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24話
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まずは第一層。このフロアは街をイメージした場所で、ゴブリンやコボルト、下級魔族等の様々な人型のモンスターが生息していた。
どうやらA級ダンジョン以上は今までの一層に一種類というシステムは廃止されているらしく、数種類のモンスターが生息しているらしい。
だからといってお互いが協力し合っているわけではなく、それぞれの種が別々に存在しており、各自で動いているという形だったが。
A級ダンジョンに出てくるモンスターは全てA級相当というわけではなく、そのフロアに生息するモンスターの最高位がA級という話らしい。
何故知っているのかと言うと、涼に歩いている最中に説明してもらったからだ。
「そろそろ戦闘準備に入れ」
「「はい」」「おう」
敵との距離が100m程まで迫ってからようやく戦闘に入りだした。
まあ遠距離攻撃手段を持っていなかったらそりゃあそうなるか。
敵は下級魔族が7体。人型ではあるが、人とは見た目が大きく異なるので戦うことに抵抗感は無さそうだ。
そもそも会話が出来ないしな。
「スペルガード!」
慣れたように前に出たバトラーは、魔族の放つ様々な属性の魔法を全て盾で防ぎきる。
盾で防げない分を剣で受け止めているが、流石に防御向きではないので炎や水、雷などの不定形の魔法を一部被弾していた。
「甘いですよ!」
しかし一切堪えた様子は無く、寧ろより近くで魔法をガードしてやろうと接近していた。
「オラオラ!かかってこいやあ!」
一方、もう一人のガードナーであるシュガレイさんは剣を持った魔族たちを同時に相手していた。
「なるほど。ああやって戦うのか」
シュガレイさんは両手に持った盾を鈍器代わりにして戦っていた。
イメージとしてはボクシングなのだろうか。両手に握りしめた盾をボクシンググローブのように前に突き出し、ぶん殴っていた。
正直シールドで前面を覆って突進するシールドチャージの方が良いような気がしないでもないが、アレでも攻撃を受け止めつつ反撃に転じることが出来ているから良いのかもしれない。
「ヒール!」
そしてシバさんはその二人をサポートするため、後ろから回復魔法らしきものを放っていた。
体についた傷だけでなく、防具まで元に戻していた。ヒーラーってものはそこまで出来るのか。
「食らうがよい!フレイム!」
フレアさんが高らかに宣言し、発動した魔法は魔族の真横を通った。
すると、魔族の体が一瞬で燃え上がった。
どう見ても外していたよな……?
その疑問の答えはすぐに出た。
当たらなかった炎の塊の着弾点から半径5m位の地面が一瞬で解けた。
魔法の温度が高すぎるあまり、接触していなかったとしても肉体の発火点を超えるほどに熱されてしまったということだろうか。
そんなことがあり得るのか?いくらS級だと言ってもここはA級ダンジョンの筈。そう簡単に倒されるほどやわじゃないだろ?
