14 / 15
第十四話
しおりを挟む
「もうきゃまたーん! ほらしっかり歩いて!」
「やぁぁぁだ! もう無理歩けない帰る。」
きのこの森についてすぐサイコトリアを探し始めたものの、きゃまたんは歩き始めてから二十分もたたずにこの様だ。
「転生する前はちゃんと歩いてたじゃん、まだ歩けるでしょ!」
「だってきゃまたんは、夢の国ってゆー転生者を管理するとこの住人だったから情報や能力が残ってるだけで、一応もうただのおばあちゃんだもん! それに今日はもうここに来るまでたくさん歩いたし!あー帰りたい帰りたい帰りたい……」
ぶつぶつと文句を言っているきゃまたんの手を引きながら歩く。
「じゃあ楽しいお話をしながら歩こう! でもちゃんと辺りを見渡しながらね」
「楽しーお話⁉ きゃまたん聞く側専門だお」
珍しくきゃまだんが食いぎみに私の話を聞いてきた。
けれど、話すことは特に考えていない。
「じゃあ、きゃまたんが私になにか質問してよ! 私はそれに答える」
「えぇー! んー、じゃあ、前世での子どもの頃の夢は?」
──なんと無難な!
「んー、いっっっちばん最初は、クレープ屋さん。 で、次がお姫様のお世話係」
「えーなにそのびみょい立ち位置!」
「なんかね、お城に住んでみたいんだけど、華やかなのは向いてないって小さいながらに思ってたんだよね」
思い返してみれば、小学校の発表会ではお姫様にプレゼントを渡す町民だったし、中学校では副委員長と部活の副部長をやっていた。
──華やかな立場ってものに憧れてはいたけど…………
「えー! きゃまたんだったらぜったいぜーったいお姫様なのになぁ」
「うん。 なんかきゃまたんは物語の主人公キャラだよ。(性格が)」
──お姫様かぁ……ん?……お城と言えば…………
「ねぇ、きゃまたん」
「はーい?」
「グレートウィッチって、お城に住んでるんじゃなかったっけ? でもお城見えなくない?」
あの街は大体端まで歩いたけれど、城らしきものはどこにもなかった。
「あぁー確かに! 隠してるのかなお城ー………あ、見て見て青い鳥だぁ」
───そんな気になってないのね。
きゃまたんが指を指す方に目をやると、確かにカワセミみたいな青い鳥が飛んでいた。
青い鳥は、プツッと花を一輪とってくちばしにくわえた。
「ねぇ見て! あのお花くちびるみたいな形してるから鳥さんにおっきなくちびるがあるみたーい!」
きゃまたんはさっきまでのテンションはどこへ行ったのやら、きゃわいー!とはしゃいでいた。
「あんな花もあるんだねー………」
──サイコトリア・ペッピギアーナ。世界に二つしかない唇の花さ。
「あああああああああ!」
「ちょ、きゃまたんビックリしちゃったわよぉ! なに!」
「これだよ、サイコトリア・ペッピギアーナ!」
「えぇぇぇぇぇ!」
青い鳥はサイコトリアをくわえたまま、パタパタと飛んでいく。
──あぁ! 見えなくなっちゃう!
「やぁぁぁだ! もう無理歩けない帰る。」
きのこの森についてすぐサイコトリアを探し始めたものの、きゃまたんは歩き始めてから二十分もたたずにこの様だ。
「転生する前はちゃんと歩いてたじゃん、まだ歩けるでしょ!」
「だってきゃまたんは、夢の国ってゆー転生者を管理するとこの住人だったから情報や能力が残ってるだけで、一応もうただのおばあちゃんだもん! それに今日はもうここに来るまでたくさん歩いたし!あー帰りたい帰りたい帰りたい……」
ぶつぶつと文句を言っているきゃまたんの手を引きながら歩く。
「じゃあ楽しいお話をしながら歩こう! でもちゃんと辺りを見渡しながらね」
「楽しーお話⁉ きゃまたん聞く側専門だお」
珍しくきゃまだんが食いぎみに私の話を聞いてきた。
けれど、話すことは特に考えていない。
「じゃあ、きゃまたんが私になにか質問してよ! 私はそれに答える」
「えぇー! んー、じゃあ、前世での子どもの頃の夢は?」
──なんと無難な!
「んー、いっっっちばん最初は、クレープ屋さん。 で、次がお姫様のお世話係」
「えーなにそのびみょい立ち位置!」
「なんかね、お城に住んでみたいんだけど、華やかなのは向いてないって小さいながらに思ってたんだよね」
思い返してみれば、小学校の発表会ではお姫様にプレゼントを渡す町民だったし、中学校では副委員長と部活の副部長をやっていた。
──華やかな立場ってものに憧れてはいたけど…………
「えー! きゃまたんだったらぜったいぜーったいお姫様なのになぁ」
「うん。 なんかきゃまたんは物語の主人公キャラだよ。(性格が)」
──お姫様かぁ……ん?……お城と言えば…………
「ねぇ、きゃまたん」
「はーい?」
「グレートウィッチって、お城に住んでるんじゃなかったっけ? でもお城見えなくない?」
あの街は大体端まで歩いたけれど、城らしきものはどこにもなかった。
「あぁー確かに! 隠してるのかなお城ー………あ、見て見て青い鳥だぁ」
───そんな気になってないのね。
きゃまたんが指を指す方に目をやると、確かにカワセミみたいな青い鳥が飛んでいた。
青い鳥は、プツッと花を一輪とってくちばしにくわえた。
「ねぇ見て! あのお花くちびるみたいな形してるから鳥さんにおっきなくちびるがあるみたーい!」
きゃまたんはさっきまでのテンションはどこへ行ったのやら、きゃわいー!とはしゃいでいた。
「あんな花もあるんだねー………」
──サイコトリア・ペッピギアーナ。世界に二つしかない唇の花さ。
「あああああああああ!」
「ちょ、きゃまたんビックリしちゃったわよぉ! なに!」
「これだよ、サイコトリア・ペッピギアーナ!」
「えぇぇぇぇぇ!」
青い鳥はサイコトリアをくわえたまま、パタパタと飛んでいく。
──あぁ! 見えなくなっちゃう!
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈




転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

オタクな母娘が異世界転生しちゃいました
yanako
ファンタジー
中学生のオタクな娘とアラフィフオタク母が異世界転生しちゃいました。
二人合わせて読んだ異世界転生小説は一体何冊なのか!転生しちゃった世界は一体どの話なのか!
ごく普通の一般日本人が転生したら、どうなる?どうする?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる