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67話
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まあ死者蘇生の魔法なんてとんでもない魔法なんていくつか条件があって当然だと思うよ?
異世界から人を召喚する魔法だってあんなに大人数の魔法使いが必要だったわけだし
だとしてもちょっとハードルが高いような…
「そんな条件を全てクリアしなきゃいけないなんて…
あれ?
もしかしたらいけるかも?」
いるじゃないか…闇属性の私と光属性の真彩さんが!
魔力の波長が合うかどうかはわからないけど、伝説のドラゴン並の魔力を持っているぞ
異世界から召喚された私達ならいけるのではないのか?
というか魔力の波長が合うってどういうものなんだ?
「ねぇ、カリンって魔力の波長が合うのを知る方法がなにかわかる?」
私異世界から来たからそういうのよくわかんないと付け足すと、そういえばそうだったと呟いていた
なるほど魔力の波長が合うのを知る方法なんて常識だったのか
仕方ないよね、私異世界召喚された人だもん
「波長が合うというのはな…たとえ属性の相性が悪い相手が近くで魔法を使ってもその影響を受けない状態のことだ。
例えば、カナの場合は闇と相互関係にある光の魔法を使っているやつが隣にいても気分を悪くしないのが波長が合うってやつ」
なるほど…もし光属性を持つ真彩さんが私のそばで魔法を使ったとしても気分を害すことがなかったらそれは魔力の波長が合うということになるのか
こればっかりは元の世界に帰ってから確かめないと分からないな
「よし、こうなったら早く元の世界に戻って確かめるしかないな
…あっそうだ、カリン」
「…ん?
どうした」
どこから出したのかわからない本を取り出してそれを読んでいたカリンは私の声にワンテンポ遅れて反応した。
一つだけ確かめたいことがあるんだ
「カリンの言っていた死者蘇生の魔法ってさ
あなたにも適応されるんだよね?」
頼むからイエスと言ってほしい
じゃないと私が頑張ろうとしていたことが無いものにされてしまうから
でも、もしノーと言われたらどうしようかね
「……蘇生の魔法に必要なのは体とその中に入れる魂だ
魂はカナの体を通してこの世界から出れるとして肝心なのは体…器の方だな
俺の魂と馴染むようにするためにも色々と条件が必要だし……!」
その時、彼は目を丸くしてそうか…と声を上げていた
きっとなにか良いことを思いついたのだろうか
それともその逆か
「カナ…俺を蘇生させるのは諦めろ」
「………は?」
ただ彼の言葉が頭の中で響き意識が遠くなっていく
ダメだ、まだ彼のそばで話を聞かなきゃいけないのに
彼を一人にしちゃダメなのに
ああ…もう限界が近い
ごめんね…カリン
朝が来た
窓の外から入ってくる太陽の光は暖かくて、少しずつ部屋の温度をあげていく
「……朝ごはん作るか」
半分寝ぼけた頭でゆっくりと身支度を整えると私は部屋を出て鍵をかけた
常に壁に触れている状態で階段を降りるとなんだかいい匂いがする
少しずつ覚醒した意識の中目をこすって先を見るとよくわかった
誰かが厨房で朝ごはんの準備をしていたのだ
「……そこにいるのはカナちゃんだね?」
なぜわかったんだ…というか声からして朝ごはんを用意しているのはカカリさんかな?
「おっ…おはようございます
普段は私が朝ごはんを作ってツキカゲ達に食べさせていたので、この時間に起きてしまって…」
これは癖なんだ…起きてても仕方ないよねということを伝えればカカリさんはあるあるだねと笑いながら答えてくれた
カカリさんを見ていると元の世界にいた母を思い出してしまうんだよね
このちょっと小柄な後ろ姿とか、鼻歌を歌いながら料理をしている感じとか
どの世界でもどんな時間であっても食事を用意する母親は本当に偉大だよ
「...私もなにかお手伝いで出来ませんか?」
「あらありがとうね
そしたらそこにサラダがあるから運んでおいてくれないかい?」
そう言いながら指をさすカカリさん
その先にあるのは穀物系がメインのサラダ
レタスとキャベツもあるけど明らかに穀物のほうが多い
なんだろう...なにか足りないよね
ああそうだドレッシングがないんだ
流石に野菜の味を楽しんで食べるのもキツいものがあるよね
「カカリさん、このサラダってドレッシングはかけないんですか?」
私はさも当たり前のように聞いた
しかし帰ってきた返答は
「ドレッシング...?なんだいそれ?」
まるで存在そのものを知らないような答えだった
もしかしてドレッシングという言葉がうまく言語翻訳されていないのだろうか?
ほら、私って自動言語翻訳のスキルがあるからさ
そこでサラダにソースはかけないのかって聞いたらカカリさんははっとしていた。
「あらやだごめんなさい!
私達家族はリスの獣人だからそれに合わせた味付けをしているんだったわ!」
なるほどね
カカリさんたちは獣人だから味付けは濃くすることなく素材そのものの味を楽しもうとする習性があるのか
それにカカリさんの反応と言葉を聞く感じだと最近は人間と一緒にご飯を食べることもなかったんだろうね
今からカカリさんに人間用の食事を用意させるのも気が引ける
「そうだ...私がツキカゲたちのご飯を作ります!
