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145話
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浮足立つ気持ちを理性で抑えて拠点とするギルドを目指す。
クエストでお手伝いした漁船の皆からは助かったとか今後も手伝ってほしいとお願いされたけどいつまでもここに滞在する訳にもいかないので丁重にお断りしておいた。
「戻りました~!」
「おかえりなさいませ!朝早くのクエストお疲れ様です!」
朝早く…そうだね現在時刻は朝の7時、そんな時間から受付カウンターを開けているあたり本当にすごいなこの受付嬢。
労働基準法とか機能してるのかしら?もし違ったら労働基準法が働けとか言ってたかも。
「受付嬢さんも大変ですね…眠くないんですか?」
「私は朝番なので…といっても流石に堪えるものがありますね。」
えへへと頬をかきながら本音を言っちゃうあたり本当に疲れてるんだろうな。
さっさと仕事をこなして私も一休みするとしようかな。
今回はクエストで海中の魔物の討伐及び追っ払うこと。
海の環境を汚さなければ何でもやっていいよとのことだったのでとりあえず必要最低限の攻撃数で狩ってきた魔物を数えた。
「9、10……はい?」
深夜テンションを乗り越えたような受付嬢はある意味動じないかなと思ったけどあまりの衝撃で目が覚めてしまったようだ。
「これ…全部状態が綺麗なんですけど⁉
どうか素材として売ってはくださいませんか?」
まあ元々素材として売るつもりだったんだけど…カミツレさんとマアヤにお土産として渡す魔物はアイテムボックスにしまってあるし大丈夫。
網の袋にパンパンに詰まった魔物は売る用として整理したので大丈夫ですよとにっこり笑顔で返答しておいた。
お陰でとんでもない額をもらったんだけど、そんなに海の魔物って手強いのかな?
「海の魔物は釣りで獲ろうものならこちらが海に引きずり込まれるほどに力が強いやつばかりですから…
ちなみにどうやってこれほど状態良く狩ることが出来たのですか?」
「え?素潜り」
「素潜り…」
「うん、素潜り」
おそらくあの受付嬢は朝一の私とのやり取りを夢オチで終わらせると思う。
その後、宿に戻り簡単にシャワーを済ませた後にベッドにダイブして夕方まで爆睡をした。
海でもベッドの上でも潜り込むとはこれ如何に
なんてクソが付くほどにくだらないジョークが思いつくほどにあの時の私は余裕があった。
だって知らなかったんだもん
「あんた…やらかしてくれたわね。」
それは仲間が全員目を覚ましてクエストで狩った魔物をカミツレさんに渡した時に起きた事件。
皆がロビーに集まって成果を披露していたのだが、どれも魔物だったり漁船で売り物にならない小物をおまけで貰ったりなどした奴をテーブルに広げていたら、カミツレさんの表情が固まったのだ。
彼女が手を伸ばしたのは真っ白なドレスを連想するヒレの魚
「これはブライドフィッシュ…で間違いないわね。
余計にとんでもないことになってしまったわ。」
珍しく真面目な表情を浮かべて頭を抱えているから何も知らない私達も不安になってきた。
ブライドフィッシュってそんなにやばいやつなの?
試しに親指と人差指で輪っかを作りそこからブライドフィッシュを覗いてみた。
名前はブライドフィッシュで間違いはないけど、その内容がとんでもない。
「…伝説のドラゴンが一柱、水を司る海王竜の優秀な眷属
…は?」
思わず二度見したし何なら再度読み返した。
カミツレさんにもこれ本当?と聞いて間違いないと返された。
これはあれだ。
伝説のドラゴンの所有物を壊してしまったということだよね?
この地域の人たちは知っているのだろうか?伝説のドラゴンの眷属だから手を出すなと一度でも言われたことがあるか?
