70 / 171
68話
しおりを挟む
さてと、何を作ろうかね
朝からしっかりと食べるのはいいことだと聞くことはあるけど
「米を今から炊くのはちょっと時間がかかるしな...
今からネットショッピングでパンを買ってトーストしたらいいかな?
そしたらベーコンと卵を焼いて
カカリさん、あのサラダを少し分けてもらえませんか?」
「ああいいよ
それにしても手際が良いわね
カナは将来いい嫁さんになるわね!」
なんてことをいうかと思えば...
今の私にはまだ結婚とか考えている暇はないんだよな
だからそんな心臓に悪いことを言わないでくれ
ほら、はやくご飯を作らないとツキカゲたちが起きちゃう
分けてもらったサラダに生ハムを加えてドレッシングをかける
いつも私の気まぐれでドレッシングを変えているけど、今日は深炒りごまのドレッシングにしよう
なんやかんやでこれが美味いんだよね
サラダを完成させるとちょうどベーコンエッグが焼きあがった。
完璧だね
「よし…あとはパンを焼いて……」
「…相変わらず起きるのが早いなカナは」
後ろから聞こえてくる少し気だるそうな声
振り向けば寝ぼけ顔の色気ムンムンなイケメンが立っていた。
少し乱れた黒髪に焦点の合ってない瞳
よく見たら服装も乱れてる
全く…服が乱れたらドラゴンの姿になった時に鱗の並びが悪くなるんだから勘弁して欲しい
「ツキカゲ、あなたは朝に強くなった方がいいと思うわ…」
呆れながら彼に近づき服の乱れを直す
髪の毛は手が届かなかったから後で自分でやって欲しい
するとツキカゲは不服そうな顔を見せてきて私に文句を言ってきた
「むっ…なぜ俺様と同じ属性を持つお前は朝に強いんだ
我々が起きるのは昼頃だと決まっているのに」
そんな決まりは作らないでもらいたいよもう…
あんたは自由気ままに生きてたドラゴンで私は規則正しく時間を守って生きてきた人間なんだからさ
ツキカゲの身だしなみを整えたついでにしっかりしろという意味を込めて背中を叩けばすぐに方向を変えて朝食の準備を再開した。
今日は忙しいんだから…そう呟きながら
「カナ!
今すぐ私と勝負しなさい!!」
それはあまりにも唐突な決闘の申し込みであった
私とツキカゲと真彩さんの3人で朝食を食べるとすぐに冒険者ギルドに向かうつもりだったのだが…我々はこの国の土地勘というものがなく困っていたのだ。
そしたらカカリさんがこんなことを提案した
「娘のチロルに冒険者ギルドまでの道案内を頼んだらどうだい?
うちの自慢の冒険者リス娘チロルだよ!」
そうやって言うってことは余程自分の娘のことを誇らしく思っているんだね
やっぱりダメだ…この国にいると両親のことを思い出してしまう
前いた世界の思い出は忘れてしまおう
「昨日、あんたは汚ぇ男からチョコを救い出した
その姿を見て思ったんだ
あんたは強い!だから私と勝負して欲しい!
じゃないと冒険者ギルドまでの連れていかないぞ!」
何だかめんどくさいことになったな
「ふむ…俺様が相手した方がいいか?」
「いやいいよ
私がやるから」
私の前に出て指をポキポキ鳴らすツキカゲを止めると、再び前に出てマントを羽織り直した。
膝の屈伸と腕をクロスさせるなど準備運動をしているチロル…どうやらやる気満々のようで
これはやり過ぎに注意しないとだね
相手は動きやすさを重視した軽装備で胸当てのみ知ったりとしている
そして手に持つのは私と同じダガーナイフ
「よーし…じゃあ始め」
そういった時にはもうチロルはいない
消えた…ということではなく速すぎる動きでその場から離れたのだ
そして次に狙ってくるとしたら
「…後ろッ!」
クルリと方向を変えてハルカゼを引き抜くとそれを顔の前に持ってきた。
ガキンッ!
金属同士のぶつかり合う音は辺りに響いて人々が集まってきた
ざわついてきた宿のそばにある庭はバトルフィールドとなり、血の気の多い獣人にとってそれはワクワクするものであった。
いいぞー!
とか
やっちまえー!
って…これもダーウィン王国の特徴なのか?
しかしチロルの動きは速いわね…さすがはリスの獣人
ちょこまかと動きおって……ん?
もしかしてチョコちゃんって名前はちょこまかから来てる?
「いや…さすがに安直すぎるな」
「何をブツブツと…言ってるのよ!」
少し考え事をしていたらチロルに押される形になってしまった
これはまずいな
汗を掻き毟るかのような勝負はあまりしたくないの…乙女なので
だからさっさと終わらせて冒険者ギルドに行きたいの
「一撃必殺…桜突き!!」
彼女の動きを予測し、次に仕掛けてくる攻撃の角度や速さ全てを頭で計算して繰り出すこの技は一撃で終わらせるためのもの
そしてこれはハルカゼの刃に風を纏わせたものでは無い
私の拳である
「かはっ……!?」
「私乙女なので…優雅に勝利を手に入れますね」
後になって考えてみれば、この勝ち方が一番優雅でも美しくもない
汗臭い勝ち方だったのかもしれない
朝からしっかりと食べるのはいいことだと聞くことはあるけど
「米を今から炊くのはちょっと時間がかかるしな...
