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ネットの民とスパーリング
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試合が一区切りしたので、ネット大注目の公開スパーが始まる。
観客と言うか、野次馬はさらに増えていた。どうもさっきの流れがオンタイムでネットに流されていたみたいで、あたしのアンチが掲示板で大盛り上がりしているそうだった。
「しかし知らないところにヒマな人がいっぱいいるんだねえ」
呆れながらバンテージを巻いていく。巻き終わると軽く縄跳びをしてからシャドウボクシングで体を温める。
スパーリングはなんでか3分2ラウンドになった。女子のあたしは2分3ラウンドの試合なのでちょっとおかしくないか? と思ったけど、こっちが格上なのでそうも言っていられない。
相手側には「反則はそこまで厳しくは取らないが、たとえば蹴るなどの度を越えた変則が出た場合、関係者全員がリングに入ってボコボコにする」という内容のことをやんわりと伝えてある。それでもやる奴はやりそうだけど。
「ただ今より、特別ゲストの志崎由奈選手がスパーリングを行います」
相手が男だとは伝えられない。おそらく極力関わりたくないのだろう。
あちこちから拍手や歓声が上がる。
プロの興行でもないのに、音楽が流れはじめた。
リングへ向かっていくと、結構な観客たちが集まっているのが分かった。ネットの民パワーも上手く集客に使えばいい商売に繋がるのかもしれない。
ネットの声代表もリングへと上がってくる。名前も何も知らないけど、どこから用意したのか黒い短パンを履いてコンビニで売っている下着みたいなタンクトップを身に着けていた。
「ん、結構デカいかも」
男はどちらかと言えば大柄で、体重がある分パンチ力もありそうな気がした。いつかに闘った吾妻タツと体型が似ているので、油断するとやられるかもしれない。
というわけで、あたしは本気で闘うことにした。
リングインすると、両選手の紹介もなくスパーが始まる。相手がワケアリの人で紹介出来ないからだ。たかだか野良試合に等しいスパーリングでここまで人が集まるとは。真面目な選手がやる気を無くすのも少し分かった気がした。
いまだに相手の名前も知らない。
ぶーちんって呼ばれていたけど、見た目からそう呼ばれているだけでロシアの首相とは関係なさそうだ。
まあ、そんなことはいいや。
これから、楽しいオフ会が始まる。
「一回目」
ゴングが鳴ると、ネットの民ぶーちんはガードを上げながらダッシュで突っ込んでくる。いきなりぶちかましてもやるつもりなのか。
反則についてはそれほど厳しく取らないと言われていたものの、やったもん勝ちでタックルとかをされても困るよね、とは思う。
サイドへと回る。ササッと左方向に旋回すると、前を見ていないのかブーチンはそのままコーナーロープへ突っ込んでいく。
いや、何してんのよ。
そうツッコミたくなっていると、ぶーちんはロープの反動を使ってこちらへ再びタックルを仕掛けてくる。ちなみに、ロープの反動を使うのは思いっきり反則なんだけど、レフリーも面倒くさいのかいちいちスパーを止めないで様子を見ている。
「死ねうらああああ!」
ぶーちんが咆哮を上げながら右パンチを放ってくる。
いや、声を上げながら攻撃するとかアホアホマンすぎるでしょ。それって「これからあなたのことを攻撃しますんでよろしく」って言っているようなもんじゃん。というわけで、あたしはその右をササッと避ける。かすりもしないで、ぶーちんは勢い余ってコケる。
会場から失笑が漏れる。うん、なかなかの公開処刑だ。あたしは一発もパンチを放っていないのに、次々とぶーちんは恥を上塗りしていく。
「まだだああああ!」
ぶーちんが追い詰めれたフリーザみたいな声を上げながら拳を振り回す。ちなみに声を出すのも反則なんだけど、レフリーは(以下略)
まあ、そろそろ遊びも終わりにするかな。
初回の半分ほどの時間が過ぎた頃、あたしは飽きた。
