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24話
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「え?」
だけど全く言っている意味が分からない。何か不正とかをやった記憶は一切ないんだけど。
まさか、杏奈さんが裏で変なことをやっていたとか?姉のギルドを使ってでも姉を超えるって方針だったから普通にありそう。
そこを指摘されたら何も言えないな……
「すっとぼけても無駄だぞ。証拠はきっちりあるんだから」
これ本当に杏奈さんが変な事やっていたパターンだ。
正直俺は全く悪くない気がするけど、たった二人のギルドだから言い逃れ出来なさそうだなあ……
ってことは退学?
「っと、表情に出てるぞ。ついに自分が置かれた状況を理解できたようだな。」
確かに不味いよなあ……
でも最悪高卒認定試験をあとで取れればいいか。成績的には余裕だろうし。なんなら勉強関連のスキルもダンジョン探索に使えるかもしれないしね。
「なんだその顔?気持ち悪いな」
とスキルの事を考えていたら思わず表情に出ていたらしい。ちゃんと抑えないと。
表情を必死に抑えたタイミングで扉が開き、教頭と杉田先生が入ってきた。
「「こんにちは」」
俺たちは立ち上がり、教頭に向かって挨拶をした。
「はい、こんにちは」
そして先生たちは千堂の側に座り、3対1の構図となった。
「さて、早速如月君に聞きたいのですが、高校に来なくなってからの間、何をしていましたか?」
と聞いてくる教頭の表情は重苦しく、軽い雑談という感じではなさそうだった。
「高校に来なくなってからですか。先日デパートで起きたダンジョン発生時に知り合った探索者の方が運営しているギルドに入れてもらうことになって、強くなるためにトレーニングをしたりダンジョンに潜ったりしていましたね」
最初から杏奈さんの名前を出すと嘘だと思われる可能性が高いので、かなりぼかして説明した。
「ギルド、ですか。それは一体どんな名前のギルドなんですか?」
「知らないとは思うのですが、『Oct』という名前のギルドです」
「知らない名前ですね。ということは大手でも、このあたりのギルドでも無さそうですね」
と結論付ける教頭。どうやらこの地域のギルドの全てを把握しているという噂は本当だったらしい。
「いえ、かなり近場のギルドですよ。ご存じないのは最近できたばかりのギルドだからですね」
だけど流石に構成員が二人しかいない新生ギルドまでしっているということは無かったようだ。
「最近できた。なるほど、構成員は何人ほどで、ギルドマスターのお名前とランクを伺ってもよろしいですか?」
杏奈さんの名前を聞かれなければ良いなと思っていたけど、流石に聞かれるよね。
「ギルドマスターは卯月杏奈さん、ランクは恐らくB?で、構成員は僕を含めて二人だと聞かされています」
杏奈さんのランクは出会ったときはレベル的にCだった筈だけど、この間Bランクダンジョンに潜ったときはBランクに昇格している筈。
というか昇格していなければBランクダンジョンに入れないし。
ダンジョンがこの世に現れてから3年後くらいに、自分の実力に不相応なダンジョンに潜って死ぬことを防止するため、共にダンジョンに潜入する人の中に最低一人は適正ランクの探索者が居なければならないというルールになっている。
他にも細かいルールがあるのだが、二人で潜る場合は考える必要が無いのでスルーで問題ない。
「ぶふっ、二人って。本気で言ってんのか?しかもギルドマスターが卯月杏奈って。『師走の先』のギルドマスターの妹さんじゃねえか」
俺は正直に述べたのだが、千堂は俺が適当に言った嘘だと思ったらしく馬鹿にした表情で笑っていた。
「笑うな千堂。確かに嘘くさいが、まだ嘘とは確定していないんだから」
と千堂の頭を軽くたたいて諫めた杉田先生だが、この人も千堂と同意見らしく笑いをこらえているようだった。
「信じられないかもしれませんが、これは全て本当の話です」
正直ギルドメンバーが二人だけというのは信じたくない話だけど、ここまで出てこないとなると本当にいないんだと思う。
「そうですか。私としては生徒の事を信じたいので、それが事実であって欲しいと願っています。ただ、二つ疑問点があります」
「疑問点ですか?」
「卯月杏奈さんはあなた方の世代で一番強い探索者で、レベルも非常に高いことは世間でも有名な話です」
