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58話
しおりを挟む私や真彩さん以外に異世界から来た人がいるのか?
まあそりゃあそうか、実際に私達と同じく異世界から来た人が目の前にいるからな
しかしなぜそんなことが言えるのだろうか…少しだけ教えてもらうとしよう
「例えば…どんな人がこの世界に来たのですか?
会いに行くためには情報が必要だから…教えてください」
きっと私の声は震えていたかもしれない
はじめて知った真彩さん以外の同士の存在
ここで情報を手に入れられなかった私は…
「情報…だったらこれはどうかな?」
と言って私の額を指で優しく触れる彼
頭の中に流れてくるのは初め見るのにとても懐かしく感じる景色
天まで届く程の大樹の花は薄桃色
ひらひらと散る花びらの一枚を手に乗せたあの人は誰?
「今の…もしかして」
私の頭に流れた情報を整理して理解したその時、私が考察したことは正しいか…それを目の前にいる神に答え合わせしてもらうことにした。
彼は静かに首を縦に振って口を開いたんだ
「今見せたのはこの世界樹を守る者だ
私の記憶が正しければ確か彼の名前は_____」
なるほどね
それは間違いなく私が元いた世界の人物だね
ここは情報をくれた神様に感謝してこの場を去るとしよう
「情報提供感謝します
今度こそ行かないと…もうこの国には来れないけど、また会える日が来ることを願っています!」
「あぁ…また会える日が来ますように
今度会う時はもっと素敵な女性になっていることを願っています」
まったく…言っていることが紳士のそれだ
さすがは英智の神でありこの帝国の東のギルドマスターをやっているだけある
言うことがその辺にいる男なんか比べ物にならないほどイケメンだ。
「ふふっではまた!」
窓の外に身を乗り出してそのまま力を抜くと、地面に吸い込まれていくようなそんな感覚がした。
大丈夫、私は落ちない
キッと地面を睨みつけ、大きく背中の羽を動かして風をおこすとそのまま星に近づくほど高い所までいく
上空で今が夜なのもあって肌寒いどころじゃない
だけど私は周りを見て気づいた
星はこんなにも綺麗なのか
ふとそんなことを考えて無意識に口元が緩んだ
かと思えばいきなり早く彼らに会いたいという気持ちが溢れて来て私の感情の起伏の激しさに驚いた。
「それにしても…我ながらとんでもないことをしたな」
一国の聖女様と出会ってまさか誘拐するなんてね
だけど、私は悪くない
あんな精神異常を患わせたやつのそばに真彩さんを置きたくなかった
まあ私の手であいつの命を終わらせたけど
どちらにせよあいつの狂った心をこの国の者が見ればそれは間違いなく悪魔に取り憑かれたとか思われて殺されるに違いない
この帝国の王宮魔術師フラット…といったか
彼は聖女である真彩さんに出会ってから全てがおかしくなってしまったのか
それとも他に理由があったのか…
今は考えるのをやめてしまおう
とにかく私は仲間に会いたいんだ
この世界で出会った仲間に…!
宗教国家トーマス帝国
今ここではとんでもない事態が発生した
それは異世界から召喚した聖女が何者かによって攫われてしまったのだ。
聖女の為だけに用意された部屋は半壊状態になり、そこには黒い炎が近くの書物や布に燃え移っていた
聖女の他に行方不明になった王宮魔術師フラット
彼の最後を見たものは誰もいない
その代わりに目撃したのは
黒い鱗と金色の瞳を持つ巨大なドラゴンが飛び去って行ったことだけ
人々は理解していた
あれは世界のどこかにある六つの王座を守る伝説のドラゴンであると
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