が、現実ではフレアさんのフレイムによって数々の魔族が燃え上がり、その命を散らせていた。
結果7体いたはずの魔族はものの数分で全て倒されてしまった。
「よし。じゃあ先に進むか」
それからも二層三層と進む中、様々な敵と遭遇するも一瞬で殲滅させていた。
結果一時間足らずでA級ダンジョン最強と名高い丸の内ダンジョンのボス部屋にまで到着してしまった。
「じゃあ入るぞ」
丸の内ダンジョンのボスは巨大な龍。今の俺であれば弱点を狙ったとしても攻撃が通るかすら怪しい相手だ。
そんなボスならこの人たちと真っ当な戦いを繰り広げてくれるだろう。そう思っていたが、
「バトラー、シュガレイ、引け!」
「「了解!」」
龍の攻撃を二人が軽く受け止めた後、フレアさんによる炎の魔法によって一撃で倒してしまった。
役所に出た俺たちは、再びギルドに戻った。
今回案内されたのは社長室のような場所ではなく、応接室だった。
「というわけだ。凄かっただろう!」
全員が席に座ったのを確認した後、フレアさんは誇らしげに語った。
「確かに凄かったです!」
と若干の興奮を見せながら話すのは涼。画面上で見ていた最強の戦闘が生で見られて嬉しかったのだろう。
「凄かったですね」
実際凄かったのは事実だ。
バトラーとシュガレイさんの圧倒的な防御力、そしてシバさんの回復力は目を見張るものがあった。現状の俺では何時間かけてもその防御を貫くことは不可能だろう。
しかし、それはあくまで想定内の範囲だ。何よりも凄かったのはフレアさんだ。
あの攻撃力は何なんだ。敵に掠ってすら居ないのに倒してしまうって普通ではありえないぞ。
「AIM君、フレアさんの魔法に驚いているみたいだね?」
俺の疑問を察したシバさんがそう問いかけてきた。
「はい。いくらランク差があるといってもあんな芸当が出来るとは思えないので」
「それはね、フレアさんもAIM君と同じように一つのステータスに極振りしているんだ」
「つまり魔力にってことですよね」
「うん、それで間違いないよ」
だからあんな化け物じみた火力が出ていたのか。
にしてもステータス極振りなんて人間がこの世にもう一人居るとは思わなかった。しかも日本最強のクランに。
「私やクランの名前を見て分かる通り、炎魔法が大好きだ。だからより強く、美しい炎魔法を追求していたらこうなった」
なるほど。涼と似たようなタイプの人間かこいつも。
「ただフレアさんはそんなこと言っているけど、一番得意な魔法は水魔法なんよね」
「おい!私は炎魔法が得意だって言っているだろ!」
と言いながらぽかぽかとシバさんの背中を叩くフレアさん。
その姿は先程までの自信溢れるリーダーとは違い、ただの一人の可愛い女性だった。
「ほらほらこの動画、URLを後でDMに送っておくから興味があったらあとで見てね」
「分かりました」
そんなフレアさんを意に介さずに続きを話すシバさん。多分この中では一番の常識人に当たるはずなんだけれど、フレアさんを弄るという一点においてはこの中でダントツの成績を誇ると思われる。
「シバ~~!!!!」
フレアさんが涙目になっていた。別に水魔法が凄いこと自体は恥ずべきことでは無い気はするのだが、炎魔法を極めるために生きている人としては嫌なのだろう。
「フレアさんが駄目になっちゃったから代わりに僕が話すね。どう?このギルドに入らない?好待遇は約束するよ」
背中を叩き続けるフレアさんを一切無視して本題に入ったシバさん。
「確かに魅力的な話ですね」
恐らく日本一のギルドに入ることが出来れば、一生安泰と言っても間違いないだろう。
最高の待遇に優れたパーティメンバー。もしブーメランを投げることが出来なくなっても、このギルドに居れば生きていけるようにお金を支給してくれる。
命がかかっている非常に不安定な仕事だ。安定を得られるのは非常に素晴らしい。
「ただ、お断りさせていただきます」
けれど、俺はその道を選ぶ気は無かった。
「どうしてだい?私たちのギルドは最高だろう?」
背中を叩く可愛らしいフレアさんではなく、ギルドマスターとしてのフレアさんが焦ったように聞いてくる。
「はい、間違いなく。このギルドに入れば一生安定でしょうね」
「ならばどうして?」
フレアさんは俺の回答が信じ難いらしい。
「私の戦い方は皆さんと足並みをそろえて戦うことに向いていません」
先程のダンジョン攻略を見て確信したことだった。
「なるほどね」
シバさんは納得したようだけれど、他の方々はよく分かっていないようだった。
「もし私が成長し、皆さんに匹敵する戦闘力を手に入れた場合、一緒に戦うことになるのは間違いないですよね?」
「ああ。より高位のダンジョンに挑みたいからな」
