想像力バトル

想像力バトル

この世は全て想像力に支えられている。本を書いたり絵を描いたりという芸術作品を作り出す時。そして新しい機械や発明をする時にも想像力が大きく影響を与えている。この世は想像力によって進んできたのだ。

人の想像力は凄まじく、とてもこの世の中は便利になった。そしてこれからもより便利になっていくのだろう。

想像力がこの世を発展させ、進化させていったと考えた人々はその想像力を鍛えていくべきだという結論になった。政府もその考えに賛同し、そのための教育を考えていくこととなった。

その中で生まれたのが『想像力バトル』というゲームである。その名の通り、想像力を使って相手と戦うゲームである。

勝利条件は相手を倒す、恐怖させるなど様々な物が準備されている。どうやって戦うのかというと、想像力で物を想像するのである。このゲームは脳波を直接受け取ってゲームの世界にそのイメージを映し出せるVRゲームだ。

例えばりんごが落ちてくるイメージをすればりんごが本当に落ちてくる。

そして、ここからが本当の醍醐味ではあるのだが、イメージの質によって同じものをイメージしたとしても別物になりうるというものだ。

同じ炎をイメージしたとしても、キャンプファイヤー程度の火が現れる一方で、全てを焼き尽くしてしまうほどの強力で強大な炎を生み出してしまうこともあるのだ。

そんなゲームが政府の支援の下で開発が進み、今回デモンストレーションにこぎつけた。これが上手くいけば全国の小中学校で導入されることになっている。

今回は分かりやすさを重視して、相手を倒すことが勝利条件となった。

青い服を着た男と赤い服を着た男の対決である。

先ずは青い服の方が動いた。自分自身に機械でできた防具を装備した。一方赤い服の方は真っ赤な炎を相手に向かい放出した。

青い服の男は防具のおかげなのか、高速で移動して避けようとした。

その炎は青い服の男に追尾してきた。高速で移動して避けようとするも、しつこく追尾してくるため受け止めるしかなくダメージを負った。

青い服の男は反撃と言わんばかりに、今度は相手が避けられないほどの巨大な水の波で四方から攻撃した。

赤い服の方は退路も塞がれており、どうしようもなかったために防御するべくシールドを周囲に貼った。

2人は雷を起こし地面を揺るがしマグマを弾丸にして打ち出すなど、様々な攻撃を放ったがお互いにその攻撃を見てから完全にガードし、お互いダメージは入っていない一進一退の攻防が続いた。

埒があかないと思った赤い服の男は、ブラックホールを生み出して相手を全て呑み込むことで終わらせようとした。

一方で青い服の男は赤い服の男を空間ごと纏めて切り裂いた。

お互いに相手の攻撃の強さのあまり思考がまとまらず、相手の攻撃をモロに食らって同時にやられてゲームセットとなった。

白熱した戦いに観客は大いに盛り上がり、デモンストレーションは大成功に終わった。