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81話
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洞窟タイプのダンジョンは開放感のある野外とは違って派手に動き回ることはできないのがほとんどだ。
だから必要最低限の動きで確実に魔物を仕留める技術が必要になる
「例えばここにホブゴブリンがいるだろ?
体型は人間に近いからこうすれば...首が折れる」
「うん、必要最低限の動きだけどそれ怖いね」
お互いに真顔で話をするから余計にこの状況が他の人達から見れば狂気じみたものであるのは確定である
そんな感じの私達はただひたすらにダンジョンの奥へと進んだ。
奇襲をかけてくるモンスターは気配察知のスキルで対応できるけど、時々そのスキルを無効化するようなモンスターもいるから面倒くさい
「うーん...大分奥に進んだけどボスらしきモンスターはいないね」
「おそらく隠し通路があってそこにいるのだろうな」
そう言ってツキカゲはなんの変哲もなさそうな壁に手を添えて体重をかけた
ドンガラガッシャーン!!
なぜ体重をかけただけでそんな派手な音が鳴るのか...崩れた岩壁の欠片を手に持って理解した
「ツキカゲ...あんた今厚さ50センチの壁を壊したことになるんだけど」
一瞬彼ってそんなに重かったっけ?と疑問を抱いたけどもうやめた...だって目の前にいるのは全てが規格外の伝説のドラゴンだ
この程度の壁なんざ簡単に粉々にできるとか言いそうなんだわ
「おいカナ
何をぼーっとしてるんだ」
我に返って目の焦点を合わせると隠し通路の奥をちらりと見て確認した。
「そういえばツキカゲって私と出会う前は洞窟に引きこもってたんだよね
洞窟のプロフェッショナルってこと?」
「引きこもっていたと言うよりは洞窟にいた魔物を食い尽くしていたと言った方が正しいな
というかなんで知ってるんだ?」
あぁそういえばこの情報は本来私が知らないはずの情報だ
私が伝説の楽園に行った時にカリンから教えてもらったことをツキカゲに言ってないんだ
どうしよう…言うべきなのかな?
「…今は言えない
言える時が来るまで待っててくれる?」
結局は待たせることになる
カリンになんの許可もなしに真実を伝えればまた彼らの間の溝が深くなってしまうかもしれないから
それを伝えればツキカゲは少し黙った後にわかったと呟いた。
「それはそうと…ダンジョンボスのお出ましだ」
ニヤリと笑って見つめる先に佇む巨体
おしゃべりしながら歩き続けていたから存在に気づかなかったのもあるけどこのボスはどういう訳か生気が感じられない
すると隣で魔力を練っている姿が見えて私はぎょっとした
「ちょっとツキカゲさん…?
このダンジョンを壊す気なの!?」
とんでもない高密度の魔力を目の当たりにして私は驚きを隠せずにいた…と言うよりも隠す気ゼロである
「まあ見ていろ…俺様はなんの考えもなしに魔法を放つような馬鹿ではない」
と言って片手を銃の形にして標的を狙う
十分に圧縮した魔力を撃った先にいるのはもちろん巨大なダンジョンボスである
まだ動いてすらいないのにそれを倒すのは酷いのでは?
しかし私が予想してた事と現実は全く違ったのだ
あれ程の高密度の魔力弾を受けたはずなのに傷一つついていなかった
それどころかその瞬間ボスは動き出したのだ。
「どういう訳か説明してくれないと戦わないわよ…」
「そう急かすな
あれはありとあらゆる魔力及び魔法を吸収する魔石をコアにするゴーレムだ
しかも吸収した魔力の分動き出す」
簡単な説明を耳にして私は真っ青になった
先程ツキカゲはありえない高密度の魔力弾を撃って、ゴーレムはそれを全部吸収した
ということは…だ
今のゴーレムはツキカゲ並に強いという訳
「ふざけんなこのドラゴンめ」
「これが終わったら帰って飯にするぞー」
明らかに棒読みの彼をキッと睨みつけてため息を着くと腰のナイフに手を伸ばす
魔力も魔法も吸収して自分のものにしてしまうゴーレムを倒す方法を考えなければ
この戦っている最中に!
「対戦、よろしくお願いします…!」
だから必要最低限の動きで確実に魔物を仕留める技術が必要になる
「例えばここにホブゴブリンがいるだろ?
体型は人間に近いからこうすれば...首が折れる」
「うん、必要最低限の動きだけどそれ怖いね」
お互いに真顔で話をするから余計にこの状況が他の人達から見れば狂気じみたものであるのは確定である
そんな感じの私達はただひたすらにダンジョンの奥へと進んだ。
奇襲をかけてくるモンスターは気配察知のスキルで対応できるけど、時々そのスキルを無効化するようなモンスターもいるから面倒くさい
「うーん...大分奥に進んだけどボスらしきモンスターはいないね」
「おそらく隠し通路があってそこにいるのだろうな」
そう言ってツキカゲはなんの変哲もなさそうな壁に手を添えて体重をかけた
ドンガラガッシャーン!!
なぜ体重をかけただけでそんな派手な音が鳴るのか...崩れた岩壁の欠片を手に持って理解した
「ツキカゲ...あんた今厚さ50センチの壁を壊したことになるんだけど」
一瞬彼ってそんなに重かったっけ?と疑問を抱いたけどもうやめた...だって目の前にいるのは全てが規格外の伝説のドラゴンだ
この程度の壁なんざ簡単に粉々にできるとか言いそうなんだわ
「おいカナ
何をぼーっとしてるんだ」
我に返って目の焦点を合わせると隠し通路の奥をちらりと見て確認した。
「そういえばツキカゲって私と出会う前は洞窟に引きこもってたんだよね
洞窟のプロフェッショナルってこと?」
「引きこもっていたと言うよりは洞窟にいた魔物を食い尽くしていたと言った方が正しいな
というかなんで知ってるんだ?」
あぁそういえばこの情報は本来私が知らないはずの情報だ
私が伝説の楽園に行った時にカリンから教えてもらったことをツキカゲに言ってないんだ
どうしよう…言うべきなのかな?
「…今は言えない
言える時が来るまで待っててくれる?」
結局は待たせることになる
カリンになんの許可もなしに真実を伝えればまた彼らの間の溝が深くなってしまうかもしれないから
それを伝えればツキカゲは少し黙った後にわかったと呟いた。
「それはそうと…ダンジョンボスのお出ましだ」
ニヤリと笑って見つめる先に佇む巨体
おしゃべりしながら歩き続けていたから存在に気づかなかったのもあるけどこのボスはどういう訳か生気が感じられない
すると隣で魔力を練っている姿が見えて私はぎょっとした
「ちょっとツキカゲさん…?
このダンジョンを壊す気なの!?」
とんでもない高密度の魔力を目の当たりにして私は驚きを隠せずにいた…と言うよりも隠す気ゼロである
「まあ見ていろ…俺様はなんの考えもなしに魔法を放つような馬鹿ではない」
と言って片手を銃の形にして標的を狙う
十分に圧縮した魔力を撃った先にいるのはもちろん巨大なダンジョンボスである
まだ動いてすらいないのにそれを倒すのは酷いのでは?
しかし私が予想してた事と現実は全く違ったのだ
あれ程の高密度の魔力弾を受けたはずなのに傷一つついていなかった
それどころかその瞬間ボスは動き出したのだ。
「どういう訳か説明してくれないと戦わないわよ…」
「そう急かすな
あれはありとあらゆる魔力及び魔法を吸収する魔石をコアにするゴーレムだ
しかも吸収した魔力の分動き出す」
簡単な説明を耳にして私は真っ青になった
先程ツキカゲはありえない高密度の魔力弾を撃って、ゴーレムはそれを全部吸収した
ということは…だ
今のゴーレムはツキカゲ並に強いという訳
「ふざけんなこのドラゴンめ」
「これが終わったら帰って飯にするぞー」
明らかに棒読みの彼をキッと睨みつけてため息を着くと腰のナイフに手を伸ばす
魔力も魔法も吸収して自分のものにしてしまうゴーレムを倒す方法を考えなければ
この戦っている最中に!
「対戦、よろしくお願いします…!」
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