「その場合、たとえ同等の戦力であっても私か皆さんか。どちらかが確実に足を引っ張ることになります」
「同じ戦力なら足を引っ張るわけねえだろ」
と何を馬鹿言っているんだと言いたげなシュガレイさん。
「普通ならそうでしょうね。ただ、私の場合は確実にそうなります」
「射程、だね」
最初からある程度理解をしていたシバさんがそう答える。
「はい。皆さんが戦闘準備を始める距離を見ていたんですが、大体100m前後でした」
「そうですね」
とバトラー。
「私の場合、それだと近すぎるんです。私達が戦闘を始める際は最低でも500m、基本は1㎞から2㎞辺りを目安にしています」
「その距離であれば攻撃が飛んでくることはほぼありませんし、皆さんも攻撃を当てることが出来ません。つまりあなた方が戦うことは不可能なわけです」
「逆に私が皆さんの距離で戦った場合、単に攻撃力の無いフレアさんが一人増えるだけになります。いくら弱点に的確に当てられるとはいえ、フレアさんが適当に狙った方が威力は高いです。それに、ガードナーのお二人は私を守るために近くで戦ってくれることになると思うのですが、大量に戻ってくるブーメランが非常に邪魔になると思います」
端的に言えば射程が合わないのだ。
スナイパーライフルとショットガンを同じラインで戦わせてはいけない。
いくら戦術に疎い俺でも分かる一般常識だ。
「私もAIM君がそう判断するのであれば参加するのはやめておこうかな」
涼は別に入っても良かったとは思うが、俺に付いてくることを選んでくれたらしい。
「なら仕方ないな。戦闘を見た上で一緒に戦うのが困難だと判断されたんじゃあどうしようもない」
「わざわざ誘ってくれたのに申し訳ありません」
「良いんだ。誘いを受けるのも断るのも君達の自由だからな」
フレアさんは何の文句も言わず、笑顔で俺たちの答えを受け入れてくれた。本当にいい人たちだ。
「その代わりといってもなんですが、困ったことがあったら呼んでください。出来る限りで手伝いますので」
まあ日本最大のギルドが困ったことを俺がどうこう出来るかと言えば別の話だろうけど。
「ああ。そうさせてもらう」
俺たちはフレアさん達と再度握手を交わし、ギルドを出た。
「断ったからにはちゃんと強くならないとね」
「ああ。あの人たちに負けない位にな」
そして、今全力で追いかけてきているリンネにも。
「とりあえずご飯でも食べようか!」
ただ今日は明日に向けて英気を養うことにしよう。
どうやらA級ダンジョン以上は今までの一層に一種類というシステムは廃止されているらしく、数種類のモンスターが生息しているらしい。
だからといってお互いが協力し合っているわけではなく、それぞれの種が別々に存在しており、各自で動いているという形だったが。
A級ダンジョンに出てくるモンスターは全てA級相当というわけではなく、そのフロアに生息するモンスターの最高位がA級という話らしい。
何故知っているのかと言うと、涼に歩いている最中に説明してもらったからだ。
「そろそろ戦闘準備に入れ」
「「はい」」「おう」
敵との距離が100m程まで迫ってからようやく戦闘に入りだした。
まあ遠距離攻撃手段を持っていなかったらそりゃあそうなるか。
敵は下級魔族が7体。人型ではあるが、人とは見た目が大きく異なるので戦うことに抵抗感は無さそうだ。
そもそも会話が出来ないしな。
「スペルガード!」
慣れたように前に出たバトラーは、魔族の放つ様々な属性の魔法を全て盾で防ぎきる。
盾で防げない分を剣で受け止めているが、流石に防御向きではないので炎や水、雷などの不定形の魔法を一部被弾していた。
「甘いですよ!」
しかし一切堪えた様子は無く、寧ろより近くで魔法をガードしてやろうと接近していた。
「オラオラ!かかってこいやあ!」
一方、もう一人のガードナーであるシュガレイさんは剣を持った魔族たちを同時に相手していた。
「なるほど。ああやって戦うのか」
シュガレイさんは両手に持った盾を鈍器代わりにして戦っていた。
イメージとしてはボクシングなのだろうか。両手に握りしめた盾をボクシンググローブのように前に突き出し、ぶん殴っていた。
正直シールドで前面を覆って突進するシールドチャージの方が良いような気がしないでもないが、アレでも攻撃を受け止めつつ反撃に転じることが出来ているから良いのかもしれない。
「ヒール!」
そしてシバさんはその二人をサポートするため、後ろから回復魔法らしきものを放っていた。
体についた傷だけでなく、防具まで元に戻していた。ヒーラーってものはそこまで出来るのか。
「食らうがよい!フレイム!」
フレアさんが高らかに宣言し、発動した魔法は魔族の真横を通った。
すると、魔族の体が一瞬で燃え上がった。
どう見ても外していたよな……?
