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第2章 タカギ争乱
第37話 パペさんが誕生した件
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マリさんがすごいスピードで木を削っている。
多分あのナイフっぽい奴もアダマンチウムなんだろう。
なんか素材のインフレが甚だしい。
顔は真ん丸卵型。目となる穴をあけ、口となる切込みを入れる。
何となく少しでも頑丈になるように部品の段階で
アダマンチウムコーティングをしておいた。
胸の部分には魔石を収めるための空間を作り、
現在は何やら訓練室の床にマリさんが魔法陣を書いている。
このマリオネット作成の魔法陣に基本命令を盛り込むという事になるらしく、
マリさんは基本構成セットを考えながら魔法陣を書いているようだ。
「そんなに考え込んだり動き回ったりして、魔力大丈夫?」
『はい。魔力を外部に放出しない行動ではそれほど魔力は消費されません。
行動中に最低限必要な魔力に関しましてはリジェネ分で十分補充されております。』
マリさんが作成したマリオネット作成の魔法陣が完成したので
先ほど作成した躯体を運び込む。
『それではヤスト様の細胞を少しいただきます。』
マリさんは俺の髪の毛を1本抜き取ると、核となる魔石に巻き付けて、
マリオネットの中に収めた。
「あとはこの魔法陣に魔力を込めればいいんだね。」
『はい。ヤスト様の魔力であれば300ほど注ぎ込んでいただければ起動いたします。』
訓練室の入り口にマリさんが並んで控える。
俺は魔法陣に手をかざし、ゆっくりと魔力をその魔法陣に送り込んだ。
次第に魔法陣が光だし、真ん中に置かれた躯体が輝きだした。
躯体がゆっくりと起き上がるとそのまま止まった。
「あれ?動かない?」
『いえ、既にマリオネットは起動しております。
しかし、まだ基本コマンドしか設定されていないため
会話による命令はできません。』
「あっそうか、勉強させなくちゃいけないね。」
俺はマリさんと同じく本を渡すことで勉強できるように設定した。
そこからはヒマリさんと同じ要領で本を読み込ませた。
『マスター。体の重量に対し、魔石の大きさが不足しているため、
これ以上の動作はできません。』
「えっ?」
新しくできたマリオネットがやっと話せるようになったようだ。
どうも俺がアダマンチウムを塗ってしまったために体の重量が重くなり、
動作に使用する情報領域が大きくなりすぎてしまったようだ。
「ん~~~。」
『私の再計算によれば、あとアニマルプラント種20体分の魔石の大きさが必要です。』
あら~マリさんまで動かない理由を教えてますね。
「あっそうだ、魔石合成の魔法陣ってマリオネットの体にもかける?」
『ヤスト様。少々お待ちください。』
マリさんが色々な状況を再計算してくれているようだ。
『図書館の文献などにはそのような例は記載されていませんが、
物理的には魔法陣を描くことは可能です。
ただし、それほど大きなものは書けません。』
「なるほど。とりあえず今のままだとこのパペさんは動けないだろうから
ちょっとやってみよう。」
何となく俺の思い付きでこのマリオネットはパペット君、
略してパペさんって名前を付けた。
マリさんがパペ君の胸の位置、ちょうど魔石を収納している上あたりに
魔石合成の魔法陣を書いてくれた。
試しにシーププラントを作成し、倒してからその魔石を吸収させてみた。
作戦はどうも成功らしい。
『マスター無事に魔石の合成が行われました。魔力総量が増加しました。』
パペさんがちょっと具合がよくなったようだ。
まぁ訓練室なので同じようにシーププラントを作っては倒し、作っては倒し、
魔石をどんどん合成させていった。
マリさんの計算通り、大体20体分の魔石を合成させたところで、
パペさんは普通に立ち上がり動けるようになった。
『マスター、誠にありがとうございます。』
パペさんは紳士的な感じでお礼を述べてくれた。
「なぁパペさん、動いてる状態での魔石合成ってどんな感じ?
特に問題なさそう?」
『はい。特に問題ありません。既にある領域に合成するのではなく、
徐々に空き容量を追加する感じですね。』
「なるほど、なぁマリさん。マリさんにも同じことは可能?」
『はい。ヤスト様。マリオネット自身に魔石合成の魔法陣を刻むことで、
魔力総量の追加が可能のようです。』
マリさんは自分の左太ももの内側に魔力合成の魔法陣を描いた。
ミサカさんあなたなんてところに魔石を収納しているんだ。
それから、俺とパペさん、マリさんでアニマルプラントを倒しまくった。
それぞれに約100体分ほど合成してみたがどこまで合成できるか、
まだまだ底が見えない感じだ。
「マリさんどんな感じ?」
『魔石自体の大きさは変わらないようです。
どちらかといえば純度が非常に高まっている感じになっております。』
「えっ?どういうこと?」
『マリオネットの体内において魔石合成を徐々にコントロールしながら合成した場合。
小型で高出力の魔石を作成することが可能のようです。』
「おぉ小型で高出力とかなんかすごそうじゃん!」
それか食事を取ることも忘れて魔物を倒しまくって魔石を吸収してもらった。
試験的に、マリさんの右足太ももにも魔石を収納できる空間を作ってもらったところ、
そこで魔石合成が可能であることも分かった。
『ヤスト様!既に私の魔力総量はかなり上がっております。
総量が強化されたことでリジェネの効果も上がったようです。
本日はこのくらいで食事にしてはいかがでしょうか?』
マリさんが食事の時間を過ぎていることを教えてくれた。
訓練室にいてすっかり時計を見るのを忘れてしまっていた。
「ああ、じゃあとりあえず、夕食にしよう。」
訓練室には所せましと解体済みのアニマルプラント素材が並べられていた。
不要な部分は燃やして消滅しているようだ。
食用になる分のお肉にも当分は困らないだろう。
マリさんが夕食の支度をしてくれている間、
俺はお風呂に入り、パペさんが訓練室の掃除と素材のかたずけを行ってくれていた。
うん。人手が増えると何かと便利そうだ。
夕食後、俺はリビングで演劇を鑑賞していた。
ダイニングでは、マリさん教育のものパペさんが勉強をしているようだ。
そういえば遠見の水晶の予備はいくつかあったけど、
パペさんが増えたことで資材が足りなくなったりはしないのだろうか?
まぁいいかと思い、その日は夜の11時ごろに眠った。
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