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第1章 初めての町(タカギ)
第24話 超高効率レベルアップの件
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誤字訂正、ご意見ご感想などもお待ちしております。
お気に入り設定など、作者の励みになります。
これからもご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
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俺はシズネ先生の話を聞いた後、いつものように粛々と昼食を食べた。
みんなの昼食を作り終わったサルサさんが厨房から甲テーブルへとやってきた。
『なんだか今日はお祭りみたいだな~。
いや~さすがに昼食も夕食並みにピークを迎えちまうと正直きついな。
近いうちに調理場にも人員補充の要請をしておくかな。』
なんとなく放心状態のミサカさんと、お代わりをしているカザンさん。
いつもの冷静なイメージに戻ったユキマサさんとみんなそれぞれ3者3様で面白い。
俺自身、レベルアップしたことの嬉しさよりも、
この町のみんなの役にたてている実感のようなものがあって
まだまだ興奮が冷めていない状態だった。
『ヤストよ~。解体のレクチャーはいつにする?
明日は俺、タドコロに行くからよ~連休明けでいいか?』
「はっはい。大丈夫です。
しばらくは皆さんが解体を手伝ってもらえるみたいなんで。」
まぁ実際倒すことも解体することも他の方々がやってくれているので、
俺が雑にする余地がないのだが、解体技術は覚えておいた方がいいだろう。
午後からのシズネ先生の特訓で身体機能も多少上がるはずなので、
解体のレクチャーはその後かな。とも思う。
サルサさんと休み明けの約束を取り付け、俺は一度食堂を出た。
1時半に儀式室に行くのであればあと30分ほどで午後の訓練が始まってしまうので
売店にでも寄って物色してみようと思ったからだ。
売店には何度来ても圧倒される。
単純に物量が多い。
そもそも、ここにおいてある商品のほとんどが物資保管庫のメンバーの手作りなのだから、
量産品というわけではないのだろうと思う。
今朝、ブライアントさんから本の存在や魔道具の存在を聞いたので、
この前ユリと回った場所と違うところにもしかしたらあるのではないかと期待していた。
売店を5分ほど歩きまわると一部コーナーがなんだか暖簾のようなものが
駆けられていることに気が付いた。まるで18禁コーナーのような見た目だ。
ちょっと躊躇もしたが、どんな商品があるのだろうという好奇心に勝てず、
俺はその暖簾をくぐった。
中には全然如何わしくない感じの商品が所狭しと並べられていた。
このコーナーはいわゆる舶来品。
タカギで生産されていない商品のコーナーだった。
他の商品が100円単位で売られているものだったが、
このコーナーはそもそも仕入れの数が少ないのか1000円単位。
若干高級品のような扱いで並べられている。
そこには、ブライアントさんが言っていた魔道通信を受信する魔道具や、
本も並べられていた。本は1冊2000円~3000円。
中にはマイコ先生が授業で見せてくれた魔獣の図鑑のようなものまである。
お金さえ稼げれば、色々と便利な道具があるようだった。
色々見ていると既に午後の特訓の時間が近づいていたので、
結局何も買わずに売店を出た。
「そういえば、今日倒した魔物の収益ってどう分配されるんだろう?」
そんな疑問も抱きながら儀式室へと向かった。
儀式室には何やら厳かで装飾された盾が置いてあった。
『それは聖騎士の盾じゃよ。』
部屋の隅に佇む先生が居た。
いつの間にか、イスと小さーテーブルまで持ち込んで
お茶を飲んでいた。
「あの~先生、そういえばさっき言いそびれていたんですが、
あのアダマンチウムスライムとかって奴はMP200も必要で、
今俺の最大MPが198なんで、多分作成できないんですけど・・・」
『ほっほっほ。大丈夫じゃ、ちゃんと対策は用意しておる。
これをつけてみなさい。』
先生は何やらネックレスのようなものを手渡してきた。
言われるがままそのネックレスを首にかけると、なんだか少し頭がすっきりした。
『それは、サナトスの首輪と言っての、
最大MPを少しだけ底上げすることができる魔道具じゃ。
まぁその効果はそれほど高くないんじゃが、今のお主でそれを着ければ
総量は足りるだろうよ。』
俺は心の中で能力値確認を唱えると、MP欄に変化があった。
MP:124/208(+10)
「プラス10。」
『そうじゃまぁMP総量を10だけ底上げしてくれる。』
「あっでもそもそも午前中にMp使っていたので124しかMP残ってないです。」
『まぁそれも大丈夫じゃ。儂だってマナヒールくらいは使えるぞい。』
あれ、シズネ先生のマナヒール??
確か先生ってMP5000越えじゃなかったっけ?
MP5000もあれば正直魔物作成し放題なんですけど。
エンシャントドラゴンって作成できるのかな?
『ちなみに、MPの総量を超えたマナヒールはむりじゃからな。
一時的な譲渡に過ぎんし、結局は自然回復は総量を超えて回復したりせんしな。
これからアダマンチウムスライムを作成してもらうわけじゃが、
一応お主にどんな魔物かを聞いてもらうぞ。
まずこのスライムはとにかく素早い。
一度取り逃がすと本来なら再度遭遇することはまれじゃ。
まぁここは儀式室、入り口もきちんと閉めるので、
結果的に逃げられることはないじゃろう。
次に、そのスライムはなかなかの防御力がある。
そこでじゃ。お主がそのスライムを作成したら、
あの盾めがけて投げつけるのじゃ。
あの聖騎士の盾も一応アダマンタイト製じゃから、
あの盾であればぶつけても大丈夫じゃ。
それじゃあ、やってごらん。
』
俺のMPを回復した後、先ほどのアダマンチウムスライムの素材を渡してきた。
[アダマンチウムスライムの素材を入手しました。魔物作成を行いますか?(消費MP 200)]
「はい。アダマンチウムスライム。200。行きます!」
俺は魔物作成を念じて手の中に徐々に魔物が作成されたことを感じる。
俺はその魔物を握ったまま、とにかく力いっぱい盾めがけて投げつけた。
<バン!!!>
大きな破裂音がして、銀色のスライムがはじけ飛んだ。
『ほう。見事なもんじゃ。お主の手で作成するんじゃから、
つかんでしまえば逃げられもせん。これならどんどんレベルが上がるじゃろう。』
俺は心の中で[能力値確認]を行った。
一気にレベルが38まで上がっている。1匹で16ものレベルが上がった。
『どれどれもうそのネックレスはいらんじゃろ。
MPを回復してあげるから、この小瓶に素材を集めておいてくれ。』
先生の言う通り俺のMP総量は200を超えた。
先生の椅子の横にある木箱には大量の小瓶が並べられていた。
盾に滴り落ちる銀色のスライムの亡骸をすくいとり瓶に詰める。
1匹で瓶2本分くらい取れるようだ。
俺が素材を集めていると、後ろから先生がMPを回復してくれる。
とりあえず無条件で200回復してくれるようだ。
素材を入れた瓶の1本を箱に治めて、もう一つを手に取り再度魔物作成を行う。
「アダマンチウムスライム。180。行きます!」
「アダマンチウムスライム。150。行きます!」
「アダマンチウムスライム。130。行きます!」
「アダマンチウムスライム。110。行きます!」
「アダマンチウムスライム。90。行きます!」
・・・・・・
「アダマンチウムスライム。5。行きます!」
「アダマンチウムスライム。3。行きます!」
「アダマンチウムスライム。1。行きます!」
俺が素材を回収している間にマナヒールをしてくれる。
他と同じように10回ほど作成すると素材なしでも作成できるようになる。
そしてやがてMP1で作成できるようになる。
MP1で作成できるようになるころには俺のレベルは100に達していた。
MP総量も1000を少し超えたくらい。
そこで一旦シズネ先生はストップをかける。
『もうそろそろじゃな。マナリジェネ!!』
今までのマナヒールと違う魔法をかけてくれた。
『これは魔力の自然回復を早める魔法じゃ。
効果は1時間くらいかの。まぁそうでなくてもMP総量は上がっておろうから、
魔物作成の消費MPにそろそろ自然回復量が追い付くじゃろ。
わしも久しぶりに魔力を大量に消費したので疲れた。
わしは休むので、この箱の瓶が素材でいっぱいになるまでやったら今日は終わりじゃ。
盾と素材は、ブライアントに渡せば大丈夫じゃからな。』
そういって、儀式室から先生は出た。
「ありがとうございました!」
扉が閉まるのを見送りながら先生にお礼を伝えた。
それから倒しては瓶に詰めて、また倒しては瓶に詰めてを繰り返し、
全ての瓶が素材でいっぱいになるころには俺のレベルは300に達した。
レベルが上がるに従い、なかなか上がらなくなる。
最後の方は10匹倒してようやく1上がるかどうかといった感じだった。
終わったころの時間を確認するとちょうど5時過ぎだった。
3時間半。無心でスライムを投げまくっていた。
終わったころのステータスはとても3時間前とは別人のようだった。
名 前:スメラギ=ヤスト (17歳)
レベル:304
HP: 312/2860
MP:1721/2614
状態:健康
体力:327
腕力:286
脚力:269
知力:382
運: 71
数値だけ見るとHPが減っているように感じたが、
単純に急激なレベルアップに自然回復が追い付いていないだけなのである。
そう考えると、先生が最後にかけてくれた魔法は、
MP回復速度を5,6倍に高めていることになる。
何から何まで先生はお見通しのようだ。
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