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11話
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翌日、また同じ稼ぎをやるということは無く、普通に攻略をすることになった。遠距離で倒さなければ大した問題は無いので今回は苦労することなく突破。2層へ向かう。
「次の階層は確かスケルトンだったか」
「そうだね。遠距離武器を持っているスケルトンは居ないから遠くから攻撃すればいい」
「そうだな。任せたぞ」
「AIMは?」
「ブーメランにこの直線は向いてない」
第2層は廃坑。つまるところ道幅が狭い。開けた場所で戦うことを得意とするブーメラン使いとしては、致命的な場所だ。
「戻ってこない前提ならどうにかなるでしょ」
「まあな。ただ回収が面倒だろ?」
敵を倒す以上、貫通して奥に飛ぶ勢いで投げる必要がある。
つまりブーメランはスケルトンの背後の遥か彼方。いちいち投げていては日が暮れてしまう。
「そういう時は僕だけで戦うよ」
「頼む」
そういった合意を済ませ、改めて第二層の攻略が始まった。
スケルトンはどこかに待ち構えているというわけではなく、見回りをするかのように徘徊している。
そんなスケルトンとの最初の邂逅はまるで少女漫画のような、曲がり角での衝突だった。
「当たれ!」
そんなスケルトンはリンネがショットガンを数発放ったことで破壊された。
「隙間をすり抜けることもあるんだな」
人間であれば確実に全部当たっているはずだったが、スケルトンは骨しかない。一発の玉の小ささも相まって大多数がすり抜けていった。
最終的にショットガンの反動で銃が上向いたことで頭蓋骨に向けて発射。見事討伐達成というわけだ。
「そうなんだ」
まるで他人事かのように話すリンネ。全く気付いていない。
「それよりもリンネ。お前が銃を当てられない理由がよく分かった。銃を撃つとき目を瞑っているだろう」
当たるものも当たらないわけだ。
「え?ちゃんと見ていたよ。スケルトンの頭蓋骨が弾けるところだって」
「そうだな。ライトマシンガンを準備してくれ」
「うん」
「なら俺が指示したら5発くらい撃ってくれ。弾代は俺が出すから」
「うん」
「それじゃあ撃ってくれ」
リンネは銃を放つ。そのタイミングで俺はリンネの目の前に手を翳す。
撃ち終わるタイミングで俺は手を戻し、話しかける。
「どうだった?」
「どうだったって何も撃っただけだけど」
「気付かなかったのか?俺がリンネの目を手で塞いでいたことに。疑うならコメント欄でも開いてみろ」
信じられないらしいリンネはカメラを手に取りコメント欄をチェックする。
「嘘……でしょ」
どうやら本当であることを悟ったらしい。
「エイムってのは敵を見て撃つんだ。それはどんな状況でも変わらない。それが出来ていない人間に当たるわけがない」
置きエイムという敵が居そうな場所に銃を撃つという技もあるが、アレも敵を見ていないだけで狙う位置は見ている。
FPSゲーマーでなくても出来ているようなことが出来ていなかったのだ。
「もう一回やるから見てて」
リンネは信じられず、何度も銃を撃つ。しかし毎度目は綺麗に塞がれていた。
「駄目だな」
「なら訓練しないとね……」
流石に不味いと思ったのか、珍しくエイム練習を志願したリンネ。
「とりあえずこの階層を踏破したらな」
その後30分程で第二層を攻略した俺たちは椎名ダンジョンに向かった。
「どうしてここなの?」
どうやら俺がエイム練習に使っていた世田谷ダンジョンではないことに疑問を覚えているらしい。
「まずは動かない敵に当てることからだろうが」
初心者同等の奴に上級者用のエイム練習を課した所で地獄を生み出すだけだ。
「分かったよ」
自分の実力を一番知っているリンネは納得したようで、大人しく練習に付き合った。
「ゆっくりでいい。遠くから確実に当ててみろ」
「うん」
リンネは言われた通りにトレントを狙う。
「ほらまた目を瞑っている」
別に焦る難易度でも危険性があるわけでもない距離なのに、リンネは毎回毎回目を力強く瞑っている。
