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第5話
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と言っても小野田さん以外は部活に入っているわけでもないので解散する必要もないはずなのだが、今日は加賀美千佳にも学校で用事があるとのこと。
俺たちは当然暇なので教室に置いてた荷物を纏めて帰ることになるのだが、
「悠理くん!!!」
「ゲッ」
どうやら見つかってしまったようだ。捕食者に。
「待ってよ~」
「やだよ。なんで待たなきゃいけないんだ」
黒須悠里の一世一代をかけた、全力の逃亡劇が始まった。
悠理は持ち前の身体能力を活かし建物内だけではなく、建物外の壁すらも使用し巧みに逃げ回る。
しかし、彼女の追跡能力の高さと有り余る執念によってあっという間に追い詰められていた。
「ふっふっふ。これで逃げられないよ悠理くん」
「観念するんだな黒須悠里」
「壁ジャンプしても逃げきれないのかよ……」
追い詰めていたのは女子の方が二宮花。男子の方が鬼塚力豪。
「今回は私の方が先だからね」
「分かってる」
「やめろ!!!」
鬼塚力豪のガードにより逃げるも叶わず、二宮花のされるがままになるしかなかった。
「ああ~やっぱ悠理くんの筋肉は最高やわあ」
筋肉愛好家の二宮花によって体中の筋肉を撫でまわされていた。
彼女曰く、悠理の筋肉は全人類の理想でありもはや芸術の域に達しているとのこと。
その気になれば悠理は彼女を引き剝がせるが、女性を無理やり力でどうこうしたくないという謎の紳士性を発揮しているため何もできなかった。
「最高の筋肉ごちそうさまでした」
彼女にとって最高に幸せな10分間が過ぎた後、満足したようで帰っていった。
「じゃあ次は俺の番だな!」
その様子を監視していた彼が、自分の番だと言わんばかりに元気よく宣言した。
「もう好きにしてくれ……」
精神的に疲弊したようで、もう逃げるということは無いようだ。
「じゃあ付いてきてくれ」
彼の言うとおりに連れてこられたのはトレーニング室。
「今日の筋肉勝負はこれだ!」
「ベンチプレスか……」
当然のように準備されていたのは100㎏のベンチプレス。
「お互いに5回ずつこなしていったら5㎏上げて再挑戦だ」
「仕方ねえなあ」
悠理のターンからスタートした。
悠理はそのまま100㎏は難なくクリアした。
「とりあえずはな」
「まあこの程度で諦められちゃあ困る」
そして鬼塚も難なくクリア。
そして105kg、110㎏と難なくクリアし遂に150㎏の大台を超えた。
ちなみに50回以上ベンチプレスを済ませている。正直普通の人間はこなせるわけがない。
「やるな黒須」
喜びで胸が躍っているような雰囲気を見せ、もっと続けていたいと願う鬼塚力豪。
「鬼塚もうさっさと諦めてくれ……」
さっさと終わりたいが負けたくはないので続けている悠理。
対照的な二人ではあるが、とりあえず勝ちたいという気持ちは同じようだ。
そして1時間が経った頃、まだ続いていた。ついに200㎏の大台を超えるらしい。
「この野郎がああ!!!!」
悠理は限界ながらも気力でやりきった。
そして倒れこむ悠理。流石に限界だったようだ。
というわけで補助に俺が入り、鬼塚の番となった。
「今度こそお前に勝つんだ!!!」
気迫で1回、2回と持ち上げていく鬼塚。しかし限界なのか一回一回が遅い。
そして5回目を持ち上げようとするとき、筋肉に限界が訪れた。
「決まったな」
ということで今回の筋肉対決も悠理の勝利で終わった。
「まだお前に負ける俺じゃねえよ」
「見てろ!次は、勝つ!」
鬼塚は気力が完全に切れ、寝てしまったようだ。
「後は任せた。晴」
悠理も悠里で寝やがった。また俺かよ。
このアホの塊みたいな対決に毎回付き合わされ、最終的にこいつらが寝てしまうので二人とも家に送り付けなければならない。
「なんで俺が巻き込まれにゃあならんのだ」
文句は言いつつもとりあえず片づけは終了し、学校の備品である荷台に二人を乗せて家まで郵送した。
俺たちは当然暇なので教室に置いてた荷物を纏めて帰ることになるのだが、
「悠理くん!!!」
「ゲッ」
どうやら見つかってしまったようだ。捕食者に。
「待ってよ~」
「やだよ。なんで待たなきゃいけないんだ」
黒須悠里の一世一代をかけた、全力の逃亡劇が始まった。
悠理は持ち前の身体能力を活かし建物内だけではなく、建物外の壁すらも使用し巧みに逃げ回る。
しかし、彼女の追跡能力の高さと有り余る執念によってあっという間に追い詰められていた。
「ふっふっふ。これで逃げられないよ悠理くん」
「観念するんだな黒須悠里」
「壁ジャンプしても逃げきれないのかよ……」
追い詰めていたのは女子の方が二宮花。男子の方が鬼塚力豪。
「今回は私の方が先だからね」
「分かってる」
「やめろ!!!」
鬼塚力豪のガードにより逃げるも叶わず、二宮花のされるがままになるしかなかった。
「ああ~やっぱ悠理くんの筋肉は最高やわあ」
筋肉愛好家の二宮花によって体中の筋肉を撫でまわされていた。
彼女曰く、悠理の筋肉は全人類の理想でありもはや芸術の域に達しているとのこと。
その気になれば悠理は彼女を引き剝がせるが、女性を無理やり力でどうこうしたくないという謎の紳士性を発揮しているため何もできなかった。
「最高の筋肉ごちそうさまでした」
彼女にとって最高に幸せな10分間が過ぎた後、満足したようで帰っていった。
「じゃあ次は俺の番だな!」
その様子を監視していた彼が、自分の番だと言わんばかりに元気よく宣言した。
「もう好きにしてくれ……」
精神的に疲弊したようで、もう逃げるということは無いようだ。
「じゃあ付いてきてくれ」
彼の言うとおりに連れてこられたのはトレーニング室。
「今日の筋肉勝負はこれだ!」
「ベンチプレスか……」
当然のように準備されていたのは100㎏のベンチプレス。
「お互いに5回ずつこなしていったら5㎏上げて再挑戦だ」
「仕方ねえなあ」
悠理のターンからスタートした。
悠理はそのまま100㎏は難なくクリアした。
「とりあえずはな」
「まあこの程度で諦められちゃあ困る」
そして鬼塚も難なくクリア。
そして105kg、110㎏と難なくクリアし遂に150㎏の大台を超えた。
ちなみに50回以上ベンチプレスを済ませている。正直普通の人間はこなせるわけがない。
「やるな黒須」
喜びで胸が躍っているような雰囲気を見せ、もっと続けていたいと願う鬼塚力豪。
「鬼塚もうさっさと諦めてくれ……」
さっさと終わりたいが負けたくはないので続けている悠理。
対照的な二人ではあるが、とりあえず勝ちたいという気持ちは同じようだ。
そして1時間が経った頃、まだ続いていた。ついに200㎏の大台を超えるらしい。
「この野郎がああ!!!!」
悠理は限界ながらも気力でやりきった。
そして倒れこむ悠理。流石に限界だったようだ。
というわけで補助に俺が入り、鬼塚の番となった。
「今度こそお前に勝つんだ!!!」
気迫で1回、2回と持ち上げていく鬼塚。しかし限界なのか一回一回が遅い。
そして5回目を持ち上げようとするとき、筋肉に限界が訪れた。
「決まったな」
ということで今回の筋肉対決も悠理の勝利で終わった。
「まだお前に負ける俺じゃねえよ」
「見てろ!次は、勝つ!」
鬼塚は気力が完全に切れ、寝てしまったようだ。
「後は任せた。晴」
悠理も悠里で寝やがった。また俺かよ。
このアホの塊みたいな対決に毎回付き合わされ、最終的にこいつらが寝てしまうので二人とも家に送り付けなければならない。
「なんで俺が巻き込まれにゃあならんのだ」
文句は言いつつもとりあえず片づけは終了し、学校の備品である荷台に二人を乗せて家まで郵送した。
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