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75話

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「まあ、10大ギルドを俺たちだけで倒せるかもしれないって希望が出来たんだから喜ぼうぜ」

「そうね。飛鳥の急成長が無ければ少し怪しかったものね」

 健太と杏奈さんの言う通り、【スキル修練・改】が無ければ10大ギルドをたった5人で倒せるかどうか怪しかった。

 一応効率が上がったお陰で期限までに全員レベル140まで到達して、ギルドマスターをそれぞれタイマンで倒せる位にはなりそうだったのだが、他のギルドメンバーも同時に相手するとなると難しいだろうというのが皆の見解だった。

 しかし、このペースでいけば俺が期限までに最低でもレベル200相当の強さを得られる。

 流石にそのレベルになるとギルドマスターを瞬殺できるはずなので、他のメンバーがどれだけいようと問題なく戦う事が出来る。



「それはそうと次のダンジョンはどうしようかしら。近くにSSランクのダンジョンは無いから遠距離移動は確定なのだけれど」

「この地域周辺のSSランクのダンジョンは大体行っちゃったもんね……」

「そろそろSSSランクダンジョンに行ってみる?」

「……そうね。イザベルさんと飛鳥はSSランクだろうが何だろうが効率に変化はないけれど、私たちはSSランクじゃあレベルアップ効率が悪くなってきたから」

 俺とイザベルさんは経験値を得て強くなるわけではなく、何かしらの条件を満たすことで獲得できるスキルによって強くなれるため、相手の強さによって効率が上がるわけでは無い。

 だからある意味では一撃で倒せるレベルの簡単なダンジョンを狙うのが一番効率的に見える。

 しかし、そういったダンジョンは階層が少ない分モンスターの数も種類も限られてしまうので結果的に難しいダンジョンの方が効率的だったりする。

「じゃあ決定で。丁度近くにあるしね」

 だからレベルだろうがスキルだろうが難しいダンジョンで実戦経験を積むことが一番強くなる近道である。



 というわけでSSSランクダンジョンへ健太の車で移動していた。

「いや、本当に健太が運転できる側の人間で本当に良かった」

 健太の車ということで健太に運転してもらっているのだが、非常に乗り心地が良い。

 良い車ということもあるのだが、何よりも運転技術が高い。

「このくらい大したことないぞ。アクセル踏んでハンドル動かすだけなんだから。ほぼゲームだゲーム」

「健太が簡単だっていうゲームを簡単にこなせない人も居るんだよ……」

「何故私を見るのよ。私はちゃんと運転できるわ。そもそも運転できないのは免許を持っていない飛鳥でしょう」

「それでもああはならないと思う」

 たとえ俺がどれだけ運転の才能が無かったとしても杏奈さん程荒い運転にはならないと断言できる。あれは人間業じゃない。

「杏奈さんってそんな運転ヤバいんだ」

「うん。【超車酔い耐性】っていうスキルが手に入るくらい酷い」

「超って。そんなスキルあるんだ」

「うん。取得可能になった時は本当にビビったよ。【車酔い耐性】ってスキルも存在するのに」

「それは凄いね……」

「でもそれより凄いのは、それらのスキルを上級まで獲得して、船酔いとかのありとあらゆる酔いに対する耐性スキルを獲得している上で車酔いさせられる杏奈さんの運転だよ」

「おぞましいなそれ……」

「別に私は変な運転はしていないわ。単に飛鳥が誇張しているだけよ」

「少し静かにしてくれ」

 なんて杏奈さんの運転技術事情について話をしていると、イザベルさんが突然そう言った。

『ただいまニュースが入りました。ギルド【魔術師の楽園】、【ガーディアン】の本部が外部からの襲撃を受けて壊滅的被害を受けた模様です。襲撃者は外国の探索者集団だとみて調査を続けています』

「はあ!!??」

「何が起こっているの!?」

 まず声をあげたのはそれぞれのギルドに所属している健太と弥生。

「壊滅的被害って……二人が来る前はそんなに厳しい状況だったの?」

「いやいやいや、全然そんなことないよ!」

「俺のところも全然だった。軽い怪我をしている人が何人か居たくらいだ」

 二人が来る前から実はギルドが危なかったのではと考えた杏奈さんは二人に質問したが、反応を見るに防衛はかなり余裕な状況だったらしい。

「となると例のギルドが動いたか」

「「「「例のギルド?」」」」

「ああ。アンナとアスカは最初に襲撃してきた異世界人を覚えているな?」

「うん」「そうね」

 ダンジョンが失われるかもしれないとか言って部下と共に襲撃してきて、部下が全滅したら即座に去っていった男のことだろう。

「あの男が所属しているギルドが本格的に動いたようだ」

「それがどのギルドかは分からないけれど、10大ギルドではないわよね?そんなギルドがあの二つを壊滅させられるかしら?」

「確かに10大ギルドではないな。だが、簡単にギルドを壊滅させられるだろう」

「あっさり断言するのね。そのギルドって何?」

「そのギルドは『BRAVED』だ。知っているか?」

「全く知らないわね。皆は知っているかしら?」

 杏奈さんが皆に聞くが、全員首を横に振る。

「だろうな。イギリスにある20人程度の小さなギルドだからな」

「たった20人?」

「ああ。先日の襲撃で部下を全滅させたから今は7人か」

「そんな少人数でどうやって……?」

 二つのギルドを同時に破壊するとなると半分に分けなければならない。

 ということは、少なくとも二人はギルドマスターを瞬殺出来る実力者である必要がある。

 だがキルケーさんと氷浦さんは10大ギルドのギルドマスターを簡単に倒せるレベルで強いはずだから200どころじゃなくて250とか300レベル相当の実力が必要だ。

 そんな化け物が二人も在籍しているギルド……?そんなものがあるのか?

「普通に実力だろう。この『BRAVED』というギルドには【勇者】と【魔王】という最強の職業スキルを持った異世界人がそれぞれ在籍しているからな」
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