「はあ、まずは目を開けて銃を撃つことからだな」
まさかプールが苦手な子供がするような練習をこれですることになるとは思わなかった。
それから苦節3時間。
「やっと目を閉じずに銃を撃つことが出来たな……」
リンネはようやく銃を持つ者としてのスタートラインに立つことが出来た。
「とりあえず今日はここまでだ」
「もっとやりたいんだけど」
リンネはまだやる気みたいだが、摩訶不思議な状況に3時間も付き合わされて俺は疲弊していた。
「なら勝手にやってくれ」
完全に見捨てるに近い形だが、コメント欄は俺を労わるコメントでいっぱいだった。
俺のカメラを撤収し、リンネを置いて帰宅した。
「いやあ凄い相方だねえ」
家に着くと、配信を見ていたらしい涼が出迎えてくれた。
「長年付き合っていたがまさかあんなだとは思っていなかったよ。正直ゾンビの群れより疲れた」
単に立ち回りだけを強化し続けてエイム練習を一切していなかっただけだと思っていたが、それ以上だった。アレを見る限り隠れて練習はしていたんだろうな。
「本当にお疲れ様。ご飯は作っているから早く食べよう」
「ありがとう」
俺は涼の飯で腹を満たし、これまでの疲れを癒した。
翌日、リンネからの電話で目を覚ました。
「こんな朝っぱらから何」
時間は午前6時。社会人ですら寝ている時間だ。
『今から椎名ダンジョンの攻略に行こう!早く実践がしたいんだ』
電話から聞こえてくる雑音から、こいつが外に居ることを察する。
「流石に眠いんだけど」
『昼飯奢るからさ、ね?』
「仕方ないな」
そこまで言われたら断りにくいので了承することにした。
「リンネ、今の今まで練習していたんだな」
椎名ダンジョンに向かう中、スマホで動画鑑賞をしているとリンネの配信がおススメに出てきた。
昨日配信したので当然ではあるが、時間がおかしかった。
サムネイルの右下には10時間という数字が記録されていた。
あのリンネとかいう馬鹿は一切就寝をせずに練習に励んでいたようだ。
「じゃあダンジョンに潜ろうか」
一夜漬けをしていたリンネではあるが、元プロゲーマーということもあり不規則な生活には慣れているらしくあまりいつもと変わりは無かった。
「そうだな」
とはいっても24時間近く起き続けているだろうから、午前中で配信は切り上げてしまおうと決めた。
「次の階層は確かスケルトンだったか」
「そうだね。遠距離武器を持っているスケルトンは居ないから遠くから攻撃すればいい」
「そうだな。任せたぞ」
「AIMは?」
「ブーメランにこの直線は向いてない」
第2層は廃坑。つまるところ道幅が狭い。開けた場所で戦うことを得意とするブーメラン使いとしては、致命的な場所だ。
「戻ってこない前提ならどうにかなるでしょ」
「まあな。ただ回収が面倒だろ?」
敵を倒す以上、貫通して奥に飛ぶ勢いで投げる必要がある。
つまりブーメランはスケルトンの背後の遥か彼方。いちいち投げていては日が暮れてしまう。
「そういう時は僕だけで戦うよ」
「頼む」
そういった合意を済ませ、改めて第二層の攻略が始まった。
スケルトンはどこかに待ち構えているというわけではなく、見回りをするかのように徘徊している。
そんなスケルトンとの最初の邂逅はまるで少女漫画のような、曲がり角での衝突だった。
「当たれ!」
そんなスケルトンはリンネがショットガンを数発放ったことで破壊された。
「隙間をすり抜けることもあるんだな」
人間であれば確実に全部当たっているはずだったが、スケルトンは骨しかない。一発の玉の小ささも相まって大多数がすり抜けていった。
最終的にショットガンの反動で銃が上向いたことで頭蓋骨に向けて発射。見事討伐達成というわけだ。
「そうなんだ」
まるで他人事かのように話すリンネ。全く気付いていない。
「それよりもリンネ。お前が銃を当てられない理由がよく分かった。銃を撃つとき目を瞑っているだろう」
当たるものも当たらないわけだ。
「え?ちゃんと見ていたよ。スケルトンの頭蓋骨が弾けるところだって」
「そうだな。ライトマシンガンを準備してくれ」
「うん」
「なら俺が指示したら5発くらい撃ってくれ。弾代は俺が出すから」
「うん」
「それじゃあ撃ってくれ」
