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72話
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街はずれにある石床の道を歩くこと数十分
田舎のような風景に変わって心が和む中、ツキカゲは突然立ち止まってここだと言った。
ずっと彼の背中を追いかけていたからここだと言われても建物も何も見えない
彼の背中からひょっこりと出てくるような形で前を見ると私は目を輝かせた。
レンガ造りのその家は、壁にツタが絡まりそれがオシャレに見える
窓にはカーテンがかけられており中は見えないけど、外装を見た感じ広いのはわかる
「ここが…?」
「まあすぐに理解できる」
それだけを言ってドアをノックするツキカゲをぼーっと見つめていると、いきなり背筋がゾクッとするような寒気を感じた。
敵かと思って警戒するがその心配はいらないというツキカゲ
今は伝説のドラゴンのツキカゲを信じるしかない
怯えるマアヤの手を掴んでいると足音が聞こえてきた。
すると…
ドッカーン!!
勢いよくドアが開く…と言うよりも粉々になってドアそのものが無くなってしまった。
土埃が舞って入口に誰かが立っている影が見える
「久しぶりにこんなに膨大な魔力の塊がやってくるなんて…一体今度は何を持ってきたんだ?
クロ!!」
そう叫ぶ声はとても高音で子供と疑ってしまうほどである
いや、土埃が収まってようやく理解した
子供のようではなく実際に見た目は子供である
だがしかし頭に生えた猫のような耳と羊のような黒い渦を巻いた角は立派で髪の毛の色は老人のように真っ白だ。
そしてこの魔力はありえない量でツキカゲと並ぶほどである
「…えっとツキカゲはこの子に会うためにここに来たの?」
「むっ...この子とは失礼ね
いい人間を持ってきたのはいいけどもう少し礼儀正しい人間を持ってきなさいよ」
私からしたら人間をモノ扱いしてくる君のほうが礼儀正しくしたほうがいいと思うよ
チョコちゃんのほうがよっぽど礼儀正しいぞ
「相変わらずのようで逆に安心した
こいつはカナでこっちがマアヤだ、二人は異世界から召喚された人間だ」
彼女の態度にあきれて私達を指差して説明を始めたツキカゲ
というかそんなにあっさりと私達が異世界人だって教えちゃっていいの?
それには目の前で仁王立ちする少女もびっくりしているぞ
「なるほど異世界の人間ね...
カナってやつからクロのオーラやらなんやらを感じるってことは相当カナを気にいっているのね」
私に近づきじっと目を見てくる彼女を真似するように睨み返すとケラケラと笑っていた。
すると、間に入っていたツキカゲが私を抱き寄せてそのへんにしろと言っていたから少しだけときめいちゃったよ
「今回ここに来たのはカナを紹介するためだけじゃない
こっちのマアヤの道具を揃えるためだ」
冷静な声でマアヤに手を差し伸べて前に出したりと今日のツキカゲはかなり紳士的だと思う。
目の前の白髪幼女は私からマアヤに視線を移すとなるほどと言ってくるりと方向を変えた。
「よし、ならついてきなさい
可愛い弟のお願いならなんだって聞いてあげるんだから!」
「ああ、頼む」
壊れたドアなんか無視してずんずんと家の中に入っていくロリとツキカゲを見て、ようやく私は聞き捨てならない言葉を復唱した。
「ちょっとまって...弟ってあの弟?」
彼らはまるでそれのどこがおかしいんだといっていうかのようにこちらを見てきたツキカゲに私はツッコんだ。
こちとら事前情報なんてものはないし、ただマアヤの道具を揃えるにはおすすめの場所があるよ~と言われただけだから目的地にツキカゲの姉と思われる人がいるなんて思わないじゃん!
「そういえばシロについては説明を忘れてたな」
さっきから気になるのはツキカゲがクロと呼ばれて隣のロリがシロと呼ばれていることくらいだろうか。
「さっきから気になったのだけど、ツキカゲって何?」
「カナが俺様につけた名前だ」
まるで二人はそれがいつもの日常のように会話をしている
私にとってはこの光景は初めてなのだからしっかりと説明してほしいよ
「あの...はじめまして
ツキカゲと契約をした人間の山下加奈です」
「あらご丁寧にどうも
私にツキカゲみたいなちゃんとした名前はないけど仮名はシロよ!」
元気よく挨拶されると余計にツキカゲ姉弟なのか疑ってしまう
先程シロさんはツキカゲを可愛い弟と言っていた...ということはツキカゲのお姉さんがシロさんなのだろう
だがしかし見た目は完璧なるロリだ
本当にお姉さんなのか?
「シロ...そのふざけた格好をやめたらどうだ」
「これのどこを見たらふざけた格好になるのよ!」
たしかにノースリーブワンピの上から丈夫そうなエプロンを着た格好はこの世界の人間から見たらふざけた格好をしていると思われるだろうね
たとえ小さな女の子であろうと肌を見せつけるような格好をするんじゃない!
...といわれてもおかしくはない
まあ私が元いた世界では夏にノースリーブワンピを着ている女性なんてたくさんいたし
「わかったわよ...本来の年齢にあった体型になればいいんでしょ?」
ため息をついて魔力をこめたシロさんは光りに包まれ、あまりの眩しさに直視が難しくなった。
光が収まりそこにいたはずのロリはどこにもいない
いたのは先程のシロさんの面影のある美しい女性だった。
「これなら文句はないでしょう
改めまして、私は仮名をシロ!
正真正銘ツキカゲの実の双子の姉よ!」
私もマアヤも目の前で起きた出来事に驚くというよりも、本当にこの人はツキカゲのお姉さんだということに驚いてあんぐりと口を開けてしまった。
田舎のような風景に変わって心が和む中、ツキカゲは突然立ち止まってここだと言った。
ずっと彼の背中を追いかけていたからここだと言われても建物も何も見えない
彼の背中からひょっこりと出てくるような形で前を見ると私は目を輝かせた。
レンガ造りのその家は、壁にツタが絡まりそれがオシャレに見える
窓にはカーテンがかけられており中は見えないけど、外装を見た感じ広いのはわかる
「ここが…?」
「まあすぐに理解できる」
それだけを言ってドアをノックするツキカゲをぼーっと見つめていると、いきなり背筋がゾクッとするような寒気を感じた。
敵かと思って警戒するがその心配はいらないというツキカゲ
今は伝説のドラゴンのツキカゲを信じるしかない
怯えるマアヤの手を掴んでいると足音が聞こえてきた。
すると…
ドッカーン!!
勢いよくドアが開く…と言うよりも粉々になってドアそのものが無くなってしまった。
土埃が舞って入口に誰かが立っている影が見える
「久しぶりにこんなに膨大な魔力の塊がやってくるなんて…一体今度は何を持ってきたんだ?
クロ!!」
そう叫ぶ声はとても高音で子供と疑ってしまうほどである
いや、土埃が収まってようやく理解した
子供のようではなく実際に見た目は子供である
だがしかし頭に生えた猫のような耳と羊のような黒い渦を巻いた角は立派で髪の毛の色は老人のように真っ白だ。
そしてこの魔力はありえない量でツキカゲと並ぶほどである
「…えっとツキカゲはこの子に会うためにここに来たの?」
「むっ...この子とは失礼ね
いい人間を持ってきたのはいいけどもう少し礼儀正しい人間を持ってきなさいよ」
私からしたら人間をモノ扱いしてくる君のほうが礼儀正しくしたほうがいいと思うよ
チョコちゃんのほうがよっぽど礼儀正しいぞ
「相変わらずのようで逆に安心した
こいつはカナでこっちがマアヤだ、二人は異世界から召喚された人間だ」
彼女の態度にあきれて私達を指差して説明を始めたツキカゲ
というかそんなにあっさりと私達が異世界人だって教えちゃっていいの?
それには目の前で仁王立ちする少女もびっくりしているぞ
「なるほど異世界の人間ね...
カナってやつからクロのオーラやらなんやらを感じるってことは相当カナを気にいっているのね」
私に近づきじっと目を見てくる彼女を真似するように睨み返すとケラケラと笑っていた。
すると、間に入っていたツキカゲが私を抱き寄せてそのへんにしろと言っていたから少しだけときめいちゃったよ
「今回ここに来たのはカナを紹介するためだけじゃない
こっちのマアヤの道具を揃えるためだ」
冷静な声でマアヤに手を差し伸べて前に出したりと今日のツキカゲはかなり紳士的だと思う。
目の前の白髪幼女は私からマアヤに視線を移すとなるほどと言ってくるりと方向を変えた。
「よし、ならついてきなさい
可愛い弟のお願いならなんだって聞いてあげるんだから!」
「ああ、頼む」
壊れたドアなんか無視してずんずんと家の中に入っていくロリとツキカゲを見て、ようやく私は聞き捨てならない言葉を復唱した。
「ちょっとまって...弟ってあの弟?」
彼らはまるでそれのどこがおかしいんだといっていうかのようにこちらを見てきたツキカゲに私はツッコんだ。
こちとら事前情報なんてものはないし、ただマアヤの道具を揃えるにはおすすめの場所があるよ~と言われただけだから目的地にツキカゲの姉と思われる人がいるなんて思わないじゃん!
「そういえばシロについては説明を忘れてたな」
さっきから気になるのはツキカゲがクロと呼ばれて隣のロリがシロと呼ばれていることくらいだろうか。
「さっきから気になったのだけど、ツキカゲって何?」
「カナが俺様につけた名前だ」
まるで二人はそれがいつもの日常のように会話をしている
私にとってはこの光景は初めてなのだからしっかりと説明してほしいよ
「あの...はじめまして
ツキカゲと契約をした人間の山下加奈です」
「あらご丁寧にどうも
私にツキカゲみたいなちゃんとした名前はないけど仮名はシロよ!」
元気よく挨拶されると余計にツキカゲ姉弟なのか疑ってしまう
先程シロさんはツキカゲを可愛い弟と言っていた...ということはツキカゲのお姉さんがシロさんなのだろう
だがしかし見た目は完璧なるロリだ
本当にお姉さんなのか?
「シロ...そのふざけた格好をやめたらどうだ」
「これのどこを見たらふざけた格好になるのよ!」
たしかにノースリーブワンピの上から丈夫そうなエプロンを着た格好はこの世界の人間から見たらふざけた格好をしていると思われるだろうね
たとえ小さな女の子であろうと肌を見せつけるような格好をするんじゃない!
...といわれてもおかしくはない
まあ私が元いた世界では夏にノースリーブワンピを着ている女性なんてたくさんいたし
「わかったわよ...本来の年齢にあった体型になればいいんでしょ?」
ため息をついて魔力をこめたシロさんは光りに包まれ、あまりの眩しさに直視が難しくなった。
光が収まりそこにいたはずのロリはどこにもいない
いたのは先程のシロさんの面影のある美しい女性だった。
「これなら文句はないでしょう
改めまして、私は仮名をシロ!
正真正銘ツキカゲの実の双子の姉よ!」
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