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88話
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トロルまたはトロールとも言われるモンスター
それは様々な顔を持つと言われ、ある地方ではいたずら好き、またある地方では自慢のパワーで人類の発展に貢献したとされている。
しかし、共通して伝えられているのはどの地方のトロルも巨体を持ち顔立ちは醜いという。
確かにあんなはなたれ小僧をそのまま巨体にしたような気味の悪いモンスターはかなり印象が悪いのはわかるし、どこに行っても扱いが悪いイメージがすぐに付くから、仕方がないことだろう。
そしてそんなトロルの大群を率いている一回り小さいやつがボストロルらしい。
体のサイズが一回り小さくなることで知能が上がったことがそいつにとっての強みである。
「ボストロルがいれば部下もセットになると考えるのがこの世界の常識だから皆焦っていたのね。」
「そういうことだ。」
上空からボストロルが率いるトロルの軍勢の動きを見ながら腰に装備した愛刀を握りしめて、やってやるぞと心を震わせて呟くと、そのまま急降下をした。
「春風乱舞っ!」
落下運動に加えて体を捻って回転するとまずは一体のトロルを討伐した。
刃にベッタリとついた血を振り払って周りを見るとボストロルがこちらを凝視してきた。
突然現れて部下がやられたんだから当然か。
「あっ...あんなにでかいトロルを一発で!?」
動揺している声が聞こえたから振り向けば、チロルとよく似たリスの獣人と他の獣人冒険者がこちらを見てきた。
おいおい戦場で隙を見せたらアウトでしょうが
ぐっと足に力を入れて低姿勢で飛ぶように冒険者達の横を駆け抜けると、下からまた一体のトロルを斬り上げた。
汚い叫び声を上げるから気分が悪くなりそうだよ...素早く首を落として強制的に黙らせると、次の獲物を狙った。
切り刻んで私の中にある飢えを満たすように刃を振るうと気持ちよくなる程にトロルがバラバラになっていく。
これでその程度片付いたのかしら。
「隙をみせるな馬鹿」
冷静な声色で私の後ろのモンスターを一掃した音が聞こえて振り向いたら地面をえぐってトロルの亡骸すらない大地があって顔が引きつった。
「うわあ...地面ごとやるのはないわあ。
君は植物を大事にしようとか考えないの?」
「こんな状況で言えるお前はいつも通りだな。」
ガシガシと私の頭を撫でてぱっと離すと、すぐにまた警戒しろと言ってきたからすぐに戦闘態勢をとった。
トロルの群生は半壊状態で、自分たちがピンチであると悟った大半のトロルはボストロルの指示を無視して逃げ出してしまった。
ボストロルは下を向いたままピクリとも動かない
それをチャンスと考えたのは獣人の冒険者達だった。
「今のうちにボストロルをやれっ!」
誰かがそう叫んで皆がボストロルに向かって突進していく。
だめだ!そんなことしたらいけない!
それこそボストロルの思うつぼだ。
今自分にできる全力疾走で誰よりも早く走るとニヤリと笑うボストロルに向かって突進をした。
握った拳に噛みつかれようが歯を食いしばって火を纏った拳に変換すると奴を後退させて食いちぎられるのを防いだ。
前にカリンが私の体に入って炎の魔法を調整してくれたのが感覚としてまだ残っていたのはわかっていたけど、今のはかなり上手くいったような気がする。
もしかして...