そのために私は早起きをしたんですから」
ニッコリと笑みを浮かべてそう言うと手首まである服の袖を肘のあたりまで捲り上げた。
さてと、やりますかね
異世界から人を召喚する魔法だってあんなに大人数の魔法使いが必要だったわけだし
だとしてもちょっとハードルが高いような…
「そんな条件を全てクリアしなきゃいけないなんて…
あれ?
もしかしたらいけるかも?」
いるじゃないか…闇属性の私と光属性の真彩さんが!
魔力の波長が合うかどうかはわからないけど、伝説のドラゴン並の魔力を持っているぞ
異世界から召喚された私達ならいけるのではないのか?
というか魔力の波長が合うってどういうものなんだ?
「ねぇ、カリンって魔力の波長が合うのを知る方法がなにかわかる?」
私異世界から来たからそういうのよくわかんないと付け足すと、そういえばそうだったと呟いていた
なるほど魔力の波長が合うのを知る方法なんて常識だったのか
仕方ないよね、私異世界召喚された人だもん
「波長が合うというのはな…たとえ属性の相性が悪い相手が近くで魔法を使ってもその影響を受けない状態のことだ。
例えば、カナの場合は闇と相互関係にある光の魔法を使っているやつが隣にいても気分を悪くしないのが波長が合うってやつ」
なるほど…もし光属性を持つ真彩さんが私のそばで魔法を使ったとしても気分を害すことがなかったらそれは魔力の波長が合うということになるのか
こればっかりは元の世界に帰ってから確かめないと分からないな
「よし、こうなったら早く元の世界に戻って確かめるしかないな
…あっそうだ、カリン」
「…ん?
どうした」
どこから出したのかわからない本を取り出してそれを読んでいたカリンは私の声にワンテンポ遅れて反応した。
一つだけ確かめたいことがあるんだ
「カリンの言っていた死者蘇生の魔法ってさ
あなたにも適応されるんだよね?」
頼むからイエスと言ってほしい
じゃないと私が頑張ろうとしていたことが無いものにされてしまうから
でも、もしノーと言われたらどうしようかね
「……蘇生の魔法に必要なのは体とその中に入れる魂だ
魂はカナの体を通してこの世界から出れるとして肝心なのは体…器の方だな
俺の魂と馴染むようにするためにも色々と条件が必要だし……!」
その時、彼は目を丸くしてそうか…と声を上げていた
きっとなにか良いことを思いついたのだろうか
それともその逆か
「カナ…俺を蘇生させるのは諦めろ」
「………は?」
ただ彼の言葉が頭の中で響き意識が遠くなっていく
ダメだ、まだ彼のそばで話を聞かなきゃいけないのに
彼を一人にしちゃダメなのに
ああ…もう限界が近い
ごめんね…カリン
朝が来た
窓の外から入ってくる太陽の光は暖かくて、少しずつ部屋の温度をあげていく
「……朝ごはん作るか」
半分寝ぼけた頭でゆっくりと身支度を整えると私は部屋を出て鍵をかけた
常に壁に触れている状態で階段を降りるとなんだかいい匂いがする
少しずつ覚醒した意識の中目をこすって先を見るとよくわかった
誰かが厨房で朝ごはんの準備をしていたのだ
「……そこにいるのはカナちゃんだね?」
なぜわかったんだ…というか声からして朝ごはんを用意しているのはカカリさんかな?
「おっ…おはようございます
普段は私が朝ごはんを作ってツキカゲ達に食べさせていたので、この時間に起きてしまって…」
これは癖なんだ…起きてても仕方ないよねということを伝えればカカリさんはあるあるだねと笑いながら答えてくれた
カカリさんを見ていると元の世界にいた母を思い出してしまうんだよね
このちょっと小柄な後ろ姿とか、鼻歌を歌いながら料理をしている感じとか
どの世界でもどんな時間であっても食事を用意する母親は本当に偉大だよ
「...私もなにかお手伝いで出来ませんか?」
「あらありがとうね
そしたらそこにサラダがあるから運んでおいてくれないかい?」
そう言いながら指をさすカカリさん
その先にあるのは穀物系がメインのサラダ
レタスとキャベツもあるけど明らかに穀物のほうが多い
なんだろう...なにか足りないよね
ああそうだドレッシングがないんだ
流石に野菜の味を楽しんで食べるのもキツいものがあるよね
「カカリさん、このサラダってドレッシングはかけないんですか?」
私はさも当たり前のように聞いた
しかし帰ってきた返答は
「ドレッシング...?なんだいそれ?」
まるで存在そのものを知らないような答えだった
もしかしてドレッシングという言葉がうまく言語翻訳されていないのだろうか?
ほら、私って自動言語翻訳のスキルがあるからさ
そこでサラダにソースはかけないのかって聞いたらカカリさんははっとしていた。
「あらやだごめんなさい!
私達家族はリスの獣人だからそれに合わせた味付けをしているんだったわ!」
なるほどね
カカリさんたちは獣人だから味付けは濃くすることなく素材そのものの味を楽しもうとする習性があるのか
それにカカリさんの反応と言葉を聞く感じだと最近は人間と一緒にご飯を食べることもなかったんだろうね
今からカカリさんに人間用の食事を用意させるのも気が引ける
「そうだ...私がツキカゲたちのご飯を作ります!
そのために私は早起きをしたんですから」
ニッコリと笑みを浮かべてそう言うと手首まである服の袖を肘のあたりまで捲り上げた。
さてと、やりますかね
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