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第1章 初めての町(タカギ)
第2話 移動都市タカギへ行ってみた件
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『ようこそ!移動都市タカギへ!』
見知らぬ女性はやっと俺の方を向いて話しかけてきた。
「た・か・ぎさん??えっここはどこ?」
『そっそうよね。まだ記憶が混濁しちゃうわよね。
まずは順をおって説明するけど、私じゃちゃんと説明できないから、
先生のところに連れて行くわね。』
「ぉっおお。」
何となく『先生』という言葉を聞いて『とりあえず職員室に行ってみよう。』
的な雰囲気で俺はその女性の後をまたついていくことになった。
『とりあえず自己紹介しておくね。私はユリ。一応ここの斥候部隊をやってるわ。』
彼女はちらりと俺の方を向くと軽く自己紹介をしてくれた。
しばらく凄ーく田舎の小学校的な廊下を歩くと、
さらに年代を感じさせる木製の階段に差し掛かる。
ユリはとりあえず上って感じでスタスタと階段を上っていく。
今気づいたがユリもかなり薄着だ。
革の胸当てと腰巻的なものをつけてその下は俺と同じ綿パンだ。
何となく下着はなさそう。
俺は状況も分からないまま、思春期の青年男子的な発想をしてしまった。
視線がユリのお尻にくぎ付けになりそうなのを振り払い
努めて冷静かつクールにユリの後をついて歩く。
3階まで上がってきた。
ユリが言うにはこの上は屋上になっているらしい。
見た目通り、3階建ての動く学校みたいな感じだ。
3階の廊下に出て、スタスタと進んでいく。
運動不足の上に階段を3階まで登ったためかなり息切れしていた。
俺も何か運動系の部活入っておけばよかった。
少し歩くと突き当たりに引き戸があった。
ユリが小さくノックすると部屋の中から声がした。
「はいどうぞ~~。」
『斥候ユリ、阿蘇洞窟でリカントを1名救出してまいりました。』
<ガラガラガラ>
ユリが引き戸を開けるとそこには見た感じ60歳は超えているだろうおばあちゃんがお茶を飲んでいた。
「おやおやリカントとは久しぶりだね~~。」
『えへへ。そうなんですよ。しかも、起きてからすぐ呼吸と身体操作ができたのでかなりの逸材だと思います。』
「ほぉ~」
おばあちゃんが俺を品定めするように見てくる。
別に睨みつけるとか敵対心があるといった感じがしないけど、
目が笑ってない、っていうか普通に怖いよ。
『ぼうや、年齢と名前は覚えてるかい?』
「えっ?えーーっと、スメラギ ヤスト 17歳です。」
『ほうほうヤスト君じゃな。じゃあ今が何年だったかも覚えているかい?」
「えーっと、2019年ですか?でもなんだか異世界に来たっていうか、
さっきまで俺学校に居たはずなんですけど・・・」
『ふむふむ。ヤスト君はなかなかいい感じじゃの~まぁ早速色々答えようかの~』
おばあさんはニコニコしながら俺の方を見ている。
『答えよう』ってことは『聞け』ってことだよな。
ここに着くまでの間、色々とハテナが頭をめぐっていたが、
いざ聞いていいとなると、何から聞けばよいのか非常に悩む。
「え~っと、ここどこなんですか?」
『ほっほっなかなか賢いようじゃの~よかったよかった。
まずはここがどこかという質問じゃが、、、、
ヤスト君が分かりやすい表現で言うならここは日本じゃ。
ちなみに今はタカギという移動都市の執務室におるのじゃよ。』
まぁ日本か。確かにさっきからずっと日本語通じてるし、
多分そうじゃないかとは思ってました。
決して後付けで『知ってた』とか言ってるわけじゃありません。
『ちなみにじゃが今は西暦で言うと3620年ごろじゃな。』
「さっさんぜんろっぴゃく?!!!」
『ほっほっほ。なかなか反応の面白い少年じゃの~。』
「えっ?俺タイムスリップしたってことですか?」
『ん~まぁ正確に言うとタイムスリップじゃないね~。
単純に君が生まれた年が2002年じゃなくて3600年だった
っていうわけじゃ。』
「えっ3600年生まれ?」
『まぁ正確には多少の誤差はあるじゃろうが、今風に言うと、
ヤスト君は令和元年ごろの生まれじゃな。』
「れいわ?」
『そうじゃそうじゃ。お主がさっきまで居ったところでもあったじゃろ。元号』
「あぁ。平成最後っていろいろ言ってました。」
『そうかそうか、まぁそれじゃ。他に質問はあるかい?』
「あの~ここって今はやりの異世界とかってやつですか?俺転生しちゃったとか?」
『ほ~まぁしいて言うなら、さっきまでお主が居った世界が異世界じゃな
ちなみに今いる世界が現実世界じゃな。』
元々が異世界で今が現実で、でも学校に居たのも現実だから、
え~っとえ~っと・・・めんどい。思考停止。
「で、俺は何かしなきゃいけないんでしょうか?」
『なかなかサッパリした性格じゃな。いいことじゃいいことじゃ。
まぁ今日はゆっくり休んで明日からでもいろいろとこの世界の話を
詰めていこうかの~。まぁ急ぐこともありゃせんで。』
おばあちゃんは俺に少しだけ微笑んでまたお茶を啜っていた。
その雰囲気だけで、なんかいろいろ考えるのがバカらしくなった。
『あ~~ちなみにわしゃタカギシズネじゃ。
みんなからは、先生と呼ばれておる。
お主と同じ元リカントじゃ。いまではこの町の代表をしちょる。
これからよろしくの~。』
どことなく砕けたファンキーばあちゃんみたいな感じだが、
見た感じでは小さくて丸っこくて、お茶を啜っている田舎のおばあちゃんだ。
『じゃぁ、寝室とか食堂とかを簡単に案内するね~~~』
横でやり取りを見ていたユリが、
ちょうど話が終わった感じのタイミングで俺を救出してくれた。
なんかユリには救出されてばかりだと思った。
俺とユリは『執務室』とやらの部屋を出て、
とりあえず3階の廊下を階段の方向へ戻っていた。
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