リンネは銃を放つ。そのタイミングで俺はリンネの目の前に手を翳す。
撃ち終わるタイミングで俺は手を戻し、話しかける。
「どうだった?」
「どうだったって何も撃っただけだけど」
「気付かなかったのか?俺がリンネの目を手で塞いでいたことに。疑うならコメント欄でも開いてみろ」
信じられないらしいリンネはカメラを手に取りコメント欄をチェックする。
「嘘……でしょ」
どうやら本当であることを悟ったらしい。
「エイムってのは敵を見て撃つんだ。それはどんな状況でも変わらない。それが出来ていない人間に当たるわけがない」
置きエイムという敵が居そうな場所に銃を撃つという技もあるが、アレも敵を見ていないだけで狙う位置は見ている。
FPSゲーマーでなくても出来ているようなことが出来ていなかったのだ。
「もう一回やるから見てて」
リンネは信じられず、何度も銃を撃つ。しかし毎度目は綺麗に塞がれていた。
「駄目だな」
「なら訓練しないとね……」
流石に不味いと思ったのか、珍しくエイム練習を志願したリンネ。
「とりあえずこの階層を踏破したらな」
その後30分程で第二層を攻略した俺たちは椎名ダンジョンに向かった。
「どうしてここなの?」
どうやら俺がエイム練習に使っていた世田谷ダンジョンではないことに疑問を覚えているらしい。
「まずは動かない敵に当てることからだろうが」
初心者同等の奴に上級者用のエイム練習を課した所で地獄を生み出すだけだ。
「分かったよ」
自分の実力を一番知っているリンネは納得したようで、大人しく練習に付き合った。
「ゆっくりでいい。遠くから確実に当ててみろ」
「うん」
リンネは言われた通りにトレントを狙う。
「ほらまた目を瞑っている」
別に焦る難易度でも危険性があるわけでもない距離なのに、リンネは毎回毎回目を力強く瞑っている。
「はあ、まずは目を開けて銃を撃つことからだな」
まさかプールが苦手な子供がするような練習をこれですることになるとは思わなかった。
それから苦節3時間。
「やっと目を閉じずに銃を撃つことが出来たな……」
リンネはようやく銃を持つ者としてのスタートラインに立つことが出来た。
「とりあえず今日はここまでだ」
「もっとやりたいんだけど」
リンネはまだやる気みたいだが、摩訶不思議な状況に3時間も付き合わされて俺は疲弊していた。
「なら勝手にやってくれ」
完全に見捨てるに近い形だが、コメント欄は俺を労わるコメントでいっぱいだった。
俺のカメラを撤収し、リンネを置いて帰宅した。
「いやあ凄い相方だねえ」
家に着くと、配信を見ていたらしい涼が出迎えてくれた。
「長年付き合っていたがまさかあんなだとは思っていなかったよ。正直ゾンビの群れより疲れた」
単に立ち回りだけを強化し続けてエイム練習を一切していなかっただけだと思っていたが、それ以上だった。アレを見る限り隠れて練習はしていたんだろうな。
「本当にお疲れ様。ご飯は作っているから早く食べよう」
「ありがとう」
俺は涼の飯で腹を満たし、これまでの疲れを癒した。
翌日、リンネからの電話で目を覚ました。
「こんな朝っぱらから何」
時間は午前6時。社会人ですら寝ている時間だ。
『今から椎名ダンジョンの攻略に行こう!早く実践がしたいんだ』
電話から聞こえてくる雑音から、こいつが外に居ることを察する。
「流石に眠いんだけど」
『昼飯奢るからさ、ね?』
「仕方ないな」
そこまで言われたら断りにくいので了承することにした。
「リンネ、今の今まで練習していたんだな」
椎名ダンジョンに向かう中、スマホで動画鑑賞をしているとリンネの配信がおススメに出てきた。
昨日配信したので当然ではあるが、時間がおかしかった。
サムネイルの右下には10時間という数字が記録されていた。
あのリンネとかいう馬鹿は一切就寝をせずに練習に励んでいたようだ。
「じゃあダンジョンに潜ろうか」
一夜漬けをしていたリンネではあるが、元プロゲーマーということもあり不規則な生活には慣れているらしくあまりいつもと変わりは無かった。
「そうだな」
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