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140話
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海水でびしょびしょだけでなく体中がベタベタの磯臭い状態でギルドまで帰ってきた。
特にこの洞窟のクエストは時間制限が無いので先に風呂に入ってからでも報告は構わないと受付嬢さんに言われた。
借りた宿はギルドの宿泊施設、ここなら食堂はもちろん大浴場も完備なのでかなり良い場所と言える。
「ふぅ…魔力に余裕はあるけど流石に変装スキルは疲れるわね。」
「変装スキル…見た目を変えるスキルで獣人とかには慣れないけど年齢まで操作できる特殊なスキルね。」
うん、説明ありがとうねマアヤ
服を脱いでいざ風呂場へ行かん…と意気込んだのは良いのだが、私は目の前の現実に目を背けられなかった。
「…何よ」
「何か私達の体についていますか?」
ついてる…といえばついてるな
その発育の暴力がなぁ!
えらくたわわに実った2つのメロンはマアヤだけでなくアザレアにもついていた。
何をどうしたらそんなに立派に成長するのか理解できない。やはり遺伝子の問題なのだろうか?
考えるだけでショックである
「なぜだ…なぜ私にはメロンを持ち合わせていない?」
「くっそしょうもない下ネタは止めてさっさと汗を洗い流しに行くわよ。」
へーへー
皆して全く違うシャンプーやトリートメントを持って大浴場に入ると、目を丸くした。
思ったよりも広かったし、とんでもない既視感がある。
水色とも言えるタイルは壁全面に。床は白い規則的な長方形の模様。
そしてひときわ目を引くのは大きなこの国の風景画。
「これ…日本の銭湯まんまだよね。」
「カナもそう思う…?実話私も一瞬元いた世界に帰ってきたのでは?と思ったわ。」
完全に私達異世界人の故郷を真似た大浴場だった。
なぜこんな国にこんな文化が?と思ったが海の向こうから文化が渡ってきた可能性がある。
それと同時に疑問に思ったのは海から渡ってきた文化は一体どこの国からなのだろうか?
そしてその国は一体どういった経緯で独特な文化を確立させたのだろうか。
すごく気になるけど今はとにかく体の汚れを洗い流そうではないか。
泡だらけの体をお湯で流してさっぱりしたら今度は大きな浴槽に体を沈めた。
いい、これはとても良い
肩まで浸かるとわかるこの薬草の匂いと体の疲れが溶けて出ていく感覚。
「薬草湯だったのか~すごく良ぃ~」
完全にとろけてスライムのようになってしまった私の隣でお湯をすくい上げて匂いを嗅ぐマアヤ
やはり薬を作る身としては気になる点があるんだろうな。
「不思議な感覚です…これがお風呂」
お湯に体をつけるという行為にビクビクしていたアザレアに手招きをして怖くないことを伝えると入った瞬間目を見開いていた。
のぼせないように、じっくり体の疲れを取り去ってしまえば風呂上がりに何をしようかと考えていた。
「素材を売却…の前に皆がほしい素材を先に取ってからギルドに売ろうか。」
「じゃあ私目的の海藻と貝殻ほしい。
貝殻のカルシウムを上手い具合に調合すると防御力を上げるポーションができるの。」
本当になんでも作ろうとするわねこの子は
マアヤの知識披露も程々にして湯船から体を上げると軽く水分を拭き取ってから脱衣所を目指した。
私は長風呂もし無いタイプなので、さっさと出て冷たいフルーツ牛乳を呑むのが好きなのだ。
しかし、この世界にフルーツ牛乳の概念は無いようで販売員のおばちゃんから冷たい牛乳を購入するとしよう。
瓶の中にある牛乳はキラキラと光っていて見ているとだんだん不思議なものに見えてきた。
片手は牛乳、もう片方の手は腰に当てて一気飲み
ごくごくと喉を通って嚥下する音に周りの大浴場利用者はこちらを見てくるけどそれよりも牛乳の味に夢中になった。
「ぷはー!これこそ至高だな本当に…」
「うわぁ…実際に銭湯でやる人いるんだ。風呂上がりの一杯」
「なんだか私もやりたくなってきました~」
後からやってきたマアヤとアザレアは私を見るなりそれぞれ違う反応を見せていた。
せっかくなのでおばちゃんにもう二本牛乳をもらい二人に渡すと、なんの抵抗も警戒もなしに素直に受け取ってくれた。
私がやっているのは引いてたけどちゃっかり自分たちも腰に手を当てて牛乳を一気飲みするあたりわかってるわね。
「ぷは…っ!
