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114話
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小さな私体を大きな体のツキカゲが抱きしめて動きも時間も止まったような感覚になった。
「人間のくせに…面倒事に首を突っ込んで無理してなんでも自分に取り込んで、俺の心さえもぐちゃぐちゃにして何が楽しいんだ。
それでお前が死んだら俺はどうなるかわかってるだろうが。」
私は忘れていた
ツキカゲとの考え方の違いで心すらも離れてしまった気がして一人で何でもやろうとした。
それがツキカゲも苦しめていることに気づかないまま
私は馬鹿であることは私自身も知っている。でも呆れるほどに大馬鹿者だった。
頑張って頑張って頑張り続けて誰かを傷つけたら意味ないじゃない。
「…ごめんね、遠くでなにをされているかわからないマアヤを助けたい一心で目の前にいるツキカゲを傷透けちゃった…。
ならここからやり直そっか、まだやり直せる
過去は変えられないけど今から作りたい未来を作ろうよ。
そのために私はこの世界を旅したい
元いた世界の手がかりと一緒にこの世界を知りたいな。」
ふわりと笑って体に回された腕を優しく撫でて解いた。
私が旅するために相棒の力が必要なことをすっかり忘れてた。
「また私の隣で教えてよ、私の知らないことを全部!」
「…ふっ
お前は初めてあったときから変わらない、俺のカナだ。
当然の一言以外に答えはない」
でしょうね
お互いにクスクスと笑って柔らかくなった雰囲気を感じると同時になぜ喧嘩をしていたのかわからなくなる。
「ごめんね…あなただって色々と考えがあったからカリンを…」
「そうか…あいつに名前を与えたのか。
感謝する、これでまたあいつに合うことができる」
ドラゴンの感覚がわからなくて首を傾げた。なぜ私が名前を与えることでツキカゲがカリンに会えるのかうまく理解できない。
「伝説のドラゴンの魂が流れ着く楽園に何故かカナは行くことができる。
おそらく異世界から来たという異質な要素が作用してカリンに会うことが出来たのだろう。
そしてお前は魂に直接名前を与えた。名前を与えられた魂は必ず名付け親のもとに惹かれるのが常識だからな。」
なんとまあファンタジーな…でも、私が名付けたカリンの魂は必ず私のもとに来るから必然的にツキカゲにも会うことができるのだろう。
「しかし気に食わないな…
俺様のカナだというのに魂だけになって密会して更には名をもらう…名前をもらうのは俺だけでいいだろうが。」
仲直りしたのと同時にめんどくさい彼氏みたいになったんだけど。
深くため息をついて抱きついてくるバカの頬を両側から引っ張ると目を見た。
「そんなのいいから…私マアヤの捜索とマーキングで疲れたからもう動けない。
あーあ、頼りになる相棒がいてくれたらな―」
その瞬間、ふわりと体が浮き上がって目線が高くなった。
「魔力の大量消費はシロに言えばポーションでもなんでももらえる。
だがお前はシロのもとに行くよりも先にマアヤを優先したいのだろ?」
「…!
当然だよ。」
鼻から垂れた血を指で拭ってまっすぐ人差し指をたてて子供のように笑った。
「いけ、ツキカゲ!」
まるで馬を動かすような無邪気な私
それに必ず応えてくれるのはそばにいる相棒だった。
「飛ばすから耐えてみせろよ…!」
「…ってドラゴン化は流石にアウトっ‼」
そしてこいつは自重を知らない残念なイケメンドラゴンだった。
「人間のくせに…面倒事に首を突っ込んで無理してなんでも自分に取り込んで、俺の心さえもぐちゃぐちゃにして何が楽しいんだ。
それでお前が死んだら俺はどうなるかわかってるだろうが。」
私は忘れていた
ツキカゲとの考え方の違いで心すらも離れてしまった気がして一人で何でもやろうとした。
それがツキカゲも苦しめていることに気づかないまま
私は馬鹿であることは私自身も知っている。でも呆れるほどに大馬鹿者だった。
頑張って頑張って頑張り続けて誰かを傷つけたら意味ないじゃない。
「…ごめんね、遠くでなにをされているかわからないマアヤを助けたい一心で目の前にいるツキカゲを傷透けちゃった…。
ならここからやり直そっか、まだやり直せる
過去は変えられないけど今から作りたい未来を作ろうよ。
そのために私はこの世界を旅したい
元いた世界の手がかりと一緒にこの世界を知りたいな。」
ふわりと笑って体に回された腕を優しく撫でて解いた。
私が旅するために相棒の力が必要なことをすっかり忘れてた。
「また私の隣で教えてよ、私の知らないことを全部!」
「…ふっ
お前は初めてあったときから変わらない、俺のカナだ。
当然の一言以外に答えはない」
でしょうね
お互いにクスクスと笑って柔らかくなった雰囲気を感じると同時になぜ喧嘩をしていたのかわからなくなる。
「ごめんね…あなただって色々と考えがあったからカリンを…」
「そうか…あいつに名前を与えたのか。
感謝する、これでまたあいつに合うことができる」
ドラゴンの感覚がわからなくて首を傾げた。なぜ私が名前を与えることでツキカゲがカリンに会えるのかうまく理解できない。
「伝説のドラゴンの魂が流れ着く楽園に何故かカナは行くことができる。
おそらく異世界から来たという異質な要素が作用してカリンに会うことが出来たのだろう。
そしてお前は魂に直接名前を与えた。名前を与えられた魂は必ず名付け親のもとに惹かれるのが常識だからな。」
なんとまあファンタジーな…でも、私が名付けたカリンの魂は必ず私のもとに来るから必然的にツキカゲにも会うことができるのだろう。
「しかし気に食わないな…
俺様のカナだというのに魂だけになって密会して更には名をもらう…名前をもらうのは俺だけでいいだろうが。」
仲直りしたのと同時にめんどくさい彼氏みたいになったんだけど。
深くため息をついて抱きついてくるバカの頬を両側から引っ張ると目を見た。
「そんなのいいから…私マアヤの捜索とマーキングで疲れたからもう動けない。
あーあ、頼りになる相棒がいてくれたらな―」
その瞬間、ふわりと体が浮き上がって目線が高くなった。
「魔力の大量消費はシロに言えばポーションでもなんでももらえる。
だがお前はシロのもとに行くよりも先にマアヤを優先したいのだろ?」
「…!
当然だよ。」
鼻から垂れた血を指で拭ってまっすぐ人差し指をたてて子供のように笑った。
「いけ、ツキカゲ!」
まるで馬を動かすような無邪気な私
それに必ず応えてくれるのはそばにいる相棒だった。
「飛ばすから耐えてみせろよ…!」
「…ってドラゴン化は流石にアウトっ‼」
そしてこいつは自重を知らない残念なイケメンドラゴンだった。
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