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第3章 世界巡り

第68話 食料増産計画を考えてみた件

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夕食の時間になりみんながダイニングに集まってきた。

それぞれ今日1日思い思いに生産を頑張っていたようだ。
みんなと談笑しながら、夕食を食べた後、俺はようやくお風呂に入った。

何人かはそのまま酒盛りになったようだが、
残りは夕食の感じそのままでお風呂場で談笑していた。

昔のようにお風呂に入るたびに欲情しなくなったのは少しは成長したのかな。

自分の寝室に戻り、夕食前と同じようにリングさんと一緒に魔道具を眺める。

その中に、風魔法を使った「木を決まった形に切る装置」があったところで目が留まった。

今は、ドロイドの部品は全て手で削っているようだ。
これを作れば、躯体部品の作成がはかどりそうだという事で、
スパさんモクさんにお願いしてみた。

一晩眠って朝目覚めると、儀式室に来てほしいと呼ばれたので、
少しねボケたまま儀式室へと向かった。

そこには、ドロイドの躯体を作る専用のドロイドが出来上がっていた。
う~ん。スパモクコンビおそるべし、俺の想像の斜め上を行く感じで面白い。

実際に動いているところを見せてもらった。

最初の頃のパペさんのように削り出しそのままの躯体が10分に1体のペースで出来上がる。
それを近くにいる汎用型ドロイドが装飾して同じような顔立ちのドロイド躯体が次々に出来上がっていく。

以前なら3時間で1体程度のペースだったものが1時間で1体できるようになった。

「でもこのドロイドは移動できないし可哀そうじゃないの?」

俺は何となくハウスさんができた時、専用ドロイドというものが少し可哀そうだという思いを持っていた。
だって他のことができる知識を持ちながらも、それができないというのはなんだか可哀そうだと思ったからだ。

「主、その気遣いは大丈夫でございます!おーいモクさんや~。」

「は~い。」

ドロイドの躯体を作る専用のドロイドの後ろからモクさん登場。

詳しく話を聞いてみるとこれ自体に意志があるわけでなく、
スパさんかモクさんが中に入って同化するらしい。
要はスパモク専用のオプションパーツといった感じのようだ。

コアが魔水晶になったことで、魔力量が増え、色々な汎用性が増したらしい。

"同化"もその一つで、魔力を流すことで、無機物であれば思うように動かせるようになるらしい。
操縦席?の大きさがスパモク専用になっているので「なんで?」って聞くと、
どのみち動かすにはそれなりの魔力が必要なので、
スパさんモクさん以外ではマリさんかパペさんくらいしか動かせないらしい。

「殿、この程度の作業であれば是非とも我々にお任せください!」

モクさんがかなりやる気満々なのは伝わってきたので、
とりあえずスパさんとモクさんに当面のドロイド作成をお願いした。

結果的にシスコに到着する1週間までの間にハウスにいるドロイドが150体ほどになったので、
「多すぎる!」という事で一旦製造を止めてもらうことになる。
やっぱり専用ドロイドにしなくてよかったな。と胸をなでおろした。

朝食を食べて、特に作る物も浮かばなかったので4階の農場に日向ぼっこしに来た。

4階も3階の訓練室同様、ワンフロアぶち抜きなので結構広い。
植物生産用の魔道灯が煌々と点灯している。

「そっか~魔道灯の光でも作物って育つんだ~」

何となく太陽の光で作物を育てているイメージだったが確かに室内なので、
魔道灯の光で育つことに単純に感心したというだけだった。

「そうですね。あの光は太陽と同じく聖魔法も込められておりますので、
 植物の成長も多少早める効果があります。」

リングさんが設備の補足説明をしてくれる。

「へ~~~」

何となく日向ぼっこでウトウトしていたところに、いきなり閃いた!

「そうだ!小さな畑をいっぱい作ろう!」

「マスター?どういうことですか?」

リングさんが不思議そうに念話で聞いてきたので俺の構想を話した。

要は栽培機を作るという感じだ。
植物にはそれぞれ成長した時の一番大きくなる高さや、必要な土の深さがそれぞれ決まっている。
例えばジャガイモのような作物なら大きくて精々1メートル程度の高さまで成長する。
だったら初めからその高さの箱を作って積み重ねちゃおうという発想。
今の農場は高さ4メートルくらいありそうな感じ。結構上の空間が余っているし、
レールか何かを敷いて箱ごと動かせば、居ながらにして収穫し放題という感じになるだろうと想像した。

「まぁ育てる作物によりますが、確かにその方法なら作付面積が3倍以上になりますね。」
リングさんも同意してくれたので、早速リングさんにお願いして設計をしてもらい、
マリさんに伝達してもらった。

「ヤスト様、確かにこの方式であれば、700箱作成することで4体のドロイドで毎日100箱分の収穫が見込めます。」
さすがマリさん計算が早い。

1体はひたすら作付け、もう1体はひたすら収穫、あと2体は途中の状態を観察し、雑草があればとったりする感じにするようだ。
マリさんに8体ほどのドロイドと共に作業をお願いした。
実際に稼働を始めるのはシスコに到着する直前になるだろうが、きっと面白いものが出来上がりそうな気がする。

芋、麦、米のような穀類はもちろん、人参、大根のような根菜類はこの仕組みで行けそうだ。
他として、胡瓜やトマトのように実がなる植物はなかなか難しそうだ。
まぁスペースを有効活用した分、それらの栽培が行えるので結果的に増産になることは間違えないだろう。
いまからその結果が楽しみで仕方ない。

今のこの世界では魔法もあり、スキルもあるので、食料を増やすやり方はまぁいくらでもある。
だからこそ、このハウス内でも安定した生活が可能になる。
これから人口が増えても、それを受け入れられる場所や仕組みさえあればなんとかなるのではないだろうか。
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