見た目幼女は精神年齢20歳

またたび

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10話

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今日から私はこの整った部屋を拠点として活動することにした。

1泊銀貨3枚を1ヶ月の計算だと金貨9枚…日本円にして9万円だ

かなり痛いなと考えていたけどそれは宿に止まる形ならの話、賃貸として借りる形なら1ヶ月金貨5枚になるそうだ。

即ここに決定しましたよ

受け取った部屋の鍵を机に置くと着ていたマントをクローゼットにしまって再び部屋を見渡した。


「この部屋ってベッドがひとつしかないからツキカゲのベッドをこれから用意しないとだね…」

「別にカナと同じベッドで寝ても俺様は構わないぞ?」


いや、私が気にするからすぐに買ってしまいます。

スキル、電子世界インターネットを使いネットショッピングサイトを開くと折りたたみ式ベッドをポチッた。

あとは布団一式を2つと今日の夕食の材料もポチッとな。

通知でインベントリに買ったものが追加されたと表示されて早速出してみることにした。


「おお…!この折りたたみ式ベッド結構大きい!

ツキカゲにピッタリかもね」

「この布団はふかふかだな!確かにベッドを独り占めしたくなる気持ちもわかる!」


うん、なんか勘違いしてるみたいだけど別にいいや。

ベッドを2つ置いて布団を敷けば私達を夢の中に誘ってくれそうな感じだ。


「よし、あとは夕食作りなんだけど…」


さすがにここで料理は出来ないのでこのギルド敷地内にある食堂のキッチンでも借りよう。









食堂のキッチンを借りる条件…それは


「俺が美味いと思える料理を作ったらこの先もキッチンを使ってもいいぞ!」


そう言っているのはこのギルド食堂の最高責任者であるリグレさん

どこかで見たことあるこの顔…


「あの…さっき会いましたか?」


見覚えのある顔立ちと耳としっぽ…リベルさんかと思ったけど違う

今目の前にいるリグレさんは鋭い目付きではなく優しいタレ目だ


「は?ああもしかして弟のリベルと間違えてるのか?」


やはり兄弟だったのか

リグレさんとリベルさんは双子の兄弟で2人とも熊の獣人らしい。


兄のリグレさんは料理人として
弟のリベルさんはモンスターの解体人としてこのギルドで働いているのだ。

しかし2人は双子の兄弟だったのか…どうりで似てるわけだ

いやそんな話は置いておいて


「美味しい料理ですよね…材料はこちらで揃えているのでさっそく作らせてもらいます!」


インベントリから調理器具と材料を出すと私は早速作業に入った。


カツ丼と言ってるのだからまずは米を炊くのが先だ

米をボウルに入れて水を入れて30分程吸水させる…時間がかかるのでこれはあらかじめやっておいた。

研ぎ、研ぎ汁を捨てる…これを2~3回繰り返す。

そして土鍋に水と一緒に私は料理酒を入れる

本来米を炊くのに酒なんて入れないけど、私は入れた方が美味しく感じるので入れちゃう。


「酒だと…!?勿体なくはないか?」


よし、ツキカゲが酒好きなのはよーくわかった

酒がもったいないと喚くツキカゲに「お座り!」と犬のように言うとその場で正座をして黙った。

言っておくけどこのお酒は料理酒だから飲んじゃダメだから

そして土鍋をコンロにセットして火をつける

米を炊く際によく言われるのが「はじめチョロチョロなかパッパ赤子泣いても蓋取るな」

まあ炊飯の様子を言ってるみたいだけど、私にはよく分からない

タイマーをセットして土鍋を放置すると次はカツ丼の「カツ」の部分

オークの肉で作るオークカツを作ることに。


材料になる肉はリベルさんに解体してもらったオークのブロック肉

まずは同じ厚さに切ってから筋の部分も切る

そして肉たたきで満遍なく叩くのだが、肉たたきなんて持ってないので包丁の裏で叩いて形を整え塩コショウを振りかける。

薄力粉、溶いた卵、パン粉の順にまぶすして170℃まで温めた油に入れて揚げる。


リグレさんはこの工程を見て随分と手間がかかる料理だなと言ってた。

確かにそうかもしれない

美味しいものを食べるために手間をかけるのが料理…そこに関しては一切の妥協を許さないのが私の生まれ育った世界だ。


「そろそろかな…うん、いい色だ」


きつね色に揚がったオークカツを油切りすると完成…ではない

私が作ろうとしているのはカツ丼だからな


玉ねぎを薄切りにして醤油や出汁などの調味料と共に油をひいたフライパンに入れる

炒めて調味料が沸騰したら1口位に切ったオークカツを入れてから溶き卵を注いでから 


「よし…ご飯も炊けたね!」


トロトロになったら火を止めて炊けたご飯と一緒に盛り付けて完成だ


名前は…「オークカツ丼」でいいか


「はい完成

ちゃんと人数分作ったので食べましょうか!

せっかくだからケイミーもおいでよ!」


キッチンの入口付近に隠れる影に向かってそういえばビクッと肩が跳ねて堪忍して出てきたケイミー。


「よく分かりましたね…完全に気配を消したつもりだったんですけど」


そんなの気配察知スキルにかかればお手の物だね


「せっかくだからケイミーも食べていってよ!

お腹すいてるでしょ?」


そう言って綺麗に盛り付けされた4つのオークカツ丼を見せるとゴクリと喉を鳴らして「いただきます」と呟いた。

私も席についてその丼を1口食べた

トロトロの卵にオークのカツが絡んで美味い

味付けも少し甘めで米と合うからかきこまずにはいられない!


とても素晴らしいオークカツ丼で感動してしまった。

ツキカゲやリグレさんやケイミーも食べる手を止めなかった。


「美味い!おにぎりも美味かったが、このオークカツ丼はさらに上をいく!」

「こんな料理があったとは…驚いた!」

「ほっぺたが落ちるほど美味です!」


皆喜んでくれたみたいでよかった

リグレさんにオークカツ丼のレシピを渡せば約束通りこのキッチンを使わせてもらえることになった。
 

最後にこれからも美味い料理を作ってくれと言われた…

つまりこれからもレシピを教えてくれと言ってるのか…。
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