「らしいですね」
俺は全く聞いたことが無かったので知らないけど、割と有名人だったらしい。
だから声を掛けられそうなものだけど、全く声を掛けられた記憶が無いんだよな。
「ただし、それはあくまで皆さんの世代の中での話。ランクはCだった筈です。それはあなたが卯月杏奈さんと出会ったダンジョン発生の時にゴブリンジェネラルに苦戦していたという話からも確定的です。だから今Bランクなのはなぜでしょうか。これが一つ目の質問です」
「そして二つ目の質問、これは単純です。杏奈さんは『師走の先』所属の探索者なのではないですか?」
と教頭がした質問は特に変わったことの無い普通の質問だった。
確かに杏奈さんの事を少しでも知っていたらその質問は出てくるよな。
「杏奈さんのレベルに関しては杏奈さんが一人で頑張ったらしいです。正直僕もこんな短期間でレベルを上げられた理由は全く分かりません。そして、『師走の先』はギルド設立時に辞めたらしいです。理由は杏奈さんのプライバシーに関わるので詳しくは言えませんが、とある目標の為らしいです」
全て真実なのだけれど、本人から聞いた俺ですら信じがたい話なので信じてもらえるかは少々怪しい。
「なあ如月、流石にその嘘は無理がねえか?」
案の定、千堂は嘘だと判断してきた。気持ちはよくわかる。同じ立場だったら同じように嘘だと判断するだろうし。
まあ千堂に関しては最初から全て嘘だと決めてかかっているのだろうけれど。
「でも、それが真実だから」
だけど、これ以上に話せることは無いので、教頭がどう判断するのかを待つだけだ。
「そうですね。信じることにしましょう」
「教頭先生!?」
まさか教頭が信じるとは思っていなかったらしく、杉田先生は驚いた表情で立ち上がり教頭の方を向いた。
「確かに嘘だと思われるかもしれません。しかし、彼が嘘をつくとしたらもう少し信じやすい話をするでしょう。座学の成績はもともと高い子なんですから。それに、今回の本題はそこではないでしょう?」
「それもそうですね」
と教頭は諭し、杉田先生はおとなしく席に座った。どうにか信じてもらえたらしい。
けどそんなことはどうでもいい。本題はこれじゃなかったのか……?
「あなたは最近二人でダンジョンに潜っているという話を伺っています。これは間違いないですか?」
だけど全く言っている意味が分からない。何か不正とかをやった記憶は一切ないんだけど。
まさか、杏奈さんが裏で変なことをやっていたとか?姉のギルドを使ってでも姉を超えるって方針だったから普通にありそう。
そこを指摘されたら何も言えないな……
「すっとぼけても無駄だぞ。証拠はきっちりあるんだから」
これ本当に杏奈さんが変な事やっていたパターンだ。
正直俺は全く悪くない気がするけど、たった二人のギルドだから言い逃れ出来なさそうだなあ……
ってことは退学?
「っと、表情に出てるぞ。ついに自分が置かれた状況を理解できたようだな。」
確かに不味いよなあ……
でも最悪高卒認定試験をあとで取れればいいか。成績的には余裕だろうし。なんなら勉強関連のスキルもダンジョン探索に使えるかもしれないしね。
「なんだその顔?気持ち悪いな」
とスキルの事を考えていたら思わず表情に出ていたらしい。ちゃんと抑えないと。
表情を必死に抑えたタイミングで扉が開き、教頭と杉田先生が入ってきた。
「「こんにちは」」
俺たちは立ち上がり、教頭に向かって挨拶をした。
「はい、こんにちは」
そして先生たちは千堂の側に座り、3対1の構図となった。
「さて、早速如月君に聞きたいのですが、高校に来なくなってからの間、何をしていましたか?」
と聞いてくる教頭の表情は重苦しく、軽い雑談という感じではなさそうだった。
「高校に来なくなってからですか。先日デパートで起きたダンジョン発生時に知り合った探索者の方が運営しているギルドに入れてもらうことになって、強くなるためにトレーニングをしたりダンジョンに潜ったりしていましたね」
最初から杏奈さんの名前を出すと嘘だと思われる可能性が高いので、かなりぼかして説明した。
「ギルド、ですか。それは一体どんな名前のギルドなんですか?」
「知らないとは思うのですが、『Oct』という名前のギルドです」
「知らない名前ですね。ということは大手でも、このあたりのギルドでも無さそうですね」
と結論付ける教頭。どうやらこの地域のギルドの全てを把握しているという噂は本当だったらしい。
「いえ、かなり近場のギルドですよ。ご存じないのは最近できたばかりのギルドだからですね」
だけど流石に構成員が二人しかいない新生ギルドまでしっているということは無かったようだ。
「最近できた。なるほど、構成員は何人ほどで、ギルドマスターのお名前とランクを伺ってもよろしいですか?」
杏奈さんの名前を聞かれなければ良いなと思っていたけど、流石に聞かれるよね。
「ギルドマスターは卯月杏奈さん、ランクは恐らくB?で、構成員は僕を含めて二人だと聞かされています」
杏奈さんのランクは出会ったときはレベル的にCだった筈だけど、この間Bランクダンジョンに潜ったときはBランクに昇格している筈。
というか昇格していなければBランクダンジョンに入れないし。
ダンジョンがこの世に現れてから3年後くらいに、自分の実力に不相応なダンジョンに潜って死ぬことを防止するため、共にダンジョンに潜入する人の中に最低一人は適正ランクの探索者が居なければならないというルールになっている。
他にも細かいルールがあるのだが、二人で潜る場合は考える必要が無いのでスルーで問題ない。
「ぶふっ、二人って。本気で言ってんのか?しかもギルドマスターが卯月杏奈って。『師走の先』のギルドマスターの妹さんじゃねえか」
俺は正直に述べたのだが、千堂は俺が適当に言った嘘だと思ったらしく馬鹿にした表情で笑っていた。
「笑うな千堂。確かに嘘くさいが、まだ嘘とは確定していないんだから」
と千堂の頭を軽くたたいて諫めた杉田先生だが、この人も千堂と同意見らしく笑いをこらえているようだった。
「信じられないかもしれませんが、これは全て本当の話です」
正直ギルドメンバーが二人だけというのは信じたくない話だけど、ここまで出てこないとなると本当にいないんだと思う。
「そうですか。私としては生徒の事を信じたいので、それが事実であって欲しいと願っています。ただ、二つ疑問点があります」
「疑問点ですか?」
「卯月杏奈さんはあなた方の世代で一番強い探索者で、レベルも非常に高いことは世間でも有名な話です」
「らしいですね」
俺は全く聞いたことが無かったので知らないけど、割と有名人だったらしい。
だから声を掛けられそうなものだけど、全く声を掛けられた記憶が無いんだよな。
「ただし、それはあくまで皆さんの世代の中での話。ランクはCだった筈です。それはあなたが卯月杏奈さんと出会ったダンジョン発生の時にゴブリンジェネラルに苦戦していたという話からも確定的です。だから今Bランクなのはなぜでしょうか。これが一つ目の質問です」
「そして二つ目の質問、これは単純です。杏奈さんは『師走の先』所属の探索者なのではないですか?」
と教頭がした質問は特に変わったことの無い普通の質問だった。
確かに杏奈さんの事を少しでも知っていたらその質問は出てくるよな。
「杏奈さんのレベルに関しては杏奈さんが一人で頑張ったらしいです。正直僕もこんな短期間でレベルを上げられた理由は全く分かりません。そして、『師走の先』はギルド設立時に辞めたらしいです。理由は杏奈さんのプライバシーに関わるので詳しくは言えませんが、とある目標の為らしいです」
全て真実なのだけれど、本人から聞いた俺ですら信じがたい話なので信じてもらえるかは少々怪しい。
「なあ如月、流石にその嘘は無理がねえか?」
案の定、千堂は嘘だと判断してきた。気持ちはよくわかる。同じ立場だったら同じように嘘だと判断するだろうし。
まあ千堂に関しては最初から全て嘘だと決めてかかっているのだろうけれど。
「でも、それが真実だから」
だけど、これ以上に話せることは無いので、教頭がどう判断するのかを待つだけだ。
「そうですね。信じることにしましょう」
「教頭先生!?」
まさか教頭が信じるとは思っていなかったらしく、杉田先生は驚いた表情で立ち上がり教頭の方を向いた。
「確かに嘘だと思われるかもしれません。しかし、彼が嘘をつくとしたらもう少し信じやすい話をするでしょう。座学の成績はもともと高い子なんですから。それに、今回の本題はそこではないでしょう?」
「それもそうですね」
と教頭は諭し、杉田先生はおとなしく席に座った。どうにか信じてもらえたらしい。
けどそんなことはどうでもいい。本題はこれじゃなかったのか……?
「あなたは最近二人でダンジョンに潜っているという話を伺っています。これは間違いないですか?」
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