見た目幼女は精神年齢20歳

またたび

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76話

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マアヤの話を遮るのは白髪の幼女...ではなくシロさんがいた


「まずはマアヤ、そのイヤリングを貸して」


そう言われたマアヤは私の方を見て渡していいか表情で確認をしてきたのでいいよという意味を込めて頷いた。

イヤリングを受け取ったシロさんはじっとそれを見てなにか魔力を込めているようだ


「おいシロ、改造するのはいいがカナの体に害があるようにはするなよ」

「馬鹿なことを言わないで頂戴

それよりもよくこんなハンデを負いながらそんな平然といられるわね」


さっきから何やら恐ろしいことを話してるけど何なのだ?

そのイヤリングって力を制御するための魔道具じゃないの?

疑問ばかりが私の頭の中をぐるぐると回ってるのを無視するかのようにシロさんはこちらにイヤリングを投げてきた

いや雑だな...ポイって投げるんじゃないよ


「はいイヤリングの改良完了

これで使用者の体を蝕むなんてことはないでしょう」

「よかった...」


いや良くないって

自分だけ納得もしてないしそもそも理解すらしてないから誰か説明頂戴


「...意味がわからん」


ついにはそうつぶやいて視線を集めればようやくシロさんは説明をしてくれた


「単刀直入に言うのならカナは自分の体に合わない魔道具をつけていたってことになるの

魔力制御の魔道具というのは自分の属性の弱点となる属性の力を微弱にして作られて魔力制御の魔道具が成立するのに、あなたは両方つけて成立するイヤリングを片方だけつけて制御を強めるなんて馬鹿なことをしたのよ?」


馬鹿にも程があるなんて言われて心が痛いよ

でもちょっと待ってくれよ


「どうして片方だけつけるだけで制御が強まるの?」

「これは光と闇の両方を抑えることが出来る優れものなの

闇と光という対になる力がうまーく相殺されて使用者の力の制御するという効果が生まれていたのだけど、片方のみだと使用者を活かすことも殺すこともできるのよ」


なにそれ怖い

つまり私は自分の首を絞めながら今まで生活をしてたのか

どうりで最近変装スキルを解除するときに疲れを感じたわけだ。


「いままで体を壊さなかったのは、たまたまカナの体力と魔力の量が規格外だったから体を壊すなんてことがなかったんだろうな

よかったなカナ」


いやよくないって

下手したら死んでたんじゃないかこれ...?


「つまりカナは命拾いしたわけ

まあ改良はしたから今後片方だけでも問題ないわよ

というか黒い方はマアヤ専用にしたからカナがつけても、効果は期待できないからね」


なるほど、ならばその言葉を信じるとしよう

私はシロさんに感謝をしていると良い匂いが漂って全員がオーブンに視線を移した。

よかった、ちょうど焼けたみたいだな

これからカツも揚げないとだから話はこのへんで切り上げたほうが良さそうだな


「じゃあ話はこのへんにして食事にしましょうか

あとは肉を揚げるだけだからツキカゲがカトラリーの準備をしてくれる?

肉の量を増やしてあげるからさ」


改造されたイヤリングを再び右耳につけて指示を出せば、すぐにツキカゲは動き出した。

どうやらその様子が意外すぎてシロさんは酷く驚いているみたい


「あの人間嫌いのツキカゲが人間と一緒にいるだけでも驚いたのに人間が作ったものを食べる...?」


明日が終末かと呟くほど驚くなんて思わなかったよ

しかしまあカリンも言ってたけど、ツキカゲってここまで驚かれるほどに人間が大嫌いだったのね


「ツキカゲってそんなに人間が嫌いだったの?」

「まあ...な...

人間にはあまりいい思い出がないから余計にカナといるのが楽しいと思えるんだろうな」


とまあ嬉しいことを言ってくれるよ

私はなぜツキカゲが人間嫌いだったのか気になったし、本人にも聞こうとした

だけどやめたんだ


聞かないほうがいい、まだ駄目な気がして聞くのを恐れたんだ。

だから今はニッコリと優しく笑ってあなたに楽しい思い出で満たしてあげたいなって思ってしまったんだ。

さて、食事にしようか

今は腹を満たそう

腹の足しにもならない悲しくなってしまうかもしれない話はやめよう

カラッと揚がったオーク肉のカツをご飯の上にのせて至って普通の中濃ソースをたらせばこの場にいる全員が喉を鳴らしてしまう、これが魔法でもなんでもないんだから不思議である

手を合わせて食材となった魔物や野菜を作った私の故郷の農家さん達に感謝を込めて


「いただきます」


丼に盛られたそれを完食しよう
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