~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A

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9話

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 まずは、スキル獲得条件が回数のスキルを最優先に取得することにした。

 単に早く強くなりたかったのもあるけれど、時間の方は回数の方のスキルを獲得しているついでに獲得できる物も多いからね。

 例えば、竹刀を100回素振りしたら【竹刀素振り】というスキルを獲得できるのに加えて、それにかかった時間分が【剣道】というスキル獲得条件に加算される。

 そのため、【剣道】というスキルを直接獲得しに行くよりも、【巻き落とし面】や【小手・面】のような剣道にまつわるスキル周りを獲得しに行ってついでに取れるって形が理想的なのだ。

 効果範囲はその分広いっぽいから後々の事を考えると重要ではあるんだけど。


 この日はとりあえず体育館に籠り、器械体操やスカッシュ等の個人技系の室内スポーツ競技に関連するスキルを重点的に取得した。


 そして夕食の時間になったので一人で寮に戻ろうとすると、それを遮る人の群れがあった。

「なあ落ちこぼれくんさあ、わざわざ戻ってきて何するかと思えば、プロスポーツ選手にでもなる気ですか?」

「いくら雑魚でも探索者に登録した人はスポーツ選手になれないって知らないのか?」

 いつも俺を馬鹿にしてくるクラスメイトたちだった。

「わかっ」

「分からなくて当然だわ。こいつ孤児院出身だから世間の事何にも知るわけがねえよ」

「ああ、それもそうだな!いやあ、こいつの努力が無駄だってことを事前に教えてやる俺たちって凄く優しいわ!」

「ってことで大人しく諦めるこった!」

「おい!別に俺の事をとやかく言うのは自由だけどな!孤児院の事を馬鹿にするんじゃねえよ!」

 勝てないってのは分かっているけれど、この怒りを抑えることは出来なかった。

 俺は一人の胸倉をつかみ、怒鳴りつけた。

「雑魚が粋がっても全然怖くねえなあ。なあ、皆?」

「ああ、全然迫力が足りねえ。ゴブリンとかの方がマシじゃね?」

「言えてるわ!」

 しかし、俺が雑魚だと分かっているこいつらは動じる気配はなく、寧ろ馬鹿にしてきた。

 攻撃力だけなら今の状態でも……

「……」

 素振りの要領でこいつらに攻撃をしようという考えが頭をよぎったが、現段階で俺が強くなっていることが周りにバレるのは不味い。

 ギリギリで踏みとどまった俺は、何もせずに手を離した。

「馬鹿でも強者に逆らってはいけないってルールは分かるんだな」

 そう言って馬鹿にしていたクラスメイトが俺を突き飛ばしてきた。

「うぐっ……」

「ここじゃあ二人に頼れねえよなあ!」

「おらよ!」

 虫の居所が悪いのか、いつもとは違い追撃を入れてくる。

「ぐっ……」

 いつもは何も見えなかったのだけれど、スキルのお陰で動体視力が上がっていて防御ができる。

「あ?生意気に防御してやがんなあ。まあ、防御ごとやっちまえば問題ねえか。やるぞ」

 その合図と共に、見て笑っていただけの人たちも俺を囲んで攻撃を始めた。

 まさか、俺を再起不能にでも追いやる気だろうか。判断が遅かった。

 助けを呼ぼうにも場所が悪く、逃げ場も無い。

 一応逃げる方法としてジャンプして壁に逃げるという手もあるが、一瞬の隙を作りださなければならない。

 圧倒的なステータス差があると思われているお陰で、拘束してからのリンチという手段が選ばれることはなかったので防御だけは可能だが、それでもかなり苦しい。

『野蛮な暴力に対する防御回数が100回を突破しました。よってスキル【防御(野蛮な暴力)[初級]】が取得可能になります』

 と思っていたらスキルが獲得できた。調べてなかったけれど、防御にもスキルがあって当然だよね。

 1%程度では現状打破は出来ないけど、光明と楽しみが生まれた。

「何笑ってんだお前、気持ち悪いな」

 そんな俺の感情が表に出ていたらしく、気持ち悪がられた。お陰で若干手が緩んだ気がする。

『野蛮な拳に対する防御回数が100回を突破しました。よってスキル【防御(野蛮な拳)[初級]】が取得可能になります』

『野蛮な蹴りに対する防御回数が100回を突破しました。よってスキル【防御(野蛮な蹴り)[初級]】が取得可能になります』

 拳と蹴りそれぞれに独立したスキルがあるらしく、それぞれスキルを獲得できた。

『成功回数が100回を突破しました。よってスキル【受け流し(素手)[初級]】を獲得しました』

『ブロッキング成功回数が100回を突破しました。よってスキル【ブロッキング[初級]】を獲得しました』

 そして、その場しのぎに防御していた方法がスキル獲得条件を勝手に満たしていたようで、防御方法に関するスキルも続々と獲得出来ていた。

 お陰で苦しい集団暴力が強くなるためのボーナスタイムへと早変わりしていた。

 どうしたらより多くのスキル獲得条件を満たせるか、そしてダメージを極力負わないようにしてこの時間を継続できるかの2点を強く意識して防御を続ける。

「何こいつ殴られながら楽しそうにしてんだ。気でも狂ったのかコイツ……?」

「なあ、もう行こうぜ。こんなのと関わりたくねえよ」

「そうだな、やっぱりやめとこう」

 中級まで獲得できたスキルがちらほらと出てきてより一層モチベーションが上がってきたタイミングでクラスメイトが気味悪がって寮へ帰っていった。

 折角なら今獲得したスキルを全て中級にするまでやって欲しかった。
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