その疑問の答えはすぐに出た。
当たらなかった炎の塊の着弾点から半径5m位の地面が一瞬で解けた。
魔法の温度が高すぎるあまり、接触していなかったとしても肉体の発火点を超えるほどに熱されてしまったということだろうか。
そんなことがあり得るのか?いくらS級だと言ってもここはA級ダンジョンの筈。そう簡単に倒されるほどやわじゃないだろ?
が、現実ではフレアさんのフレイムによって数々の魔族が燃え上がり、その命を散らせていた。
結果7体いたはずの魔族はものの数分で全て倒されてしまった。
「よし。じゃあ先に進むか」
それからも二層三層と進む中、様々な敵と遭遇するも一瞬で殲滅させていた。
結果一時間足らずでA級ダンジョン最強と名高い丸の内ダンジョンのボス部屋にまで到着してしまった。
「じゃあ入るぞ」
丸の内ダンジョンのボスは巨大な龍。今の俺であれば弱点を狙ったとしても攻撃が通るかすら怪しい相手だ。
そんなボスならこの人たちと真っ当な戦いを繰り広げてくれるだろう。そう思っていたが、
「バトラー、シュガレイ、引け!」
「「了解!」」
龍の攻撃を二人が軽く受け止めた後、フレアさんによる炎の魔法によって一撃で倒してしまった。
役所に出た俺たちは、再びギルドに戻った。
今回案内されたのは社長室のような場所ではなく、応接室だった。
「というわけだ。凄かっただろう!」
全員が席に座ったのを確認した後、フレアさんは誇らしげに語った。
「確かに凄かったです!」
と若干の興奮を見せながら話すのは涼。画面上で見ていた最強の戦闘が生で見られて嬉しかったのだろう。
「凄かったですね」
実際凄かったのは事実だ。
バトラーとシュガレイさんの圧倒的な防御力、そしてシバさんの回復力は目を見張るものがあった。現状の俺では何時間かけてもその防御を貫くことは不可能だろう。
しかし、それはあくまで想定内の範囲だ。何よりも凄かったのはフレアさんだ。
あの攻撃力は何なんだ。敵に掠ってすら居ないのに倒してしまうって普通ではありえないぞ。
「AIM君、フレアさんの魔法に驚いているみたいだね?」
俺の疑問を察したシバさんがそう問いかけてきた。
「はい。いくらランク差があるといってもあんな芸当が出来るとは思えないので」
「それはね、フレアさんもAIM君と同じように一つのステータスに極振りしているんだ」
「つまり魔力にってことですよね」
「うん、それで間違いないよ」
だからあんな化け物じみた火力が出ていたのか。
にしてもステータス極振りなんて人間がこの世にもう一人居るとは思わなかった。しかも日本最強のクランに。
「私やクランの名前を見て分かる通り、炎魔法が大好きだ。だからより強く、美しい炎魔法を追求していたらこうなった」
なるほど。涼と似たようなタイプの人間かこいつも。
「ただフレアさんはそんなこと言っているけど、一番得意な魔法は水魔法なんよね」
「おい!私は炎魔法が得意だって言っているだろ!」
と言いながらぽかぽかとシバさんの背中を叩くフレアさん。
その姿は先程までの自信溢れるリーダーとは違い、ただの一人の可愛い女性だった。
「ほらほらこの動画、URLを後でDMに送っておくから興味があったらあとで見てね」
「分かりました」
そんなフレアさんを意に介さずに続きを話すシバさん。多分この中では一番の常識人に当たるはずなんだけれど、フレアさんを弄るという一点においてはこの中でダントツの成績を誇ると思われる。
「シバ~~!!!!」
フレアさんが涙目になっていた。別に水魔法が凄いこと自体は恥ずべきことでは無い気はするのだが、炎魔法を極めるために生きている人としては嫌なのだろう。
「フレアさんが駄目になっちゃったから代わりに僕が話すね。どう?このギルドに入らない?好待遇は約束するよ」
