現実だと思っていたら、異世界だった件

ながれ

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第1章 初めての町(タカギ)

第27話 スキルのご利用は計画的やろうの件

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これからもご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

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朝食を食べ終わってから、先生の話もあり、
俺は食堂の横の会議室を訪ねていた。

『あっヤスト君。早いわね。』

「あっはい。マイコさんは朝食食べたんですか?」

『いやまだ食べてないわよ。ちょっと資料をまとめてて徹夜しちゃった。』

マイコさんは昨日の夜からずっと会議室にいたらしい、
何をしていたかというと。

『でね。これを作ってたんだけど、ヤスト君どう?』

マイコさんの手には、昨日みんなでお祭り騒ぎで倒した魔物の数や、
売れ筋の魔物の素材、今の販売単価などがびっしりと書かれていた。

「どう?っと言われましても・・・」

『あっいやいや、数量とかは私の方で調整するからいいんだけど、
 知らない魔物とか、作れない魔物とかある?』

なるほど、城塞都市で卸す素材を調整していたみたいだ。
先日のアダマンチウムスライムの体液のように、無暗にやると、
取りすぎて、素材の価値が暴落するって言ってたもんね。

「あっこれとこれは知らない魔物ですね。
 これは昨日倒したんで、まだ何体でも作成できますよ。」

『そっか、素材があれば行けるのかな?』

「はい。レベルアップでかなり魔力も増えたので、
 伝説上の魔物とかじゃない限り、素材があれば大丈夫だと思います。」

俺のMP総量は既に2000を超えている。
レベルアップを気にしなければ、そもそも俺が初撃を取る必要もない。
という事は、人数さえいればじゃんじゃん倒せるという事になる。

『了解!じゃあ30分後に食堂に集合ね。』

マイコ先生は先ほど作成していた紙を持って、会議室を出た。

俺は特にやることもないので、一度部屋に戻り、
改修作業の邪魔になりそうな荷物は入り口付近に避けておいた。
昨日買い物しすぎたのが逆にちょっと仇になった。

投影機や通信機などの魔道具も一度木箱の中にしまっておく。

色々しているとすぐに30分経ったので、慌てて食堂に向かった。

『すっすみません、ちょっと遅れました。』

「大丈夫、大丈夫!」

マイコ先生が甲テーブルでカザンさん、ユキマサさん、ブライアントさん、
サルサさんと打ち合わせをしてくれている。

「じゃあ、みんな準備頼んだわよ、15分後に外で開始します!」

今日のモンスターラッシュの指揮はマイコ先生がやるみたいだ。
丁度ミサカさんは3階居住部の拡張作業に入るみたいなので、
残りのみんなでモンスターラッシュをやるらしい。

今日の布陣は、攻撃に斥候部隊カザンさん、狩猟部隊ユキマサさん率いる各部隊の皆様。
解体にはブライアントさん率いる物資保管庫部隊とサルサさん率いるマリオネット軍団。
2階の農業や酪農をやっているマリオネットの一部は、ミサカさん達魔道部隊メンバーと3階拡張中らしい。

攻撃役と解体役のちょうど真ん中には俺とマイコ先生。あと、横にはマナポーションが入った木箱。
今日の俺はただひたすら、魔物作成を連発する役のようだ。

『じゃあみなさん位置についてくださ~い!』

マイコ先生の指示でみんながそれぞれの持ち場に付く。

『じゃあヤスト君。まずはベアープラントを5体お願い。』

「はい。」

攻撃部隊は総勢30人。5人ずつ6部隊展開している。
俺は指示通りベアープラントを5体、素材なしで作成する。
この魔物は昨日作成した魔物だ。

魔物を投げ込む場所はカザンさんやユキマサさんが指示する。

『はい。次はこれ。まずは1体ね。』
マイコ先生が俺に素材を手渡す。
素材が必要な魔物の場合、その素材の数しか基本的に作成できない。

ベアープラントを投げていなかった部隊の前に魔物を作成する。

各部隊の戦況を眺めながら、戦闘が終わった部隊から、解体作業へ魔物の死骸を受け渡す。

『じゃあ次はこれ!』
マイコ先生が状況を見ながら、次々に作成する魔物の指示をくれる。
MPにはかなり余裕があるが、マナポーションは遠慮なく使っていいらしい。

それから3時間。ずっと魔物を作りっぱなし、
攻撃部隊は1部体ずつ休憩をとるようにしている。

『じゃあここからは少し強めの魔物を出していくわよ~
 攻撃部隊は1体に2部隊で当たってください!』

マイコ先生からの指示が飛ぶ、
更に1部隊は休憩に回り、後ろではサルサさん達が昼食の準備までしてくれている。
今日は食堂ではなく遠足みたいに野外職のようだ。
さっき倒した魔物の肉もたっぷり使われているようだ。

『とりあえず私も先に昼食済ませちゃうから、
 前の2体が終わったら同じ奴を2体お願いね。素材はここに置いておくから。』

次の指示を残して、マイコ先生の昼食に下がった。
というか、今日朝食食べてないって言ってたから、かなりお腹が空いたんだろうと思う。

基本的に昨日作成していない魔物は10体以上作成するようにスケジュールを組んでくれているようだ。
今までの感じでは10体を超えると、
素材なしで作成できることもマイコさんが加味してくれているのだろう。

それからさらに2時間。マイコさんの指示どおり魔物を作成する。
MPが足らなそうなときはマナポーションを飲む。

『はい。それじゃあ最後の組行くわよ~。』

最後も1体当たり10人で当たる魔物を2体作成し、俺の作業は終わった。

『ヤスト君お疲れ様。ご飯食べてきて。』

俺が後ろを振り返ると、まだ解体が追い付いていない魔物の死体が、歴々と積まれていた。

『お~い!ヤストお疲れさん!ほらお前の飯だ~いっぱい食べろよ~。』
サルサさんは普段ず~っと厨房らしいが今日は、討伐、解体、料理と大活躍だ。
たまに攻撃役にサルサさんが入っていた時はちょっとびっくりしてしまった。

実は内勤組がレベルアップする機会は実はかなり少ないらしく、
今回のようにサポート体制が十分に戦闘できる状況なんてまずない。
このチャンスを生かそうとみんな生き生きと作業していた。

なんと今日の5時間ほどで、昨日の4倍、約800体の討伐に成功した。
丁度俺が昼食を終わるころには最後の魔物も無事討伐された。
怪我人は一人も出なかった。

『もうおわりか~~~~!!俺はまだまだやれるぞ~~~!!』
カザンさんのテンションが振り切っている。
『ランナーズハイ』ならぬ『バトルハイ』といった感じ。

攻撃役の面々が雄たけびを上げる。解体役の面々はそれをにこやかに見ている。

『は~い!それじゃぁ攻撃役は10分休憩のあと解体役と合流!
 あと2時間以内で解体終わらせるわよ~~。』
マイコ先生の声がみんなに響き渡る。
その瞬間、みんなが『おお~~~!!』と雄たけびを上げた。

その後、俺も解体部隊に合流し、サルサさんに解体を教わった。
本当は連休明けの予定だったが、種類もいろいろあるしちょうどいいという事で、
スピーディに解体するコツも含め、レクチャーを受けることができた。

解体や、物資保管庫への搬入などを行うと、ちょうど4時前に作戦は完了した。

みんなは食堂で各々にたたえ合っていた。

少しするとヤックル達が動き出した。
丁度夕方くらいになったようだ。

食堂にシズネ先生がやってきた。

『さぁて、あと1時間ほどでタドコロに到着するよ。
 みんな準備しておくのじゃ。』

食堂のみんなに声をかけると、それぞれが蜘蛛の子を散らしたように
タドコロに向かう準備を始めた。

『ヤストや。お主の部屋の改修も終わっとるはずじゃ、
 ヒバリも直ぐに行くじゃろうから、部屋で申し訳ないが、
 ゆっくり休むんじゃぞ。』

先生が俺に向かって、ねぎらいの言葉をかけてくれた。
モンスターラッシュの興奮が冷めないまま、部屋へと向かった。
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これから、皆様に楽しんでいただけるストーリーを、少しづつ書いてまいりたいと思います。よろしくお願いします。
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