見た目幼女は精神年齢20歳

またたび

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16話

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ここは私達が拠点とする場所から少し離れた森

まあ私がよく薬草採取のクエストを受けたら必ず来る場所だ

ギルドマスターのロキシーさんに一言挨拶すると肩慣らしに森に行って薬草採取をしながらゴブリンでも駆除してくると言ってギルドを出ていった。


そして今、私はよくあるバーベキューセットをインベントリから出すと火をつけ肉と野菜を焼く準備をしていた。


「こういう物を扱う時に変装コスプレスキルは使えるよね

私はご飯を作るからツキカゲは説明書を見ながらテーブルと椅子を組み立ててね」


事前に調味料に漬け込んだ肉を取り出し強火で一気に焼くと香ばしい香りが余計にお腹を空かせる

やはりバーベキュー料理はこういうガツンとしたやつがいいよな。

焼けた肉や野菜を皿に盛り付けてツキカゲが組み立ててくれたテーブルの上に置くと、彼はヨダレを垂らして待てないといった様子を見せてきた。

こいつ伝説のドラゴン暗黒竜オプスキュリテドラゴンなんだよね?

威厳も何もないじゃないか…。


「はあ…まだスープが出来てないけどこれだけ食べちゃいましょうか」

「おう、この腹を空かせる匂いがたまらん!」


椅子に座り2人で合掌をしていただきますと言うと一言も喋ることなく食事に集中した。

美味すぎて箸が止まらない

喋る時間があればこの肉汁が溢れる肉を早く口に運んでいたいくらいだ。

気づけば大量にあった肉と野菜はほとんどツキカゲが平らげてしまい盛り付けに使った皿だけになってしまった。


「さてとスープを飲みながら落ち着いて話しますか…」


トマトの水分を使って作ったトマトスープは甘味もあって美味である

心が落ち着いていつの間にか幼女の姿に戻ってしまっていた

それほど心も気持ちも緩めてしまう恐ろしいスープだ。


「ふう…じゃあ教えてもらうわよ」

「…なにがだ?」


こいつ冗談で言っているのならぶっ飛ばしてやろうか?


「あのね…なんのためにここでご飯を食べていると思ってんのよ!

この森なら滅多に人も来ないから色々と話しやすいでしょ?

だから話してもらうわよ!」


あの赤いドラゴンのことやクエストをクリアしたのか否か

そこまで言うとツキカゲは真剣な表情になってわかったと答えた。


「まずはじめにあのとき現れた赤いドラゴンについて説明しよう…

簡単に言えばあいつは俺様と同じ伝説のドラゴンに入り個体名を真紅の竜カルマンドラゴンと呼ばれ多くの人間が恐れていたらしい」



おいおい今さらっととんでもないことを言ったなこのドラゴン

というかなんだ?

この世界には何体の伝説のドラゴンがいるんだ?

実際私の目の前にいる人間の容姿をした彼は伝説のドラゴンだしな。

するとツキカゲは私をじっと見つめてなにか思い出したような表情をした。


「そうだった…カナにはこの世界の常識を教えておかないとだな…。

この世界においての当たり前…それは伝説のドラゴンと呼ばれる存在だ。

俺様達伝説のドラゴンは普通のドラゴンとは比べ物にならないほどの圧倒的力を持つ異色の存在といえばいいか?

そんな力を持つ俺様達に人間は恐れ、そしてある条約を結んだ。

それは…」


_____決して互いに攻撃をしてはいけない…そうすればそれなりの反撃をする


なるほど…そうでもしないと人間も安心できないしドラゴンもうるさい虫が近寄らなくてすむからいい条約かもしれない。

しかし…真紅の竜を倒してしまったことは大丈夫なのだろうか?


「人間と俺様達が交わした約束もそうだがそれよりも問題であるのは真紅の竜を倒してしまったことだな…。

現時点で確認されてる伝説のドラゴンは全部で6体いるが、先日俺達が真紅の竜を倒したから5体になるな。

さっきも言ったが伝説のドラゴンは圧倒的な力を持つ奴らだそんなのが倒されるなんて異例の事態ってことになる」


つまり…


「私達は」

「確実に」


「「世界中から注目を浴びてしまう」」


そうなれば私達の自由は奪われてしまうかもしれない

あの赤いドラゴン倒して世間が大騒ぎするなんてとんでもない出来事と捉えるべきだ。

そうなるとこれからは正体を隠して生きていくしかないのか

しかし赤いドラゴンか…


「ねえツキカゲ…私夢で変な人にあったのよ

草原を走っていたら何かにつまずいて転んでなんだと思って見たら夕日のように赤い髪の青年が話しかけて…きて……!」


待てよ…仮にその夢が本当は夢じゃないとしたら?

そしたら赤毛の青年は私に向かって何故あんなことを言ってきたのだろう。




____俺をうえに蹴るなんてな


____もう二度とこの世界に来るんじゃない




まさかそんなありえない事があるのだろうか?

いやしかしそんなありえない事がありえるのが異世界だ。

そう考えればあの夢に出てきた赤毛の青年は…

深く考えている私に対して金色の目を光らせ睨んでくる黒髪の青年は言った




「……カナはに行ったんだな」
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