確かに久しぶりにやったけど良いわねこれ。」
「火照った体に染み渡りますね。」
わかってくれるかアザレアよ、これが風呂上がりの醍醐味だから。
そんな姿を見ていた周りの冒険者はじっとこちらを見てからおばちゃんに牛乳を注文していた。
一人、また一人と増えていき皆して風呂上がりの一杯を楽しんで目を輝かせていた。
楽しい気持ちがこうやって広がると良いものだね。
「おやおや…まさかこんなに牛乳が売れるとはねぇ
あんた達のおかげだよ!これはおまけ」
私達の意図しない宣伝効果のお陰でおばちゃんから一本ずつ牛乳をもらった。
これはいい事をした…と言う扱いで良いのだろうか?
でもこんなに牛乳をもらったのなら有効活用をしようじゃないか。
「帰ったらこれで牛乳寒天でも作る?」
「良いわね、みかん入れてパイナップルも入れましょうよ。」
「牛乳…カンテン?カンテンってなんですか?」
首をかしげるアザレアへの説明は移動中でも良いだろうか。
ウキウキな気持ちで大浴場を出ていくと、入口前では装備を外してラフな格好で待機するナザンカが待っていた。
「ナザンカ、待ってくれてたの?」
「おう…アザレアを置いて行くわけ無いだろ。」
この野郎…あくまで心配しているのはアザレア一人だけかよ。
ブーブーと文句を言っているとナザンカは呆れた目で私とマアヤにこう言ってきた。
「お前たちはドラゴンがいるし、お前ら単体でも強いだろうが。」
その言葉に納得して一瞬で大人しくなった。
特にこの洞窟のクエストは時間制限が無いので先に風呂に入ってからでも報告は構わないと受付嬢さんに言われた。
借りた宿はギルドの宿泊施設、ここなら食堂はもちろん大浴場も完備なのでかなり良い場所と言える。
「ふぅ…魔力に余裕はあるけど流石に変装スキルは疲れるわね。」
「変装スキル…見た目を変えるスキルで獣人とかには慣れないけど年齢まで操作できる特殊なスキルね。」
うん、説明ありがとうねマアヤ
服を脱いでいざ風呂場へ行かん…と意気込んだのは良いのだが、私は目の前の現実に目を背けられなかった。
「…何よ」
「何か私達の体についていますか?」
ついてる…といえばついてるな
その発育の暴力がなぁ!
えらくたわわに実った2つのメロンはマアヤだけでなくアザレアにもついていた。
何をどうしたらそんなに立派に成長するのか理解できない。やはり遺伝子の問題なのだろうか?
考えるだけでショックである
「なぜだ…なぜ私にはメロンを持ち合わせていない?」
「くっそしょうもない下ネタは止めてさっさと汗を洗い流しに行くわよ。」
へーへー
皆して全く違うシャンプーやトリートメントを持って大浴場に入ると、目を丸くした。
思ったよりも広かったし、とんでもない既視感がある。
水色とも言えるタイルは壁全面に。床は白い規則的な長方形の模様。
そしてひときわ目を引くのは大きなこの国の風景画。
「これ…日本の銭湯まんまだよね。」
「カナもそう思う…?実話私も一瞬元いた世界に帰ってきたのでは?と思ったわ。」
完全に私達異世界人の故郷を真似た大浴場だった。
なぜこんな国にこんな文化が?と思ったが海の向こうから文化が渡ってきた可能性がある。
それと同時に疑問に思ったのは海から渡ってきた文化は一体どこの国からなのだろうか?
