~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A

文字の大きさ
上 下
15 / 87

15話

しおりを挟む
「『Oct』ですか?」

 聞いた事が無いギルドだな。まあ世界中にギルドはいくらでもあるし知らないだけだろう。

「ええ。今の所メンバーは非常に少ない上、目立った成果を出していないからまだ知名度は低いけど、全員が同年代の中でも抜けて優秀だと断言できるわ」

「そんな所に付いていけるんですか?」

 可能性はあるかもしれないけれど、今の所俺はただの雑魚なんですが……

「勿論。私が認めた人材なのだから胸を張りなさい。それに、このギルドは新人の育成に注力していて、一人前になるまでギルドマスターが直々に教育を施すことになっているから」

「凄いですね……」

 いくら少人数だからってギルドマスターがそこまでやってくれるんだ。

「加えて、希望者には住宅手当もあるし、病気やケガをした際はギルド側が全額負担するわ。そして給料は最低でも手取りで月75万よ」

「破格すぎませんか……?」

 こんな好待遇聞いたこと無いんですけど。実質年収1000万オーバーな上に福利厚生も完備って。

「あなたレベルの人材を求めるギルドだからこの程度は当然よ」

 当然じゃないんですが……

「もしかして、さっき挙げなかった所が不味かったりするんですか?休み無し休憩無しとか……」

「そんなことは無いわ。今挙げた部分以外も普通のギルドとほぼ変わらない待遇よ」

「ええ……」

 何でそんなギルドが知名度無いの……

 最早待遇だけで日本で有名になると思うんだけど。

「で、入るかしら?入らないかしら?」

 困惑していると、杏奈さんが結論を急かしてきた。

 答えは勿論————


「入らせていただきます」

 選択肢は当然一択しかない。

 知らないギルドではあるけれど、待遇は良いし、紹介しているのは『師走の先』という有名ギルドのギルマスの妹だ。殺されるみたいな事態は発生しない筈。多分。

「分かったわ。ではとりあえずこの用紙にサインをお願い。後、探索者登録カードを頂戴。コピーするから」

「はい、どうぞ」

 俺は言われるがまま契約書にサインし、カードを杏奈さんに渡した。

「ありがとう」

 そのまま杏奈さんは契約書とカードをスキャナーで読み込み、パソコンでどこかに送っていた。

「じゃあこれで全て終了ね。明日から頑張って頂戴」

「明日から、ですか?」

 一応学校があるんですけど。

「ええ明日からよ。学校の卒業資格はあるんだから別に行かなくても良いんじゃない?こっちの方があなたにとってはギルドの方が良質な教育を受けられるだろうから」

「えっと……」

 高校に行こうとやる気を出し、戻ってきてから一月も経たずに再び不登校になるって色々とどうなんだろう……

「ええ、分かっているわ。そんなに急にそう言われても不安しか無いわよね」

 そんな俺の事情を知るわけがない杏奈さんは少しずれた予想をしていた。一応それもあるけども。

「でも信じてもらうしか無いわ。というわけでこれを使いなさい」

 そう言って杏奈さんはレベル測定器を手渡してきた。

 ん?

「え?」

「どうしたのよ。早くしなさい」

「いや、杏奈さんは『Oct』とは一切関係ないですよね?こういうのってギルドマスターとか、幹部の人の前でやるものじゃないんですか?」

 杏奈さんは『師走の先』の人だよね。

「何を言っているの?だからやるのよ」

「え?」

「『Oct』は私が立ち上げたギルドよ」

「え?」

「おめでとう、貴方は私にとって初めてのギルド員よ」

「えええええええ!?!?!?!?!?!?」

 俺は熱烈な勧誘を受け、杏奈さん一人しか居ないギルドに入ってしまったらしい。

 は?????自分のギルドは???????

