勇者と魔王が意気投合した

僧侶A

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まおうとゆうしゃ

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「勇者よ。味方になるのであれば世界の半分をお前に授けよう」

「本当ですか!?!?なりますなります!」

 この会話が魔王と勇者が手を組んだ瞬間だった。


「そういえばどうして私の味方になることを決めたんだ?」

「そのこと?聞いてくれる?」

「うむ」

「俺って元々平民の出なのよ。だからと言って辛かったわけではないんだけど。2年くらい前だね。自分の生まれ持った職業が勇者だと分かった時にほぼ強制的に世界を救わされる羽目になったわけ」

「なるほど。そうやってここまでたどり着いたわけか」

「とはいっても流石に無償でやるのは嫌だから俺が住んでた街の生活を豊かにしてやってくれって頼んだ。これは両親含め恩返しがしたかったからだよね。これに対して王様方はOKをしてくれたんだ。それを信じて俺は勇者として頑張ってきた。けれどそうじゃなかった。ここに来る前に親に挨拶でもしとこうと思って帰ったんだけど何も変わってなかった。寧ろ酷いものになっていたんだよ。勇者が平民出身なのが許せなかったんだろうね」


「俺はがっかりしたよ。何のために戦わされてきたんだって。けれど役割は役割だしってことでここに来たらあの言葉を言われて思ったんだ。なら俺が世界を握ってしまえば俺の街も救えるじゃんって」

「なるほどな。そんなことがあったのか」

「魔王は何で本当に俺に世界を託したんだ?」

「それはなあ⋯⋯私が世界を全て握るのは無理だと思ったからだな。元々血の気が多い魔族を抑えるだけで大変なのにそれに策をめぐらせ周囲を蹴落とし合う者のいる人間を抑えるなんて無理に決まっている。どうせ魔族のやつらは地域を治めることなんてしないだろうし全て私に降りかかる。それなのに人間の国を征服しようとするんだ。本当に身勝手な奴らだ」

「そもそも血の気の多い奴らのせいで生活が不安になっている民もいるのに。仕事をしないくせに食糧を要求するのだあいつらは。お前が来る直前あたりでは人間から奪ってたのか来なくなってたけどな」

「そんなこんなで嫌になったあたりでお前が来た。正直戦う気にもならなかった。魔族の勝手に起こした戦争でなんで勇者と戦う羽目になるのだと。それで私は冗談半分であの話をした。そうしたらお前が運良く受け入れてくれたって話なんだ」

「そういうことだったのか。お互いに大変だったんだな⋯⋯身勝手な奴らに振り回されて大変だったよなあ」

「まあそれなら大量な魔族の身分剥奪もよく分かる」

「お前の貴族の大量な奴隷化と一部平民の貴族化の理由も分かったよ」

「「これ以上問題が起きなければ良いなあ」」
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