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93話
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翌日、ギルドに向かえば何やら忙しいようで役員がバタバタしていた。
「なにかあったんですか?」
受付嬢の元に行き聞いてみれば、目を丸くして「いたー!」とか叫んで私を指さしてきた。
まるで私が指名手配犯のようではないか
というか何をどうすれば私が指名手配犯になる?
やらかしたことといえば、ドラゴンと契約して脱獄したり、一国の聖女様を連れ去ったり…
あっれ~?心当たりしかないぞぉ?
「見つけましたよ…!昨日のトロル集団襲撃事件を解決した人間の冒険者!
黒髪の男女2人組は貴方達以外はこの国にはいませんから!」
どうやら指名手配犯とかではなく普通に私達を探していたみたい。
それにしてもトロル集団を討伐したことがそんなにすごいことかね?
すごいのはどちらかと言うとツキカゲでしょうが。
まあそんなことはどうでもいいや
「えっと…私達に用があるのですか?
これからこの子を使い魔の仮登録したいし、遺跡にも向かいたいので手短にお願いしたいのですが…。」
「わかっていますよ!働く人に時間の無駄遣いをさせてはいけない、この国では常識ですから!」
そうなんだ知らなかったよそれは
とりあえずマオウを抱き上げて事情説明をすると、受付嬢さんは使い魔の仮登録をして専用のスカーフを巻き付けてくれた。
すると信じられないことが起きた
「あのマオウが眉間に皺を寄せてる…」
「こいつって眉あったか?」
眉毛はないけど筋肉はあるみたいでスカーフを巻いた瞬間すごく機嫌が悪くなってしまった。
ゆらゆら揺れてるしっぽを床に叩きつけてるし完全にイライラしている様子が猫そのものだ。
こいつが食ってるのはドッグフードなのに態度は猫である…ナニコレ
もしかして首になにかが巻き付く感覚が苦手なのだろうか?
とりあえずここはポジティブな発言をして気をそらすようにしよう。
「マオウ似合ってるよ!額の魔石と同じ色でマオウの色だね!」
とにかく褒めちぎって声掛けを続けていると、少しずつ眉間のシワがなくなってしっぽがいつものように揺れている。
いい子だと優しく頭を撫でて笑うと、マオウは私の目をじっと見て再び抱き上げられるために前足を私の膝に乗せた。
どうもこういった態度は猫のようでわけがわからなくなるよ…でもそれがマオウなのだろう。
「あっ…そうでしたカナさん!
昨日の事件について我が国の王が礼を言いたいと伝言を預かっていたんでした!」
それ今言う?
絶対それ今言うべきことじゃないよね?もっと早く言うべきことだよ。
国王陛下からの伝言…どうしようか
場合によっては指名手配犯ってことがあちらにバレている可能性も視野に入れなければならないし、あとは私とマアヤは異世界から来た人間だし、ツキカゲは伝説のドラゴンだし!
「私とツキカゲに加えてマアヤが仲間入りしてパーティが作れると思った矢先に国王陛下からのお呼び出し…無理無理メンタル死んじゃう。」
「ツキカゲさん…カナってこんな性格してましたっけ?」
私の横で哀れみの目を向ける人々が怖いよ
マアヤは私の背を優しく撫でて安心させようとしてくれているし、抱っこされてるマオウは私の腰にしっぽを巻き付けてきた。
なぜ私の周りにはこんなにも優しい存在がいるんだ。
自分よりも相手を優先するマアヤの優しさに私は心を痛めた。
「マアヤもマオウも優しいねぇ...。ゴリゴリ削れた精神が修復されるよ
もういいや、ここは覚悟を決めて王様に会いに行こう!」
パチンと頬を両手で挟んで気合を入れる、とジタバタと足を動かしながらマオウが落ちた。
何も考えずにやった行動だからすぐに謝るとまたしっぽを床に叩きつけていらいらを表現していた。
「えっと...ごめんねマオウ」
「...。」
全く、マオウはよくわからない存在だから扱いが難しいな。
ツキカゲのほうが何倍も扱いやすいよ。
まあいいや、今は王様に会いに行ってさっさとやることを終わらせてしまおう。
じゃないと自分がやりたい事ができない。
「...で、どうやって王様と謁見することができるの?」
「あぁ駄目だこいつ。」
そんな額を抑えて俯かなくてもいいじゃん。
うちの黒髪の相棒は意外と人間らしいのかもしれない。
「なにかあったんですか?」
受付嬢の元に行き聞いてみれば、目を丸くして「いたー!」とか叫んで私を指さしてきた。
まるで私が指名手配犯のようではないか
というか何をどうすれば私が指名手配犯になる?
