【完結】【R18】あなたがわたしの推しだから~幸薄いアラサー処女の不器用すぎるオフィスラブ~

月狂 紫乃/月狂 四郎

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飲ませてどうにかする作戦3 ♥♥♥

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「え? え? いつの間に?」

 パニック――わたしの状態を一言で表したらそんな感じだった。

 レイ君が起きていた。じゃあ、さっきの告白は全部聞こえて……。

 時間差で効くボディブロー一発で倒されたみたいに、わたしは恥ずかしさで死にそうになる。顔がバーナーで炙られているみたいに熱い。

「ぜぜ、全部、聞いていたの……?」

「ああ、お陰で目がすっかり覚めた。俺をそこまで好きでいてくれてありがとう」

 さっきまでぐったりとしていたはずのレイ君がわたしを抱き寄せ、優しく唇を重ねた。わたしはフリーズしたウサギのように固まっていた。

 何度か唇を重ねていくうちに、舌が絡まって、びちゃびちゃといやらしい音を立てる。お酒の匂いが残っていて、生暖かい息がかかると気持ちが盛り上がってきた。

「ごめんね、レイ君」

 キスをしながら、わたしは語りかける。

「ずっとあなたのことが好き過ぎて、ずっとしたくて、それでも言えなくて、毎晩悶々として、しまいにはお酒を使っちゃった」

 自分で言っていて笑いそうになる。酔わせてどうにかする計画を立てて実行するなんて、それこそオッサンの発想だから。

「いいんだ」

 レイ君が鳥のようにわたしの唇をついばみながら答える。

「七海さんがそうしてくれなかったら、俺も結局ふんぎりがつかなかっただろうから」

 そう言って、レイ君は正面からわたしの両肩を掴んだ。

「よし。それじゃあ、やるぞ」

「うん」

 気付けばわたしも酔いは醒めていた。

 二人で裸になって、シャワーを浴びる。ボディーソープで、お互いの体をつついて遊びながら汚れを落とした。

 シャワーを浴び終わると、二人でベッドへ。

 裸で膝立ちになって、二人で見つめ合う。

 レイ君のが大きくなっている。これが……。妄想の中でしか見たことのない、男性が持つそれ。人によってはジュースの缶ぐらい太いこともあるって聞いていたけど、レイ君のは形が良くて、おそらく平均より気持ち小さいのかなという印象だった。想像だけど。

 たしかに大きい方が世間では持て囃される傾向にはあるけど、実際にものすごい大きいのが入ってきたら痛そうだし、自分でしている時ですら指がぎゅーって押さえつけられるぐらい肉が締まるし、そう考えたらあれぐらいの太さの方がいいのかな、とコンマ二秒の間に考える。

 全裸の膝立ちで固まったわたし達は、次にどうしたらいいか分からずシュールなオブジェと化していた。

「どうすればいいんだろうね」

「どうすればいいんだろうね」

 間が空いて、思わず噴き出した。いや、この光景はシュール過ぎるでしょ。

「とりあえず、押し倒したらいいんじゃないかな?」

 わたしから初手を提案してみる。お互い、初心者同士。残念ながら、フレッシュな高校生でもなく色気づいた大学生でもない。

「じゃあ、行くよ」

 よく分からない宣言をしてから、レイ君がわたしへゆっくりと体重をかける。

「あ」

 自分で提案しておきながら、ふいに溢れる甘い感情で変な声が出た。

 仰向けになったわたしに、レイ君が何度も唇を重ねてくる。わたしはただ、彼の唇を受け入れていた。

 キスの雨が終わると、レイ君が首の横に吸い付いてくる。初めての感覚に、思わず体がビクンってなる。温かい息がデコルテあたりにかかって、その後に舌の這う感覚が付いてくる。

 レイ君は一生懸命、わたしの体に吸い付いていた。

「おっぱい吸ってもいいよ」

 どことなく遠慮がちだったので、こちらから提案する。悪くないけど、このままだと愛撫だけで終わりそうだった。

 レイ君がわたしの胸をさすってから、先端を口に含む。

「ん」

 予想外の刺激に、思わず体をのけぞらせる。

 ちょ……レイ君、上手過ぎない?

 わたしは驚きながら、胸をついばむレイ君の頭頂部を眺める。

 レイ君は器用な舌遣いでわたしの先っぽをくりくりといじめている。その間に空いた手は全身を愛撫していて、時々電気が走るみたいな快楽に襲われた。

 まだ触られていないのに、大事なところがじんわりと濡れてくる。初めては痛いって聞いたことがあるけど、実際のところはどうなんだろう。普段から自分でもいじって慣れさせるようにはしてきたけど。

