~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A

文字の大きさ
上 下
65 / 87

65話

しおりを挟む
「異世界人が異世界人を排除……?」

「はい。彼らは自分たちの既得権益を守るため、ありもしない理由を付けて国に許可を取り、異世界人を排除するために動いているのです」

「酷いですね……」

 既得権益を守るために同郷の人間を排除しているのか。それが本当であればとことん腐っているな。

「だから私はこの宗教を通じて身勝手な理由で処分されそうになっている異世界人を保護しているのです」

「の割には異世界人を敵対視していませんでしたか?」

 がっつり世間に公表した上で襲撃していたじゃないか。あれで保護というのはおかしな話である。

「あれは異世界人を欺くためのカモフラージュです。あそこまで異世界人を排除する姿勢を示していたら我々地神教が異世界人を保護しているとはバレませんから。カナリアさん、帽子を取ってみてください」

「分かりました」

 教祖の指示を受け、秘書のカナリアさんは帽子を取る。するとそこには立派な猫耳が生えていた。

「本当だったんですね。でもそれなら事前に伝えておいてくれても良かったのでは?」

 確かに杏奈さんの言う通り、あんな不意打ちのような形をとる必要は無かったように思える。

「あれは確認の為ですね。一つは我々が救うに足る相手であるかどうか。いくら狙われているとは言っても悪党を救うのは皆が納得しませんからね。そしてもう一つは実力を確かめるためです。我々が保護しなくても自身で身を守れるのであれば保護をする必要は無いですし、むしろ協力を依頼したいですしね」

「襲撃の結果、私たちは自身で身を守れると判断されたわけですね」

「そういうことです。というわけで協力をお願いしたいのです」

「分かりました。では、一つ質問をさせてください。地神教は異世界人に対してはどういうスタンスなのですか?」

「地球の方と同じ、ダンジョンの被害者であり将来的には共生していくべきだと考えております」

「分かりました、全て本心のようですね。出来る範囲で協力しましょう」

 杏奈さんは教祖の言葉を受け入れたようで、協力する姿勢を見せていた。杏奈さんの独断だったが、俺とイザベルさんも特に否定する要素は無いように思えたので特に何も言わなかった。


 ……ん?

「ちょっと待ってください。もしかして、教祖さんも……?」

 冷静に振り返ってみると、言葉の節々に違和感があった。まるで教祖も……

「そうですよ。私もお二人と同じように異世界出身の人間です。だから相田彰彦という名前は偽名です。本当の名前はレグルス・アインハルトです」

 本当に教祖も異世界人だった。

「であれば異世界人を保護しているという主張にも納得ですね」

 教祖自身が異世界人で、秘書にも異世界人を採用しているのであれば味方だと考えても差し支えないだろう。

「ちなみにその事実は地神教のどのくらいがご存じなんですか?」

「私が異世界人であることを知っているのは幹部以上の上層部限定ですが、異世界人を侵略者ではなく被害者として認め、保護をしていることを知っているのは入信して1年以上経った教徒のほぼ全員です」

「あれは全て演技だったわけですね……」

 本気で異世界人を憎んでいるようにしか見えなかったので、流石の演技力である。

「で、実際には何をすれば良いのですか?」

「一月後、恐らく異世界人が率いるギルドが本格的にあなたたちの事を潰しにくると思いますのでダンジョンに潜りまくってひたすらに強くなってください」

「分かりました」

「また異世界人の二人はスキルを獲得しても強くなることが可能ですので、これらのスキルを順番に獲得していくとより効率的に強くなることが可能だと思われます」

 教祖はそう言ってスキルの取得順番について事細かに書かれた冊子を渡してきた。

「もしかしてこれ全てを一月以内にですか……?」

 スキルで強くなる異世界人が集まって作ったであろうことは分かるのだが、取得をお勧めする戦闘系スキルがあまりにも多すぎる。

 パラっと開いた2,3ページだけで100個以上のスキルが乗っていたのだ。

「いえ。そんなことはありません。流石に全てを一月で取得するのは不可能です。そもそもこれら全てを獲得できた者は一人も居ませんから。あくまで全てを取得すればだれにも手が付けられない最強の探索者になれるというだけです」

「ですよね……」

 どんなスキルでも時間で測るものであれば10時間以上で、回数で測るものは100回以上だものね。

 100個取るためには最長だと1000時間かかるし。

 一応すべてのスキルを取得できる俺はスキル特訓系のスキルで短縮できるから100個なら別に難しくはないけれど、この冊子に乗っているのは100どころか1000すら軽く超えてそうだから100%無理です。

 もしこれ全て取ってこいって言われたら協力関係が破綻するところだったよ。

「ということで、もし何かあれば秘書のカナリアさんに連絡してください。全力で対応いたしますので」

「分かりました。ありがとうございます」

「ではお宅までお送りいたしますので、皆さんソファの後ろに立っていただけますか?」

「?分かりました」

 何が目的なのか分からないが、俺たちは言われるがままにソファの後ろに立った。

「では、そこから動かないでくださいね」

 と教祖が言うと、地面が光りだした。

「これは転移魔法か。ということはお前の職業スキルは……」

「はい。【征服者】です」

「征服者!?!?!?」

「誰にも言わないでくださいね」

「いや、ちょっと待って!!!!」

 唐突に打ち明けられた職業スキル、【征服者】であることに問いただしたい事が出てきたのだが、転移魔法が停止することはなく家に送り返された。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~

ファンタジー
 高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。 見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。 確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!? ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・ 気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。 誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!? 女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話 保険でR15 タイトル変更の可能性あり

『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!

IXA
ファンタジー
30年ほど前、地球に突如として現れたダンジョン。  無限に湧く資源、そしてレベルアップの圧倒的な恩恵に目をつけた人類は、日々ダンジョンの研究へ傾倒していた。  一方特にそれは関係なく、生きる金に困った私、結城フォリアはバイトをするため、最低限の体力を手に入れようとダンジョンへ乗り込んだ。  甘い考えで潜ったダンジョン、しかし笑顔で寄ってきた者達による裏切り、体のいい使い捨てが私を待っていた。  しかし深い絶望の果てに、私は最強のユニークスキルである《スキル累乗》を獲得する--  これは金も境遇も、何もかもが最底辺だった少女が泥臭く苦しみながらダンジョンを探索し、知恵とスキルを駆使し、地べたを這いずり回って頂点へと登り、世界の真実を紐解く話  複数箇所での保存のため、カクヨム様とハーメルン様でも投稿しています

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。 地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。 俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。 だけど悔しくはない。 何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。 そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。 ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。 アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。 フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。 ※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

魔力即時回復スキルでダンジョン攻略無双 〜規格外のスキルで爆速レベルアップ→超一流探索者も引くほど最強に〜

Josse.T
ファンタジー
悲運な貯金の溶かし方をした主人公・古谷浩二が100万円を溶かした代わりに手に入れたのは、ダンジョン内で魔力が無制限に即時回復するスキルだった。 せっかくなので、浩二はそれまで敬遠していたダンジョン探索で一攫千金を狙うことに。 その過程で浩二は、規格外のスキルで、世界トップレベルと言われていた探索者たちの度肝を抜くほど強くなっていく。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

処理中です...