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146話
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この国というよりも港街と呼ぶのが正しいだろうか。
海に行けば魚を釣って魔物を狩り、海から離れれば畑で収穫のお手伝いをして森で魔物を狩る。
そんな生活をすること一週間
「いい感じにお金も貯まったし極東の島国行きの船に乗ってみますか!」
必死にクエストを受けては報酬を貰って貯金した後に全員が船に乗れるように調べて探した結果、船を買って全員が乗ったほうが一番都合が良いとなり今に至る。
船はごく普通の簡素な船、必要最低限の設備が揃ったもの。
後はこれをカミツレさんが魔改造するらしい
最近になって魔導具を組み替えて新たな機能を発見するのが楽しくて仕方がないらしい。
港町の端の端、人気のない海の上でトンテンカンと船を魔改造している様子をぼーっと見つめているが、カミツレさんはやはりすごい人なのだと思わされた。
それにしても…だ
「船を買ったは良いけど、操縦する人が限られるよね。
私は船の動かし方分からないし。ツキカゲ動かせる?」
ようやく魔力の節約をしなくても良い、いつもの姿のツキカゲに問うと首を縦に振った。
以外だな…引きこもりドラゴンと聞いていたから世間のあれこれを知らないものだと思ったが…まあ私のナビゲーターをやってるから知らないことはないか。
「船を動かせないことはない。海の影で押せばなんとかなる。」
「うわぁ…情緒もクソもねぇ。」
船というのは操縦桿をしっかりと握って面舵いっぱいとかやるもんじゃないのか?
そこにロマンなんぞなかったんだ。
これは私も船の操縦方法を学ぶべきなんだろうな。
ちょうどカミツレさんが船のマストの改造を始めたところだったので話しかけてみた。
「カミツレさーん!船の操縦桿周りは改造するんですかー?」
「当然よ!船の動力源を追加するんだからそれに伴って操縦桿の接続部分をいじらないといけないんだから!」
動力源の追加って何をするつもりなのかしら?
私もツキカゲも彼女が何をしでかすのかわからないので同じ向きに首をかしげた。
これ馬車と同じことの繰り返し…?
「おーい、馬車持ってきたぞ。」
港町の端っこまで馬車を走らせてきたのは右手のみで器用に操作しているナザンカである。
窓からこちらの様子を見ているのはアザレア
どうやらカリンとマアヤはいないみたいで馬車の奥の部屋にいるのかクエストを受けに行っているのだろうか。
カリンは子供なので一人でクエストは受けられない、そもそも冒険者として登録出来ないからな。
クエストに協力してもらうにはギルドに申請して許可をもらう必要があるのだ。
「マアヤとカリンは?」
「先程クエストででかけてしまいました。カリンさんも一緒です」
なるほどクエストに行ってきたのか。無事に帰ってくればそれでいいや。
しかしどうしてナザンカは馬車をこちらに持ってきたのだろうか?
まさかもう馬車を船に積むとか無いよね?
「じゃあ皆馬車から降りて離れて頂戴。」
ぴょんと船から飛び降りて馬車に駆け寄るカミツレさんはシッシと皆を手で追い払った。
馬の姿をした眷属からは魔力を回収してアイテムボックスにしまっているからよくわからない。
不思議に思ったけど素直に離れて待機していると、華奢な体に似合わない怪力で馬車を軽々と持ち上げて船に飛び乗った。
言葉に表現するには摩訶不思議で奇天烈だけど目の前で起きてる出来事は真実である。
これには目を丸くした、だが驚くのはこれからだ。
今度は操縦桿を根本から引っこ抜いてその場に馬車を勢いよく置いた。
あれで船の床に穴が空かないとか嘘だろ?と思ったがそれ以上に嘘だろ?と思う瞬間があった。
「変換・魔法術式=馬車を船室に!」
なんか表計算の計算式みたいな事言い出したんだけどあのドラゴン娘
すると、馬車の姿が変わったと思ったら木製の船に似合わない鉄製の操縦室に早変わりした。
…いや納得できるかぁ!
何をどうしたら物質の概念を覆せるんだよ。
馬車が…操縦室?
