現実だと思っていたら、異世界だった件

ながれ

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第1章 初めての町(タカギ)

第16話 魔法使いへの扉を開けてみる件

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昼食を終えて、マイコさんとは食堂の前で別れた。
ちなみにマイコさんは普段、シズネ先生やブライアントさんの補佐として
秘書のような役目をしているらしい。

俺はミサカさんと一緒に1階の魔道部隊の部屋へ行くことになった。

『とりあえずここが魔道部隊の作業室になってる。』

ミサカさんと一緒に、食堂の横の生活指導室のような会議室のさらに奥。
魔道部隊の作業室にやってきた。

魔道部隊の作業室は小部屋に分かれており、
魔道部隊以外の人は病気になったときにたまに回復などに来るくらいらしい。

診察室、検査室、研究室、儀式室等にはそれぞれ引き戸に部屋の名前が書いてある。

『まずは、魔道部隊の説明を軽くしておこうか。
 魔道部隊は基本的に魔物の素材の解析や研究が主な仕事ではある。
 あと回復魔法や解毒魔法で町のみんなを治療する役目を持っている。
 他には、新たな魔道具の開発や、新魔道具の試験なども行うことがある。
 まぁ特例として、ブライアントさんがたまに訳が分からない素材を合成で作りだすから
 それを解析したりってこともやっている。』

「あとマリオネットの管理なんかも行っているんですよね?」

『ああ、もちろん。マリオネットは一応分類的には魔道具になる。
 動作原理は基本的に魔物と同じで、魔石に魔力を流し込むことで稼働している。
 故障の修理や命令の変更などもここで行っているけど、
 今現在、このタカギには107体のマリオネットがいるんだけど、
 壊れることもほとんどないし、半数以上が、農業や酪農に従事しているから、
 ほとんど新造することもないかな。』

「マリオネットの全部の魔力を魔道部隊の皆さんが供給してるんですか!?」

『いや、マリオネットの魔力のほとんどは狩猟部隊が取ってきてくれる魔石から供給している。
 まぁ僕らが魔力を込めてもいいけど、
 それだとマリオネット2体に付き1人は魔導士をあてがわなきゃいけないから
 効率が悪いんだ。基本的にこのタカギでは1日に魔石20個分のエネルギーを消費している。
 うちの狩猟部隊は優秀だから魔石の備蓄も十分ある。

 まぁここだけの話、ブライアントさんの[合成]で大きな魔石も作れるから。
 空間拡張や、遠距離通信用の魔石もじゃんじゃん増やせる。
 まぁその分それに供給する魔力量が必要になるから、維持コストを考えると
 今の町の規模なら今くらいがちょうどいいって感じかな。』

「本当にそういった意味でもブライアントさんってかなりすごいスキルですよね。」

『まぁ確かにね。この町はシズネ先生とブライアントさんが作り上げた移動都市だから
 ある意味どちらが欠けてもこの町には大ダメージだよ。』

「なるほど。」

ミサカさんがそれぞれの個室を案内してくれる。
診察室で治療魔法による治療を受けている人が居たり、
儀式室では周辺監視のような魔法が起動されていたり、
みんながそれぞれの役割をこなしている。

『あっそうだ、一応ヤスト君の魔法の素養も調べておこうか。』

ミサカさんは俺を検査室へと招き入れてくれた。

中で作業していたのは、白いローブを身に着けた茶色い髪の女性が、
何やら石板のようなものとにらめっこしながら、
目の前にあるキノコを分解していた。
メガネをつけていていかにも研究者って感じなのだが、
前髪に隠れて顔が半分くらいしか見えない。

『やあごくろうさん。』

『あっ隊長。お疲れ様です。・・・あっ』

ミサカさんの後ろに俺がいることに気が付いたみたいでちょっと驚かれた。

『ああそうか、君はヤストのパートナーだったよね。
 ヤスト君、この子がアヤメちゃんだよ。』

ちょうど検査室にいた白いローブの女性が、
先ほどマイコさんが話していたアヤメさんらしい。
確か年齢的には俺の4つ上の21歳だったと思う。

「どっどうも初めまして。」

『あっこちらこそ初めまして。』

明日の夜には夜伽で一緒になるであろうパートナーなんだが、
全く知らない他人感が半端ではない。

『アヤメちゃん、ちょうどよかったヤストの素養チェックをやってくれないか?
 私は奥の研究室を少し整理して、ヤストのスキル解析の準備をしたいんだ。』

『あっはい。素養チェックですね。無属性項目は何種類くらいやりますか?』

『無属性は一般的な20項目で十分だと思う。』

『はい。わかりました。ヤストさんこちらにどうぞ。』

何やら病院の処置室のような感じがする。
少し高さのあるベッドが手前にあって色々な機材だろうか、
壁の棚にはいろいろな器具が置いてある。
奥の机には先ほどのキノコが小さく切り刻まれたりしている。

俺はアヤメさんの案内でベッドに仰向けになっている。

『じゃあ、アヤメちゃんあとよろしくね。』

ミサカさんは何らかの準備をするらしく検査室から出ていった。

アヤメさんはそそくさと机の上を片付けている。
あっキノコ落とした。

アヤメさんはあらかた片付けが終わった後で、
『ふぅ~』と深呼吸を一息して俺の方に向き直った。

『それじゃあ、素養チェックを開始しますね。
 ヤストさんは魔法を使われたりしたことはありますか?』

「いえ。使ったことはありません。たぶん。」

俺の場合ユニークスキルを使った時にMPが消費されるので、
あれを魔法だと言われれば使ったことになる。

『たぶん?』

「あっ俺のユニークスキルを使うとMPを消費するみたいで、
 それが魔法という事であれば1度だけ使ったことがあります。」

『へ~MPを消費するユニークスキルですか、先生やブライアントさん以外では
 この町でも珍しいタイプのスキルのようですね。』

「はぁ。」

『あっまぁ火魔法や水魔法などを具体的に使用したことがないなら
 まだ魔力操作とかもやられた経験はないですよね?』

「はっはい。魔力操作の経験はありません。」

『ならまず、簡単な魔力認知から始めましょうか。』

アヤメさんは白いローブを脱いで、俺が横になっているベッドに腰かけた。

なんだかこの現実世界に来て、一つのベッドに女性と上がることが
無性に増えた気がする。

みんなにとってはそれほど大したことじゃないんだろうけど、
17歳高校生の俺からすると、それだけど結構ドキドキしてしまう。

そうして一つベッドの上で俺は魔法使いへの扉を開けるのであった。
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