こんなのにネットで散々悪口を書かれていたのかと思うとなんだかなと思う。それで自殺する人もいるって言うけど、明らかにこいつってダメな奴じゃん。
今後は二度とそんな考えを抱かないように、しっかりとシバいておかなくちゃ。
変な義務感に駆られながら、再度へ回りつつカミソリジャブを放つ。ジャブはたった一発でぶーちんの顔を撥ね上げた。みるみる厚ぼったい瞼がさらに腫れていく。
「うわあ」
誰かが呻く。
会場の総意のような気もした。
まあ気にしない。
少なくともこのスパーが終わるまでは。
あたしは前後にステップを踏むと、ジャブでフェイントを入れてからワンツーを放った。両方が綺麗に当たり、ぶーちんはゴロリと地面に転がった。ダウンだ。
「あーあー」
誰かが呆れた声を出す。
――やっちまったな。
どこかからそんな声が聞こえた気がする。
「どうします?」って顔でレフリーを見ると、ちょっと迷った顔をしてからカウントを始めた。シュールな間だった。
公式の試合では絶対に見られない微妙な空気の中でカウントが進んでいく。そこまでタイミングがバッチリって感じでもなかったけど、逆にクリティカルヒットだからこそ手ごたえが無かっただけかもしれない。
ぶーちんはうめきながらキャンバスでのたうち回っている。「止めたら?」って顔で一瞥すると、その視線に気付いたのかレフリーが試合を止めようとする。
と、その時――
「すいませんでしたああああ! ゆるしてくださあああい!」
えっ……。
ぶーちんが膝立ちになり、両手を合わせて慈悲を懇願する。
「リック・フレアーかよ……」
呆れた誰かが呟く。
沈黙。多くの観客で埋まった会場が、冗談みたいに静まり返っている。
その場にいる者すべてが呆れて言葉を失っていた。
「すいませええん。すいませえええええん!」
なおも懇願を続けるぶーちん。
「ちょ、ぶーちん……」
ネットの民陣営ですらドン引きしている。
彼らの夢を背中に乗せたぶーちんは今、膝立ちで命乞いをしている。
普通は誰かのために闘う場合、敵に許しを請うなんてことはプライドもあって絶対にしないはずだ。だけど、実際問題としてぶーちんは自身の命を最優先して命乞いしている。
少なくともぶーちんには、自分の闘い方次第でネットの民全員がナメられるかもしれないという考えは持っていなかったみたい。
しかしまあ、あともう少しだけ倒れていてKO負けにしておけばこんな醜態を晒さなくても良かったのに。
知らぬ間に彼らへ同情的な立場の視点から、あたしは目の前の醜態を眺めている。
こらえきれなくなったのか、会場に行き渡った静寂をゴングが破る。
公開スパーリングでまさかのギブアップ。多分、前代未聞の展開だろうと思う。
「アホらし。帰ろ」
ネットの民陣営が戦犯ぶーちんを置いてゾロゾロと帰って行く。
ぶーちんは緊張の糸が切れたのか、しばらく膝立ちのまま泣いていた。そのうち、次の試合の邪魔になるから早くリングを出るように言われていた。
「ぶーちん、すでにトレンドになってる」
「マジか」
周囲の人が呆れ顔でスマホを覗き込んでいる。
先ほどのスパーはネットに流れていたらしく、すでにぶーちんの命乞い映像は色んなコラージュがなされてあちこちに拡散されていた。閲覧数を稼いで小銭稼ぎをしたいインプレゾンビの仕業だろう。
「お疲れ様。もう帰ってもいいよ」
関係者の人から声をかけられる。ぶーちんの見せた不甲斐なさに心底呆れているようだった。
まあ、あれじゃあね……。
これでうまいことネットのターゲットがあたしからぶーちんの方へズレてもらえば嬉しいんだけど。
どちらにしても、乱入騒動そのものは終わった。
さて帰るか。そう思った刹那、視界の端にありえないものが映り込む。
「え?」
驚いてその方向を見ると、一人の女性がこちらをじっと眺めていた。
セミロングの髪に、どこか悲しみを携えた瞳。
「嘘でしょう?」
あたしは誰にともなく訊く。
だって、彼女がそこに立っているのはありえない。
だけど、どう見ても見間違いようがない。「俺」は彼女にプロポーズしようとしていたのだから。
