現実だと思っていたら、異世界だった件

ながれ

文字の大きさ
上 下
11 / 70
第1章 初めての町(タカギ)

第11話 初めてバトってみた件

しおりを挟む

閲覧いただきありがとうございます。
誤字訂正、ご意見ご感想などもお待ちしております。
お気に入り設定など、作者の励みになります。

これからもご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

-------------------------------------------------------------

『ちょっとプレゼントしたいものがあるから部屋で待っててね。』
とユリに言われて部屋に戻ってきた。

部屋に戻って10分ほどすると、ユリが部屋を訪ねてきた。

『ごめんね。少し荷物がかさばっちゃって。』

ちょっと砕けた表情のユリが皮袋を手に入ってきた。

「プレゼントって言ってたけど何?」

ユリが手にした皮袋が思ったより大きかったので、少し驚きながら
ユリに訪ねてみた。

『えーっとまぁ色々あるんだけど、まずは着替えをあと2揃え。
 あと替えのタオルと、洗面用具・・・』

皮袋からは次々と品物がベッドに並べられた。
着替えもほとんどない状態だったのですごく助かる。
ユリの話では、本来、斥候や狩猟に出かけて、素材を採取し、
それを換金しながら徐々にそろえるものらしいが、
リカントという事もあり、シズネさんが特別に5000円程度の物資を
提供してくれたようだ。
一応、仮という事もあるが、夜伽などをこなして、
タカギに貢献してくれているということで出してくれたようだ。

『で、最後はこれ、[ヒバリチョウの羽] 。』

最後に皮袋から出てきたのは、小さな青い羽だった。

「これはなに?羽ペン?」

『まぁこれは記念品みたいなものなんだけど・・・
 女性が生きている間に大体10人のパートナーの子供を産むの。
 丁度ヒバリチョウという魔物の羽は1羽から14枚取れてね。
 自分と母親。それと自分のパートナーになった人に
 自分が生まれて初めて取ったヒバリチョウの羽をプレゼントする風習があるの。
 ヒバリチョウの羽は全部青みがかった羽なんだけど、
 1羽1羽微妙に色や形が違うから、お揃いの羽をもった人は
 現パートナーか元パートナーだっていうのが分かるの。』

「へ~つまりこれは俺がユリのパートナーになった証ってことになるのか。」

『えへへっ。そう。これからも沢山可愛がってね。』

その笑顔がなんだか凄く可愛くて、お風呂から上がった後なのに
それから何度か抱きしめ合った。

昼を過ぎて3時ごろ、結局昨日の夜からず~っとユリと一緒に居たことに気づいて
「ユリは今日の予定とか大丈夫なの?」と聞くと。
『あっ、どうしても次の休みにしたいことがあったんだ!』
とベットから飛び起き、部屋に戻る準備を始めた。

聞いてみると、今日はどうしても色々と売店で買い出しをしたいとのこと。
普段は斥候部隊で外出することが多く、今までちゃんとしたパートナーもいなかったので
なかなか休みが取れなかったらしい。

『ヤストは疲れてるだろうから、ゆっくりしてていいよ。』
といってもらえたので、部屋で一眠りしてから、夕食前に合流しようという事になった。

ユリが出かけた後のベッドで、もらったヒバリチョウの羽をくるくる回しながら眺めていた。

羽をくるくるしていると、意識の中で何かメッセージのようなものを感じた。

[ヒバリチョウの素材を入手しました。魔物作成を行いますか?(消費MP 50)]

俺は、自分のユニークスキルにあった魔物作成のスキルが発動できることを
直観的に理解できた。
俺は慌てて飛び起きて、1階にいるであろうミサカさんにこのことを伝えようと部屋を出た。

「あの~お忙しいところすみませ~~ん!」

1階の食堂からさらに奥にある魔道部門の部屋を訪ねた。

『あれ?ヤスト君じゃないか。どうした?今日はパートナー休暇じゃなかったっけ?』

「あっちょっと自分のスキルに関して分かったことがありまして、
 少しお話がしたいと・・・」

『えっ?スキルってあの魔物作成ってやつ?あっちょっと食堂で待ってて。
 すぐ予定を開けるから。』

ミサカさんは一度部屋の奥に行くと何やら女性の人と少し話をしに行ったので、
俺は食堂でミサカさんを待つことにした。

10分くらいしてミサカさんが食堂に来てくれた。

『で、分かったことってどんなこと?』

ミサカさんは昨日のお風呂でかなり打ち解けてくれたようだ。

「あの~これなんですけど。」

俺は先ほどユリからもらったヒバリチョウの羽を取り出す。

『あ~ヒバリチョウの羽だね。ユリちゃんからもらったの?』

「あっはい。で、これを見ていて感じたんですけど、
 こういった魔物の素材があればそこから魔物が作成できそうなんです。」

『えっ?素材から魔物を作れるの?』

ミサカさんは『ん~~』と少し考えこんでから、
『ちょっと待ってて』といって一度食堂から出ていった。
しばらくして、杖を持ったミサカさんが戻ってきて、
『一度外に出よう。』と誘ってくれた。

1階のシャッターを開けてもらい、町の外に出た。

『じゃあ一度やってみようか。
 まぁヒバリチョウならそんなに用心することもないんだけど、
 さすがに建物の中でやるのはね。』

そういって、ミサカさんは少し杖を強調して見せた。

「あっはい。まぁそうですね。魔物ですもんね。」

そういって俺はそのヒバリチョウの羽を見つめながら、
魔物作成を行うと心の中で念じる。

ユリからもらったヒバリチョウの羽が輝き、徐々に光が収束する。

先ほどの羽のサイズより一回り大きいヒバリチョウがそこに姿を現した。

ミサカさんが杖を構えて警戒する。

俺の手のひらに出てきたヒバリチョウは少し戸惑った様子を見せると
俺の手から離れ、少し離れたところから、俺をにらみつけてきた。

「えっ?」
次の瞬間ヒバリチョウが俺めがけて突進してきた。思った以上に速い!
俺は右肩にくちばしの直撃を受けたが、
直前にミサカさんが何らかの魔法をかけてくれたようでそれほど痛くなかった。

俺は少しよろけると、その場に膝をついた。
俺から5メートルほど離れたところでヒバリチョウがこちらをにらんでいる。
大きさは手に乗るほどでそれほど大きくない。
ヒバリチョウがいる場所に火の玉が飛んできた。ミサカさんが放った魔法なのだろう。

ヒバリチョウはひらりと火の玉を躱す。
そしてまた俺めがけて飛んできた。
俺はとっさに右手で、地面にあった石を拾い、
飛んでくるヒバリチョウを真正面から力いっぱい殴った!

バキッ!

石で木をへし折ったような鈍い音がした。
見ると俺から2メートル左に首が変な方向に曲がった鳥がピクピクと痙攣していた。

『ヤスト君!とどめを!』

ミサカさんの声で我に返り、持っていた石を再度ヒバリチョウの頭の上に振り下ろした。

「はぁはぁはぁはぁ。びっくりした~。」

『はははっ!ヤスト君お見事!初の狩り成功だね。というか羽から魔物ができたね!
 なかなか面白いユニークスキルだ!もう一回できる?』

ミサカさんは極めて落ち着いた雰囲気で俺を見守っている。

俺は地面に横たわるヒバリチョウの頭に生えている飾り羽を一つ取った。

魔物作成をやろうとしたが、なんだかMPが足りない気がしたので能力値確認を行った。

 名 前:スメラギ=ヤスト (17歳)
 種 族:人類(第4世代)
 職 業:学生
レベル:2

HP:126/138
MP: 22/ 77
状態:健康

体力: 27
腕力: 20
脚力: 21
知力: 42
 運: 13

[ユニークスキル]
[魔物作成]

[パッシブスキル]
なし
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

転生してテイマーになった僕の異世界冒険譚

ノデミチ
ファンタジー
田中六朗、18歳。 原因不明の発熱が続き、ほぼ寝たきりの生活。結果死亡。 気が付けば異世界。10歳の少年に! 女神が現れ話を聞くと、六朗は本来、この異世界ルーセリアに生まれるはずが、間違えて地球に生まれてしまったとの事。莫大な魔力を持ったが為に、地球では使う事が出来ず魔力過多で燃え尽きてしまったらしい。 お詫びの転生ということで、病気にならないチートな身体と莫大な魔力を授かり、「この世界では思う存分人生を楽しんでください」と。 寝たきりだった六朗は、ライトノベルやゲームが大好き。今、自分がその世界にいる! 勇者? 王様? 何になる? ライトノベルで好きだった「魔物使い=モンスターテイマー」をやってみよう! 六朗=ロックと名乗り、チートな身体と莫大な魔力で異世界を自由に生きる! カクヨムでも公開しました。

亡霊剣士の肉体強奪リベンジ!~倒した敵の身体を乗っ取って、最強へと到る物語。

円城寺正市
ファンタジー
勇者が行方不明になって数年。 魔物が勢力圏を拡大し、滅亡の危機に瀕する国、ソルブルグ王国。 洞窟の中で目覚めた主人公は、自分が亡霊になっていることに気が付いた。 身動きもとれず、記憶も無い。 ある日、身動きできない彼の前に、ゴブリンの群れに追いかけられてエルフの少女が転がり込んできた。 亡霊を見つけたエルフの少女ミーシャは、死体に乗り移る方法を教え、身体を得た彼は、圧倒的な剣技を披露して、ゴブリンの群れを撃退した。 そして、「旅の目的は言えない」というミーシャに同行することになった亡霊は、次々に倒した敵の身体に乗り換えながら、復讐すべき相手へと辿り着く。 ※この作品は「小説家になろう」からの転載です。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜

赤井水
ファンタジー
 クロス伯爵家に生まれたケビン・クロス。  神に会った記憶も無く、前世で何故死んだのかもよく分からないが転生した事はわかっていた。  洗礼式で初めて神と話よく分からないが転生させて貰ったのは理解することに。  彼は喜んだ。  この世界で魔法を扱える事に。  同い歳の腹違いの兄を持ち、必死に嫡男から逃れ貴族にならない為なら努力を惜しまない。  理由は簡単だ、魔法が研究出来ないから。  その為には彼は変人と言われようが奇人と言われようが構わない。  ケビンは優秀というレッテルや女性という地雷を踏まぬ様に必死に生活して行くのであった。  ダンス?腹芸?んなもん勉強する位なら魔法を勉強するわ!!と。 「絶対に貴族にはならない!うぉぉぉぉ」  今日も魔法を使います。 ※作者嬉し泣きの情報 3/21 11:00 ファンタジー・SFでランキング5位(24hptランキング) 有名作品のすぐ下に自分の作品の名前があるのは不思議な感覚です。 3/21 HOT男性向けランキングで2位に入れました。 TOP10入り!! 4/7 お気に入り登録者様の人数が3000人行きました。 応援ありがとうございます。 皆様のおかげです。 これからも上がる様に頑張ります。 ※お気に入り登録者数減り続けてる……がむばるOrz 〜第15回ファンタジー大賞〜 67位でした!! 皆様のおかげですこう言った結果になりました。 5万Ptも貰えたことに感謝します! 改稿中……( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )☁︎︎⋆。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

処理中です...