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73話
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柔らかく暖かい陽の光を浴びながら飲む紅茶は格別に美味い
「ツキカゲ...よくそんな黒いオイルみたいなやつ飲めるわね」
「コーヒーの良さもわからんのにコーヒーの悪口はやめろ」
ムスッとした表情でコーヒーを飲むんじゃないよ
今、私達がこうやって呑気に紅茶やらコーヒーを飲んでいるのにはわけがある
まずはツキカゲとシロさんについての昔話を始めるとするか
「私達は血の繋がりのある姉弟...もしカナがツキカゲがドラゴンであることを知っているのなら私もまたドラゴンであることはすぐに理解できるな?」
やっぱりそうなるよね
普段から特別なドラゴンと旅をしてきたから冷静にシロさんの話を聞くことができたよ
そういえば私達がこの国に来た理由ってなんだっけか
たしかツキカゲがこの国を推してきたのがきっかけだ
まさかシロさんに会いに行くためとか
「ツキカゲって意外とシスコン?」
「そのシスコンという言葉の意味はわからんがそう言う訳ではない
ドラゴンは力がすべてであり俺の一番の脅威がシロだから敵に回す意味がないだけだ
時々この国に来てはシロの好みの素材を届けに来ているんだ」
なるほどね...ものは言いようね
もし嫌いならひとついいかい?
「シロさんに渡す素材ってこれ?
どれも上等な素材ばかりでレアなやつも多い...いつもこんな感じなの?」
「そうね~試作品を作るだけなのに上等な素材ばかりを持ってくるのは気になったかも
相変わらず可愛いことをするのよね!」
よしよしとこどもをあやすようにツキカゲの頭を撫でるし、ツキカゲは何も言わずに撫でられてるからたしかに可愛いなと思ってしまう
普段は一人称は俺様だしご飯大好きで褒めたら伸びるドラゴンなのに今の彼の顔は弟の顔をしている
頭を撫でてくれるのは嬉しいけど恥ずかしさもあって複雑な顔をしているのがもう...ね?
「素材もそうだけど、マアヤの道具を揃えるって言ったときにここに私達を連れてきたのはツキカゲだったし」
なんて言えば一番に反応したのはシロさんだった。
「あら!
うちの弟ったらそんな嬉しいことを言ってくれたのね!」
嬉しそうに笑って紅茶を飲み干すとジャムのついたスコーンを一口で平らげた彼女は、お姉さんの姿からロリ姿になった。
「こんな面白そうな人間の道具も面白くないとね!」
「ちゃんと実用性のあるやつを揃えてくれよ...
あとこれ渡しておく、20年前になくしてたとか言ってた首輪ってこれだろ?」
ツキカゲの懐から取り出されたのは一つの首輪
魔力を感じるからきっと魔道具なのだろう
「ああ!この魔道具どこにあったの!?」
「お前を神の使者とか言ってる国の人間が持ってた
きっと盗み隠していたんだろうな...安心しろ、盗み隠してた人間はこの世にはいない」
サラッと恐ろしいことを言ったなこのドラゴンは...
しかし伝説のドラゴンのものを盗むなんて随分と肝が座っているようで、尊敬に値するなんてバカなことはないけどすごいとは思ってしまうわ
それよりも気になるのは盗まれたのが20年前とか私だったら諦めてるんだけど
だけどツキカゲは諦めずに魔道具を取り返したのか...やっぱりお姉ちゃん大好きじゃん
「この魔道具は強力な魔力を持つ者すら使用者の言うことを聞かせてしまうものだから戻ってきてよかったわ」
なるほどねサラッと恐ろしいことを言うのは姉のシロさんもだったのか
しかしシロさんが所持する魔道具恐ろしすぎんか?
「しかし当時の自分が恐ろしい...こんな趣味の悪いものを作るんだからさ~」
「えっそれシロさんが作ったんですか?」
驚いた
まさか製作者がドラゴンだなんて思わなかったよ
「こいつは光の王座を守る伝説のドラゴン光明竜であり普段は実用的なものから趣味の悪いものまで作る道具屋の店主だ。
まあ魔道具の殆どが危険なもので世に出さないのがお決まりのパターンだ」
「まあ失礼な...趣味が悪いんじゃなくて独特な感性を形にしただけよ!」
それを世間では趣味が悪いという...きっと私とツキカゲの心の声は重なったと思うよ
「それで、道具を揃えて欲しい子は誰かな?」
そこにいるロリドラゴンはもうすでに仕事のスイッチが入ったようで真面目な表情をしていた。
「マアヤの武器と装備一式、その他諸々を頼む」
要するにすべておまかせということである
ニコニコと笑いながらマアヤの手を取り店の奥へと連れていいたシロさんに変なことをしないでほしいと念を送るが伝わっただろうか。
「マアヤ大丈夫かな...」
「シロは俺様みたいに無闇矢鱈に殺すことはしないから心配はない
それよりもカナ、まだ昼飯を食ってないからキッチンに向かうぞ」
仲間を心配しているそばでよくまあそんなこと言えるな...
「そうね、マアヤに美味しいご飯を作ってあげないとね!
行くわよツキカゲ」
今の私にできることをやるべきだよね
「ツキカゲ...よくそんな黒いオイルみたいなやつ飲めるわね」
「コーヒーの良さもわからんのにコーヒーの悪口はやめろ」
ムスッとした表情でコーヒーを飲むんじゃないよ
今、私達がこうやって呑気に紅茶やらコーヒーを飲んでいるのにはわけがある
まずはツキカゲとシロさんについての昔話を始めるとするか
「私達は血の繋がりのある姉弟...もしカナがツキカゲがドラゴンであることを知っているのなら私もまたドラゴンであることはすぐに理解できるな?」
やっぱりそうなるよね
普段から特別なドラゴンと旅をしてきたから冷静にシロさんの話を聞くことができたよ
そういえば私達がこの国に来た理由ってなんだっけか
たしかツキカゲがこの国を推してきたのがきっかけだ
まさかシロさんに会いに行くためとか
「ツキカゲって意外とシスコン?」
「そのシスコンという言葉の意味はわからんがそう言う訳ではない
ドラゴンは力がすべてであり俺の一番の脅威がシロだから敵に回す意味がないだけだ
時々この国に来てはシロの好みの素材を届けに来ているんだ」
なるほどね...ものは言いようね
もし嫌いならひとついいかい?
「シロさんに渡す素材ってこれ?
どれも上等な素材ばかりでレアなやつも多い...いつもこんな感じなの?」
「そうね~試作品を作るだけなのに上等な素材ばかりを持ってくるのは気になったかも
相変わらず可愛いことをするのよね!」
よしよしとこどもをあやすようにツキカゲの頭を撫でるし、ツキカゲは何も言わずに撫でられてるからたしかに可愛いなと思ってしまう
普段は一人称は俺様だしご飯大好きで褒めたら伸びるドラゴンなのに今の彼の顔は弟の顔をしている
頭を撫でてくれるのは嬉しいけど恥ずかしさもあって複雑な顔をしているのがもう...ね?
「素材もそうだけど、マアヤの道具を揃えるって言ったときにここに私達を連れてきたのはツキカゲだったし」
なんて言えば一番に反応したのはシロさんだった。
「あら!
うちの弟ったらそんな嬉しいことを言ってくれたのね!」
嬉しそうに笑って紅茶を飲み干すとジャムのついたスコーンを一口で平らげた彼女は、お姉さんの姿からロリ姿になった。
「こんな面白そうな人間の道具も面白くないとね!」
「ちゃんと実用性のあるやつを揃えてくれよ...
あとこれ渡しておく、20年前になくしてたとか言ってた首輪ってこれだろ?」
ツキカゲの懐から取り出されたのは一つの首輪
魔力を感じるからきっと魔道具なのだろう
「ああ!この魔道具どこにあったの!?」
「お前を神の使者とか言ってる国の人間が持ってた
きっと盗み隠していたんだろうな...安心しろ、盗み隠してた人間はこの世にはいない」
サラッと恐ろしいことを言ったなこのドラゴンは...
しかし伝説のドラゴンのものを盗むなんて随分と肝が座っているようで、尊敬に値するなんてバカなことはないけどすごいとは思ってしまうわ
それよりも気になるのは盗まれたのが20年前とか私だったら諦めてるんだけど
だけどツキカゲは諦めずに魔道具を取り返したのか...やっぱりお姉ちゃん大好きじゃん
「この魔道具は強力な魔力を持つ者すら使用者の言うことを聞かせてしまうものだから戻ってきてよかったわ」
なるほどねサラッと恐ろしいことを言うのは姉のシロさんもだったのか
しかしシロさんが所持する魔道具恐ろしすぎんか?
「しかし当時の自分が恐ろしい...こんな趣味の悪いものを作るんだからさ~」
「えっそれシロさんが作ったんですか?」
驚いた
まさか製作者がドラゴンだなんて思わなかったよ
「こいつは光の王座を守る伝説のドラゴン光明竜であり普段は実用的なものから趣味の悪いものまで作る道具屋の店主だ。
まあ魔道具の殆どが危険なもので世に出さないのがお決まりのパターンだ」
「まあ失礼な...趣味が悪いんじゃなくて独特な感性を形にしただけよ!」
それを世間では趣味が悪いという...きっと私とツキカゲの心の声は重なったと思うよ
「それで、道具を揃えて欲しい子は誰かな?」
そこにいるロリドラゴンはもうすでに仕事のスイッチが入ったようで真面目な表情をしていた。
「マアヤの武器と装備一式、その他諸々を頼む」
要するにすべておまかせということである
ニコニコと笑いながらマアヤの手を取り店の奥へと連れていいたシロさんに変なことをしないでほしいと念を送るが伝わっただろうか。
「マアヤ大丈夫かな...」
「シロは俺様みたいに無闇矢鱈に殺すことはしないから心配はない
それよりもカナ、まだ昼飯を食ってないからキッチンに向かうぞ」
仲間を心配しているそばでよくまあそんなこと言えるな...
「そうね、マアヤに美味しいご飯を作ってあげないとね!
行くわよツキカゲ」
今の私にできることをやるべきだよね
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