見た目幼女は精神年齢20歳

またたび

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137話

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ツキカゲが魔力を節約するという名の幼児退行をしたので、ツキカゲの力は借りることが出来ない。

それは翌日も同じなのでクエストも自分達でできるやつを選ぶ


「やっぱり海に面した国だから漁業のお手伝いもクエストとしてあるのね。」

「ポーション作りに使える海藻あったら良いわね。例えばこのグラデーションのワカメは乾燥して粉末にすると水中で呼吸できるポーションの材料になる。」

ゲームでよくあるアイテム作れるあたりマアヤ相当凄いよ本当に

ここは冒険者ギルドの集会場で、冒険者はここでクエストを選んでチームアップをして行くのだ。

まあ大抵は一緒に旅をしてきた仲間と話し合って決めて皆で一つのクエストをこなすのだが。

今日は幼馴染ドラゴンズことツキカゲとカミツレとカリンはお留守番

アザレアは社会勉強がしたいのと冒険者になったからクエストを受けてみたいと言う理由でナザンカと一緒に来てくれた。


「マアヤとカミツレさんのポーション材料になるような素材をゲットできるようなクエストが良い気がする。」

「じゃあ漁師の仕事を手伝ってワカメを分けてもらうか、商業ギルドで購入するか、後は海岸線沿いの洞窟の魔物討伐をするかね。」


一番安全なのは商業ギルドで買うことだけど、もしかしたら漁師さんに分けてもらう方が質が良いかも知れない。

洞窟に行けばワカメ以外にもいい素材が手に入る可能性はある。


「調べたところによると、洞窟で気になる素材が群生しているってさ。どうする、カナ?」

「そんなの洞窟一択しか無いじゃん。」


ということで洞窟クエストに決定

私達二人でクエストを受けるのもいいが、流石にそれだと世間の目が気になる。

ここはカモフラージュが必要ね


「…ということでクエストに協力してよナザンカ」

「まるで俺たちがいないみたいに話を進めやがったな…。

にしても海岸線沿いの洞窟ってことは潮が引いてるタイミングで見に行けば良いんだろうな。」


確かにナザンカの言う通り、その洞窟はいつでも入り口が開いてるわけでは無いみたい。

潮の満ち干きによって姿を表したり隠したり、その分素材がたくさん保管されているような状態になるらしい。

だって取りに行くタイミングも見極めないといけないからね、地元の冒険者も結構真面目にクエストを受けるみたい。


「ここは地元の人に潮の満ち干きのタイミングと時間を聞いて準備してくるか。」

「灯りと縄と武器、後は食料も必要だな。」


クエストが決まってしまえば後はなにが必要かなど結構早くに決まるものである。

すぐに準備をして地元の人に洞窟の行ける時間帯を聞くなど忙しいのはほんの数時間である。






  


「やって来ましたよこの時が」

「言うて準備時間はたったの一時間」


一言多いわよマアヤ

せっかく潮が引いて洞窟に入れるようになったんだから気合い入れていかないとね、って時に全くこの子は…。


「どうでもいいから早く入るぞ、ここの洞窟はあと3時間で潮が満ちる。

そしたら行動範囲も狭くなる上に出口が塞がる。」


ナザンカの言う通り、この洞窟は潮の満ち干きで入口が現れるタイプで潮が引いている時間はたったの三時間

それまでにでないと出口は塞がるし次に潮が引くのは数日かかる。

やはり異世界を感じる…マアヤも違和感しかないと言っていた。

だいたい潮の満ち干きというのは一日に二回ずつあり月が潮を引き寄せてしまい満潮になるのだ。

この世界は月が2つあるから満ち干きの法則が少し乱れて満潮の時間が長い現象が起きたのだろう。


「星が1つあるかないかでここまで現象に違いが出るなんて思わなかった…この世界では干潮がレアって事なのね。」


なら早く入ろうよ

ズンズンと前に進んで中に入ると、後ろから1人で突き進むなと仲間に呆れられてしまった。

中は思ったよりも広く、潮が引いて水溜まりがいくつか出来ていた。

あとは水の滴る音が重なり反響して洞窟全体が歌っているようなそんな感じ。

そして目に入るのはたくさんの資源


「お前よくそんなズカズカと進めるよな…灯り一つもないってのに。」


急いでランプを持って追いかけてきたのはナザンカ、後ろではマアヤが棒読みで「そーだそーだ」と茶々入れしてアザレアはその様子に戸惑いを隠せずにいた。

灯り一つもないなんて言うが、私の目は暗闇でも太陽の下にいるみたいに明るく見えるから問題は無い。

これもツキカゲと契約したおかげという物だ。


「ツキカゲ様と契約をした恩恵ということですか。

暗黒竜オプスキュリテドラゴンの名前は伊達じゃないってことですね…!」


自信満々に覚えたての言葉を使うアザレアの目はキラキラと光っており私やマアヤに使い方は間違ってないかと確認していた。

クスクスと笑って大丈夫、間違ってないよと教えれば嬉しそうにしていた。



「…アザレアは、何故カナの世界の言葉を知りたがる?

この異世界じゃあ意味が無いんじゃないか?」



それはナザンカからの納得せざるを得ない言葉

確かにこの世界で日本語を学んだところで役立つ点なんてないと思う。

強いて言えばこの世界にいる日本人に少しの安心を与えるだけ、それも低確率と言えるだろう。

でもアザレアはナザンカの言葉を肯定した後に自分の意見を言ったのだ。


「確かに、この世界で学ぶ事の意味は無いかもしれません。

でも手がかりになると思ったのです





亡くなった母が教えてくれた故郷について」



言っている意味がよく理解出来なかった

何故日本語を学ぶことが亡くなった母親の故郷の手がかりになると思ったのだろうか。

理解出来ないことを前提として話しているのならば、もっと説明が欲しい

アザレアは少し話しずらそうに、でも私達なら信じてくれるかもしれないと一筋の希望を求めるように口を開いた。



「私は…」
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