【完結】闇堕ちメモリアル

■謎解き×「闇堕ちメモリアル」 織田真理は結局何者だったのか

　結論から言えば、闇堕ちした方の（「ゲーム」に出てきた方の）織田真理は結局誰だったのか不明です。

　彼女は戸籍もなく出自も不明。流れ着いた歌舞伎町を拠点にして、他者のアイデンティティを奪い続けてきた「誰か」です。織田真理という名前も何人目かの他者が持っていた「ラベル」を借りているだけです。加えてあちこちで嘘を吐いているため、自分自身でもどこまでが事実でどこからが虚構なのか区別がついていないものと思われます。

　余談にはなりますが、日本には戸籍に載っていない人も結構存在していたりします。

　理由は色々ありますが、例えば戸籍に自分の子供を登録するとDV夫に居場所を見つけられてしまう等のデメリットがあるため、そういった配偶者から逃れてきたシングルマザーはあえて子供を戸籍に登録しないといったケースがあります。

　なので世間的には「全くいない事になっているはずの誰か」が身寄りのない人に成り代わって生き続けることも理論上は可能です。おそらく本当にそうやって生きている人も日本に一人ぐらいはいるのではないかなと個人的には思っています。確かめようはありませんが。

　今作ではそういった理論上存在が可能な人間に凶悪なアイデンティティを持たせてみました。とは言っても、それは殺人を正当化する織田童夢の妄想に過ぎないのですが。

　現実社会での織田真理は前述の通り、マリアという源氏名を持つ風俗嬢になります。

　織田童夢はマリアに入れあげて指名を続けるうちに、疑似恋愛のはずが本気の恋愛になってしまいます。夜の街ではいくらでもある話ではありますが、本気にさせるとヤバい客がいるのも事実です。

　作中には織田童夢が恋人ごと真理を殺害したとの記述がありましたが、童夢からすれば「奪われるぐらいなら壊してしまえ」という感覚だったのではないでしょうか。