いやいやいや…そんな馬鹿な事あるのか?目の前で起きちゃったよ。
「と言うか皆の部屋!私物やら大量の食料をしまってたのは⁉」
「大丈夫よ。術式を組み替えて入り口を下に移動させただけだから。
しばらく船で旅をするならこれで固定するからね?」
もうヤダこのお馬鹿な天才
なんでも出来てしまうドラゴンのとんでもない思考を現実にする技術に驚かされると同時に呆れてしまう。
これには弟のツキカゲも
「昔とは違う方向で狂ってる…。」
と呆れているしここは世界が違っても頭のおかしい天才は常識を逸している考えがあるんだな。
種族が違っても同じでも世界が違ってもカミツレさんの頭のおかしさは認識される。今回のことでよくわかったわ。
なぜなら一番の常識人を自称しているナザンカでさえも「ありえない」と言ってるのだから。
当の本人はにっこり笑顔で船が出来たからこっちで寝泊まりしようぜと提案してきた。
わーいやったー(棒)宿代が浮いたよー(棒)
今日から私達の活動拠点は船に決まりました。
本当は全員が船の操作とか船の上での生活にある程度慣れてから東を目指す予定だったのだが…
「カミツレさんの奇想天外のせいで疲れた。」
全員揃って同じ理由で疲れたし頭が追いつけないので一日出発が遅れた。
海に行けば魚を釣って魔物を狩り、海から離れれば畑で収穫のお手伝いをして森で魔物を狩る。
そんな生活をすること一週間
「いい感じにお金も貯まったし極東の島国行きの船に乗ってみますか!」
必死にクエストを受けては報酬を貰って貯金した後に全員が船に乗れるように調べて探した結果、船を買って全員が乗ったほうが一番都合が良いとなり今に至る。
船はごく普通の簡素な船、必要最低限の設備が揃ったもの。
後はこれをカミツレさんが魔改造するらしい
最近になって魔導具を組み替えて新たな機能を発見するのが楽しくて仕方がないらしい。
港町の端の端、人気のない海の上でトンテンカンと船を魔改造している様子をぼーっと見つめているが、カミツレさんはやはりすごい人なのだと思わされた。
それにしても…だ
「船を買ったは良いけど、操縦する人が限られるよね。
私は船の動かし方分からないし。ツキカゲ動かせる?」
ようやく魔力の節約をしなくても良い、いつもの姿のツキカゲに問うと首を縦に振った。
以外だな…引きこもりドラゴンと聞いていたから世間のあれこれを知らないものだと思ったが…まあ私のナビゲーターをやってるから知らないことはないか。
「船を動かせないことはない。海の影で押せばなんとかなる。」
「うわぁ…情緒もクソもねぇ。」
船というのは操縦桿をしっかりと握って面舵いっぱいとかやるもんじゃないのか?
そこにロマンなんぞなかったんだ。
これは私も船の操縦方法を学ぶべきなんだろうな。
ちょうどカミツレさんが船のマストの改造を始めたところだったので話しかけてみた。
「カミツレさーん!船の操縦桿周りは改造するんですかー?」
「当然よ!船の動力源を追加するんだからそれに伴って操縦桿の接続部分をいじらないといけないんだから!」
動力源の追加って何をするつもりなのかしら?
私もツキカゲも彼女が何をしでかすのかわからないので同じ向きに首をかしげた。
これ馬車と同じことの繰り返し…?
「おーい、馬車持ってきたぞ。」
港町の端っこまで馬車を走らせてきたのは右手のみで器用に操作しているナザンカである。
窓からこちらの様子を見ているのはアザレア
どうやらカリンとマアヤはいないみたいで馬車の奥の部屋にいるのかクエストを受けに行っているのだろうか。
カリンは子供なので一人でクエストは受けられない、そもそも冒険者として登録出来ないからな。
クエストに協力してもらうにはギルドに申請して許可をもらう必要があるのだ。
「マアヤとカリンは?」
「先程クエストででかけてしまいました。カリンさんも一緒です」
なるほどクエストに行ってきたのか。無事に帰ってくればそれでいいや。
しかしどうしてナザンカは馬車をこちらに持ってきたのだろうか?
まさかもう馬車を船に積むとか無いよね?
「じゃあ皆馬車から降りて離れて頂戴。」
ぴょんと船から飛び降りて馬車に駆け寄るカミツレさんはシッシと皆を手で追い払った。
馬の姿をした眷属からは魔力を回収してアイテムボックスにしまっているからよくわからない。
不思議に思ったけど素直に離れて待機していると、華奢な体に似合わない怪力で馬車を軽々と持ち上げて船に飛び乗った。
言葉に表現するには摩訶不思議で奇天烈だけど目の前で起きてる出来事は真実である。
これには目を丸くした、だが驚くのはこれからだ。
今度は操縦桿を根本から引っこ抜いてその場に馬車を勢いよく置いた。
あれで船の床に穴が空かないとか嘘だろ?と思ったがそれ以上に嘘だろ?と思う瞬間があった。
「変換・魔法術式=馬車を船室に!」
なんか表計算の計算式みたいな事言い出したんだけどあのドラゴン娘
すると、馬車の姿が変わったと思ったら木製の船に似合わない鉄製の操縦室に早変わりした。
…いや納得できるかぁ!
何をどうしたら物質の概念を覆せるんだよ。
馬車が…操縦室?
いやいやいや…そんな馬鹿な事あるのか?目の前で起きちゃったよ。
「と言うか皆の部屋!私物やら大量の食料をしまってたのは⁉」
「大丈夫よ。術式を組み替えて入り口を下に移動させただけだから。
しばらく船で旅をするならこれで固定するからね?」
もうヤダこのお馬鹿な天才
なんでも出来てしまうドラゴンのとんでもない思考を現実にする技術に驚かされると同時に呆れてしまう。
これには弟のツキカゲも
「昔とは違う方向で狂ってる…。」
と呆れているしここは世界が違っても頭のおかしい天才は常識を逸している考えがあるんだな。
種族が違っても同じでも世界が違ってもカミツレさんの頭のおかしさは認識される。今回のことでよくわかったわ。
なぜなら一番の常識人を自称しているナザンカでさえも「ありえない」と言ってるのだから。
当の本人はにっこり笑顔で船が出来たからこっちで寝泊まりしようぜと提案してきた。
わーいやったー(棒)宿代が浮いたよー(棒)
今日から私達の活動拠点は船に決まりました。
本当は全員が船の操作とか船の上での生活にある程度慣れてから東を目指す予定だったのだが…
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