75 / 87
75話
しおりを挟む
「まあ、10大ギルドを俺たちだけで倒せるかもしれないって希望が出来たんだから喜ぼうぜ」
「そうね。飛鳥の急成長が無ければ少し怪しかったものね」
健太と杏奈さんの言う通り、【スキル修練・改】が無ければ10大ギルドをたった5人で倒せるかどうか怪しかった。
一応効率が上がったお陰で期限までに全員レベル140まで到達して、ギルドマスターをそれぞれタイマンで倒せる位にはなりそうだったのだが、他のギルドメンバーも同時に相手するとなると難しいだろうというのが皆の見解だった。
しかし、このペースでいけば俺が期限までに最低でもレベル200相当の強さを得られる。
流石にそのレベルになるとギルドマスターを瞬殺できるはずなので、他のメンバーがどれだけいようと問題なく戦う事が出来る。
「それはそうと次のダンジョンはどうしようかしら。近くにSSランクのダンジョンは無いから遠距離移動は確定なのだけれど」
「この地域周辺のSSランクのダンジョンは大体行っちゃったもんね……」
「そろそろSSSランクダンジョンに行ってみる?」
「……そうね。イザベルさんと飛鳥はSSランクだろうが何だろうが効率に変化はないけれど、私たちはSSランクじゃあレベルアップ効率が悪くなってきたから」
俺とイザベルさんは経験値を得て強くなるわけではなく、何かしらの条件を満たすことで獲得できるスキルによって強くなれるため、相手の強さによって効率が上がるわけでは無い。
だからある意味では一撃で倒せるレベルの簡単なダンジョンを狙うのが一番効率的に見える。
しかし、そういったダンジョンは階層が少ない分モンスターの数も種類も限られてしまうので結果的に難しいダンジョンの方が効率的だったりする。
「じゃあ決定で。丁度近くにあるしね」
だからレベルだろうがスキルだろうが難しいダンジョンで実戦経験を積むことが一番強くなる近道である。
というわけでSSSランクダンジョンへ健太の車で移動していた。
「いや、本当に健太が運転できる側の人間で本当に良かった」
健太の車ということで健太に運転してもらっているのだが、非常に乗り心地が良い。
良い車ということもあるのだが、何よりも運転技術が高い。
「このくらい大したことないぞ。アクセル踏んでハンドル動かすだけなんだから。ほぼゲームだゲーム」
「健太が簡単だっていうゲームを簡単にこなせない人も居るんだよ……」
「何故私を見るのよ。私はちゃんと運転できるわ。そもそも運転できないのは免許を持っていない飛鳥でしょう」
「それでもああはならないと思う」
たとえ俺がどれだけ運転の才能が無かったとしても杏奈さん程荒い運転にはならないと断言できる。あれは人間業じゃない。
「杏奈さんってそんな運転ヤバいんだ」
「うん。【超車酔い耐性】っていうスキルが手に入るくらい酷い」
「超って。そんなスキルあるんだ」
「うん。取得可能になった時は本当にビビったよ。【車酔い耐性】ってスキルも存在するのに」
「それは凄いね……」
「でもそれより凄いのは、それらのスキルを上級まで獲得して、船酔いとかのありとあらゆる酔いに対する耐性スキルを獲得している上で車酔いさせられる杏奈さんの運転だよ」
「おぞましいなそれ……」
「別に私は変な運転はしていないわ。単に飛鳥が誇張しているだけよ」
「少し静かにしてくれ」
なんて杏奈さんの運転技術事情について話をしていると、イザベルさんが突然そう言った。
『ただいまニュースが入りました。ギルド【魔術師の楽園】、【ガーディアン】の本部が外部からの襲撃を受けて壊滅的被害を受けた模様です。襲撃者は外国の探索者集団だとみて調査を続けています』
「はあ!!??」
「何が起こっているの!?」
まず声をあげたのはそれぞれのギルドに所属している健太と弥生。
「壊滅的被害って……二人が来る前はそんなに厳しい状況だったの?」
「いやいやいや、全然そんなことないよ!」
「俺のところも全然だった。軽い怪我をしている人が何人か居たくらいだ」
二人が来る前から実はギルドが危なかったのではと考えた杏奈さんは二人に質問したが、反応を見るに防衛はかなり余裕な状況だったらしい。
「となると例のギルドが動いたか」
「「「「例のギルド?」」」」
「ああ。アンナとアスカは最初に襲撃してきた異世界人を覚えているな?」
「うん」「そうね」
ダンジョンが失われるかもしれないとか言って部下と共に襲撃してきて、部下が全滅したら即座に去っていった男のことだろう。
「あの男が所属しているギルドが本格的に動いたようだ」
「それがどのギルドかは分からないけれど、10大ギルドではないわよね?そんなギルドがあの二つを壊滅させられるかしら?」
「確かに10大ギルドではないな。だが、簡単にギルドを壊滅させられるだろう」
「あっさり断言するのね。そのギルドって何?」
「そのギルドは『BRAVED』だ。知っているか?」
「全く知らないわね。皆は知っているかしら?」
杏奈さんが皆に聞くが、全員首を横に振る。
「だろうな。イギリスにある20人程度の小さなギルドだからな」
「たった20人?」
「ああ。先日の襲撃で部下を全滅させたから今は7人か」
「そんな少人数でどうやって……?」
二つのギルドを同時に破壊するとなると半分に分けなければならない。
ということは、少なくとも二人はギルドマスターを瞬殺出来る実力者である必要がある。
だがキルケーさんと氷浦さんは10大ギルドのギルドマスターを簡単に倒せるレベルで強いはずだから200どころじゃなくて250とか300レベル相当の実力が必要だ。
そんな化け物が二人も在籍しているギルド……?そんなものがあるのか?