――そこに立っているのは、前世で「俺」の婚約者であった菜々だった。
観客と言うか、野次馬はさらに増えていた。どうもさっきの流れがオンタイムでネットに流されていたみたいで、あたしのアンチが掲示板で大盛り上がりしているそうだった。
「しかし知らないところにヒマな人がいっぱいいるんだねえ」
呆れながらバンテージを巻いていく。巻き終わると軽く縄跳びをしてからシャドウボクシングで体を温める。
スパーリングはなんでか3分2ラウンドになった。女子のあたしは2分3ラウンドの試合なのでちょっとおかしくないか? と思ったけど、こっちが格上なのでそうも言っていられない。
相手側には「反則はそこまで厳しくは取らないが、たとえば蹴るなどの度を越えた変則が出た場合、関係者全員がリングに入ってボコボコにする」という内容のことをやんわりと伝えてある。それでもやる奴はやりそうだけど。
「ただ今より、特別ゲストの志崎由奈選手がスパーリングを行います」
相手が男だとは伝えられない。おそらく極力関わりたくないのだろう。
あちこちから拍手や歓声が上がる。
プロの興行でもないのに、音楽が流れはじめた。
リングへ向かっていくと、結構な観客たちが集まっているのが分かった。ネットの民パワーも上手く集客に使えばいい商売に繋がるのかもしれない。
ネットの声代表もリングへと上がってくる。名前も何も知らないけど、どこから用意したのか黒い短パンを履いてコンビニで売っている下着みたいなタンクトップを身に着けていた。
「ん、結構デカいかも」
男はどちらかと言えば大柄で、体重がある分パンチ力もありそうな気がした。いつかに闘った吾妻タツと体型が似ているので、油断するとやられるかもしれない。
というわけで、あたしは本気で闘うことにした。
リングインすると、両選手の紹介もなくスパーが始まる。相手がワケアリの人で紹介出来ないからだ。たかだか野良試合に等しいスパーリングでここまで人が集まるとは。真面目な選手がやる気を無くすのも少し分かった気がした。
いまだに相手の名前も知らない。
ぶーちんって呼ばれていたけど、見た目からそう呼ばれているだけでロシアの首相とは関係なさそうだ。
まあ、そんなことはいいや。
これから、楽しいオフ会が始まる。
「一回目」
ゴングが鳴ると、ネットの民ぶーちんはガードを上げながらダッシュで突っ込んでくる。いきなりぶちかましてもやるつもりなのか。
反則についてはそれほど厳しく取らないと言われていたものの、やったもん勝ちでタックルとかをされても困るよね、とは思う。
サイドへと回る。ササッと左方向に旋回すると、前を見ていないのかブーチンはそのままコーナーロープへ突っ込んでいく。
いや、何してんのよ。
そうツッコミたくなっていると、ぶーちんはロープの反動を使ってこちらへ再びタックルを仕掛けてくる。ちなみに、ロープの反動を使うのは思いっきり反則なんだけど、レフリーも面倒くさいのかいちいちスパーを止めないで様子を見ている。
「死ねうらああああ!」
ぶーちんが咆哮を上げながら右パンチを放ってくる。
いや、声を上げながら攻撃するとかアホアホマンすぎるでしょ。それって「これからあなたのことを攻撃しますんでよろしく」って言っているようなもんじゃん。というわけで、あたしはその右をササッと避ける。かすりもしないで、ぶーちんは勢い余ってコケる。
会場から失笑が漏れる。うん、なかなかの公開処刑だ。あたしは一発もパンチを放っていないのに、次々とぶーちんは恥を上塗りしていく。
「まだだああああ!」
ぶーちんが追い詰めれたフリーザみたいな声を上げながら拳を振り回す。ちなみに声を出すのも反則なんだけど、レフリーは(以下略)
まあ、そろそろ遊びも終わりにするかな。
初回の半分ほどの時間が過ぎた頃、あたしは飽きた。
こんなのにネットで散々悪口を書かれていたのかと思うとなんだかなと思う。それで自殺する人もいるって言うけど、明らかにこいつってダメな奴じゃん。
今後は二度とそんな考えを抱かないように、しっかりとシバいておかなくちゃ。