「(また私の体を通して外の世界を見てるの?カリン)」
炎の制御を苦手としている私が咄嗟に炎の拳を使えるわけがない。
前に岩サイを倒したときはサイが突進してくるまでの間に時間があったから炎の魔力を練ることが出来たから。
今回はそんな時間なかった、よって私はこれをカリンが私の体に入っているサインだと考えたのだが...。
__お前が炎を使いこなすのには時間がかかる…だから今ここで練習しろ
突然頭に響く声に驚いてうおっ!?…と声を上げて驚くと、周りにいた人は私をおかしな目で見てきて恥ずかしかった。
突然話しかけないでもらいたいよ本当に…とカリンを恨んでも仕方が無いので、頭の中で響く奴の指摘する言葉を聞きながらボストロールを倒すことにした。
「全部一発で決めてやる…!」
ニヤリと笑って拳同士をぶつけて発火した炎をまとった私は、現段階で一番強いよ。
それは様々な顔を持つと言われ、ある地方ではいたずら好き、またある地方では自慢のパワーで人類の発展に貢献したとされている。
しかし、共通して伝えられているのはどの地方のトロルも巨体を持ち顔立ちは醜いという。
確かにあんなはなたれ小僧をそのまま巨体にしたような気味の悪いモンスターはかなり印象が悪いのはわかるし、どこに行っても扱いが悪いイメージがすぐに付くから、仕方がないことだろう。
そしてそんなトロルの大群を率いている一回り小さいやつがボストロルらしい。
体のサイズが一回り小さくなることで知能が上がったことがそいつにとっての強みである。
「ボストロルがいれば部下もセットになると考えるのがこの世界の常識だから皆焦っていたのね。」
「そういうことだ。」
上空からボストロルが率いるトロルの軍勢の動きを見ながら腰に装備した愛刀を握りしめて、やってやるぞと心を震わせて呟くと、そのまま急降下をした。
「春風乱舞っ!」
落下運動に加えて体を捻って回転するとまずは一体のトロルを討伐した。
刃にベッタリとついた血を振り払って周りを見るとボストロルがこちらを凝視してきた。
突然現れて部下がやられたんだから当然か。
「あっ...あんなにでかいトロルを一発で!?」
動揺している声が聞こえたから振り向けば、チロルとよく似たリスの獣人と他の獣人冒険者がこちらを見てきた。
おいおい戦場で隙を見せたらアウトでしょうが
ぐっと足に力を入れて低姿勢で飛ぶように冒険者達の横を駆け抜けると、下からまた一体のトロルを斬り上げた。
汚い叫び声を上げるから気分が悪くなりそうだよ...素早く首を落として強制的に黙らせると、次の獲物を狙った。
切り刻んで私の中にある飢えを満たすように刃を振るうと気持ちよくなる程にトロルがバラバラになっていく。
これでその程度片付いたのかしら。
「隙をみせるな馬鹿」
冷静な声色で私の後ろのモンスターを一掃した音が聞こえて振り向いたら地面をえぐってトロルの亡骸すらない大地があって顔が引きつった。
「うわあ...地面ごとやるのはないわあ。
君は植物を大事にしようとか考えないの?」
「こんな状況で言えるお前はいつも通りだな。」
ガシガシと私の頭を撫でてぱっと離すと、すぐにまた警戒しろと言ってきたからすぐに戦闘態勢をとった。
トロルの群生は半壊状態で、自分たちがピンチであると悟った大半のトロルはボストロルの指示を無視して逃げ出してしまった。
ボストロルは下を向いたままピクリとも動かない
それをチャンスと考えたのは獣人の冒険者達だった。
「今のうちにボストロルをやれっ!」
誰かがそう叫んで皆がボストロルに向かって突進していく。
だめだ!そんなことしたらいけない!
それこそボストロルの思うつぼだ。
今自分にできる全力疾走で誰よりも早く走るとニヤリと笑うボストロルに向かって突進をした。
握った拳に噛みつかれようが歯を食いしばって火を纏った拳に変換すると奴を後退させて食いちぎられるのを防いだ。
前にカリンが私の体に入って炎の魔法を調整してくれたのが感覚としてまだ残っていたのはわかっていたけど、今のはかなり上手くいったような気がする。
もしかして...
「(また私の体を通して外の世界を見てるの?カリン)」
炎の制御を苦手としている私が咄嗟に炎の拳を使えるわけがない。
前に岩サイを倒したときはサイが突進してくるまでの間に時間があったから炎の魔力を練ることが出来たから。
今回はそんな時間なかった、よって私はこれをカリンが私の体に入っているサインだと考えたのだが...。
__お前が炎を使いこなすのには時間がかかる…だから今ここで練習しろ
突然頭に響く声に驚いてうおっ!?…と声を上げて驚くと、周りにいた人は私をおかしな目で見てきて恥ずかしかった。
突然話しかけないでもらいたいよ本当に…とカリンを恨んでも仕方が無いので、頭の中で響く奴の指摘する言葉を聞きながらボストロールを倒すことにした。
「全部一発で決めてやる…!」
ニヤリと笑って拳同士をぶつけて発火した炎をまとった私は、現段階で一番強いよ。
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