「普通に実力だろう。この『BRAVED』というギルドには【勇者】と【魔王】という最強の職業スキルを持った異世界人がそれぞれ在籍しているからな」
「そうね。飛鳥の急成長が無ければ少し怪しかったものね」
健太と杏奈さんの言う通り、【スキル修練・改】が無ければ10大ギルドをたった5人で倒せるかどうか怪しかった。
一応効率が上がったお陰で期限までに全員レベル140まで到達して、ギルドマスターをそれぞれタイマンで倒せる位にはなりそうだったのだが、他のギルドメンバーも同時に相手するとなると難しいだろうというのが皆の見解だった。
しかし、このペースでいけば俺が期限までに最低でもレベル200相当の強さを得られる。
流石にそのレベルになるとギルドマスターを瞬殺できるはずなので、他のメンバーがどれだけいようと問題なく戦う事が出来る。
「それはそうと次のダンジョンはどうしようかしら。近くにSSランクのダンジョンは無いから遠距離移動は確定なのだけれど」
「この地域周辺のSSランクのダンジョンは大体行っちゃったもんね……」
「そろそろSSSランクダンジョンに行ってみる?」
「……そうね。イザベルさんと飛鳥はSSランクだろうが何だろうが効率に変化はないけれど、私たちはSSランクじゃあレベルアップ効率が悪くなってきたから」
俺とイザベルさんは経験値を得て強くなるわけではなく、何かしらの条件を満たすことで獲得できるスキルによって強くなれるため、相手の強さによって効率が上がるわけでは無い。
だからある意味では一撃で倒せるレベルの簡単なダンジョンを狙うのが一番効率的に見える。
しかし、そういったダンジョンは階層が少ない分モンスターの数も種類も限られてしまうので結果的に難しいダンジョンの方が効率的だったりする。
「じゃあ決定で。丁度近くにあるしね」
だからレベルだろうがスキルだろうが難しいダンジョンで実戦経験を積むことが一番強くなる近道である。
というわけでSSSランクダンジョンへ健太の車で移動していた。
「いや、本当に健太が運転できる側の人間で本当に良かった」
健太の車ということで健太に運転してもらっているのだが、非常に乗り心地が良い。
良い車ということもあるのだが、何よりも運転技術が高い。
「このくらい大したことないぞ。アクセル踏んでハンドル動かすだけなんだから。ほぼゲームだゲーム」
「健太が簡単だっていうゲームを簡単にこなせない人も居るんだよ……」
「何故私を見るのよ。私はちゃんと運転できるわ。そもそも運転できないのは免許を持っていない飛鳥でしょう」
「それでもああはならないと思う」
たとえ俺がどれだけ運転の才能が無かったとしても杏奈さん程荒い運転にはならないと断言できる。あれは人間業じゃない。
「杏奈さんってそんな運転ヤバいんだ」
「うん。【超車酔い耐性】っていうスキルが手に入るくらい酷い」
「超って。そんなスキルあるんだ」
「うん。取得可能になった時は本当にビビったよ。【車酔い耐性】ってスキルも存在するのに」
「それは凄いね……」
「でもそれより凄いのは、それらのスキルを上級まで獲得して、船酔いとかのありとあらゆる酔いに対する耐性スキルを獲得している上で車酔いさせられる杏奈さんの運転だよ」
「おぞましいなそれ……」
「別に私は変な運転はしていないわ。単に飛鳥が誇張しているだけよ」
「少し静かにしてくれ」
なんて杏奈さんの運転技術事情について話をしていると、イザベルさんが突然そう言った。
『ただいまニュースが入りました。ギルド【魔術師の楽園】、【ガーディアン】の本部が外部からの襲撃を受けて壊滅的被害を受けた模様です。襲撃者は外国の探索者集団だとみて調査を続けています』
「はあ!!??」
「何が起こっているの!?」
まず声をあげたのはそれぞれのギルドに所属している健太と弥生。
「壊滅的被害って……二人が来る前はそんなに厳しい状況だったの?」
「いやいやいや、全然そんなことないよ!」
「俺のところも全然だった。軽い怪我をしている人が何人か居たくらいだ」
