97 / 171
95話
しおりを挟む
先程の柔らかくも硬いカーペットとは違う石畳の地面
コツコツとヒールの鳴り響く廊下を抜けてたどり着いた先は固く閉ざされた鉄製の扉。
行く手を阻むのは扉だけでなく宝物庫を守る屈強な体つきが特徴的な馬の獣人二人。
馬の獣人と言っても人間の血が強いのか馬の要素は立派な足のみだ。
「先程、宰相のバンガル様から貴方様のことは聞きました。
今宝物庫の鍵をお開けしますのでしばしお待ちを」
とても丁寧な敬語を使ってくるものだから、そんなに気を使わないでほしいと言おうとしたがやめた。
いちいち突っ込んでいられるほど今の私達には時間はないと思ったから。
ガチャリと鍵が開く音が響き、重たい鉄の扉が開かれた先の光景を見て目を見開いた。
これはどう見ても
「遺跡?」
私が探し求めていたダーウィン王国の遺跡は宝物庫になっていました。
一体何をどう考えたら遺跡を宝物庫にしちゃおう!と言った結果になるんだ。
いやそもそもここは遺跡なのだろうか
「どうかしたのカナ?ここがあなたが行きたがっていたダーウィン遺跡よ。」
ここなのかよ
シロさんは私の方を見て首をかしげてそう言ってきたかと思えばそれに加えて説明もしてくれた。
「ダーウィン王国が建国されたきっかけはこの初代国王のチャールズ・ロバート・ダーウィンという人間。
もともと獣人が集まる村として慎ましく暮らしてきた人間の貴族だったんだけど、家族の誰よりも獣人に興味を示して観察している中で、獣人特有の病気を発見して解明して治療法まで見つけた獣人の英雄よ。」
なるほど、前世とはそんなに変わらないのね。
生まれ変わっても科学者としての魂は消えなかったと言うことか。
というかシロさんの説明はまだ続いてた。
「そんなダーウィンなんだけど、国民は今でも英雄であり神である彼を讃えて信仰しているみたいよ。
歴代の国王はダーウィンの意思を繋いできた証拠としてこの遺跡が守られてきた。
もしかしてカナ、観光するノリで遺跡を見れると思ってた?」
おおお思ってないけどぉぉぉぉ!?
自分が考えていたことを見抜かれ、一瞬にして体が硬直してしまい何も言い返せずにいると、図星であることがバレてため息をつかれた。
誰かがこんなことだろうと思ったとか言ってたけどその後すぐに私をフォローしてくれる人がいた。
「この遺跡にはダーウィンが遺した研究結果やらなんやらが保管されているからね…わかりやすく言うならこの空間そのものが国宝なのよ。」
なるほどね…そりゃあ簡単には入れないわ
私達は王様からの褒美として特別に入ることが出来たけど、本来は入れば重罪なんだろうな。
奥に進んで行くとそこに広がるのはダーウィンが遺してきたであろう手記の数々
よーく見るとイギリス英語で綴られている物もあるな。
「それは暗号文が書かれたメモね…未だに謎が解明されていない文なのだけど、カナはわかるの?」
じっと英文のメモを見ていた私の隣に来たのはシロさんだった。
未だに謎が解明されていないメモね…確かに筆記体で書かれている分難しいかもね。
それにアメリカ英語とイギリス英語では発音やスペルに違いがあるから気をつけて読まないと分からない事がある。
このメモに書かれているのは…
「“3日後の夜に仕掛ける…?”
どうやら何かをすることを忘れない為に書いたメモみたいだけど何を仕掛けるかまでは書かれてないわね。」
何気なく筆記体の英文を読み上げて呟くと、隣にいたシロさんはピタリと動きを止めた。
まるで私がスラスラと読んだことが衝撃的ですと言っているようでとてもわかりやすい表情だった。
そういえば、こちらの世界の人間は翻訳スキルがあっても私達の世界の文字は解読出来ないんだった。
出来る奴は私やマアヤのような異世界召喚者か、私達と同じ世界から転生してきた者ぐらいか。
マアヤは日本語とロシア語、あとはアメリカ英語なら読み書き出来るらしい…それはそれですごいな。
「あ…そっか、ツキカゲが普通に私が日本語で書いたレシピブック読んでたからそれを当たり前だと思ってた。」
ツキカゲは料理本で出た文字だけ読み書きが出来る。それが普通だと思っていた私は平然とこの英文を読んでしまった。
こりゃあ王様に呼び出されそうだな…それかシロさんに異世界の文字について教える羽目になるか?
