見た目幼女は精神年齢20歳

またたび

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25話

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「カナさん、ツキカゲさん!

今日は本当にありがとうございました!!」


ダンジョン攻略後

私たちは若葉たちと別れることになったのだ


「別にそこまでのことはしてないよ

あっそうだ…」


何かを思い出したように彼らに背中を向けるとマントの下で腕に竜の鱗を纏った

前に1度試したことがあってこうやって竜の鱗を使って硬化させた腕はとんでもなく硬くなる。

そして纏わせた鱗は私の意思で形状を保たせることもできるしいらない時は光になって消えるそんな便利なスキルだ。

さて、そんな竜の鱗を生成すればそれをなんの躊躇いもなく人数分剥がした。


「はぁ…なにをするかと思えば

お前はせっかく数少ないレアアイテムを大量生産してるようなものだぞ…」


呆れてため息をつくツキカゲを無視してマントからそれを出すと私は表情を変えることなく言った。


「あなた達はもっと訓練が必要…この竜の鱗をヘンリー王国にいる冒険者ギルドマスターのロキシーさんにみせて

そしたら私からのお願いだってすぐにわかるから……」


ツキカゲと同じ黒い光沢のある鱗は私の魔力でコーティングされてるので消滅することは無い

1人1枚それを渡せば私は彼等の向く方角とは逆の方角……つまりトーマス帝国を向いていた。


「あの…思ったんですけど、カナさんとツキカゲさんって何者なんですか?」


若葉たちのリーダーであるエルムは戸惑いながらも勇気を振り絞ってそう聞いてきた。


私が何者か……そんなのわかりきっているのではないか?


なんてかっこいいことを言ってみたかったけど後々私自身が恥ずかしくなってくるのでやめた

だから代わりにこう答えた


「またいつか会える時に教えるよ

それまでその鱗を大事に持っててくれる?」


ダンジョン攻略が終わった達成感や張り詰めていた気持ちが緩んだせいなのか私の顔は優しい笑みを浮かべていた。


人生とは出会いと別れだ……とある人は言った


それは本当なのかもしれない

そしてそれに私は付け加えたい


人生とは出会いと別れもあるが再会することだってある

私はまた彼等に会える喜びを胸に一時の別れの挨拶をして目的地を目指したのだ。













ザクザクと大地を踏む音が耳に入ってくる

「はぁ…まったくいつになれば目的地に到着するの…?

かれこれ半日は歩いてるわよ?」


ヘンリー王国を出て5日は経っただろうか

あとはこの3つ目の山を超えるだけなのだが…


「さすがに日が落ちたこの時間に行動するのは危ない

カナ、ここで1晩過ごすぞ」


いつにも増して慎重なツキカゲは結界を張る準備を

精神的にクタクタな私はインベントリからキャンプセットを取り出すとそれを組み立てた。

さて…今日はなにを作ろう


「最近米ばっかり食べてるからな…

たまにはジャンクフードも食べたい」

「ジャンクフード?

なんだそれは?」


聞き慣れない言葉を耳にした瞬間私にジャンクフードについての説明を求めてきたツキカゲ

私は簡単にそれを説明すると、彼は目をキラキラと輝かせた。

これは…言うな


「今日はそのジャンクフードを食べよう!」


ほらな!言うと思ったよこの食欲お化け!

相変わらずな様子を見せてくるあいつにため息をつきながら電子世界インターネットを開く

私が暮らしていた日本のジャンクフードといえば色々あるな…

ハンバーガーにフライドポテトにピザ…あとはカップラーメンとかだな

そもそもジャンクフードというのはカロリーは高いのに栄養だけが偏ってる食べ物のことを言う。


「ジャンクフードを買ってもいいけどちゃんと足りない栄養を補うための食べ物も食べてもらうからね?」

「ふん…そんなの俺様にとっては造作もないこと」


そういうのはいいから

なんやかんやでツキカゲにはフライの盛り合わせと野菜ジュース

私にはゼリータイプのバランス栄養食だ


「普通冒険者はこんな感じの携帯食で済ませるんだろうね…」


下手したらこのゼリーよりも酷いのかもしれない

なんてブツブツと考えているとツキカゲは私を睨んできた。


「カナ……いや、なんでもない」


私のせいかツキカゲもなにかブツブツと呟き始めた。

今日はなんだか気分が優れない

さっさと寝てしまうのがいい

そう思って私はテントに入って着替えることも忘れて寝袋に入ることも無く泥のように眠ってしまった。

この感覚…気持ち悪いはずなのにほんのちょっとだけ




心地よい
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