二人が来る前から実はギルドが危なかったのではと考えた杏奈さんは二人に質問したが、反応を見るに防衛はかなり余裕な状況だったらしい。
「となると例のギルドが動いたか」
「「「「例のギルド?」」」」
「ああ。アンナとアスカは最初に襲撃してきた異世界人を覚えているな?」
「うん」「そうね」
ダンジョンが失われるかもしれないとか言って部下と共に襲撃してきて、部下が全滅したら即座に去っていった男のことだろう。
「あの男が所属しているギルドが本格的に動いたようだ」
「それがどのギルドかは分からないけれど、10大ギルドではないわよね?そんなギルドがあの二つを壊滅させられるかしら?」
「確かに10大ギルドではないな。だが、簡単にギルドを壊滅させられるだろう」
「あっさり断言するのね。そのギルドって何?」
「そのギルドは『BRAVED』だ。知っているか?」
「全く知らないわね。皆は知っているかしら?」
杏奈さんが皆に聞くが、全員首を横に振る。
「だろうな。イギリスにある20人程度の小さなギルドだからな」
「たった20人?」
「ああ。先日の襲撃で部下を全滅させたから今は7人か」
「そんな少人数でどうやって……?」
二つのギルドを同時に破壊するとなると半分に分けなければならない。
ということは、少なくとも二人はギルドマスターを瞬殺出来る実力者である必要がある。
だがキルケーさんと氷浦さんは10大ギルドのギルドマスターを簡単に倒せるレベルで強いはずだから200どころじゃなくて250とか300レベル相当の実力が必要だ。
そんな化け物が二人も在籍しているギルド……?そんなものがあるのか?
「普通に実力だろう。この『BRAVED』というギルドには【勇者】と【魔王】という最強の職業スキルを持った異世界人がそれぞれ在籍しているからな」
0
お気に入りに追加
214
あなたにおすすめの小説
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
無能テイマーと追放されたが、無生物をテイムしたら擬人化した世界最強のヒロインたちに愛されてるので幸せです
青空あかな
ファンタジー
テイマーのアイトは、ある日突然パーティーを追放されてしまう。
その理由は、スライム一匹テイムできないから。
しかしリーダーたちはアイトをボコボコにした後、雇った本当の理由を告げた。
それは、単なるストレス解消のため。
置き去りにされたアイトは襲いくるモンスターを倒そうと、拾った石に渾身の魔力を込めた。
そのとき、アイトの真の力が明らかとなる。
アイトのテイム対象は、【無生物】だった。
さらに、アイトがテイムした物は女の子になることも判明する。
小石は石でできた美少女。
Sランクダンジョンはヤンデレ黒髪美少女。
伝説の聖剣はクーデレ銀髪長身美人。
アイトの周りには最強の美女たちが集まり、愛され幸せ生活が始まってしまう。
やがてアイトは、ギルドの危機を救ったり、捕らわれの冒険者たちを助けたりと、救世主や英雄と呼ばれるまでになる。
これは無能テイマーだったアイトが真の力に目覚め、最強の冒険者へと成り上がる物語である。
※HOTランキング6位
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
アイテム•神の本に転生しました!?〜アイテムだけど無双します!〜
ねこねこォ
ファンタジー
中学2年生の柏田紫苑─私は死んだらしい。
というのもなんか気づいたら知らない部屋にいたから、うん!
それでなんか神様っぽい人にあったんだけど、怒らせちゃった!
テヘペロ。
でなんかビンタされて視界暗転、気づいたら転生してました!
よくよく考えるとビンタの威力半端ないけど、そんな事は気にしないでとりあえず自分確認!
それで機械音に促されるままステータスを開いてみると─え、種族•アイテム?!
いやないだろ。
自分で起き上がれないし喋れねえじゃねえか。
とりあえず人化、今いる迷宮を脱出して仲間を探しにでかけますよ!
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる