見た目幼女は精神年齢20歳

またたび

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100話

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衝撃の事実により体中に電流が走ったような感覚がした。

ということは私は知らぬうちに世界に6つしかない王座についていたということか?


「本来伝説のドラゴンが誕生すると同時に契約者を探さなければならない。

俺たちは6つの王座を守る者であって王座につくものではないからな。」

「でも、現在伝説のドラゴンは6つある王座に対して5体しかいない

我々伝説のドラゴンは意思が繋がってるから、誰かが死んだら知らせが来るのよ。」


淡々と言ってるけど内容怖いな。

でもそれは伝説のドラゴンという個体になってしまえば何かしら制御はされるのだとなんとなく納得してしまった。

それがまさか同胞の死なんて悲しすぎるだろ。


「しかし、ツキカゲは良かったの?

150年前まで仲良しだったあいつの止めを刺したのはお前だろ?」


まさかの誰が殺したのかまでわかるシステムなのね。

ちらりとツキカゲの顔色を伺っていると、どういうわけか涼しい顔をしていた。

なんでそんなに平然としていられるか理解できない。


「なんで...そんな平然とした顔をしてられるのよ。

自分の手でかつての仲間殺しておいてなんともないの?」

「カナ?」



段々と荒々しくなる声色に首をかしげてどうかしたのかと手を伸ばしてきた彼の手を私は叩いた。


「仲間とわかっていてどうしてカリンを殺したの!

話すとか何かしらあったでしょう!?

カリンは今でもあの世界で自分の記憶にあるものだけを何度も見続けてあなた達伝説のドラゴンを見守ってるのよ!」

「カリン...まさかお前あいつに名前を...!」


そうさ、私は彼に名前をつけたさ。それも彼にあった素敵な名前だ。

ツキカゲは月の類義語の月影から、カリンは太陽を意味する火輪から。二人は対になっていて面白そうだからとかいう私の身勝手な思いで名前を与えた。


「シロさん、ツキカゲを抑えておいてください。

しばらく一人になりたいので。」

「はいはい...ツキカゲ、スキルとか使ってカナの心に干渉したらその顔面を殴るからね。」


こればかりは仕方がないと思ったのか、シロさんは私の言う通り自分の弟を押さえつけて片手で手を振った。


「できればあまり遠くにいかないでね。

ここもいずれ帝国の犬がやってくるだろうから。」


最後に聞いたのはそれだけだった。

走って、花畑を駆け抜けて行った先にある森は今の私に丁度良いだろう。

私一人だけが走る足音と、時々聞こえるすすり泣く声は全部私のものだ。

何をやってるんだか

二十歳にもなって癇癪起こして泣いてしまいには相棒を突き放してしまった。


「はぁ...異世界に来てから色々あったけど、さっきのは一番きつかったな。」


まさか自分が信じていた相棒があんなにも冷酷なドラゴンだったなんて思いもしなかった。

辛いし少しだけ眠ってしまおう

そうすればきっとまた彼に会えるから。

段々と重くなる瞼に逆らう必要はない、だって私がそれを望んでいるから。
























さらさらと私の頬を撫でる緑色の手をとって目を開けると、そこは先程まで私がいた場所ではなかった。

そう、役目を終えた伝説達の眠る場所。言わば最終地点だ




「全く...お前は知れば知るほどにおかしな人間だ。

カナ、もうこの世界に来るのはやめろ」


私を呼ぶ声に惹かれて振り向くと、そこには前と同じ赤毛の青年が呆れた顔でこちらを見てきた。

どうも彼は私のことを気にはしているようだが、好きではないらしい。


「嫌われるようなことしたのなら謝るよ。」

「俺は謝られるようなことをさせるためにお前の元に現れたわけではない。

大体、お前が俺に名前をつけなければ俺はもっと自由に好きな場所にまた別の生き物になれたというのに。」


ぷりぷりと起こっているのはわかるのだが、私が要因となっているところの意味がわからない。

なぜ私が彼に名前をつけただけで彼は縛られるといった発言をするのだろうか。


「まさかとは思うがお前...何も知らずに俺に名前をつけたな?

しかもこの伝説の楽園レジェンド・パラディンで!」


ふむ、つまりこの世界で名付けをすればとんでもないことが起きるというのか。


「私はあなたにカリンという名前をつけたよ。でもそれはあなたを呼ぶと気に便利だったから。」

「はあ...生涯そばにいるという魂の束縛よりもお前は利便性を選んだのかよ。

お前のその怠惰な性格のせいで俺はお前のそばにいられるような存在に転生しなければならないんだぞ!ちょっとは反省しろ!」


めちゃくちゃ怒ってる...のか?

声は怒っているのに顔は少し喜んでいるように見えるのは私の気の所為?


「反省したところで何も変わらないじゃん。」

「あぁそうさ。ここで俺が何度文句を言おうが、お前がいくら反省しようとしたところで俺の転生先は決まっているのさ。

今日でこの世界も最後だ。現実世界でまた会おうぜ」


人差し指を私の額に押し当ててきたものだから反射的に目を閉じると急に意識が遠のく感覚に襲われた。

嘘だろこの世界に来ると時間の感覚がわからなくなるけどいくらなんでも今回は早すぎるよ。

口を開くことさえも億劫になるこれも最後になるというのか。

少し残念な気がしなくもない。


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