やらかしたことといえば、ドラゴンと契約して脱獄したり、一国の聖女様を連れ去ったり…
あっれ~?心当たりしかないぞぉ?
「見つけましたよ…!昨日のトロル集団襲撃事件を解決した人間の冒険者!
黒髪の男女2人組は貴方達以外はこの国にはいませんから!」
どうやら指名手配犯とかではなく普通に私達を探していたみたい。
それにしてもトロル集団を討伐したことがそんなにすごいことかね?
すごいのはどちらかと言うとツキカゲでしょうが。
まあそんなことはどうでもいいや
「えっと…私達に用があるのですか?
これからこの子を使い魔の仮登録したいし、遺跡にも向かいたいので手短にお願いしたいのですが…。」
「わかっていますよ!働く人に時間の無駄遣いをさせてはいけない、この国では常識ですから!」
そうなんだ知らなかったよそれは
とりあえずマオウを抱き上げて事情説明をすると、受付嬢さんは使い魔の仮登録をして専用のスカーフを巻き付けてくれた。
すると信じられないことが起きた
「あのマオウが眉間に皺を寄せてる…」
「こいつって眉あったか?」
眉毛はないけど筋肉はあるみたいでスカーフを巻いた瞬間すごく機嫌が悪くなってしまった。
ゆらゆら揺れてるしっぽを床に叩きつけてるし完全にイライラしている様子が猫そのものだ。
こいつが食ってるのはドッグフードなのに態度は猫である…ナニコレ
もしかして首になにかが巻き付く感覚が苦手なのだろうか?
とりあえずここはポジティブな発言をして気をそらすようにしよう。
「マオウ似合ってるよ!額の魔石と同じ色でマオウの色だね!」
とにかく褒めちぎって声掛けを続けていると、少しずつ眉間のシワがなくなってしっぽがいつものように揺れている。
いい子だと優しく頭を撫でて笑うと、マオウは私の目をじっと見て再び抱き上げられるために前足を私の膝に乗せた。
どうもこういった態度は猫のようでわけがわからなくなるよ…でもそれがマオウなのだろう。
「あっ…そうでしたカナさん!
昨日の事件について我が国の王が礼を言いたいと伝言を預かっていたんでした!」
それ今言う?
絶対それ今言うべきことじゃないよね?もっと早く言うべきことだよ。
国王陛下からの伝言…どうしようか
場合によっては指名手配犯ってことがあちらにバレている可能性も視野に入れなければならないし、あとは私とマアヤは異世界から来た人間だし、ツキカゲは伝説のドラゴンだし!
「私とツキカゲに加えてマアヤが仲間入りしてパーティが作れると思った矢先に国王陛下からのお呼び出し…無理無理メンタル死んじゃう。」
「ツキカゲさん…カナってこんな性格してましたっけ?」
私の横で哀れみの目を向ける人々が怖いよ
マアヤは私の背を優しく撫でて安心させようとしてくれているし、抱っこされてるマオウは私の腰にしっぽを巻き付けてきた。
なぜ私の周りにはこんなにも優しい存在がいるんだ。
自分よりも相手を優先するマアヤの優しさに私は心を痛めた。
「マアヤもマオウも優しいねぇ...。ゴリゴリ削れた精神が修復されるよ
もういいや、ここは覚悟を決めて王様に会いに行こう!」
パチンと頬を両手で挟んで気合を入れる、とジタバタと足を動かしながらマオウが落ちた。
何も考えずにやった行動だからすぐに謝るとまたしっぽを床に叩きつけていらいらを表現していた。
「えっと...ごめんねマオウ」
「...。」
全く、マオウはよくわからない存在だから扱いが難しいな。
ツキカゲのほうが何倍も扱いやすいよ。
まあいいや、今は王様に会いに行ってさっさとやることを終わらせてしまおう。
じゃないと自分がやりたい事ができない。
「...で、どうやって王様と謁見することができるの?」
「あぁ駄目だこいつ。」
そんな額を抑えて俯かなくてもいいじゃん。
うちの黒髪の相棒は意外と人間らしいのかもしれない。
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