 そんなわたしの思いが伝わってしまったのか、レイ君は少しだけ体を起こして、わたしの秘部をガン見する。

 恥ずかしくて手で隠しそうになったけど、これから挿れようとしている人がそんなことをしていてもしょうがないので、足の付け根を手の平で押さえて割れ目を見せつけた。

 真顔のレイ君。うう、恥ずかしい。

 でも、その反面で「もっと見て」って思っている自分もいて、他ならぬわたし自身が矛盾するペルソナの並立を肌で感じていた。

「来て」

 言ってから何が来てほしかったのか自分でも説明ができなかったけど、そんな言葉が自然と口をついて出た。

 レイ君がわたしの秘部へと顔を沈めていく。割れ目には温かい息が当たり、そのたびに「んんん」ってなる。

「ひう」

 唐突な感触。割れ目を這う柔らかい感覚。レイ君が割れ目を舐めたに違いなかった。

「ああ、ぅう、ふう」

 初めてとは思えないほど舌の動きは滑らかで、割れ目をいたわるかのように這う舌は、優しくすべすべと湿った溝をなぞったかと思えば、急に固さを増して締まりかけた割れ目を押し広げるような動きもした。

「あ、ちょっと、だめ……ぅっ……!」

 変な声が出る。いや、出てしまう。堪えてどうこうというものではない。あまりの気持ち良さに、意識が遠くなりかける。思わず片手で口を塞ぐ。そうしないといやらしい声で叫んでしまいそうだった。

「んぅう?」

 指――細くて繊細な指が、割れ目へ滑り込んできた。指は軽い力で、グニグニと膣内を刺激する。

「あっ」

 ――一瞬のうちに、頭の中が白くなる。

 あう。

 初めての感覚。脳ミソが溶けたみたいに、意識がふわぁあ~ってなる。

 これが、イったという感覚なの?

 自分でしている時とはケタ違いの快感物質が、わたしの脳細胞中を濁流のように流れていく。

「あぁ、あ」

「大丈夫?」

 マジイキで変な鳴き声を出したわたしに、レイ君が心配そうな声をかける。

「イっちゃった。気持ちいい」

 変な意地を張るのはやめて、素直な気持ちを吐露した。思いっ切りイかされたせいか、メンタルが降伏モードになっている。

「続けても大丈夫?」

「うん。っていうか、やめられたらその方がつらいかも」

 わたしがそう言うと、レイ君は苦笑いした。普段のわたしがそういう顔を見せないのもあったせいかもしれない。

 ひとまず、わたしは気持ち良すぎて死にそうだった。

 指でされただけでこんなに気持ちいいなら、挿れたらどうなっちゃうんだろう?

 そんな思いが伝わったか、レイ君が真剣な顔で訊いてくる。

「挿れてもいい?」

「……うん」

 どうしよう、レイ君の顔が直視できない。イかされて意識がおかしくなっているのもあるし、彼が愛し過ぎるのもある。

とにかく、色んな感情が混ざり合ってわけが分からなくなっている。はっきりと言えるのは、わたしがどうしようもなくレイ君のことを好きだってことだけ。

 レイ君が体勢を直して、正常位でわたしに覆いかぶさる。ああ、とうとうこの日がやってきたんだな、なんて思う。

「ふ」

 先っぽが割れ目の中へ入った時、かすかに変な声が出た。

「ん? 入ってる?」

「入ってるよ……!」

 レイ君のが中に入った時、下腹部の肉がぎゅーって締まった。まるで、結合部の一点からブラックホールが発生したみたいに、わたしの肉という肉が喰らいつくように一ヶ所へと凝集していく。

 レイ君はのんきに「これでいいのかな?」と腰を前後させるけど、そのたびに激流みたいな快感が流れるわたしとしては何も言えないしエロい声で絶叫しそうになるのを必死にこらえている。

 飛びまくる意識の中、レイ君の困った顔が一瞬だけ見えたから、「それでいいの」とばかりにコクコクと頷いた。パッと見、エロい赤べこみたいに思われたかもしれない。

 レイ君が生来的にそういう才能があったのか、それともわたし達の体が想像以上に相性バッチリだったのかは分からないけど、「初めては痛い」なんて俗説が嘘みたいに気持ち良かった。

 油断すると絶叫してしまいそうになる快楽が押し寄せてきて、そのたびにわたしは歯を食いしばった。

 レイ君も気持ちいいのか、体を前後させているうちに「ああ、あああ」って王子様みたいなビジュアルに似合わない声を上げはじめる。

「あ、ごめん。七海ちゃん、俺の方が先にイっちゃうかも」

 レイ君がそう言うと、腰の動きが小刻みに早くなる。そのせいで、わたしの中でも快楽が増していく。

「わたし、も……」

 そう言って目をつぶる。真っ暗な映像の中で、気持ちいい揺れだけが延々と続いていく。

 揺れがさらに早くなる。彼の限界が近い。わたしも……。

「「ああっ……!」」

 二人同時に短い声を上げる。

 その刹那、温かいものがわたしの中へと広がっていった。

 射精。これが、中出しってやつか。

 ――ああ、これが、愛し合うってことなんだな。

 独白としては大げさなのかもしれないけど、彼の精を受け止めたわたしは、今までにない多幸感とともに不思議な感慨に浸っていた。

 波打つレイ君の体。そのたびに、温かい何かがわたしの中でしぶきを上げる。

「好きだよ、七海さん」

「レイ君、わたしも……」

 息を切らせるレイ君。抱きしめ合って、キスをした。

 この夜、初めてわたし達は一つになった。
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