背中を叩き続けるフレアさんを一切無視して本題に入ったシバさん。
「確かに魅力的な話ですね」
恐らく日本一のギルドに入ることが出来れば、一生安泰と言っても間違いないだろう。
最高の待遇に優れたパーティメンバー。もしブーメランを投げることが出来なくなっても、このギルドに居れば生きていけるようにお金を支給してくれる。
命がかかっている非常に不安定な仕事だ。安定を得られるのは非常に素晴らしい。
「ただ、お断りさせていただきます」
けれど、俺はその道を選ぶ気は無かった。
「どうしてだい?私たちのギルドは最高だろう?」
背中を叩く可愛らしいフレアさんではなく、ギルドマスターとしてのフレアさんが焦ったように聞いてくる。
「はい、間違いなく。このギルドに入れば一生安定でしょうね」
「ならばどうして?」
フレアさんは俺の回答が信じ難いらしい。
「私の戦い方は皆さんと足並みをそろえて戦うことに向いていません」
先程のダンジョン攻略を見て確信したことだった。
「なるほどね」
シバさんは納得したようだけれど、他の方々はよく分かっていないようだった。
「もし私が成長し、皆さんに匹敵する戦闘力を手に入れた場合、一緒に戦うことになるのは間違いないですよね?」
「ああ。より高位のダンジョンに挑みたいからな」
「その場合、たとえ同等の戦力であっても私か皆さんか。どちらかが確実に足を引っ張ることになります」
「同じ戦力なら足を引っ張るわけねえだろ」
と何を馬鹿言っているんだと言いたげなシュガレイさん。
「普通ならそうでしょうね。ただ、私の場合は確実にそうなります」
「射程、だね」
最初からある程度理解をしていたシバさんがそう答える。
「はい。皆さんが戦闘準備を始める距離を見ていたんですが、大体100m前後でした」
「そうですね」
とバトラー。
「私の場合、それだと近すぎるんです。私達が戦闘を始める際は最低でも500m、基本は1㎞から2㎞辺りを目安にしています」
「その距離であれば攻撃が飛んでくることはほぼありませんし、皆さんも攻撃を当てることが出来ません。つまりあなた方が戦うことは不可能なわけです」
「逆に私が皆さんの距離で戦った場合、単に攻撃力の無いフレアさんが一人増えるだけになります。いくら弱点に的確に当てられるとはいえ、フレアさんが適当に狙った方が威力は高いです。それに、ガードナーのお二人は私を守るために近くで戦ってくれることになると思うのですが、大量に戻ってくるブーメランが非常に邪魔になると思います」
端的に言えば射程が合わないのだ。
スナイパーライフルとショットガンを同じラインで戦わせてはいけない。
いくら戦術に疎い俺でも分かる一般常識だ。
「私もAIM君がそう判断するのであれば参加するのはやめておこうかな」
涼は別に入っても良かったとは思うが、俺に付いてくることを選んでくれたらしい。
「なら仕方ないな。戦闘を見た上で一緒に戦うのが困難だと判断されたんじゃあどうしようもない」
「わざわざ誘ってくれたのに申し訳ありません」
「良いんだ。誘いを受けるのも断るのも君達の自由だからな」
フレアさんは何の文句も言わず、笑顔で俺たちの答えを受け入れてくれた。本当にいい人たちだ。
「その代わりといってもなんですが、困ったことがあったら呼んでください。出来る限りで手伝いますので」
まあ日本最大のギルドが困ったことを俺がどうこう出来るかと言えば別の話だろうけど。
「ああ。そうさせてもらう」
俺たちはフレアさん達と再度握手を交わし、ギルドを出た。
「断ったからにはちゃんと強くならないとね」
「ああ。あの人たちに負けない位にな」
そして、今全力で追いかけてきているリンネにも。
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