言われたことはないよ、だってあの漁師さん達もこの国に来て間もないだろうし。
「水の王座を守るドラゴン海王竜は深海を縄張りとしている。だからブライドフィッシュなどの眷属達に地域別の生息地を与えて海の均衡を保つ役割もあったのよ。
眷属が一体やられる程度じゃああのドラゴンは怒らないだろうけど…」
…けどなんなんだ?そこからの情報がほしいよ。
海王竜についての説明をくれたのはありがたい。だがそこから何が起きるかを知りたいのよ。
未だに頭を抱えて悩んでいるカミツレさんに詰め寄り何か助かる方法はないのかと聞いてみるとカミツレさんは目を丸くした。
「何よその発言は?まるであなたがやらかして死ぬみたいじゃない
私が心配しているのはあなたの体よ
伝説のドラゴンの眷属、しかも海王竜の傑作を仕留めたのだからあなた相当強くなってるわよ。」
なんだろう…うまく話が理解できない
伝説のドラゴンの最高傑作を倒した私の体が心配?強くなったら何が心配なのだろうか?
ペタペタと私の体を触り健康チェックをしている彼女の横では、まじまじとブライドフィッシュを見つめて良いことを思いついたと言わんばかりの笑みを浮かべるマアヤがいた。
「信じられないスピードで成長している…見た目は二十歳の姿と誤魔化しているけど身体年齢が五歳の体には負担がかかってもおかしくはないわよ。」
まあ確かに
よく考えてみれば私の体は五歳なんだよな
なのに無理に戦って信じられないスピードで成長すれば体が追いつかなくなって何時壊れてもおかしくないと。
それでもこうやって体が耐えられたのはツキカゲのおかげだろうか?
でもマアヤはカミツレさんと契約してから急成長したといった感じではなさそう。
私とマアヤで何が違うのだろうか?
ふむ…と考えているとマアヤが私にこのブライドフィッシュをほしいと言い出したのだ。
「このブライドフィッシュって海王竜の眷属でしょ?
なら海王竜の体の一部または魔力で一部構成されてるはず。
伝説のドラゴン程ではないけどもしかしたら強力なポーションが出来るかも知れない。」
こいつ相当狂ってんな。カミツレも狂ってるしマアヤは旅に出てから頭のネジを何本か自ら外して捨てたんじゃないかな?
カミツレは「理論上は出来る」と言ってるしもうやだこの光属性コンビ
「いや、問題は伝説のドラゴンの眷属を倒したことだろ。
どうするんだよ…眷属って死んだら主に知らされるんだろ?
近い内にこの国近辺に海王竜が来るんじゃあ…」
ナザンカよ…そんな洒落にもならないことを言うんじゃないよ
クエストでお手伝いした漁船の皆からは助かったとか今後も手伝ってほしいとお願いされたけどいつまでもここに滞在する訳にもいかないので丁重にお断りしておいた。
「戻りました~!」
「おかえりなさいませ!朝早くのクエストお疲れ様です!」
朝早く…そうだね現在時刻は朝の7時、そんな時間から受付カウンターを開けているあたり本当にすごいなこの受付嬢。
労働基準法とか機能してるのかしら?もし違ったら労働基準法が働けとか言ってたかも。
「受付嬢さんも大変ですね…眠くないんですか?」
「私は朝番なので…といっても流石に堪えるものがありますね。」
えへへと頬をかきながら本音を言っちゃうあたり本当に疲れてるんだろうな。
さっさと仕事をこなして私も一休みするとしようかな。
今回はクエストで海中の魔物の討伐及び追っ払うこと。
海の環境を汚さなければ何でもやっていいよとのことだったのでとりあえず必要最低限の攻撃数で狩ってきた魔物を数えた。
「9、10……はい?」
深夜テンションを乗り越えたような受付嬢はある意味動じないかなと思ったけどあまりの衝撃で目が覚めてしまったようだ。
「これ…全部状態が綺麗なんですけど⁉
どうか素材として売ってはくださいませんか?」
まあ元々素材として売るつもりだったんだけど…カミツレさんとマアヤにお土産として渡す魔物はアイテムボックスにしまってあるし大丈夫。
網の袋にパンパンに詰まった魔物は売る用として整理したので大丈夫ですよとにっこり笑顔で返答しておいた。
お陰でとんでもない額をもらったんだけど、そんなに海の魔物って手強いのかな?
