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80話
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ツキカゲは淡々と岩サイの特徴や弱点を説明していた。
聞けば聞くほど生態は私の世界にいたサイと変わらんな
例えば硬くて分厚い皮膚を持っていたり、あの硬い皮膚の上に泥遊びで浴びた泥で固めた鎧を纏っている
鼻の上にある角はこっちの世界のほうが立派だな...とか呟きながら、突進してくるヤツの頭上を飛び越えるようにハイジャンプをきめた。
「岩サイのオスはは縄張りが広いうえに一切の侵入も許さない
縄張りに入ればしつこいぞ」
ほら、と言って指をさす方向には先程突進してきた岩サイがもう次の突進の準備をしていた。
もちろんどの生物にも弱点というものはある
もし私の知ってるサイならば弱点は熱なのではないか?
「サイは人間に比べて体温が低い、人間の微熱はサイにとっては高熱だからね...
よって岩サイの弱点は高温の炎と見た!」
我ながら名推理だと思う
すると再び突進してきた岩サイは真っすぐ私の方に走ってきた。
弱者からやるとか男じゃないぞ
なんてのんきなことを言う私の頭は狂っているが、ちゃんと自覚してるからセーフということで
「おお~カナは鋭いな
お前の言う通り岩サイは高温の熱に弱い青混じりの炎を吹いてたあいつはよく岩サイを焼き殺してたな
毎度シロに説教食らってたな」
熱が弱点なのはわかったけどあいつとは誰なんだ?
疑問を抱きながら再び跳んで突進を回避すると体中の温度を高めるように魔力の流れを早めた。
私たちがここに来た目的は強くなるためであって、とにかく目の前にいる魔物を倒して力をつけることである
「カリン直伝、フレイムナックル!」
魔力で最大まで高めた熱の塊を右手に握った拳に集めた
その炎を燃やす油は魔力、固く鉄のような拳を握るのは
「根性だああああああ!」
横腹目掛けて打った拳にまとわりつく炎はサイに乗り移り、奴を苦しめる事となった。
どんなに強靭な皮膚や鎧を纏っていたとしても、熱に弱いんじゃあ意味がないよね
しかもあの苦しみ様は皮膚が耐熱性じゃないとわかってしまうよ
「うーん...
これは上質な素材になるのかな?」
「まああいつよりかはマシだろ」
ドシンと派手に倒れてピクリとも動かなくなった岩サイを軽々と持ち上げているツキカゲの言葉に私は疑問を抱いた。
「さっきまでは戦闘中だったから聞けなかったんだけど、あいつって誰なの?」
するとまるで聞かないでほしいといった顔をするから聞くのをやめた
ツキカゲにとってのあいつが思い出したくもない対象の人物なら聞かないでおくのが、相棒である私がするべき行動でしょう?
とにかく今日はまだ始まったばかりなんだ
もっといろんな魔物と戦ってみたい
「マアヤが頑張っている分私も頑張りたいんだよね」
「カナらしいといえばカナらしいな
ではこの先にあるダンジョンに挑んでみるのはどうだ?」
それがデートのお誘いだったら女性百人のうち百人が怒って顔にビンタするよ
「ふふっ...よろこんで」
今の私なら笑顔でそれを受け入れるよ
自然と上がった口角をそのままに彼が差し伸べる手をとり前に進むことにした
それが私の選択ならそれでいいでしょう
今からダンジョンに入るのが楽しみになってきたな
仲良く手をつないで歩く私はツキカゲに、これから行くダンジョンはどんな魔物がいるのか聞いた。
「先程とは違って随分と機嫌がいいな」
やっぱりわかってしまうのか
「いやぁ、誰かが前にいるってこんなに嬉しいことなんだなって今になって思うようになっちゃってさ...」
よく考えればこの国に来てからツキカゲと一緒にどこかへいくなんてなかったからな
人間というのは当たり前の出来事が失ってその時はじめて当たり前がどれほど尊いものだったのか気づく
残念なことに、失う前に当たり前がどれほど大切かを知るのは不可能に近い。
「一度ツキカゲと何日も離れて行動することになって、一人で何も知らない世界を頑張って知ろうとすることに、少し面倒くさいと感じてしまったり怖くてたくさんの勇気が必要に感じたときもあった...。」
でもおかげで気づくことができたんだ
隣にいる伝説のドラゴン程そばにいて安心するものはない、だから彼が側にいることが私にとってはなによりも精神安定につながる
私はしばらく相棒であるツキカゲのそばを離れる気はない
「...カナ?
どうかしたか?」
...なんでもないよ
その言葉よりも笑って首を横に振ったほうが伝わるんだろうね
その理由は相棒だから
聞けば聞くほど生態は私の世界にいたサイと変わらんな
例えば硬くて分厚い皮膚を持っていたり、あの硬い皮膚の上に泥遊びで浴びた泥で固めた鎧を纏っている
鼻の上にある角はこっちの世界のほうが立派だな...とか呟きながら、突進してくるヤツの頭上を飛び越えるようにハイジャンプをきめた。
「岩サイのオスはは縄張りが広いうえに一切の侵入も許さない
縄張りに入ればしつこいぞ」
ほら、と言って指をさす方向には先程突進してきた岩サイがもう次の突進の準備をしていた。
もちろんどの生物にも弱点というものはある
もし私の知ってるサイならば弱点は熱なのではないか?
「サイは人間に比べて体温が低い、人間の微熱はサイにとっては高熱だからね...
よって岩サイの弱点は高温の炎と見た!」
我ながら名推理だと思う
すると再び突進してきた岩サイは真っすぐ私の方に走ってきた。
弱者からやるとか男じゃないぞ
なんてのんきなことを言う私の頭は狂っているが、ちゃんと自覚してるからセーフということで
「おお~カナは鋭いな
お前の言う通り岩サイは高温の熱に弱い青混じりの炎を吹いてたあいつはよく岩サイを焼き殺してたな
毎度シロに説教食らってたな」
熱が弱点なのはわかったけどあいつとは誰なんだ?
疑問を抱きながら再び跳んで突進を回避すると体中の温度を高めるように魔力の流れを早めた。
私たちがここに来た目的は強くなるためであって、とにかく目の前にいる魔物を倒して力をつけることである
「カリン直伝、フレイムナックル!」
魔力で最大まで高めた熱の塊を右手に握った拳に集めた
その炎を燃やす油は魔力、固く鉄のような拳を握るのは
「根性だああああああ!」
横腹目掛けて打った拳にまとわりつく炎はサイに乗り移り、奴を苦しめる事となった。
どんなに強靭な皮膚や鎧を纏っていたとしても、熱に弱いんじゃあ意味がないよね
しかもあの苦しみ様は皮膚が耐熱性じゃないとわかってしまうよ
「うーん...
これは上質な素材になるのかな?」
「まああいつよりかはマシだろ」
ドシンと派手に倒れてピクリとも動かなくなった岩サイを軽々と持ち上げているツキカゲの言葉に私は疑問を抱いた。
「さっきまでは戦闘中だったから聞けなかったんだけど、あいつって誰なの?」
するとまるで聞かないでほしいといった顔をするから聞くのをやめた
ツキカゲにとってのあいつが思い出したくもない対象の人物なら聞かないでおくのが、相棒である私がするべき行動でしょう?
とにかく今日はまだ始まったばかりなんだ
もっといろんな魔物と戦ってみたい
「マアヤが頑張っている分私も頑張りたいんだよね」
「カナらしいといえばカナらしいな
ではこの先にあるダンジョンに挑んでみるのはどうだ?」
それがデートのお誘いだったら女性百人のうち百人が怒って顔にビンタするよ
「ふふっ...よろこんで」
今の私なら笑顔でそれを受け入れるよ
自然と上がった口角をそのままに彼が差し伸べる手をとり前に進むことにした
それが私の選択ならそれでいいでしょう
今からダンジョンに入るのが楽しみになってきたな
仲良く手をつないで歩く私はツキカゲに、これから行くダンジョンはどんな魔物がいるのか聞いた。
「先程とは違って随分と機嫌がいいな」
やっぱりわかってしまうのか
「いやぁ、誰かが前にいるってこんなに嬉しいことなんだなって今になって思うようになっちゃってさ...」
よく考えればこの国に来てからツキカゲと一緒にどこかへいくなんてなかったからな
人間というのは当たり前の出来事が失ってその時はじめて当たり前がどれほど尊いものだったのか気づく
残念なことに、失う前に当たり前がどれほど大切かを知るのは不可能に近い。
「一度ツキカゲと何日も離れて行動することになって、一人で何も知らない世界を頑張って知ろうとすることに、少し面倒くさいと感じてしまったり怖くてたくさんの勇気が必要に感じたときもあった...。」
でもおかげで気づくことができたんだ
隣にいる伝説のドラゴン程そばにいて安心するものはない、だから彼が側にいることが私にとってはなによりも精神安定につながる
私はしばらく相棒であるツキカゲのそばを離れる気はない
「...カナ?
どうかしたか?」
...なんでもないよ
その言葉よりも笑って首を横に振ったほうが伝わるんだろうね
その理由は相棒だから
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