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25話
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「はい。杏奈さんと潜っています」
「しかも、そのダンジョンは全てBランクダンジョンですね?」
「はい、間違いないです」
「しかし、あなたのレベルは学校に来なくなるまで1のままだったという話を聞いております。ということは、ほぼ確実にBランクダンジョンに挑めるようなレベルにはないはずです」
なるほど、元学年最弱だった男がギルドの構成員としてBランクダンジョンに挑めるレベルに無いだろと言いたいわけか。
「かもしれませんね」
まあ当然の話である。レベル1から40まで上げるには最低でも3年は必要とされているわけだし。
いくら革新的で超効率的なレベリングをしてもBランクには到底届かないと考えるのは当然の話だ。
「だから、今君は卯月杏奈さんの補佐役として、荷物持ちを担当しているという解釈で間違いないかな?」
となるとそういう結論になるのも仕方がない話である。
「いえ、違います。僕も戦闘要員としてダンジョンに潜って戦っています」
別にどう思われようが構わないので話さなくて良いのかもしれないけど、馬鹿にしてくる千堂の事を考えると言いたくなってしまった。
「はあ……」
というわけでそう俺が言うと、教頭は頭を抱えて大きなため息をついていた。
「なあ如月。授業で教えていなかった俺も悪いかもしれないが、まさかそんなことに手を出すとは思わなかったぞ」
「お前はもう終わりだな」
そして杉田先生と千堂もまるで俺が大罪を犯してしまったかのような感じで話してきた。
「え?俺悪いことしました?」
別にBランクダンジョンに潜って戦っただけだよね。
「その反応を見るに如月君は何も知らないようだね。格上のダンジョンに潜る際、誰か適正ランクの人が居れば良いという法律があるのは授業で教えているから知っているね?」
「はい」
「それとは別の法律があって、格上のダンジョンに潜ってモンスターを狩る場合、その前に自分の格に見合ったダンジョンで二回狩りを行っていないといけないというものがあるんだ」
「なんですかそれ……?」
初めて知った。
「レベルの割に実力が足りない探索者を生まないためという目的もあるけど、一番はテロリストが構成員のレベルを一気に上げて戦力を増強する行為を封じるためだね」
確かに探索者としての実力はなくてもレベルが高ければ一般人にとっては脅威だよね。
「君は、その法律を破ってしまったというわけだ。何も事情を知らなかったこと、そして高校生ということを考えれば大きな罪になることは無いだろうけど、探索者の資格は当然剥奪になるし、この高校も退学になる」
「え……?」
探索者の資格を剥奪……?
「だから、お前は終わりってわけだよ。わかったか?」
それを聞いて嬉しそうに笑う千堂。
「あ、えーと、その……」
「私としては非常に心苦しいんだけどね……」
「いや、ちょっと……」
「私のクラスにそんな人間が現れるとは思わなかった。前々からレベルが上がらないことに焦りを覚えていることは聞いていたが、まさかそんなことに手を出すとは……」
「その、話を聞いてくれませんか……?」
滅茶苦茶勘違いされているっぽいけど、別に自分の格に見合っていないダンジョンに潜っているわけではないんですよね……
「おっと、そうだね。一方的に結論を告げるだけではいけませんね。で、どうしてそんな行為をするに至ったのでしょうか?」
「まず前提として、僕は格下のダンジョンに潜っているというわけではありません。杏奈さんの判断により、Bランクダンジョンに挑むに足る実力があると判断されているから潜っているんです」
杏奈さんの冗談を真に受けてAランクダンジョンに潜ってしまっていたら法律的に怪しかったけれど、今の身体能力でBランクダンジョンに潜れないという話は無いだろう。
少なくとも攻撃力はAランク級だしね。
「おい如月、流石に冗談を言うにも程があるぞ。つくならもう少しマシな嘘をつけ」
と若干怒った口調で言ってきたのは杉田先生。
「信じがたいのは分かりますが、事実です」
「ははっ、言うじゃねえか。Bランクダンジョン相応のレベルってことはレベル40相当ってことだぞ?」
「うん、そういうことで間違いないよ」
「なるほど、そう来ましたか。確かに実力が証明できるのであれば剥奪は無いですね。でも測定方法はどうしましょうか……」
「俺にやらせてもらっても良いですか?レベル40以上ならどれだけ俺が全力で攻撃してもノーダメージだと思うので、それが証明になると思います」
強さを測る方法を教頭が決めかねていると、千堂が意気揚々とそんな提案をしてきた。
恐らく、千堂は計測にかこつけて俺を合法的にサンドバッグに出来る機会だと思っているのだろう。
「確かにそうですが、一方的に如月君を殴らせるというのは……」
「大丈夫ですよ。如月はレベル40以上のようですし、千堂の攻撃で苦しむことはありませんよ。な、如月?」
倫理的にどうかと考える教頭に杉田先生が問題ないと進言していた。
「そうですね。千堂のレベルが30を超えていないのなら特に問題はありません」
実は防御力に関してはレベル40に少し届いていない程度なのだが、千堂のレベルは高くても20は無いので大した影響は無いだろう。
「本人が言うのであれば問題ないですね。では、早速強さを測りに向かいましょうか」
「しかも、そのダンジョンは全てBランクダンジョンですね?」
「はい、間違いないです」
「しかし、あなたのレベルは学校に来なくなるまで1のままだったという話を聞いております。ということは、ほぼ確実にBランクダンジョンに挑めるようなレベルにはないはずです」
なるほど、元学年最弱だった男がギルドの構成員としてBランクダンジョンに挑めるレベルに無いだろと言いたいわけか。
「かもしれませんね」
まあ当然の話である。レベル1から40まで上げるには最低でも3年は必要とされているわけだし。
いくら革新的で超効率的なレベリングをしてもBランクには到底届かないと考えるのは当然の話だ。
「だから、今君は卯月杏奈さんの補佐役として、荷物持ちを担当しているという解釈で間違いないかな?」
となるとそういう結論になるのも仕方がない話である。
「いえ、違います。僕も戦闘要員としてダンジョンに潜って戦っています」
別にどう思われようが構わないので話さなくて良いのかもしれないけど、馬鹿にしてくる千堂の事を考えると言いたくなってしまった。
「はあ……」
というわけでそう俺が言うと、教頭は頭を抱えて大きなため息をついていた。
「なあ如月。授業で教えていなかった俺も悪いかもしれないが、まさかそんなことに手を出すとは思わなかったぞ」
「お前はもう終わりだな」
そして杉田先生と千堂もまるで俺が大罪を犯してしまったかのような感じで話してきた。
「え?俺悪いことしました?」
別にBランクダンジョンに潜って戦っただけだよね。
「その反応を見るに如月君は何も知らないようだね。格上のダンジョンに潜る際、誰か適正ランクの人が居れば良いという法律があるのは授業で教えているから知っているね?」
「はい」
「それとは別の法律があって、格上のダンジョンに潜ってモンスターを狩る場合、その前に自分の格に見合ったダンジョンで二回狩りを行っていないといけないというものがあるんだ」
「なんですかそれ……?」
初めて知った。
「レベルの割に実力が足りない探索者を生まないためという目的もあるけど、一番はテロリストが構成員のレベルを一気に上げて戦力を増強する行為を封じるためだね」
確かに探索者としての実力はなくてもレベルが高ければ一般人にとっては脅威だよね。
「君は、その法律を破ってしまったというわけだ。何も事情を知らなかったこと、そして高校生ということを考えれば大きな罪になることは無いだろうけど、探索者の資格は当然剥奪になるし、この高校も退学になる」
「え……?」
探索者の資格を剥奪……?
「だから、お前は終わりってわけだよ。わかったか?」
それを聞いて嬉しそうに笑う千堂。
「あ、えーと、その……」
「私としては非常に心苦しいんだけどね……」
「いや、ちょっと……」
「私のクラスにそんな人間が現れるとは思わなかった。前々からレベルが上がらないことに焦りを覚えていることは聞いていたが、まさかそんなことに手を出すとは……」
「その、話を聞いてくれませんか……?」
滅茶苦茶勘違いされているっぽいけど、別に自分の格に見合っていないダンジョンに潜っているわけではないんですよね……
「おっと、そうだね。一方的に結論を告げるだけではいけませんね。で、どうしてそんな行為をするに至ったのでしょうか?」
「まず前提として、僕は格下のダンジョンに潜っているというわけではありません。杏奈さんの判断により、Bランクダンジョンに挑むに足る実力があると判断されているから潜っているんです」
杏奈さんの冗談を真に受けてAランクダンジョンに潜ってしまっていたら法律的に怪しかったけれど、今の身体能力でBランクダンジョンに潜れないという話は無いだろう。
少なくとも攻撃力はAランク級だしね。
「おい如月、流石に冗談を言うにも程があるぞ。つくならもう少しマシな嘘をつけ」
と若干怒った口調で言ってきたのは杉田先生。
「信じがたいのは分かりますが、事実です」
「ははっ、言うじゃねえか。Bランクダンジョン相応のレベルってことはレベル40相当ってことだぞ?」
「うん、そういうことで間違いないよ」
「なるほど、そう来ましたか。確かに実力が証明できるのであれば剥奪は無いですね。でも測定方法はどうしましょうか……」
「俺にやらせてもらっても良いですか?レベル40以上ならどれだけ俺が全力で攻撃してもノーダメージだと思うので、それが証明になると思います」
強さを測る方法を教頭が決めかねていると、千堂が意気揚々とそんな提案をしてきた。
恐らく、千堂は計測にかこつけて俺を合法的にサンドバッグに出来る機会だと思っているのだろう。
「確かにそうですが、一方的に如月君を殴らせるというのは……」
「大丈夫ですよ。如月はレベル40以上のようですし、千堂の攻撃で苦しむことはありませんよ。な、如月?」
倫理的にどうかと考える教頭に杉田先生が問題ないと進言していた。
「そうですね。千堂のレベルが30を超えていないのなら特に問題はありません」
実は防御力に関してはレベル40に少し届いていない程度なのだが、千堂のレベルは高くても20は無いので大した影響は無いだろう。
「本人が言うのであれば問題ないですね。では、早速強さを測りに向かいましょうか」
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