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9話
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「お守り?」
「良いの?」
「大きなライブだからね。ヒミコさんと遊んだ時に買ったんだ」
これで準備は万端。前のグループも最後の曲を歌い終え、私たちの居る方とは逆の出口にはけていった。
私たちは気を引き締め、皆から注目されるステージへと向かった。
『よく来たな信者たち!私たちはmagicstarsだ!』
『私たちのテンションにちゃんと付いてきてね!』
『今から魔法をかけてあげる』
『では行くぞ!最初の曲は、新曲の【Trinity magic】!』
私たちの煽りに乗ってテンションが最高潮にまで上がった観客と共にライブが始まった。
各々が自分の個性を存分に発揮し、観客を魅了する。
ダンスも歌も超高難易度ではあったが、それの甲斐がある位には素晴らしいものを提供することが出来た。
遠目であるため一人一人の表情を読み取ることは難しかったが、皆満足していたと確信できた。
私たちの出番はあれよあれよという間に過ぎ去り、終わってしまった。
『それではまた会おう!』
『じゃーねー』
『また来てね』
各々好き勝手に別れの挨拶を投げかけた後、ステージを後にした。
「今回も無事大成功だったね!」
「当然。天才のアリスと元気で可愛い翼、そしてこの私が揃った完璧なグループなんだから」
喜ぶ翼に対して、誇らしげに返答する凜。
「自分で完璧なグループって言うか~まあ合っているけどね!」
「そうそう。二人はこの天才アリス様に付いてこれているんだから、完璧に決まっているわ!」
本当に、他の人ではどうなっていたか分からないわ。
「でもダンスは私より下手じゃん」
「痛いところを突くね」
歌に関しては自信があったけれど、ダンスに関しては結局二人には及ばなかった。いくら天才でも経験にはまだ勝てないらしい。
「でもこれから絶対アリスは上手くなる。私達も歌を頑張ろ」
「そうだね。アリスに私たちの方が天才でしたすみません、って言わせないとね」
「その調子だよ二人とも。かかってきなさい!」
「「やー!」」
私はテンションが上がった二人にもみくちゃにされた。
何はともあれ、ライブは大成功を収めることが出来た。
その帰りの新幹線にて、
「二人とも寝ちゃったんだね」
翼と凜は疲れ果ててしまったようで、肩を寄せ合ってぐっすり眠っていた。
ちなみに大原さんと森川さんは今回のライブ成功を理由に新たなライブの参加へこじつけるべくしばらく残るらしい。
「まあ全力だったからね」
「そうだね。凄く良かったもん」
まあ本当の原因は魔法を使い続けたからなんだけどね。
実はヒミコに会った時にこうなることを既に予測していて、防御用の魔法陣を作ってもらっていた。
ヒミコはとても良い魔法使いだったけれど、別にこの世の魔法使い全員が良い人なわけではない。
私が生きていた時代に魔法を使った犯罪があっていたのと同じように、現代でも魔法を悪用する輩が出ないとは断言できない。
そういったそんな人が現れた際に二人に大きな危害が加わるかもしれない。
とは言っても二人には魔法が使えない。それに今から教えたとしてもまともに使えたものではない。
そこで結論として出たのが、ヒミコが考案したらしい自動発動式の魔法陣。
魔力を持った人が魔力を外に放出すると、自動で発動してくれるという優れモノだ。
魔力を持っているが魔法が使えない人間は基本的には魔力がダダ洩れの状態だから、現状の二人にはうってつけの道具だった。
だが、紙切れを単体で渡すのは明らかに不自然。
というわけでお守りに魔法陣を書いた紙を畳んで入れていた。
お守りならあのタイミングでも不自然ではないから。
『loveshine』の方々は妨害しようと様々な魔法を撃っていたようだけど、どう思ったのかしらね。
まああの人達はあそこから成長することは無いでしょうし、考える必要もないかしら。
それから数カ月は、地方のイベントを中心にアイドル活動を行っていた。というのも、大原さんがネットにライブの動画を上げたいと言い出したからだ。
それに私たちには単独ライブの経験が無い。地方のイベントであれば基本的に単独であることが多いし、多少失敗してもそこまで傷を負うことは無い。お膳立てが無くてもどうにかなるように経験を積ませたいらしい。
そんな理由から森川さんも賛成側に回り、全国各地を転々とすることになった。
「はーい押さないで押さないで、順番を待てばちゃんと話せるから」
今日はそのライブの終わりに握手会をすることになっていたのだけど、思っていたそうとはかなり違う層の方がやってきていた。
それは小学生やそれより小さい子供たち。
「アリスちゃん大好き!カッコいいから!」
「そうだろうそうだろう、私はカッコいいもんな!見どころあるよ少年!」
「どうやったら魔法を使えるようになるの?」
「心も体も強くすればいずれ使えるようになるよ」
OurTube活動の影響で私たちのファンは中高生が基本的に多いのだけれど、実は幼い子達にも人気があるらしい。
その理由は、魔法を前面に押し出していたアイドルだから。頻繁に魔法魔法言っていたこともあり、魔法や剣、ヒーロー等が大好きな子供たちの心を得ていたらしい。
もしMVを作る時が来たら、1個くらいはカッコいい炎や爆発の演出を過剰に入れたものを作ろうと提案しようと思う。
そんな日が続き、ある程度実力が付き地方のファンも獲得したので、そろそろ単独で大きな箱を開こうという話が議題に上がった。
「確かにファンの数は有名なアイドルグループに匹敵するとは思いますが、中高生がメインというのがネックですね」
そんな提案に森川さんは乗り気では無かった。
「もっと言えば時点に当たるファン層は小学生以下ですしね」
それに付け加えたのは秋。
「まあ箱を少し小さくすれば大丈夫でしょ」
そう言って大原さんが示したのは1000人位が入るライブ会場だった。
「1000人はちゃんと大きいライブですよね!?」
翼は当然のように大規模になっていくライブ計画を聞いて驚いていた。
「でも近い人気のアイドルグループとかだと2000人とか普通に埋まるからね」
「すっごい……」
翼はそこまで人気になったという自覚が無かったためか、それ以外の語彙力が消失していた。
「それはそうとして、どうやって宣伝するつもりですか?」
当然OurTubeで告知をするのは当然だが、それ以外にも目途は経っているのかと思い質問した。
「それはね、こちらです!」
出てきたのは、有名バラエティ番組『7トーク』の資料。
「これは……!」
その資料に凜は目を輝かせていた。
「好きなの?」
「うん。毎回録画では無くてリアルタイムで見るくらいには。この人がめちゃくちゃ面白いの」
凜が指差したのはMCではなく、ひな壇で場を盛り上げている芸人の一人。確か名前は堀口源だったかしらね。
「乗り気みたいで良かったよ。もしライブをするのなら、告知がてら出てみないかという話になっていてね」
「その番組の日程は決まっているの?」
私は大原さんに確認する。
「えっと、収録は次の木曜日だね」
指定された収録日はあまりにも早いものだった。
「そんなすぐなんですか!」
翼は、突然降ってわいた予定に驚きを隠せない様子。
「善は急げって思ってね。そのあたりにライブとかの仕事が入っていなかったし丁度いいかなって」
「確かに仕事は無いですけど!心の準備があるんです!」
大人気バラエティの主役として参加するのは、大きなライブとはまた違った緊張感だろう。
「大丈夫大丈夫。芸人の人たちがどうにかしてくれるから!」
大原さんは笑ってそう言った。
「それに、何かあったらリーダーのアリスが全てをやってくれる」
凜は私を何だと思っているのよ。
「それなら……」
「よし、決定だね!」
はいそこ。納得するんじゃない!そしてそのままOKサインを出さない!
「私も出たこと無いんだけど」
全てを私に押し付けられる気がしたので、ここで釘をさしておく。
「でも、アリスちゃんは天才なんでしょ?」
そう言ってきたのは翼。
「それは勿論。私に出来ないことなど無いわ」
「なら良いじゃん。出来るんでしょ?」
嵌められた!!
私は思わず机を叩いた。
「よし、アリスちゃん主体でバラエティを頑張ってもらおうか!」
というわけで私への負担が余りにも重すぎる人生初のバラエティ番組出演が決定した。
「良いの?」
「大きなライブだからね。ヒミコさんと遊んだ時に買ったんだ」
これで準備は万端。前のグループも最後の曲を歌い終え、私たちの居る方とは逆の出口にはけていった。
私たちは気を引き締め、皆から注目されるステージへと向かった。
『よく来たな信者たち!私たちはmagicstarsだ!』
『私たちのテンションにちゃんと付いてきてね!』
『今から魔法をかけてあげる』
『では行くぞ!最初の曲は、新曲の【Trinity magic】!』
私たちの煽りに乗ってテンションが最高潮にまで上がった観客と共にライブが始まった。
各々が自分の個性を存分に発揮し、観客を魅了する。
ダンスも歌も超高難易度ではあったが、それの甲斐がある位には素晴らしいものを提供することが出来た。
遠目であるため一人一人の表情を読み取ることは難しかったが、皆満足していたと確信できた。
私たちの出番はあれよあれよという間に過ぎ去り、終わってしまった。
『それではまた会おう!』
『じゃーねー』
『また来てね』
各々好き勝手に別れの挨拶を投げかけた後、ステージを後にした。
「今回も無事大成功だったね!」
「当然。天才のアリスと元気で可愛い翼、そしてこの私が揃った完璧なグループなんだから」
喜ぶ翼に対して、誇らしげに返答する凜。
「自分で完璧なグループって言うか~まあ合っているけどね!」
「そうそう。二人はこの天才アリス様に付いてこれているんだから、完璧に決まっているわ!」
本当に、他の人ではどうなっていたか分からないわ。
「でもダンスは私より下手じゃん」
「痛いところを突くね」
歌に関しては自信があったけれど、ダンスに関しては結局二人には及ばなかった。いくら天才でも経験にはまだ勝てないらしい。
「でもこれから絶対アリスは上手くなる。私達も歌を頑張ろ」
「そうだね。アリスに私たちの方が天才でしたすみません、って言わせないとね」
「その調子だよ二人とも。かかってきなさい!」
「「やー!」」
私はテンションが上がった二人にもみくちゃにされた。
何はともあれ、ライブは大成功を収めることが出来た。
その帰りの新幹線にて、
「二人とも寝ちゃったんだね」
翼と凜は疲れ果ててしまったようで、肩を寄せ合ってぐっすり眠っていた。
ちなみに大原さんと森川さんは今回のライブ成功を理由に新たなライブの参加へこじつけるべくしばらく残るらしい。
「まあ全力だったからね」
「そうだね。凄く良かったもん」
まあ本当の原因は魔法を使い続けたからなんだけどね。
実はヒミコに会った時にこうなることを既に予測していて、防御用の魔法陣を作ってもらっていた。
ヒミコはとても良い魔法使いだったけれど、別にこの世の魔法使い全員が良い人なわけではない。
私が生きていた時代に魔法を使った犯罪があっていたのと同じように、現代でも魔法を悪用する輩が出ないとは断言できない。
そういったそんな人が現れた際に二人に大きな危害が加わるかもしれない。
とは言っても二人には魔法が使えない。それに今から教えたとしてもまともに使えたものではない。
そこで結論として出たのが、ヒミコが考案したらしい自動発動式の魔法陣。
魔力を持った人が魔力を外に放出すると、自動で発動してくれるという優れモノだ。
魔力を持っているが魔法が使えない人間は基本的には魔力がダダ洩れの状態だから、現状の二人にはうってつけの道具だった。
だが、紙切れを単体で渡すのは明らかに不自然。
というわけでお守りに魔法陣を書いた紙を畳んで入れていた。
お守りならあのタイミングでも不自然ではないから。
『loveshine』の方々は妨害しようと様々な魔法を撃っていたようだけど、どう思ったのかしらね。
まああの人達はあそこから成長することは無いでしょうし、考える必要もないかしら。
それから数カ月は、地方のイベントを中心にアイドル活動を行っていた。というのも、大原さんがネットにライブの動画を上げたいと言い出したからだ。
