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3章 中年は街を手伝わない
第21話 道具って大事だよね。って話
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作者の励みになります。
これからもご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
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冒険者ギルドで二人に魔法を見せたあと、私はカリテのところに顔を出していた。
普段建築する際にも、外壁工事をする際には、あった方がいい道具の試作品がいくつか出来上がったらしい。
建築ギルドの2階にカリテの部屋がある。
私はそこに行き、カリテを訪ねた。
「おぉシュウさん。やっとできましたよ。」
カリテが何やらはしゃぐ子供のような感じで私を部屋に招き入れた。
「おぉシュウか。」
「こんにちは。」
そこには、鍛冶師のフェダと副ギルド長(子供)のウリテが座っていた。
目の前には、トンカチ、タガネ、バール、コテ、ノミなど、昔の生活の中で何度か見かけた道具たちがいくつも並んでいた。
「おぉ出来上がっているじゃないか。」
その見慣れた道具たちを見て、少しだけテンションが戻った私がひとつづつ手に取って確かめてみた。
どれも武骨というか、凶器になりそうなというか、フェダ渾身の作品が並んでいた。
現在もカリテウリテは基本手作業で家などを建築している。
しかし、明らかに人手不足。
少しづつ移民は増えているそうだが、増えれば当然に家も増えるわけで、仲間が増えるスピードより、求められている家の数が圧倒的に多い。
トンカチはもともとフェダが使っていたものの少し小ぶりのものを作ってくれた。
タガネは私のリクエストだ。もともと岩を削るのに使っていたようなのだが、
それじゃぁ大変だろうとツルハシを伝えると。
そちらの方が早いということでいらなくなったタガネを譲ってもらうお願いをしていた。
バールは基本的に解体用。
『テコの原理』とかを言ってもよく理解してもらえなかったので、『論より証拠』とばかりに作ってもらった。
コテは石灰モルタルというか漆喰を綺麗に仕上げるためにとにかく平面を出してもらうようにこだわった。
はさみは、非常に不格好で、切れない。
これは失敗作ですな。フェダ曰く『挟むもの』と思っていたらしく、『切れる』というのがよく理解できていないようだった。
ノミは木材加工にて冶金にも使えるので加工をお願いした。
大きいのから小さいのまで、いくつか作ってくれていた。
ウリテはとにかくコテが気に入ったようで、簡単な使い方を教えてあげると、今までよりきれいに仕上がった壁を見て
目を輝かせていた。
カリテはバールがお気に入りらしい。
野球のバットのように振り回していたが、『テコの原理』で部材を引き抜く方法などを簡単に教えると、あまりに力がいらずに作業できたことでかなり驚いていた。
私が一番欲しかったのはノミである。
ケタを加工することにも使えるし、
上手くいけば日本家屋のような建物を作ることもできる。
しかし、投げナイフや包丁しか作ってこなかったフェダは『こんな小さな刃で大丈夫なのか?』と首をひねっていた。
ノミの使い方を見せると、ケタに穴をあけたり、木を削ったりと非常に万能に使えることを見て、カリテもフェダも感心してくれていた。
フェダは渾身の作品が無駄にならないことを知って、少しだけ嬉しそうな顔になってくれた。
『本当にモノづくりが好きなんだな~』と感じた。
それからしばらく話して、コテとバールはあと15本ずつ、スコップとツルハシもお願いして作ってもらうことにした。
道具がより進化すれば、効率が上がる。
効率が上がればより建築スピードも上がり、少しでも人不足の解消ができればいいなという話をして。
フェダも優先して建築ギルドの道具を作成してくれることを約束してくれた。
建築ギルドで話し込んだ後、
私、カリテ、ウリテ、フェダさんの4人で晩御飯を食べて、それぞれの家に戻った。
明日は朝から魔法の修行が待っているので少しウキウキしながら眠りについた。
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