ただの部屋着だろ」
あまりここは家っぽくないが、ちゃんと家だからな。楽な恰好をしていても大して問題じゃない。どうせ俺たち以外見ないだろうしな。
「いやいやいやいや。不味いものが見えてるよ!ブラとか!」
「ん?ああ、確かに」
「何でAIMはそんなに冷めてんだよ!」
「一緒に暮らしていたら何度も洗濯するからな。慣れた」
「慣れんな馬鹿!」
リンネの暴走が止まらないので涼には上に羽織るものを我慢して着てもらい、無事にバーベキューを行うことが出来た。
が、
「なななんでそんな恰好で家を歩いているの!」
「もう少し服着て服!」
と風呂上りや寝起き等リンネは何度も涼に対して恥ずかしがりながら怒っていた。
結果、
「僕、家帰る!」
と言い残し、杉並区の家へと帰っていった。
「ねえ、私達悪いことしたかな?」
「別に普通だと思うが。家だし、配信もしていないしな」
「家だもんね」
結局俺達にはリンネの考えていることが分からなかった。
「じゃあ行くか、S級ダンジョン」
「うん」
「そうだね」
数日間の休暇を終え、身も心も完全に疲れが取れた俺たちは遂にS級ダンジョンの一つ、千代田ダンジョンに挑むことに。
「調べていた通り、原っぱに出たみたいだね」
目の前に広がっているのは、ただ広い原っぱ。周りを見渡すと、様々な虫や動物がそこら中を駆け回っている様子が見られる。
「ああ。そしてしっかりと塔も見えるな」
雲をも貫き、天高くそびえ立つ巨大な塔。これがS級ダンジョンにおいて次の階層へ上るための階段のようなものだ。
「今回はあそこを目指すってことで良いんだよね」
「うん、そうだね。ただ、今日中にってのは無理かも。思っていたよりもかなり遠いみたいだし」
異常な程に巨大で高い塔なため、入り口から観測出来ているがかなりの距離があるように見える。
「ってことは泊まる場所も考えないといけないね」
「それが今日の目標だな」
「うん。じゃあ配信つけるよ」
今日の目標を設定し終わった所で、リンネがカメラを起動して配信を始めた。
いつも通り挨拶を済ませた後、塔に向かって歩みを進めつつ人が居る場所を探すことに。
「一応すぐ近くに村があるってのは『火炎の導き』さん達の調査で分かっているんだけど、大丈夫かなあ」
道中、リンネは心配そうに話した。
「まあ、これに関しては完全に運だからな。言葉が通じることを願うのみだ」
このダンジョン内は完全な異世界であるため、人に似た知的生命体が居たところで言語が通じるわけが無い。
しかし、それを見越した救済措置なのか、パーティ単位でランダムにその世界の言語を一つ無意識に理解できるようになっている。
一応ダンジョンから出た地点から近い所に存在する言語が優先される仕組みがあるらしいので、大抵は何も起こらないのだが、その周囲に言語が異なる国があった場合非常に面倒なことになる。
実際、『火炎の導き』はその言語ガチャに失敗した結果、このダンジョンを攻略することを諦めている。
「その時は野宿しかないよね!」
ただ、涼はそんな心配はしておらず平常運転だった。
「まあ困ったら3人で全て殲滅して逃げ帰れば大丈夫だよね」
「そうだな」
まあ、別に言語が通じなかったからといって即死亡というわけではないしな。今は先に進むことだけ考えれば良い。
「ん、敵だな。攻撃してみるか」
そんな会話を交わしつつ先に進んでいると、遠くに小さく屈んでいる獣の影が見えた。
未知の敵だが、進行方向に居るので避けては通れないと判断し、迷いなく投げた。
するとあっさりと命中し、その場に倒れた。
その後周囲に居た仲間らしき獣たちが10匹程集まって周囲を警戒していた。
「どうやら待ち伏せして誰かが来るのを待っていたみたいだね」
リンネも敵を捕捉したらしく、そんな風に結論付けていた。
「じゃあ僕が打ち抜くね」
「任せた」
残りはリンネがやると言って来たので、任せることにした。
大きなスナイパーライフルに何か魔力を込めた弾を装填した後、連続で2発撃った。
標的へ追尾するように進んだ弾丸は着弾後拡散し、周囲に居た獣ごと纏めて倒してしまった。
「よし、全部倒せたね」
「お疲れ、早速何だったのか確認してみよう」
周囲の安全を確認しつつ、先程倒した獣の元へ向かった。
「ウィンドウルフのようだな」
倒れていたのは草むらと同じ緑色の毛を持つウィンドウルフだった。影しか分からなかったのは単に保護色のせいでシルエットがはっきり見えなかったからだったんだな。
「ならあそこまで念入りにやる必要も無かったね」
「それは結果論だよ」
「確かにそうだね。これで最強の狼のフェンリルが出ました!ってなってたら流石に危なかっただろうしね」
「そういう事。じゃあもう一回気を引き締めて進もうか」
そして三日後、新居が涼に正式に引き渡された。
予め業者に全てを頼んでいたので涼の荷物は既に部屋にセッティングされている。
ちなみに俺とリンネの荷物はPCも含め、冒険者関連以外は全て新規で買ったものである。
というのも前の住居も一応残しているためだ。
理由は単に3日で家を引き払い、荷造りを済ませるのが余りにも面倒だったから。
ワンルームならともかく、かなりの部屋数があったため流石にやる気は起こらず、なら全て買い直そうということになった。
既に5億というでかい買い物をしているのだ。追加で1千万とか追加されたところで懐に大差は生まれない。
「改めて馬鹿でかいな」
「写真で見ていた三倍はあるね」
内見で見た家の数倍以上の広さを持った超豪華な家に俺たちは圧倒されていた。
「そもそもエレベーターが一軒家にあるってどういうことだよ」
「4階もあるからね。個人部屋もそこにあるし、無いと不便でしょ?」
「それはそうだが……」
金持ちって皆こんななのだろうか。
「キッチンでかっ!」
「何人で飯食うんだよ」
「庭も広いよ。バスケぐらいなら余裕で出来そう」
「物置スペースも多いね。マジックバッグの中身全部収納できそう」
「和室は三人での生配信とかオンラインのインタビューとかで使えそうだね」
「踊り場って家に必要なのか?」
「ベランダも広いね。寝れそう」
「何でも出来るじゃん!」
俺達は新居を2時間程巡り、十分楽しんだ後各自部屋に入った。
「落ち着かねえな」
家の10%程度しかないはずなのに、俺の住んでいたマンションの倍はある。なんなら実家位広くないか?
「どう使っても結局部屋は余るだろうし、何か施設でも配置すれば良いか」
それで何部屋か潰せば居住スペースは実質的に減るから落ち着くだろう。
そうだな、小さなゲーセンでも作るか……?
どんな部屋を作るかPCで調べつつ考えるといつの間にか夜になっていた。
「時間だし共有スペースに行くか」
涼の提案で初日は豪勢にバーベキューをすることになっていたので、部屋を出てエレベーターを使って1階に降りる。
すると何やら会話が聞こえてきた。どうやら二人は既に降りているようだ。
「あの二人って何話すんだろうな。共通の話題ってあったっけな」
「なななななんで涼さんは!!!!!」
「別に変じゃないでしょ?」
何をしているのかと思えば、リンネが涼を見て大騒ぎしていた。
「リンネ、どうしたんだ?」
俺には異変が感じられなかったので当の本人に聞いてみた。
「どうしたって、あの格好だよ!」
涼が着ていたのはノンスリーブの白Tとボーダーの半ズボン。
「ただの部屋着だろ」
あまりここは家っぽくないが、ちゃんと家だからな。楽な恰好をしていても大して問題じゃない。どうせ俺たち以外見ないだろうしな。
「いやいやいやいや。不味いものが見えてるよ!ブラとか!」
「ん?ああ、確かに」
「何でAIMはそんなに冷めてんだよ!」
「一緒に暮らしていたら何度も洗濯するからな。慣れた」
「慣れんな馬鹿!」
リンネの暴走が止まらないので涼には上に羽織るものを我慢して着てもらい、無事にバーベキューを行うことが出来た。
が、
「なななんでそんな恰好で家を歩いているの!」
「もう少し服着て服!」
と風呂上りや寝起き等リンネは何度も涼に対して恥ずかしがりながら怒っていた。
結果、
「僕、家帰る!」
と言い残し、杉並区の家へと帰っていった。
「ねえ、私達悪いことしたかな?」
「別に普通だと思うが。家だし、配信もしていないしな」
「家だもんね」
結局俺達にはリンネの考えていることが分からなかった。
「じゃあ行くか、S級ダンジョン」
「うん」
「そうだね」
数日間の休暇を終え、身も心も完全に疲れが取れた俺たちは遂にS級ダンジョンの一つ、千代田ダンジョンに挑むことに。
「調べていた通り、原っぱに出たみたいだね」
目の前に広がっているのは、ただ広い原っぱ。周りを見渡すと、様々な虫や動物がそこら中を駆け回っている様子が見られる。
「ああ。そしてしっかりと塔も見えるな」
雲をも貫き、天高くそびえ立つ巨大な塔。これがS級ダンジョンにおいて次の階層へ上るための階段のようなものだ。
「今回はあそこを目指すってことで良いんだよね」
「うん、そうだね。ただ、今日中にってのは無理かも。思っていたよりもかなり遠いみたいだし」
異常な程に巨大で高い塔なため、入り口から観測出来ているがかなりの距離があるように見える。
「ってことは泊まる場所も考えないといけないね」
「それが今日の目標だな」
「うん。じゃあ配信つけるよ」