それに私たちには単独ライブの経験が無い。地方のイベントであれば基本的に単独であることが多いし、多少失敗してもそこまで傷を負うことは無い。お膳立てが無くてもどうにかなるように経験を積ませたいらしい。
そんな理由から森川さんも賛成側に回り、全国各地を転々とすることになった。
「はーい押さないで押さないで、順番を待てばちゃんと話せるから」
今日はそのライブの終わりに握手会をすることになっていたのだけど、思っていたそうとはかなり違う層の方がやってきていた。
それは小学生やそれより小さい子供たち。
「アリスちゃん大好き!カッコいいから!」
「そうだろうそうだろう、私はカッコいいもんな!見どころあるよ少年!」
「どうやったら魔法を使えるようになるの?」
「心も体も強くすればいずれ使えるようになるよ」
OurTube活動の影響で私たちのファンは中高生が基本的に多いのだけれど、実は幼い子達にも人気があるらしい。
その理由は、魔法を前面に押し出していたアイドルだから。頻繁に魔法魔法言っていたこともあり、魔法や剣、ヒーロー等が大好きな子供たちの心を得ていたらしい。
もしMVを作る時が来たら、1個くらいはカッコいい炎や爆発の演出を過剰に入れたものを作ろうと提案しようと思う。
そんな日が続き、ある程度実力が付き地方のファンも獲得したので、そろそろ単独で大きな箱を開こうという話が議題に上がった。
「確かにファンの数は有名なアイドルグループに匹敵するとは思いますが、中高生がメインというのがネックですね」
そんな提案に森川さんは乗り気では無かった。
「もっと言えば時点に当たるファン層は小学生以下ですしね」
それに付け加えたのは秋。
「まあ箱を少し小さくすれば大丈夫でしょ」
そう言って大原さんが示したのは1000人位が入るライブ会場だった。
「1000人はちゃんと大きいライブですよね!?」
翼は当然のように大規模になっていくライブ計画を聞いて驚いていた。
「でも近い人気のアイドルグループとかだと2000人とか普通に埋まるからね」
「すっごい……」
翼はそこまで人気になったという自覚が無かったためか、それ以外の語彙力が消失していた。
「それはそうとして、どうやって宣伝するつもりですか?」
当然OurTubeで告知をするのは当然だが、それ以外にも目途は経っているのかと思い質問した。
「それはね、こちらです!」
出てきたのは、有名バラエティ番組『7トーク』の資料。
「これは……!」
その資料に凜は目を輝かせていた。
「好きなの?」
「うん。毎回録画では無くてリアルタイムで見るくらいには。この人がめちゃくちゃ面白いの」
凜が指差したのはMCではなく、ひな壇で場を盛り上げている芸人の一人。確か名前は堀口源だったかしらね。
「乗り気みたいで良かったよ。もしライブをするのなら、告知がてら出てみないかという話になっていてね」
「その番組の日程は決まっているの?」
私は大原さんに確認する。
「えっと、収録は次の木曜日だね」
指定された収録日はあまりにも早いものだった。
「そんなすぐなんですか!」
翼は、突然降ってわいた予定に驚きを隠せない様子。
「善は急げって思ってね。そのあたりにライブとかの仕事が入っていなかったし丁度いいかなって」
「確かに仕事は無いですけど!心の準備があるんです!」
大人気バラエティの主役として参加するのは、大きなライブとはまた違った緊張感だろう。
「大丈夫大丈夫。芸人の人たちがどうにかしてくれるから!」
大原さんは笑ってそう言った。
「それに、何かあったらリーダーのアリスが全てをやってくれる」
凜は私を何だと思っているのよ。
「それなら……」
「よし、決定だね!」
はいそこ。納得するんじゃない!そしてそのままOKサインを出さない!
「私も出たこと無いんだけど」
全てを私に押し付けられる気がしたので、ここで釘をさしておく。
「でも、アリスちゃんは天才なんでしょ?」
そう言ってきたのは翼。
「それは勿論。私に出来ないことなど無いわ」
「なら良いじゃん。出来るんでしょ?」
嵌められた!!
私は思わず机を叩いた。
「よし、アリスちゃん主体でバラエティを頑張ってもらおうか!」
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