「カナ…こっちはアメリカ英語になってるよ」
「えっ?どれどれ…。」
突然マアヤからそう言われて、今のシロさんから逃げれるチャンスだと思いシロさんの横を通ってマアヤの隣に立つと、目の前には確かにアメリカ英語で書かれた日記があった。
そこに書かれていたのは生前のダーウィンが隠したかった秘密の日記
今まで解読されてなかったのが奇跡であろう
彼が書いた日記…それはとても素敵な物語
コツコツとヒールの鳴り響く廊下を抜けてたどり着いた先は固く閉ざされた鉄製の扉。
行く手を阻むのは扉だけでなく宝物庫を守る屈強な体つきが特徴的な馬の獣人二人。
馬の獣人と言っても人間の血が強いのか馬の要素は立派な足のみだ。
「先程、宰相のバンガル様から貴方様のことは聞きました。
今宝物庫の鍵をお開けしますのでしばしお待ちを」
とても丁寧な敬語を使ってくるものだから、そんなに気を使わないでほしいと言おうとしたがやめた。
いちいち突っ込んでいられるほど今の私達には時間はないと思ったから。
ガチャリと鍵が開く音が響き、重たい鉄の扉が開かれた先の光景を見て目を見開いた。
これはどう見ても
「遺跡?」
私が探し求めていたダーウィン王国の遺跡は宝物庫になっていました。
一体何をどう考えたら遺跡を宝物庫にしちゃおう!と言った結果になるんだ。
いやそもそもここは遺跡なのだろうか
「どうかしたのカナ?ここがあなたが行きたがっていたダーウィン遺跡よ。」
ここなのかよ
シロさんは私の方を見て首をかしげてそう言ってきたかと思えばそれに加えて説明もしてくれた。
「ダーウィン王国が建国されたきっかけはこの初代国王のチャールズ・ロバート・ダーウィンという人間。
もともと獣人が集まる村として慎ましく暮らしてきた人間の貴族だったんだけど、家族の誰よりも獣人に興味を示して観察している中で、獣人特有の病気を発見して解明して治療法まで見つけた獣人の英雄よ。」
なるほど、前世とはそんなに変わらないのね。
生まれ変わっても科学者としての魂は消えなかったと言うことか。
というかシロさんの説明はまだ続いてた。
「そんなダーウィンなんだけど、国民は今でも英雄であり神である彼を讃えて信仰しているみたいよ。
歴代の国王はダーウィンの意思を繋いできた証拠としてこの遺跡が守られてきた。
もしかしてカナ、観光するノリで遺跡を見れると思ってた?」
おおお思ってないけどぉぉぉぉ!?
自分が考えていたことを見抜かれ、一瞬にして体が硬直してしまい何も言い返せずにいると、図星であることがバレてため息をつかれた。
誰かがこんなことだろうと思ったとか言ってたけどその後すぐに私をフォローしてくれる人がいた。
「この遺跡にはダーウィンが遺した研究結果やらなんやらが保管されているからね…わかりやすく言うならこの空間そのものが国宝なのよ。」
なるほどね…そりゃあ簡単には入れないわ
私達は王様からの褒美として特別に入ることが出来たけど、本来は入れば重罪なんだろうな。
奥に進んで行くとそこに広がるのはダーウィンが遺してきたであろう手記の数々
よーく見るとイギリス英語で綴られている物もあるな。
「それは暗号文が書かれたメモね…未だに謎が解明されていない文なのだけど、カナはわかるの?」
じっと英文のメモを見ていた私の隣に来たのはシロさんだった。
未だに謎が解明されていないメモね…確かに筆記体で書かれている分難しいかもね。
それにアメリカ英語とイギリス英語では発音やスペルに違いがあるから気をつけて読まないと分からない事がある。
このメモに書かれているのは…
「“3日後の夜に仕掛ける…?”
どうやら何かをすることを忘れない為に書いたメモみたいだけど何を仕掛けるかまでは書かれてないわね。」
何気なく筆記体の英文を読み上げて呟くと、隣にいたシロさんはピタリと動きを止めた。
まるで私がスラスラと読んだことが衝撃的ですと言っているようでとてもわかりやすい表情だった。
そういえば、こちらの世界の人間は翻訳スキルがあっても私達の世界の文字は解読出来ないんだった。
出来る奴は私やマアヤのような異世界召喚者か、私達と同じ世界から転生してきた者ぐらいか。
マアヤは日本語とロシア語、あとはアメリカ英語なら読み書き出来るらしい…それはそれですごいな。
「あ…そっか、ツキカゲが普通に私が日本語で書いたレシピブック読んでたからそれを当たり前だと思ってた。」
ツキカゲは料理本で出た文字だけ読み書きが出来る。それが普通だと思っていた私は平然とこの英文を読んでしまった。
こりゃあ王様に呼び出されそうだな…それかシロさんに異世界の文字について教える羽目になるか?
「カナ…こっちはアメリカ英語になってるよ」
「えっ?どれどれ…。」
突然マアヤからそう言われて、今のシロさんから逃げれるチャンスだと思いシロさんの横を通ってマアヤの隣に立つと、目の前には確かにアメリカ英語で書かれた日記があった。
そこに書かれていたのは生前のダーウィンが隠したかった秘密の日記
今まで解読されてなかったのが奇跡であろう
彼が書いた日記…それはとても素敵な物語
0
お気に入りに追加
689
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる