3 / 3
転移者の存在
しおりを挟む
「これが町か。首都から離れているからか活気がないな」
俺は高くそびえ立つ壁を見ながら言った。
ウルフに襲われて以降、天の声が《『魔刀』の能力を一部抽出、新スキル『形状変化』を取得。それにより『魔刀』は消失しました》と言ったこと以外、特に何もなく町の門まで着いてしまった。
形状変化は原子や分子といった細かい変化は行えないが、物体の形を変化させることが出来る。
もし誰もがこのスキルを使えるようになったら芸術家や鍛冶屋が要らなくなるな。
そう思いながら入町門の列に並ぶ。
しばらく経ち自分の番が回ってきた、だがここで問題発生。
「はい、それじゃあ身分証明書を提出してくださいね」
鎧を装着した門兵が身分証を提示しろと言った。
もちろんそんなものは持ち合わせていない。
というかいきなり召喚されたのに持ってる訳ないじゃん。
こういう時はどうすれば良いんだ?
《それでは門兵の方に「いきなり召喚された」、と言ってみてください》
「いきなり召喚された」
門兵はしばらく考えている。
あー、絶対変な人だと思われたよ。
いきなり召喚されたとか言われても、そりゃ困るよね。
「ああ!転移者の方でしたか!」
へー、この世界には転移者がいるのか。
俺は神か転移者、どっちに分類されるんだろう……。
「それなら身分証明書は必要ありません!この人に付いて行ってください!」
奥の方から女性が現れた。
この人に付いて行けばいいのか―――。
―――着いた場所は王城の広場だった。
いきなりなんでこんなところに連れて来られたんだろう……。
「では、私はここで…」
ここまで連れて来た女性が去って行った。
え、ってことはここにいるのは俺一人だけ?
もう帰ってもいいかな?
別にここに留まるように言われている訳でも無いし帰ってもいいよな……。
何故かここは息が詰まる。
そりゃ、王城だから当然か。
えっ、なんで首都から離れた町なのに王城があるのかだって?
それは単純、この家の名前が王城だからだよ。
実際は町長の家、ジョークの質が低すぎて過ぎて吐き気がしてきた。
そう思いながら、出口に向かい、足を動かそうとした頃。
「おお、君が転移者か!」
広場の奥にある通路から声が聞こえてきた。
白髪の爺さんがよろよろとこちらに向かってくる。
「大丈夫ですか?随分よろよろしていますけど」
「ああ、大丈夫だよ。それよりも私と契約を結ばないか?」
「なぜですか?」
「そうか、まだ君はこの世界のことについてまだ知らないんだったね。実はな―――」
―――爺さんの要約すると、この世界には時々、転移者と呼ばれる人間が召喚されるそうだ。
この世界の住民は何百人も集まってやっと『魔斬』のようなスキルを使えるようになるらしい。
だが転生者は召喚された時点で高い能力を持ち、強力なスキルを単体で使える。
つまり転生者は軍事兵器としての能力を高く持つ。
転生者を多く所有している国が戦争に勝つ。
そして転生者を一番多く持つ国の貴族や住民は戦争の恐怖に怯えなくて済むとのことらしい。
「頼む!お願いだから契約をしてくれ!出来ることなら何でもする!」
「えーと、もうちょっと考えさしてください。その間、この家の部屋を貸してもらえませんか?」
「もちろんいいとも!さあ、こっちだ、付いてきてくれ!」
よし、寝床ゲット!
俺は高くそびえ立つ壁を見ながら言った。
ウルフに襲われて以降、天の声が《『魔刀』の能力を一部抽出、新スキル『形状変化』を取得。それにより『魔刀』は消失しました》と言ったこと以外、特に何もなく町の門まで着いてしまった。
形状変化は原子や分子といった細かい変化は行えないが、物体の形を変化させることが出来る。
もし誰もがこのスキルを使えるようになったら芸術家や鍛冶屋が要らなくなるな。
そう思いながら入町門の列に並ぶ。
しばらく経ち自分の番が回ってきた、だがここで問題発生。
「はい、それじゃあ身分証明書を提出してくださいね」
鎧を装着した門兵が身分証を提示しろと言った。
もちろんそんなものは持ち合わせていない。
というかいきなり召喚されたのに持ってる訳ないじゃん。
こういう時はどうすれば良いんだ?
《それでは門兵の方に「いきなり召喚された」、と言ってみてください》
「いきなり召喚された」
門兵はしばらく考えている。
あー、絶対変な人だと思われたよ。
いきなり召喚されたとか言われても、そりゃ困るよね。
「ああ!転移者の方でしたか!」
へー、この世界には転移者がいるのか。
俺は神か転移者、どっちに分類されるんだろう……。
「それなら身分証明書は必要ありません!この人に付いて行ってください!」
奥の方から女性が現れた。
この人に付いて行けばいいのか―――。
―――着いた場所は王城の広場だった。
いきなりなんでこんなところに連れて来られたんだろう……。
「では、私はここで…」
ここまで連れて来た女性が去って行った。
え、ってことはここにいるのは俺一人だけ?
もう帰ってもいいかな?
別にここに留まるように言われている訳でも無いし帰ってもいいよな……。
何故かここは息が詰まる。
そりゃ、王城だから当然か。
えっ、なんで首都から離れた町なのに王城があるのかだって?
それは単純、この家の名前が王城だからだよ。
実際は町長の家、ジョークの質が低すぎて過ぎて吐き気がしてきた。
そう思いながら、出口に向かい、足を動かそうとした頃。
「おお、君が転移者か!」
広場の奥にある通路から声が聞こえてきた。
白髪の爺さんがよろよろとこちらに向かってくる。
「大丈夫ですか?随分よろよろしていますけど」
「ああ、大丈夫だよ。それよりも私と契約を結ばないか?」
「なぜですか?」
「そうか、まだ君はこの世界のことについてまだ知らないんだったね。実はな―――」
―――爺さんの要約すると、この世界には時々、転移者と呼ばれる人間が召喚されるそうだ。
この世界の住民は何百人も集まってやっと『魔斬』のようなスキルを使えるようになるらしい。
だが転生者は召喚された時点で高い能力を持ち、強力なスキルを単体で使える。
つまり転生者は軍事兵器としての能力を高く持つ。
転生者を多く所有している国が戦争に勝つ。
そして転生者を一番多く持つ国の貴族や住民は戦争の恐怖に怯えなくて済むとのことらしい。
「頼む!お願いだから契約をしてくれ!出来ることなら何でもする!」
「えーと、もうちょっと考えさしてください。その間、この家の部屋を貸してもらえませんか?」
「もちろんいいとも!さあ、こっちだ、付いてきてくれ!」
よし、寝床ゲット!
0
お気に入りに追加
31
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
転生幼女の異世界冒険記〜自重?なにそれおいしいの?〜
MINAMI
ファンタジー
神の喧嘩に巻き込まれて死んでしまった
お詫びということで沢山の
チートをつけてもらってチートの塊になってしまう。
自重を知らない幼女は持ち前のハイスペックさで二度目の人生を謳歌する。
まさか転生?
花菱
ファンタジー
気付いたら異世界? しかも身体が?
一体どうなってるの…
あれ?でも……
滑舌かなり悪く、ご都合主義のお話。
初めてなので作者にも今後どうなっていくのか分からない……
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~
にくなまず
ファンタジー
今年から冒険者生活を開始した主人公で【ソロ】と言う適正のノア(15才)。
その適正の為、戦闘・日々の行動を基本的に1人で行わなければなりません。
そこで元上級冒険者の両親と猛特訓を行い、チート級の戦闘力と数々のスキルを持つ事になります。
『悠々自適にぶらり旅』
を目指す″つもり″の彼でしたが、開始早々から波乱に満ちた冒険者生活が待っていました。
異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)
ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。
流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定!
剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。
せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!?
オマケに最後の最後にまたもや神様がミス!
世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に
なっちゃって!?
規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。
……路上生活、そろそろやめたいと思います。
異世界転生わくわくしてたけど
ちょっとだけ神様恨みそう。
脱路上生活!がしたかっただけなのに
なんで無双してるんだ私???
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる