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79話
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マアヤがシロさんと一緒に薬学の勉強をしているというのに私は何もしないなんてことはしたくない
別にそんなルールがあるとかではないけど、私の中にあるポリシーというものだろうか
仲間が努力してる横で私が努力を怠るなんて嫌じゃ
といった精神的な問題である
「さてと...シロさんに言われて来たわけだけど
ツキカゲ、ここ何処?」
シロさんに言われてツキカゲに連れてこられたのはわかるのだが、こんな周り全てが岩だらけの平地以外になにもないのだが
「ここはダーウィン王国領土の最も端にある山地
森で出会うレッドボアやゴブリンなんかよりも手応えのある奴らが生息している
...と、シロから言われた」
なるほど全部シロさん任せということかフザケンナ
盛大にため息を付きながら腰に下げた愛刀をしっかりと手に握り、常に周りを警戒した。
こちとら大した準備もせずに相棒の背中に乗ってここまで来たからこれ以上の負担はかけたくない
彼には絶対に帰宅手段になってもらうから
「そういえば、ここら辺の魔物とか全然知らないんだけどツキカゲは知ってる?」
「...。」
私がツキカゲに問いかけても黙秘をするあたりこいつの性格の悪さが出ているようにも見える
まったく誰に似たんだか...
「お願いだからなんかいってよ...
うんともすんとも言わないのならせめてパオンでもいいから!」
「うん」
本当に言うのはバカのすることなんだよこのヤロウ
私中心に回る世界なんていらないから、神様でも仏様でもそのへんにいるネズミでもいいから誰か私に情報をください!
ここから叫びたくなるこの心情をどうやって表現すればいいのかわからない
一周回って冷静になった私の耳は妙な音を聞き取った。
ドドドド...と地響きのような明らかに何かが近づいてきているような気がしなくもない
隣ではまるで
それを待っていましたと言っているようなキラキラの笑顔で戦闘態勢をとっていた。
ということはつまりだ
「ツキカゲ...改めて聞くけど今近づいてくるあれを知っているんだよね?」
「クックック...いま近づいてくるのは岩サイといって名前の通り皮膚が岩のように硬い
...らしい!」
なぜそこの知識だけ曖昧なのか小一時間程問い詰めたいのだが!?
どんどんと近づいてくる地響きに警戒しながら体制を低くした
岩サイなんて私が暮らしてきた世界で聞くことのない名前なんだけど...
せめてその岩サイの生態だけでも調べられる時間がほしい
「くっそ...!
半竜化!」
丸めた背中に力を入れて生やしたそれを伸ばすと、今度は脚に力を入れて空に退避した。
遠くに見える土埃を確認しながらも羽を動かすことを止めないように意識をする
「なぜ逃げるんだ...岩サイくらいお前のそれで切れるだろう?」
「あのね...無知は時に命を落とすの!」
いつの間にか隣にいる彼は私とは違って背中だけにドラゴンの性質を表していた。
その顔はまるで私の行動が理解できないようで、私はため息をついた。
彼は世界に六体しかいない伝説のドラゴンであり人間ではないんだ
人間というのは強いようでとても弱いのだということを知ってほしいけど、私からいっても無駄だろうな
とにかく私が言いたいのは、予備知識もなしに弱い人間が魔物に勝てるわけないということだ。
「私はこの世界のことを何も知らないことをちゃんとわかっているのならナビゲーターの仕事を全うしてもらわないと困るんだけど...」
「!」
ようよく思い出したか馬鹿者めが
彼と私は初めてあったその日に契約をした
その内容は等価交換なんてものはなかったな...ただ血を与えてしまったから数十年共にいる代わりにこの世界のことを教えてと言っただけ
そんな契約するには軽すぎるようにも思える内容に最近になって自覚するようになった。
でもツキカゲにとってはそこまで気にするようなものではないのを私は知っている...というよりも気づいてしまったのだ。
「はぁ...俺様が契約違反をするところだった
すまなかったカナ
ではあの岩サイについて教えるとしよう」
そうだよ、それでいいんだ
今まで教えてくれた私はあなたの足を引っ張ることなく全てに勝つことができた。
私は相棒のツキカゲがいるからこの世界で生きようと思えるんだ。
別にそんなルールがあるとかではないけど、私の中にあるポリシーというものだろうか
仲間が努力してる横で私が努力を怠るなんて嫌じゃ
といった精神的な問題である
「さてと...シロさんに言われて来たわけだけど
ツキカゲ、ここ何処?」
シロさんに言われてツキカゲに連れてこられたのはわかるのだが、こんな周り全てが岩だらけの平地以外になにもないのだが
「ここはダーウィン王国領土の最も端にある山地
森で出会うレッドボアやゴブリンなんかよりも手応えのある奴らが生息している
...と、シロから言われた」
なるほど全部シロさん任せということかフザケンナ
盛大にため息を付きながら腰に下げた愛刀をしっかりと手に握り、常に周りを警戒した。
こちとら大した準備もせずに相棒の背中に乗ってここまで来たからこれ以上の負担はかけたくない
彼には絶対に帰宅手段になってもらうから
「そういえば、ここら辺の魔物とか全然知らないんだけどツキカゲは知ってる?」
「...。」
私がツキカゲに問いかけても黙秘をするあたりこいつの性格の悪さが出ているようにも見える
まったく誰に似たんだか...