今からネットショッピングでパンを買ってトーストしたらいいかな?
そしたらベーコンと卵を焼いて
カカリさん、あのサラダを少し分けてもらえませんか?」
「ああいいよ
それにしても手際が良いわね
カナは将来いい嫁さんになるわね!」
なんてことをいうかと思えば...
今の私にはまだ結婚とか考えている暇はないんだよな
だからそんな心臓に悪いことを言わないでくれ
ほら、はやくご飯を作らないとツキカゲたちが起きちゃう
分けてもらったサラダに生ハムを加えてドレッシングをかける
いつも私の気まぐれでドレッシングを変えているけど、今日は深炒りごまのドレッシングにしよう
なんやかんやでこれが美味いんだよね
サラダを完成させるとちょうどベーコンエッグが焼きあがった。
完璧だね
「よし…あとはパンを焼いて……」
「…相変わらず起きるのが早いなカナは」
後ろから聞こえてくる少し気だるそうな声
振り向けば寝ぼけ顔の色気ムンムンなイケメンが立っていた。
少し乱れた黒髪に焦点の合ってない瞳
よく見たら服装も乱れてる
全く…服が乱れたらドラゴンの姿になった時に鱗の並びが悪くなるんだから勘弁して欲しい
「ツキカゲ、あなたは朝に強くなった方がいいと思うわ…」
呆れながら彼に近づき服の乱れを直す
髪の毛は手が届かなかったから後で自分でやって欲しい
するとツキカゲは不服そうな顔を見せてきて私に文句を言ってきた
「むっ…なぜ俺様と同じ属性を持つお前は朝に強いんだ
我々が起きるのは昼頃だと決まっているのに」
そんな決まりは作らないでもらいたいよもう…
あんたは自由気ままに生きてたドラゴンで私は規則正しく時間を守って生きてきた人間なんだからさ
ツキカゲの身だしなみを整えたついでにしっかりしろという意味を込めて背中を叩けばすぐに方向を変えて朝食の準備を再開した。
今日は忙しいんだから…そう呟きながら
「カナ!
今すぐ私と勝負しなさい!!」
それはあまりにも唐突な決闘の申し込みであった
私とツキカゲと真彩さんの3人で朝食を食べるとすぐに冒険者ギルドに向かうつもりだったのだが…我々はこの国の土地勘というものがなく困っていたのだ。
そしたらカカリさんがこんなことを提案した
「娘のチロルに冒険者ギルドまでの道案内を頼んだらどうだい?
うちの自慢の冒険者リス娘チロルだよ!」
そうやって言うってことは余程自分の娘のことを誇らしく思っているんだね
やっぱりダメだ…この国にいると両親のことを思い出してしまう
前いた世界の思い出は忘れてしまおう
「昨日、あんたは汚ぇ男からチョコを救い出した
その姿を見て思ったんだ
あんたは強い!だから私と勝負して欲しい!
じゃないと冒険者ギルドまでの連れていかないぞ!」
何だかめんどくさいことになったな
「ふむ…俺様が相手した方がいいか?」
「いやいいよ
私がやるから」
私の前に出て指をポキポキ鳴らすツキカゲを止めると、再び前に出てマントを羽織り直した。
膝の屈伸と腕をクロスさせるなど準備運動をしているチロル…どうやらやる気満々のようで
これはやり過ぎに注意しないとだね
相手は動きやすさを重視した軽装備で胸当てのみ知ったりとしている
そして手に持つのは私と同じダガーナイフ
「よーし…じゃあ始め」
そういった時にはもうチロルはいない
消えた…ということではなく速すぎる動きでその場から離れたのだ
そして次に狙ってくるとしたら
「…後ろッ!」
クルリと方向を変えてハルカゼを引き抜くとそれを顔の前に持ってきた。
ガキンッ!
金属同士のぶつかり合う音は辺りに響いて人々が集まってきた
ざわついてきた宿のそばにある庭はバトルフィールドとなり、血の気の多い獣人にとってそれはワクワクするものであった。
いいぞー!
とか
やっちまえー!
って…これもダーウィン王国の特徴なのか?
しかしチロルの動きは速いわね…さすがはリスの獣人
ちょこまかと動きおって……ん?
もしかしてチョコちゃんって名前はちょこまかから来てる?
「いや…さすがに安直すぎるな」
「何をブツブツと…言ってるのよ!」
少し考え事をしていたらチロルに押される形になってしまった
これはまずいな
汗を掻き毟るかのような勝負はあまりしたくないの…乙女なので
だからさっさと終わらせて冒険者ギルドに行きたいの
「一撃必殺…桜突き!!」
彼女の動きを予測し、次に仕掛けてくる攻撃の角度や速さ全てを頭で計算して繰り出すこの技は一撃で終わらせるためのもの
そしてこれはハルカゼの刃に風を纏わせたものでは無い
私の拳である
「かはっ……!?」
「私乙女なので…優雅に勝利を手に入れますね」
後になって考えてみれば、この勝ち方が一番優雅でも美しくもない
汗臭い勝ち方だったのかもしれない
11
お気に入りに追加
689
あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる