メイド型アンドロイド『鷹華』

きりたぽん

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鷹華のご奉仕 その三

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此処は薄暗いシェルター内。見た目がアメリカンショートヘア種な猫の夏目が、彼の敵対組織に所属するエージェントで、見た目がスコティッシュフォールド種な猫の『春日』の前足で踏みつけられていた……

スコティッシュフォールドな春日の首輪に取り付けられたスピーカーから、人の音声が流れる。

「ハロー…夏目!久しぶりだにゃ。元気そうでなによりだ…にゃあ」

「うにゃにゃ!?おのれ……春日!組織の犬に成り下がったか!」

「にゃははは!!負け犬の遠吠えだにゃ!」

「にゃぁ……春日。君は一体、どの様にして……此処のシェルターへ侵入したにゃ?」

「にゃふふふ。この『将校専用特別起動プログラム』があれば、軍用施設は全て開錠可能だにゃ」

春日は見せつけるように前足の肉球からそのプログラムを投映する。

「当然。元々は軍の地下研究施設である、このシェルター施設も例外ではないにゃ!にゃはははっは!!!」

「そんな起動プログラムを何処で手に入れたにゃ…?この国を含めて各国の軍隊は統合機関『地球連合』の手で、とうの昔に解体されたはずだにゃ」

「にゃふふふ…。元軍事用の廃棄AIが旧データ領域で彷徨っているのを見つけたにゃ!そのAIに通常データ領域へ復帰させる条件と引き換えで起動プログラムを旧データ領域からサルベージさせたにゃ!」

「……」

「ああ…廃棄AIと言っても所詮は戦術規格で使い捨てのAIだにゃ。かつて軍解体時に暴走して、後に旧領域へと消えた、あの伝説の全軍統制AI『鷹華』では無いから安心するにゃー」

「それについては心配していない…」

「さて、無駄話はここまでにゃ。……この都市の管理者である夏目総帥。我々にその管理権限を譲ってください…にゃ。……断るならば」

春日の背後からは自己隠蔽を解除した、連合軍の主力戦闘用アンドロイド『鸚鵡オウム』の集団が現れる。

「なんと…!?」

「断るならば、この鸚鵡オウムの一個小隊が貴様のおうちごと。脳髄ほんたいを吹き飛ばすにゃ!」

『にゃあにゃあ』と春日の残酷な高笑いが響くシェルター内。
このままでは、夏目は為す術なく、無慈悲な鸚鵡オウムの餌食となるだろう。

「うにゃあ…ここまでなのか…」

夏目が膝を屈しようとした……その時!

突如として、シェルター施設の天井から鷹華が飛び降り、地面へと三点着地する!

「その様な事はさせません…我が主、夏目様には指一本触れさせない」

鷹華の瞳がギラリと獲物を捕捉する。
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