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今日も私は元気に活動している
「そしたらこれがこの式と同じ形になる」
「…なるほど」
やることと言えば勉強してわからないところがあればニコに聞く
一日一時間は運動場に言って体を動かしたりするんだ。
あとはポチのコーヒーを用意して、ニコのタバコの在庫確認をしたりする
それとジェリーの漫画の棚の整理やしおりを挟んだり
大分この環境に慣れた
まだ慣れてないのは…
「はっ…くしゅん!
……またやってしまった」
目の前にあったはずの勉強用プリント
今あるのは黒焦げになり三分の二が焼け焦げて炭となり消えていた。
これで八回目である
こうなってしまう原因は私がドラゴンの義獣人だから
だいたい喉仏の上辺りに炎を生成してそれを口から吹く器官がある
くしゃみをする時は必然的にそこに力が入って炎を生成してしまうのだ。
さてどうしよう…くしゃみをしないように生活していてもどうしてもくしゃみというのは出てしまう
その結果八回も書類や服や布団を燃やすか焦がすかのどちらかになるのだ
「どうやって言い訳しよう…」
実を言うとこのことは誰にも言ってない
はじめて炎でプリント用紙を燃やした時は処分する書類と一緒に間違えてシュレッターにかけてしまったといって再びプリントしてもらったけど、今回またそんなことしたら疑われてしまう
「(そうだ…秋元のおじさんに内緒で相談しよう)」
あの日、私は秋元のおじさんがこの義獣人隊の司令官だということを知った。
つまりポチの上司
初めは驚いたけど、前と同じようにスイーツを持ってきて色んな話をしてくれるから結局は変わらないんだなって思った。
時々私の方から遊びに行ってその日あった面白いことを話に行くんだ。
今回は面白いことではなく真剣な悩みである
義獣人のことをよく知っている秋元のおじさんならこの相談にのってくれるかもしれない
なんて期待をしながら私はこっそりと部屋を出ておじさんの部屋に行くんだ。
おじさんが仕事する部屋に来たはいいけど
仕事中に話をするのはどうなのだろうか?
わざわざここまで来て急に申し訳なくなった。
「(多分仕事中だよな…ポチからは仕事中は邪魔しないのが嫌な思いをしない方法だぞって言われてるし…)」
頭の中をぐるぐると色んな思いが駆け巡る
さてどうしよう
「リューコちゃん、入ってこないのかい?」
後ろから聞こえたドアの開いた音に肩が跳ねた…それに加えて心臓がバクバクと鳴っている
「あっ…秋元のおじさん
仕事中じゃないんですか?」
「今ちょうど一息ついたところだよ」
いつでも紳士的で優しいおじさんだな…と思いながら向き合うように立つと私はおじさんに相談したいことがあると言った。
「相談したいこと…?
ポチくんでは解決出来そうにないのかな?」
ポチだけじゃない…ニコやジェリーにも言いづらいことなのだ。
これは義獣人をよく知っているおじさんだから相談出来ること
そう言えば真剣な顔になって中に入るように私を案内してくれたおじさん
その時の様子はいつもよりも頼もしく感じて少しだけ口元が緩んだ。
紅茶を入れてお皿に入ったクッキーを差し出して向き合うようにソファに座るとさっそく話すことにした。
「最近…自分が義獣人なんだって自覚してしまうことが増えてきたんです
なんか痒いなって思ってそこをよく見たら脱皮の殻みたいのが張り付いてたり
今日もくしゃみをしたら火を吹いて手に持ってた書類を燃やしちゃって…」
自分はただの人間では無いということを嫌でも理解してしまうから辛いのだ
でも…だからといってこの力を放っておく訳にはいかない
せめて炎の制御が出来るようになりたい
「秋元のおじさん…私、ポチ達にバレないように力の制御をしたいです。
どうすればいいですか?」
するとおじさんはまるで自分の事のように真剣に考えてくれた。
どうすれば良いのかわからないのなら大人を頼れ
それはポチに言われたことだ
だから私はおじさんに頼った
おじさんなら私の願いを叶えてくれるかもしれないなんて淡い想いを抱いてしまったから
「そうだね…じゃあこれから君には特別訓練を受けてもらおうかな」
「特別…訓練?」
それは私とおじさんだけの秘密
ポチ達にバレないように力の制御をして褒めてもらいたいから
だから頑張りたいと思ったんだ。
「そしたらこれがこの式と同じ形になる」
「…なるほど」
やることと言えば勉強してわからないところがあればニコに聞く
一日一時間は運動場に言って体を動かしたりするんだ。
あとはポチのコーヒーを用意して、ニコのタバコの在庫確認をしたりする
それとジェリーの漫画の棚の整理やしおりを挟んだり
大分この環境に慣れた
まだ慣れてないのは…
「はっ…くしゅん!
……またやってしまった」
目の前にあったはずの勉強用プリント
今あるのは黒焦げになり三分の二が焼け焦げて炭となり消えていた。
これで八回目である
こうなってしまう原因は私がドラゴンの義獣人だから
だいたい喉仏の上辺りに炎を生成してそれを口から吹く器官がある
くしゃみをする時は必然的にそこに力が入って炎を生成してしまうのだ。
さてどうしよう…くしゃみをしないように生活していてもどうしてもくしゃみというのは出てしまう
その結果八回も書類や服や布団を燃やすか焦がすかのどちらかになるのだ
「どうやって言い訳しよう…」
実を言うとこのことは誰にも言ってない
はじめて炎でプリント用紙を燃やした時は処分する書類と一緒に間違えてシュレッターにかけてしまったといって再びプリントしてもらったけど、今回またそんなことしたら疑われてしまう
「(そうだ…秋元のおじさんに内緒で相談しよう)」
あの日、私は秋元のおじさんがこの義獣人隊の司令官だということを知った。
つまりポチの上司
初めは驚いたけど、前と同じようにスイーツを持ってきて色んな話をしてくれるから結局は変わらないんだなって思った。
時々私の方から遊びに行ってその日あった面白いことを話に行くんだ。
今回は面白いことではなく真剣な悩みである
義獣人のことをよく知っている秋元のおじさんならこの相談にのってくれるかもしれない
なんて期待をしながら私はこっそりと部屋を出ておじさんの部屋に行くんだ。
おじさんが仕事する部屋に来たはいいけど
仕事中に話をするのはどうなのだろうか?
わざわざここまで来て急に申し訳なくなった。
「(多分仕事中だよな…ポチからは仕事中は邪魔しないのが嫌な思いをしない方法だぞって言われてるし…)」
頭の中をぐるぐると色んな思いが駆け巡る
さてどうしよう
「リューコちゃん、入ってこないのかい?」
後ろから聞こえたドアの開いた音に肩が跳ねた…それに加えて心臓がバクバクと鳴っている
「あっ…秋元のおじさん
仕事中じゃないんですか?」
「今ちょうど一息ついたところだよ」
いつでも紳士的で優しいおじさんだな…と思いながら向き合うように立つと私はおじさんに相談したいことがあると言った。
「相談したいこと…?
ポチくんでは解決出来そうにないのかな?」
ポチだけじゃない…ニコやジェリーにも言いづらいことなのだ。
これは義獣人をよく知っているおじさんだから相談出来ること
そう言えば真剣な顔になって中に入るように私を案内してくれたおじさん
その時の様子はいつもよりも頼もしく感じて少しだけ口元が緩んだ。
紅茶を入れてお皿に入ったクッキーを差し出して向き合うようにソファに座るとさっそく話すことにした。
「最近…自分が義獣人なんだって自覚してしまうことが増えてきたんです
なんか痒いなって思ってそこをよく見たら脱皮の殻みたいのが張り付いてたり
今日もくしゃみをしたら火を吹いて手に持ってた書類を燃やしちゃって…」
自分はただの人間では無いということを嫌でも理解してしまうから辛いのだ
でも…だからといってこの力を放っておく訳にはいかない
せめて炎の制御が出来るようになりたい
「秋元のおじさん…私、ポチ達にバレないように力の制御をしたいです。
どうすればいいですか?」
するとおじさんはまるで自分の事のように真剣に考えてくれた。
どうすれば良いのかわからないのなら大人を頼れ
それはポチに言われたことだ
だから私はおじさんに頼った
おじさんなら私の願いを叶えてくれるかもしれないなんて淡い想いを抱いてしまったから
「そうだね…じゃあこれから君には特別訓練を受けてもらおうかな」
「特別…訓練?」
それは私とおじさんだけの秘密
ポチ達にバレないように力の制御をして褒めてもらいたいから
だから頑張りたいと思ったんだ。
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