変な義務感に駆られながら、再度へ回りつつカミソリジャブを放つ。ジャブはたった一発でぶーちんの顔を撥ね上げた。みるみる厚ぼったい瞼がさらに腫れていく。
「うわあ」
誰かが呻く。
会場の総意のような気もした。
まあ気にしない。
少なくともこのスパーが終わるまでは。
あたしは前後にステップを踏むと、ジャブでフェイントを入れてからワンツーを放った。両方が綺麗に当たり、ぶーちんはゴロリと地面に転がった。ダウンだ。
「あーあー」
誰かが呆れた声を出す。
――やっちまったな。
どこかからそんな声が聞こえた気がする。
「どうします?」って顔でレフリーを見ると、ちょっと迷った顔をしてからカウントを始めた。シュールな間だった。
公式の試合では絶対に見られない微妙な空気の中でカウントが進んでいく。そこまでタイミングがバッチリって感じでもなかったけど、逆にクリティカルヒットだからこそ手ごたえが無かっただけかもしれない。
ぶーちんはうめきながらキャンバスでのたうち回っている。「止めたら?」って顔で一瞥すると、その視線に気付いたのかレフリーが試合を止めようとする。
と、その時――
「すいませんでしたああああ! ゆるしてくださあああい!」
えっ……。
ぶーちんが膝立ちになり、両手を合わせて慈悲を懇願する。
「リック・フレアーかよ……」
呆れた誰かが呟く。
沈黙。多くの観客で埋まった会場が、冗談みたいに静まり返っている。
その場にいる者すべてが呆れて言葉を失っていた。
「すいませええん。すいませえええええん!」
なおも懇願を続けるぶーちん。
「ちょ、ぶーちん……」
ネットの民陣営ですらドン引きしている。
彼らの夢を背中に乗せたぶーちんは今、膝立ちで命乞いをしている。
普通は誰かのために闘う場合、敵に許しを請うなんてことはプライドもあって絶対にしないはずだ。だけど、実際問題としてぶーちんは自身の命を最優先して命乞いしている。
少なくともぶーちんには、自分の闘い方次第でネットの民全員がナメられるかもしれないという考えは持っていなかったみたい。
しかしまあ、あともう少しだけ倒れていてKO負けにしておけばこんな醜態を晒さなくても良かったのに。
知らぬ間に彼らへ同情的な立場の視点から、あたしは目の前の醜態を眺めている。
こらえきれなくなったのか、会場に行き渡った静寂をゴングが破る。
公開スパーリングでまさかのギブアップ。多分、前代未聞の展開だろうと思う。
「アホらし。帰ろ」
ネットの民陣営が戦犯ぶーちんを置いてゾロゾロと帰って行く。
ぶーちんは緊張の糸が切れたのか、しばらく膝立ちのまま泣いていた。そのうち、次の試合の邪魔になるから早くリングを出るように言われていた。
「ぶーちん、すでにトレンドになってる」
「マジか」
周囲の人が呆れ顔でスマホを覗き込んでいる。
先ほどのスパーはネットに流れていたらしく、すでにぶーちんの命乞い映像は色んなコラージュがなされてあちこちに拡散されていた。閲覧数を稼いで小銭稼ぎをしたいインプレゾンビの仕業だろう。
「お疲れ様。もう帰ってもいいよ」
関係者の人から声をかけられる。ぶーちんの見せた不甲斐なさに心底呆れているようだった。
まあ、あれじゃあね……。
これでうまいことネットのターゲットがあたしからぶーちんの方へズレてもらえば嬉しいんだけど。
どちらにしても、乱入騒動そのものは終わった。
さて帰るか。そう思った刹那、視界の端にありえないものが映り込む。
「え?」
驚いてその方向を見ると、一人の女性がこちらをじっと眺めていた。
セミロングの髪に、どこか悲しみを携えた瞳。
「嘘でしょう?」
あたしは誰にともなく訊く。
だって、彼女がそこに立っているのはありえない。
だけど、どう見ても見間違いようがない。「俺」は彼女にプロポーズしようとしていたのだから。
――そこに立っているのは、前世で「俺」の婚約者であった菜々だった。
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