「お願いだからなんかいってよ...
うんともすんとも言わないのならせめてパオンでもいいから!」
「うん」
本当に言うのはバカのすることなんだよこのヤロウ
私中心に回る世界なんていらないから、神様でも仏様でもそのへんにいるネズミでもいいから誰か私に情報をください!
ここから叫びたくなるこの心情をどうやって表現すればいいのかわからない
一周回って冷静になった私の耳は妙な音を聞き取った。
ドドドド...と地響きのような明らかに何かが近づいてきているような気がしなくもない
隣ではまるで
それを待っていましたと言っているようなキラキラの笑顔で戦闘態勢をとっていた。
ということはつまりだ
「ツキカゲ...改めて聞くけど今近づいてくるあれを知っているんだよね?」
「クックック...いま近づいてくるのは岩サイといって名前の通り皮膚が岩のように硬い
...らしい!」
なぜそこの知識だけ曖昧なのか小一時間程問い詰めたいのだが!?
どんどんと近づいてくる地響きに警戒しながら体制を低くした
岩サイなんて私が暮らしてきた世界で聞くことのない名前なんだけど...
せめてその岩サイの生態だけでも調べられる時間がほしい
「くっそ...!
半竜化!」
丸めた背中に力を入れて生やしたそれを伸ばすと、今度は脚に力を入れて空に退避した。
遠くに見える土埃を確認しながらも羽を動かすことを止めないように意識をする
「なぜ逃げるんだ...岩サイくらいお前のそれで切れるだろう?」
「あのね...無知は時に命を落とすの!」
いつの間にか隣にいる彼は私とは違って背中だけにドラゴンの性質を表していた。
その顔はまるで私の行動が理解できないようで、私はため息をついた。
彼は世界に六体しかいない伝説のドラゴンであり人間ではないんだ
人間というのは強いようでとても弱いのだということを知ってほしいけど、私からいっても無駄だろうな
とにかく私が言いたいのは、予備知識もなしに弱い人間が魔物に勝てるわけないということだ。
「私はこの世界のことを何も知らないことをちゃんとわかっているのならナビゲーターの仕事を全うしてもらわないと困るんだけど...」
「!」
ようよく思い出したか馬鹿者めが
彼と私は初めてあったその日に契約をした
その内容は等価交換なんてものはなかったな...ただ血を与えてしまったから数十年共にいる代わりにこの世界のことを教えてと言っただけ
そんな契約するには軽すぎるようにも思える内容に最近になって自覚するようになった。
でもツキカゲにとってはそこまで気にするようなものではないのを私は知っている...というよりも気づいてしまったのだ。
「はぁ...俺様が契約違反をするところだった
すまなかったカナ
ではあの岩サイについて教えるとしよう」
そうだよ、それでいいんだ
今まで教えてくれた私はあなたの足を引っ張ることなく全てに勝つことができた。
私は相棒のツキカゲがいるからこの世界で生きようと思えるんだ。
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