「私のギルドに関してなんだけど、さっき辞めたわ。新しいギルド立ち上げるからよろしくって」

「それで許されるものなの……?」

「麗奈姉は私に異常な程に甘いから。この程度なら許してくれるわ」

「ええ……」

「というわけであなたのレベルを見せなさい。私のギルド員なんだから義務よ」

「ええ……」

 杏奈さんのいかれた行動に俺は唖然とするしか無かった。

「早く測りなさいよ」

 そう言って測定するために測定器を胸に押し付けてきた。

「ちょっと待ってください。これ要らないですから」

 俺は嫌な予感がするのでこの測定器を拒絶した。

 この測定器は記憶が確かであれば50万くらいするタイプ。

 つまり、これにはその人が所持しているスキルとその効果を表示する機能が付いている可能性が高い。

 つまり俺が持っている夥しい量のスキルが全て表示される。この少し大きめのスマートフォンの画面に。

 絶対壊れるよね。表示条件を超えましたってことで。

「命令に従わないって言うの?ギルドマスターの命令よ?」

 そんな事情が分かるわけも無い杏奈さんは圧倒的な力で押し付けてくる。

 俺はそれを拒否するべく、胸をきっちりとガードする。

「こんな高価なものを壊すかもしれないから駄目!!!」

 そして俺は杏奈さんにそう叫んだ。

「どういうこと?」

 俺のこの測定器を破壊するかも宣言を不思議に思った杏奈さんは力を緩め、測定器を収めてくれた。

「あのですね、それには俺の強さの源に理由がありまして……」

 俺はレベルが1であることと、その代わりにスキルを無制限に獲得できることを説明した。


「ああ、だからあなたの攻撃力が私と同世代とは思えないほどに高かったのね」

「そういうことです」

「それが発覚したのはいつの話?」

「つい最近だね。これにもっと前から気付いていれば今はもう少し強かったと思う」

「それもそうね。ってことはあなたはダンジョンに潜るよりも外でスキル獲得に励んだ方が強くなれるのかしら?」

「今のうちはそうかな。コスパの良いスキルが結構あるみたいだし。でも、ある程度強くなったらダンジョンに潜った方が強くなれるとは思う」

 モンスター特攻スキルや、実践関連のスキルははダンジョンに実際に潜らないと取得しにくいだろうからね。めぼしい身体能力や武術に関連するスキルを取った後はそっちの方が効率的だ。

「なるほど、分かったわ。あなたに必要なのはパワーレベリングでも、戦闘訓練でもなくスキル獲得の為の補助ね」

 そう結論付けると杏奈さんはどこかに連絡を取った。

「じゃあスキルを獲得しに行くわよ。付いてきなさい」

 そして俺は再びどこかへ連れていかれることに。

 今回の移動手段はなんとリムジンでした。金持ちって恐ろしいね。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

スキルは見るだけ簡単入手! ~ローグの冒険譚~

夜夢
ファンタジー
剣と魔法の世界に生まれた主人公は、子供の頃から何の取り柄もない平凡な村人だった。 盗賊が村を襲うまでは…。 成長したある日、狩りに出掛けた森で不思議な子供と出会った。助けてあげると、不思議な子供からこれまた不思議な力を貰った。 不思議な力を貰った主人公は、両親と親友を救う旅に出ることにした。 王道ファンタジー物語。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~

WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
 1~8巻好評発売中です!  ※2022年7月12日に本編は完結しました。  ◇ ◇ ◇  ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。  ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。  晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。  しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。  胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。  そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──  ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?  前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

外れスキル【転送】が最強だった件

名無し
ファンタジー
三十路になってようやくダンジョン入場試験に合格したケイス。 意気揚々と冒険者登録所に向かうが、そこで貰ったのは【転送】という外れスキル。 失意の中で故郷へ帰ろうとしていた彼のもとに、超有名ギルドのマスターが訪れる。 そこからケイスの人生は目覚ましく変わっていくのだった……。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

処理中です...