そしてその国は一体どういった経緯で独特な文化を確立させたのだろうか。
すごく気になるけど今はとにかく体の汚れを洗い流そうではないか。
泡だらけの体をお湯で流してさっぱりしたら今度は大きな浴槽に体を沈めた。
いい、これはとても良い
肩まで浸かるとわかるこの薬草の匂いと体の疲れが溶けて出ていく感覚。
「薬草湯だったのか~すごく良ぃ~」
完全にとろけてスライムのようになってしまった私の隣でお湯をすくい上げて匂いを嗅ぐマアヤ
やはり薬を作る身としては気になる点があるんだろうな。
「不思議な感覚です…これがお風呂」
お湯に体をつけるという行為にビクビクしていたアザレアに手招きをして怖くないことを伝えると入った瞬間目を見開いていた。
のぼせないように、じっくり体の疲れを取り去ってしまえば風呂上がりに何をしようかと考えていた。
「素材を売却…の前に皆がほしい素材を先に取ってからギルドに売ろうか。」
「じゃあ私目的の海藻と貝殻ほしい。
貝殻のカルシウムを上手い具合に調合すると防御力を上げるポーションができるの。」
本当になんでも作ろうとするわねこの子は
マアヤの知識披露も程々にして湯船から体を上げると軽く水分を拭き取ってから脱衣所を目指した。
私は長風呂もし無いタイプなので、さっさと出て冷たいフルーツ牛乳を呑むのが好きなのだ。
しかし、この世界にフルーツ牛乳の概念は無いようで販売員のおばちゃんから冷たい牛乳を購入するとしよう。
瓶の中にある牛乳はキラキラと光っていて見ているとだんだん不思議なものに見えてきた。
片手は牛乳、もう片方の手は腰に当てて一気飲み
ごくごくと喉を通って嚥下する音に周りの大浴場利用者はこちらを見てくるけどそれよりも牛乳の味に夢中になった。
「ぷはー!これこそ至高だな本当に…」
「うわぁ…実際に銭湯でやる人いるんだ。風呂上がりの一杯」
「なんだか私もやりたくなってきました~」
後からやってきたマアヤとアザレアは私を見るなりそれぞれ違う反応を見せていた。
せっかくなのでおばちゃんにもう二本牛乳をもらい二人に渡すと、なんの抵抗も警戒もなしに素直に受け取ってくれた。
私がやっているのは引いてたけどちゃっかり自分たちも腰に手を当てて牛乳を一気飲みするあたりわかってるわね。
「ぷは…っ!
確かに久しぶりにやったけど良いわねこれ。」
「火照った体に染み渡りますね。」
わかってくれるかアザレアよ、これが風呂上がりの醍醐味だから。
そんな姿を見ていた周りの冒険者はじっとこちらを見てからおばちゃんに牛乳を注文していた。
一人、また一人と増えていき皆して風呂上がりの一杯を楽しんで目を輝かせていた。
楽しい気持ちがこうやって広がると良いものだね。
「おやおや…まさかこんなに牛乳が売れるとはねぇ
あんた達のおかげだよ!これはおまけ」
私達の意図しない宣伝効果のお陰でおばちゃんから一本ずつ牛乳をもらった。
これはいい事をした…と言う扱いで良いのだろうか?
でもこんなに牛乳をもらったのなら有効活用をしようじゃないか。
「帰ったらこれで牛乳寒天でも作る?」
「良いわね、みかん入れてパイナップルも入れましょうよ。」
「牛乳…カンテン?カンテンってなんですか?」
首をかしげるアザレアへの説明は移動中でも良いだろうか。
ウキウキな気持ちで大浴場を出ていくと、入口前では装備を外してラフな格好で待機するナザンカが待っていた。
「ナザンカ、待ってくれてたの?」
「おう…アザレアを置いて行くわけ無いだろ。」
この野郎…あくまで心配しているのはアザレア一人だけかよ。
ブーブーと文句を言っているとナザンカは呆れた目で私とマアヤにこう言ってきた。
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その言葉に納得して一瞬で大人しくなった。
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