今日の目標を設定し終わった所で、リンネがカメラを起動して配信を始めた。
いつも通り挨拶を済ませた後、塔に向かって歩みを進めつつ人が居る場所を探すことに。
「一応すぐ近くに村があるってのは『火炎の導き』さん達の調査で分かっているんだけど、大丈夫かなあ」
道中、リンネは心配そうに話した。
「まあ、これに関しては完全に運だからな。言葉が通じることを願うのみだ」
このダンジョン内は完全な異世界であるため、人に似た知的生命体が居たところで言語が通じるわけが無い。
しかし、それを見越した救済措置なのか、パーティ単位でランダムにその世界の言語を一つ無意識に理解できるようになっている。
一応ダンジョンから出た地点から近い所に存在する言語が優先される仕組みがあるらしいので、大抵は何も起こらないのだが、その周囲に言語が異なる国があった場合非常に面倒なことになる。
実際、『火炎の導き』はその言語ガチャに失敗した結果、このダンジョンを攻略することを諦めている。
「その時は野宿しかないよね!」
ただ、涼はそんな心配はしておらず平常運転だった。
「まあ困ったら3人で全て殲滅して逃げ帰れば大丈夫だよね」
「そうだな」
まあ、別に言語が通じなかったからといって即死亡というわけではないしな。今は先に進むことだけ考えれば良い。
「ん、敵だな。攻撃してみるか」
そんな会話を交わしつつ先に進んでいると、遠くに小さく屈んでいる獣の影が見えた。
未知の敵だが、進行方向に居るので避けては通れないと判断し、迷いなく投げた。
するとあっさりと命中し、その場に倒れた。
その後周囲に居た仲間らしき獣たちが10匹程集まって周囲を警戒していた。
「どうやら待ち伏せして誰かが来るのを待っていたみたいだね」
リンネも敵を捕捉したらしく、そんな風に結論付けていた。
「じゃあ僕が打ち抜くね」
「任せた」
残りはリンネがやると言って来たので、任せることにした。
大きなスナイパーライフルに何か魔力を込めた弾を装填した後、連続で2発撃った。
標的へ追尾するように進んだ弾丸は着弾後拡散し、周囲に居た獣ごと纏めて倒してしまった。
「よし、全部倒せたね」
「お疲れ、早速何だったのか確認してみよう」
周囲の安全を確認しつつ、先程倒した獣の元へ向かった。
「ウィンドウルフのようだな」
倒れていたのは草むらと同じ緑色の毛を持つウィンドウルフだった。影しか分からなかったのは単に保護色のせいでシルエットがはっきり見えなかったからだったんだな。
「ならあそこまで念入りにやる必要も無かったね」
「それは結果論だよ」
「確かにそうだね。これで最強の狼のフェンリルが出ました!ってなってたら流石に危なかっただろうしね」
「そういう事。じゃあもう一回気を引き締めて進もうか」
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
私のお父様とパパ様
棗
ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。
婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。
大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。
※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。
追記(2021/10/7)
お茶会の後を追加します。
更に追記(2022/3/9)
連載として再開します。
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
愛しのお姉様(悪役令嬢)を守る為、ぽっちゃり双子は暗躍する
清澄 セイ
ファンタジー
エトワナ公爵家に生を受けたぽっちゃり双子のケイティベルとルシフォードは、八つ歳の離れた姉・リリアンナのことが大嫌い、というよりも怖くて仕方がなかった。悪役令嬢と言われ、両親からも周囲からも愛情をもらえず、彼女は常にひとりぼっち。溢れんばかりの愛情に包まれて育った双子とは、天と地の差があった。
たった十歳でその生を終えることとなった二人は、死の直前リリアンナが自分達を助けようと命を投げ出した瞬間を目にする。
神の気まぐれにより時を逆行した二人は、今度は姉を好きになり協力して三人で生き残ろうと決意する。
悪役令嬢で嫌われ者のリリアンナを人気者にすべく、愛らしいぽっちゃりボディを武器に、二人で力を合わせて暗躍するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる