上 下
58 / 101
6章 中年は領主になる

第58話 異世界転移の謎って話

しおりを挟む
お気に入り設定ありがとうございます。
誤字訂正、ご意見ご感想などもお待ちしております。
作者の励みになります。
これからもご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

-------------------------------------------------------------

『ユリママ』のこの世界での本当の名前は『リリス・エステラーゼ』

彼女は今までのことや今の状況に関して淡々と語りだした。

彼女の話を要約すると以下のようになる。

彼女はこの世界で生まれた。
15歳の時に天啓で授かったスキルは『魅了』。
彼女はそのスキルを活かし多くの男性を虜にしていった。
若いころは王妃にでもなろうかと思っていたらしいが、
王族の暮らしは窮屈そうなので、エリス教本部の司祭という今の地位まで一気に上り詰めた。

男たちから貢いでもらったお金で『聖魔法』を手に入れてからは
本部の司祭とちょろっっと篭絡しただけで司祭までこれたらしい。
一番上の位である司教まで上り詰めようかと思ったらしいが、教義で司教には男しかなれないらしく、
今ではエリス教本部を裏で操って、好き勝手にお金を使って暮らしているらしい。

彼女がこちらの世界で40歳を迎えた頃、
その衰えていく肉体と、重ねていく年齢に耐えられなかった。
今までたくさんの男たちを魅了し続けた美貌も徐々に衰えていく。
そんな暮らしの中で、彼女は2つのロストテクノロジーアイテムとである。

1つはサキュバスの杖。
どうも効果的には『吸精の魔法陣』の元ネタなのか?と思うような効果で、
相手の魔力や生命エネルギーを吸収して自分のエネルギーへと変える。
生命エネルギーを吸われた方は息絶えるか、少なくとも廃人になるらしい。

彼女はその地位とお金の力で最初は奴隷たちから『吸精』を行っていた。
しかし、若返りとなるとかなりのエネルギーを必要とするらしく、
次第に、彼女が奴隷を虐待しているようなうわさが立つようになってしまった。

折角若返っても、今の地位を手放したくないと思っていた彼女は、
もう一つのアイテムとであう。

『天寿転送の腕輪』というものらしい。能力は異世界転送。
私が住んでいた現代と行ったり来たりできる能力があるらしい。
但しそれにもかなりの魔力が必要らしく若返りと転送の魔力を考えると、
人ひとりの命でも少し足りないくらいのようだ。

それから彼女は王宮に仕える錬金術師を篭絡し、異世界の人間を転送させる霊薬を作らせた。
かなり貴重な材料を必要としたらしく、王宮の宝物庫から拝借した錬金術師は霊薬の完成後
死罪になったらしい。

最初に送り込んだ20代の若者は、冒険者になり彼女と再会を果たしたが、
『吸精』後に現代に送り返すと自殺したらしい。
次に送り込んだ30代の若者は彼女に再開する前に魔物に殺されてしまったらしい。
さらに送り込んだ50代の男性は、かなりいいところまで成長し、彼女と再会を果たしたが、
『吸精』後に現代に戻っても行方不明になってしまったらしい。

彼女がそんな話を私にしたのは、
まず、再開までにかかった期間が最短であること、実際には送り込まれて約5年らしいが、
早かった最初の若者でも会うまでに8年かかったらしい。
それとできれば伯爵にまで上り詰めたその能力を是非生かしたいという事で、
向こうに戻っても精神崩壊しないでね。ってことで話したらしい。

ちなみに、今も私の股間でしきりに楽しんでいる彼女ではあるが、
これは彼女的には私にご褒美をあげている最中という意味らしい。

私としては実年齢で言えば120歳はとうに超えている。
体の欲望に関してもユーリナ、ミューリ、シュレーム、サーシャで十分に満たされている。
彼女のスキル『魅了』の効果はあるのだろうが、今は物理的に拘束されているので
特にそれほど動こうとは思わない。
まぁ肉体自体は40歳の中年とはいえ下はギンギンになっているのだから欲望がないわけではない。
ただ何となく冷めているというか、あれほど好きだった『ユリママ』であると思っても、身体のコミュニケーションよりもキャンプの話題なんかで盛り上がっていたころの方が楽しかった。

「ユリママ、じゃなかったリリスは実際いくつなの?」

『女性に年を聞くのはタブーでしょ。あっいい。』

彼女は行為に夢中なのか一人膝の上で跳ねている。

それからひとしきり絡み合ったが、私が果てることは結局なかった。

『は~久しぶりだったけどサカイさんなかなか良かったわよ。
それじゃぁそろそろ、その力をいただくわね。』

若返りの魔法陣のことを教えてもよかったんだろうが、こうやって他人の人生を弄んできたこの女に、教えてあげる義理も感じなかった。

彼女は裸のまま腕輪と杖を取った。

『あなたのおかげでまた更に私は若く美しく生きることができるわ。
ありがとね。それじゃぁさようなら。もう会うこともないかもね。』

リリスがそういうと杖の先端が光った。
体中からごっそり力が奪われていく。が死ぬほどという事でもない。
というか無理やり体中の魔力を吸い取られている感じ。
しばらくその杖をかざしていた彼女は、満足したのだろうか。

『さて、あなたは生き残るのかしら。』
不気味な笑みを浮かべて左手の腕輪を掲げる。

『リターン!!』

私の意識はそのまま真っ白になった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

(完結)私は家政婦だったのですか?(全5話)

青空一夏
恋愛
夫の母親を5年介護していた私に子供はいない。お義母様が亡くなってすぐに夫に告げられた言葉は「わたしには6歳になる子供がいるんだよ。だから離婚してくれ」だった。 ありがちなテーマをさくっと書きたくて、短いお話しにしてみました。 さくっと因果応報物語です。ショートショートの全5話。1話ごとの字数には偏りがあります。3話目が多分1番長いかも。 青空異世界のゆるふわ設定ご都合主義です。現代的表現や現代的感覚、現代的機器など出てくる場合あります。貴族がいるヨーロッパ風の社会ですが、作者独自の世界です。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

あなたの子ですが、内緒で育てます

椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」  突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。  夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。  私は強くなることを決意する。 「この子は私が育てます!」  お腹にいる子供は王の子。  王の子だけが不思議な力を持つ。  私は育った子供を連れて王宮へ戻る。  ――そして、私を追い出したことを後悔してください。 ※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ ※他サイト様でも掲載しております。 ※hotランキング1位&エールありがとうございます!

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

処理中です...