「海の魔物は釣りで獲ろうものならこちらが海に引きずり込まれるほどに力が強いやつばかりですから…
ちなみにどうやってこれほど状態良く狩ることが出来たのですか?」
「え?素潜り」
「素潜り…」
「うん、素潜り」
おそらくあの受付嬢は朝一の私とのやり取りを夢オチで終わらせると思う。
その後、宿に戻り簡単にシャワーを済ませた後にベッドにダイブして夕方まで爆睡をした。
海でもベッドの上でも潜り込むとはこれ如何に
なんてクソが付くほどにくだらないジョークが思いつくほどにあの時の私は余裕があった。
だって知らなかったんだもん
「あんた…やらかしてくれたわね。」
それは仲間が全員目を覚ましてクエストで狩った魔物をカミツレさんに渡した時に起きた事件。
皆がロビーに集まって成果を披露していたのだが、どれも魔物だったり漁船で売り物にならない小物をおまけで貰ったりなどした奴をテーブルに広げていたら、カミツレさんの表情が固まったのだ。
彼女が手を伸ばしたのは真っ白なドレスを連想するヒレの魚
「これはブライドフィッシュ…で間違いないわね。
余計にとんでもないことになってしまったわ。」
珍しく真面目な表情を浮かべて頭を抱えているから何も知らない私達も不安になってきた。
ブライドフィッシュってそんなにやばいやつなの?
試しに親指と人差指で輪っかを作りそこからブライドフィッシュを覗いてみた。
名前はブライドフィッシュで間違いはないけど、その内容がとんでもない。
「…伝説のドラゴンが一柱、水を司る海王竜の優秀な眷属
…は?」
思わず二度見したし何なら再度読み返した。
カミツレさんにもこれ本当?と聞いて間違いないと返された。
これはあれだ。
伝説のドラゴンの所有物を壊してしまったということだよね?
この地域の人たちは知っているのだろうか?伝説のドラゴンの眷属だから手を出すなと一度でも言われたことがあるか?
言われたことはないよ、だってあの漁師さん達もこの国に来て間もないだろうし。
「水の王座を守るドラゴン海王竜は深海を縄張りとしている。だからブライドフィッシュなどの眷属達に地域別の生息地を与えて海の均衡を保つ役割もあったのよ。
眷属が一体やられる程度じゃああのドラゴンは怒らないだろうけど…」
…けどなんなんだ?そこからの情報がほしいよ。
海王竜についての説明をくれたのはありがたい。だがそこから何が起きるかを知りたいのよ。
未だに頭を抱えて悩んでいるカミツレさんに詰め寄り何か助かる方法はないのかと聞いてみるとカミツレさんは目を丸くした。
「何よその発言は?まるであなたがやらかして死ぬみたいじゃない
私が心配しているのはあなたの体よ
伝説のドラゴンの眷属、しかも海王竜の傑作を仕留めたのだからあなた相当強くなってるわよ。」
なんだろう…うまく話が理解できない
伝説のドラゴンの最高傑作を倒した私の体が心配?強くなったら何が心配なのだろうか?
ペタペタと私の体を触り健康チェックをしている彼女の横では、まじまじとブライドフィッシュを見つめて良いことを思いついたと言わんばかりの笑みを浮かべるマアヤがいた。
「信じられないスピードで成長している…見た目は二十歳の姿と誤魔化しているけど身体年齢が五歳の体には負担がかかってもおかしくはないわよ。」
まあ確かに
よく考えてみれば私の体は五歳なんだよな
なのに無理に戦って信じられないスピードで成長すれば体が追いつかなくなって何時壊れてもおかしくないと。
それでもこうやって体が耐えられたのはツキカゲのおかげだろうか?
でもマアヤはカミツレさんと契約してから急成長したといった感じではなさそう。
私とマアヤで何が違うのだろうか?
ふむ…と考えているとマアヤが私にこのブライドフィッシュをほしいと言い出したのだ。
「このブライドフィッシュって海王竜の眷属でしょ?
なら海王竜の体の一部または魔力で一部構成されてるはず。
伝説のドラゴン程ではないけどもしかしたら強力なポーションが出来るかも知れない。」
こいつ相当狂ってんな。カミツレも狂ってるしマアヤは旅に出てから頭のネジを何本か自ら外して捨てたんじゃないかな?
カミツレは「理論上は出来る」と言ってるしもうやだこの光属性コンビ
「いや、問題は伝説のドラゴンの眷属を倒したことだろ。
どうするんだよ…眷属って死んだら主に知らされるんだろ?
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